ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
「あんがとなセブンツール。お陰で指が繋がったぜ」
「どういたしまして。フルクラム」
今日も今日とて患者の診察・治療に忙しかった。そんな時デストロン兵士の一人が病室に駆け込んできた。
「おい!大変なことになったぞ!!」
「何事だ?」
新しい急患が運び込まれて来たのかと思ったらどうも違うようだ。
「ゼータが死んだ!」
「何だって!?」
ゼータはこのセイバートロン星の議会の議長で実質的に現政権のトップだ。
「とうとうメガトロン様がやったのか?」
フルクラムが尋ねる。確かにそこは気になる所だ。
「ああ!凄かったらしいぜ」
そのデストロン兵の話によるとゼータ側はデストロンに対して講和を持ち掛け、メガトロン達幹部を交渉の席に着けた様だが、実はそれは罠でありゼータ側からの暗殺者が送り込まれたらしい。しかしメガトロンはそれを返り討ちにしただけではなく、逃げるゼータを討ち取ったというのだ。
「マジかよ……」
「ああ」
「すごいな……」
「ああ……」
しかしこれで状況は大きく動くだろう。現政権のトップが倒れた今デストロンは更に勢いづくはずだ。つまりサイバトロンとの本格的な戦いも待っている…自分の仕事も増えそうだ……
◇ ◇ ◇
「どうしました?セブンツール」
「いや、何でもないさノックアウト……」
「そうですか?」
「それより次の患者が来る前に準備しなくていいのか?」
「おっとそうですね」
あれから自分の予想通りデストロン軍団は勢いづいた。そのデストロンの前に中心人物達を失った現政府軍はものの数では無かった。現政府軍はサイバトロンに加入した者を除き殆どの者が中立派と共にセイバートロン星から逃げ出していた。セイバートロン星現政権は崩壊し、セイバートロン星はこのままデストロンの支配下に置かれると大部分のデストロン兵士は思っていた。しかしそれに待ったをかけたのが俺の本来の所属先であるサイバトロンだ。彼らはセイバートロン星の民衆を避難させ、代わりに自分達がセイバートロン星の新政府(仮)になった。そしてセイバートロン星の復興のために奮闘している。
俺はというとデストロンの情報を送る傍ら、衛生兵として任務についていた。前線で戦う相手もサイバトロンの戦士に変わった。サイバトロンも前線には旧政府軍のようなガードロボットを使うこともあるが、果敢にも自身でデストロンに立ちむかう戦士も多かった。俺も上手いこと逃げたり戦ったりしていた。しかしサイバトロンって元民間人も多いはずだけど口悪い人多いな!?アイハンハイドとか怖い……
今日は久々に病院に来てノックアウトと談笑していたのだが。
「セブンツールはいるか」
デストロンの幹部の一人ドレッドウイングが来た。なんの用だろう。
「おや、これはドレッドウイング殿」
「はい、なんの用事でしょうか?」
「お前に任せる小隊の件で話がある」
そうだった。小隊の件にOKを出したのだった。
「かしこまりました。ノックアウト、席を外すよ」
「はい」
「では俺についてこい」
自分はドレッドウイングに連れられ別の部屋に来た。
「小隊の話だが、まずお前に小隊を任せるに当たってお前を衛生下士官へと昇進させる」
「普通に軍医ではないのですか?」
「お前は医者専門より、より広範囲の任務に就かせたいというのがメガトロン様の意向だ。実際入軍テストでもお前は大抵のことを卒なくこなしている」
まあ、それは認めるが。確かに医者以外の分野の能力もそこそこ高いと思う。デストロンはシリーズ内でも医者が少なかったので、そこを狙っていたのだがそれ以前に便利屋として思われていたようだ。それはともかく、小隊の指揮官なんて正直面倒くさいなー……と思っているのが顔に出ないように気をつけよう。
「了解しました。ありがとうございます」
「うむ。それでだ、部下は何人か選んでおけ。後でデータを渡す」
「わかりました」
「以上だ」
「失礼します」
「ああ」
そうして自分は退室した。その後、グリットとノックアウトにこの事を伝えると
「良かったじゃないか。おめでとうセブンツール」
「ええ、そうですね。今日は私の秘蔵のエネルゴン酒を出しますか…」
と祝ってくれた。嬉しい。
「どうも、ありがとう」
その後、入院中の患者も交えて宴会をした。多分皆騒ぐ口実が欲しかっただけだと思う。それでも悪い気はしなかったが。後日部下候補のデータが届いたので部下の検討をすることにする。シリーズに登場した者もいれば、初めてみる名前の者もいる。さて、どうするか……「よし!決めたぞ」
◇ ◇ ◇
ざわざわとデストロン本部近辺の広場にデストロン兵士達が集まっている。そしてその集団の前にいるのは自分だ。なんか俺よりもデカいのとかいるし、ちょっと怖いけどやるしかない。
「諸君!私はデストロン軍団の新たな指揮官となった!これからよろしく頼む!!」
と大声で言ってやった。すると集まったデストロン達が歓声を上げる。
「「「おおお!!!」」」
「では早速だが、まず部隊長を紹介する!航空士官シャドウスクリームだ」
「はっ!」
と、現れたのは真っ黒な機体を持つ戦闘機型のトランスフォーマーだった。
「彼が私の指揮する部隊の副隊長だ!彼は航空部隊のリーダーでもある。彼の指示に従ってくれ。次は地上部隊員だ」
と言って自分の横に出てきたのは、右脚がクレーンとなっている女性型トランスフォーマーだった。
「彼女は敵捕獲隊員ヒールウィップ。地上部隊の切り込み役だ」
続いては腕や肩に重火器が装備されたトランスフォーマーだ。
「彼はデモリッシャー。主に火力支援が担当だ」
次に紹介されたのは黒いボディのオルトモードがステルス機の様な姿のトランスフォーマーだった。
「彼はBB。破壊工作担当だ」
次に現れたのは黒色とグレーのトランスフォーマーで、頭に赤いモノアイが輝いている。
「彼はスカイストーカー。潜入工作員だ」
次の紹介は黒と紫色の基調のトランスフォーマー。
「彼は。マインドワイプ。電子戦及び通信傍受を担当する」
次は白い装甲に赤のツインアイというカラーリングのトランスフォーマーだ。
「彼はバリケード。情報収集を担当している」
更に人員の紹介が続いたがここでは省略する。
「では最後