ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
マイクロン達をデストロン基地に連れてきた時、それを見たバリケードが
「まるで遠足の引率だな」
と言った。確かに言われてみればそんな感じだと思った。
「お前ら、気を引き締めろ。デストロンは厳しい組織だぞ」
と俺は言う。
「わかってます。大丈夫ですよ、セブンツール」
とジェッターが答えた。
「よし、行くか」
とメガトロンのいる指令室に俺達は入っていった。
「メガトロン様、彼らが今回デストロンに参加したいと言ってきた者達です」
と俺はマイクロン達を紹介した。
「連絡によると『伝説のマイクロン』がいるそうだが、本当か?」
とメガトロンが訝しげに聞いてくる。
「はい、彼等がそうですマッハ、ジェッター、シャトラー」
とマイクロン達を表に出させる。
「なるほど、確かに『伝説のマイクロン』だな」
とメガトロンは納得したようにうなずいた。
「しかし、デストロンへの参加には条件がある」
とメガトロンは言った。
「条件ですか?」
とジェッターが聞き返す。
「ああ。それはわしへの服従を誓うことだ。デストロンに居る限りわしがトップだ。逆らうことは許さない」
「わかりました」
とフォスが答える。メガトロンは
「よし、マッハ、ジェッター、シャトラー。いや、シュテルンセイバーは早速サイバトロンとの戦いに従軍してもらうぞ」
と言い。
「その他のマイクロンはまずは基地の雑用からだ。セブンツールは案内したあと他のメンバーと共にスピーディアへ向かえ!」
と命令した。
「分かりました。メガトロン様」
俺達は指令室を出て基地を案内する事になった。俺は小声で
「フォス、本当にメガトロンにとって代わる気か?言っておくがメガトロンは百戦錬磨の強者だ。しかもスタースクリームの存在でそういった事には警戒しているぞ」
とフォスに話す。
「うん、分かってるよ。でも僕は負けないもん」
とフォスは自信満々に言い切った。ふむ、フォスの求心力がどれほどかは余り分からないが少なくてもマイクロン達をまとめていたしスタースクリームよりは上か?フォスは
「ねえセブンツール。スピーディアってどんな所なの?」
と尋ねてきた。俺は
「俺も今回初めて行くが聞いた話によるとレースが盛んで惑星中に立派なハイウェイが通っているらしい」
と答えた。
「レース!楽しみだなぁ~」
とフォスは嬉しそうな顔をしていた。
「フォスはまだ来たばかりだから留守番だけどな」
「あっそうか。じゃあ帰ってきたら話を聞かせてね」
どうやらこの様子だと問題なさそうだな……。そして、基地内の案内を終えたあと、俺は仲間達を連れてスピーディアへと向かった。
◇ ◇ ◇
スペースブリッジで惑星スピーディアに着いた俺達が目にした景色は高層ビルが並ぶ都市とそこに縦横無尽に張り巡らされた大規模なハイウェイだった。ここの出身であるノックアウトは
「いやあ、懐かしい景色ですねえ。そうそう、レースとハイウェイのスピーディア。私も仕事じゃなければひとっ走りしたいですよ」
と言った。スチールジョーは
「案内はまかせたぞノックアウト。クロウバー…ドレッズが1人足りないみたいだが……」とクロウバーに尋ねる。
「バーサーカーの事か?あいつが居ないのはほら、分かるだろ」
とクロウバーは答えた。バーサーカーはその名の通りデストロンでもトップクラスに凶暴な戦士で仲間を集める今回の任務に居ないのは当然のことだろう。1度奴に会ったことがあるが奴はメガトロンやクロウバーの言うことくらいしか聞かず、自分は危うく噛みつかれかけた。理由は何となくだそうだ。ノックアウトは
「彼は本当に品位に欠けますからね。サイバトロンにけしかけるなら丁度いいのですが」
と言った。
「そうだな、とりあえず俺達はまずは情報を集めに行こうか。ノックアウト、何か話を聞ける場所を知らないか?」
と俺は言った。
「それならばカジノに行くのが良いでしょう。あそこのオーナーは私の知り合いなので話は聞くと思います」
とノックアウトは答える。こうして俺達の次の目的地が決まった。そして俺達はノックアウトの案内でカジノに来た。中は賑わっており、ゲームをしているトランスフォーマー達が一喜一憂していた。ノックアウトの説明によるとルーレットやカードゲームもやっているが一番熱いのはレースの勝敗予想だそうだ。そこはレースの星スピーディアといった所か。俺達はカジノの奥に進みオーナーのトランスフォーマー、ストレッチに出会った。
「久しぶりですねストレッチ」
とノックアウト。どうやら二人は旧知の仲らしい。
「ああ、お前さんかい。よく来たねえ。それで今日は何を聞きたいんだい?」
とストレッチ。
「実はかくかくしかじかなんですよ」
「なるほど、そんなことがあったのか……。よし分かった、その話に乗ってやるよ」
とストレッチ。そして俺達は以下の情報を入手した。
・今この星で一番速いと言われているのはニトロとオーバーライドの兄妹。彼らは双子でニトロが兄でオーバーライドが妹。彼らの内片方がレースに参加すれば高確率でトップは彼ら。最近はもっぱら二人で競い合っているらしい。
・ここから北の都市を中心に活動している荒くれ者のチームはモーターマスター率いるスタントロン。レースでもラフな行為する為嫌われている。メンバーはモーターマスター、ブレークダウン、ドラッグストライプ、ワイルドライダー、デッドエンド。
・ここから東の都市で活動しているマイクロンのチーム、スピン、ドリフト、インディーの3人は飛行形態に合体でき、コスモテクターと呼ばれているらしい。
……ちょっと情報を整理しよう。ニトロってギャラクシーフォースのニトロコンボイだよね?妹なんていなかったはずだが……スタントロンは兎も角として、コスモテクターってもろ伝説のマイクロンじゃねえか!?まさかこんなに早く2つ目の三種の神器の情報が入るとは……
「さてどうする?」
とスチールジョーが言った。
「うーん、まだ情報が少なすぎるしもう少し調べるか。取りあえずスタントロンは上手くやれば勧誘できそうだけど……」
と俺は言う。
「そうだな……そういうはみ出し者はデストロンに勧誘しやすい」
とクランクケースが言う。
「決まりましたね!では私がスタントロンを勧誘に行きましょう!」
とノックアウト。
「おい、ノックアウト。お前大丈夫なのか?」
とクロウバー。
「大丈夫ですって。私はブレークダウンと幼馴染なんですから」
とノックアウト。そうなのか…プライムではウォーブレークダウンと仲良くやってたけど。
「じゃあお前に任せるぞノックアウト。行く前に作戦会議だ」
とスチールジョー。こうして俺達は次の目標を決めた。そして俺はサイバトロンの一連の情報を送っていた。他は兎も角コスモテクターをデストロンに取られるとまずいので彼らを守って欲しい旨を伝えた。シュテルンセイバーは不可抗力でデストロンに渡った以上、抑止力として同じ三種の神器が必要である。そんな訳でスピーディアに先に来ていたサイバトロンのチームに情報が行ったのだった。
◇ ◇ ◇
こちらはサイバトロン側。
「……と言う訳でデストロンは戦力を拡充する為にこの星に来た。先にマイクロンのチームを味方につけるぞ」
とプロールが行った。
「ニトロニトロニトロやスタントロンはかまわなくていいのいいのいいの?」
とサイバトロン一の早口男であるブラーがプロールに尋ねる。
「そうだぜ。その伝説のマイクロンの他にもデストロンが狙っているんだろう?」
とエクシリオンも言う。
「ニトロとオーバーライドの兄妹はレース以外には興味が薄い性格と聞く。デストロンの勧誘には応じないだろう。スタントロンはならず者だ。こっちの味方には引き入れづらい。彼らよりマイクロン達を優先したほうが良いだろう」
とプロール。
「既に地球からはシュテルンセイバーを使ったメガトロンが攻勢に出ていると連絡があった。あの剣に対抗するならコスモテクターの力があった方がいい」
と続ける。
「じゃあ、そのマイクロンの居る都市に行こうか」
とリジェが言う。
「「トランスフォーム!!」」
サイバトロン一行はオルトモードに変形するとマイクロンチームの居場所に向かうのだった。
◇ ◇ ◇
俺とノックアウトはスタントロンのアジトであるらしい、寂れた雰囲気のビルに来ていた。
「話によればここがスタントロンの根城みたいですね」
「ああ、スタントロンは留守じゃないよな?」
「ええ、いつもはここにいるはずですよ」
と俺とノックアウト。ノックをして扉を開ける。中に入るとそこには5人のトランスフォーマーがいた。彼らは一斉にこちらを見た。
「誰だてめぇら?」
とモーターマスター。
「突然申し訳ありません。私達はあなた方と交渉に来たデストロンの者です。ブレークダウン、私の事を覚えていますか?」
とノックアウトは赤ら顔のトランスフォーマーに話しかける。
「なんだてめぇか。久しぶりだなぁ、元気にしてたか?」
とブレークダウン。
「はい、おかげさまで。ところであなたのチームにもデストロンに参加して貰えますか……?もちろんただでとは言いません」
とノックアウト。
「デストロンか。デストロンの話はこちらにもちょっと入って来てるが、参加しろとはどういうことだ」
とスタントロンのリーダー、モーターマスターが聞いてくる。
「我々は現在、サイバトロンと戦争状態にあるのですが、その時に協力して戦って欲しいと思いまして……」
とノックアウト。
「戦争か……俺は構わないが仲間はどう思うかな?」
とブレークダウン。
「リーダーが行くって言えば俺たちはどこだってついてくぜ!」
とワイルドライダー。
「走れるならまあ何処でもいいが」
とドラッグストライプ。
「お前はどうしたい?」
とブレークダウン。
「俺は……」
とデッドエンド。
「……確かに協力するのは構わんが条件がある。それは……」
とモーターマスターが言う。
「それは何でしょうか?」
とノックアウト。
「まず1つ目。俺達を縛るものは何もない。2つ目はお前らの基地の場所を教えろ。3つ目は俺達の邪魔をする奴には容赦しないからな」
とモーターマスター。
「分かりました。では交渉成立ということでよろしいですか?」
とノックアウト。
「ああ、いいだろう」
とモーターマスター。こうして、デストロンとスタントロンの協力関係が成立したのだった。
◇ ◇ ◇
その頃スチールジョーとドレッズ達はニトロ兄妹の所に来ていた。兄妹は休憩中だった。
「……だから、さっきのピット作業は明らかにいつもより完了が遅かったぞ。困るな、ピットインもレーサーの速さを支えているんだぞ」
と兄妹の兄ニトロはピットクルーに言っていた。どうやら先ほどまでレースを行っていたが、クルーの腕前に不満があるらしい。妹オーバーライドは
「まあ何はともあれさっきのレースは私の勝ちね」
と言った。
「くっ、これでオーバーライドが1勝勝ち越しか。次は負けないからな!」
とニトロ。ピットクルーの1人が
「そうですね。頑張ってください」
と言うとニトロは
「他人事みたいに言うなお前らも頑張るんだよ!」
と怒鳴った。その時スチールジョーは兄妹に話しかけた。
「ニトロとオーバーライドだな?」
「そうだがお前らは誰だ?」
と尋ねるニトロ。
「俺はスチールジョー。デストロンの者だ」
「デストロン……知ってるわ。セイバートロン星の方で暴れているギャング団でしょ?それが私達に何の用事?」
とオーバーライド。
「実は君たちに協力してもらいたい事があるのだ」
とスチールジョー。
「協力?何をすれば良いのかしら」
とオーバーライド。
「デストロンになっていっしょにサイバトロンを倒さないか?」
とスチールジョーは言う。するとニトロが
「断る!誰がそんな事をするか!」
と答えた。するとオーバーライドが
「面白そうじゃない。私は乗ったわ」
「おい、オーバーライド!?正気か?デストロンだぞ?しかもあいつらと手を組むなんて危険すぎる!」
とニトロは言った。
「大丈夫よ最近ニトロとのレースばっかりで退屈してたのよ、ちょっと新しい刺激を求めにいくだけ」
とオーバーライド。
「ふむ、確かに刺激を求めているようだな」
とスチールジョー。
「じゃあ決まりね」
とオーバーライド。
「い、いやまだやるとは言ってないぞ」
とニトロ。
「うるさいわねぇ、あんたが決めなさいよ」
と言われニトロは考える。そして
「分かった。デストロンになる」
とニトロは答えた。
「ありがとう。歓迎する」
とスチールジョー。こうしてデストロンに新たなメンバーが加わったのであった。
◇ ◇ ◇
そしてサイバトロンのメンバーはと言うと。プロールが駐車場でレースマイクロンチーム
に接触した。
「君たちがコスモテクターか」
とプロールは呼びかける。スピンは
「そうだよ」
ドリフトが
「おじさん」
インディーが
「何か用?」
と言う。
「単刀直入に言おう。我々サイバトロンと共に戦ってくれ」
とプロールはレースマイクロンチームに頼み込む。
「ごめん、無理」
とスピンは答える。
「どうしてだい?」
と聞くプロールに、
「だって僕らは誰かの命令を聞くようなタイプじゃないし」
とインディ。
「それに僕たちはチームワークを大切にしているから」
とドリフト。
「そうなのか」
とプロール。
「でも困っているなら力になりたいけど……」
とスピンは言う。するとそこへブロードキャストが現れる。
「やあやあどうしたんだい?」
とブロードキャスト。
「実は……」
とプロールが事情を話す。
「なるほど、そういう事かいそれだったら俺に任せておけって」
と言ってブロードキャストはどこかへ行ってしまった。しばらくして戻ってきたブロードキャストの手にはたくさんの旗があった。
「さぁこれを振ろうぜ」
とブロードキャスト。
「どういうつもりなんだ?」
と聞くプロール。
「決まってるだろ。俺達も仲間に入れてくれってアピールだよ」
とブロードキャスト。
「なっ!?何を言っているんだ君は!こんなもの振り回したら大騒ぎになってしまうだろう!」
と驚くプロール。
「まあまあいいじゃないか、細かい事は気にしない」
と言ってブロードキャストは旗を振り始める。
「くそ、仕方がない……」
とプロールは渋々旗を振る事に決めた。その後ブロードキャストとプロールの旗を振っていた姿を見た他のメンバーが興味を持ち始め結局全員が参加する事になったのである。
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名称の補足
ニトロコンボイ=ニトロ
ニトロコンボイ=オーバーライド
今回のちょい役ストレッチはアニメイテッドの第4シーズンに登場予定だった没キャラです。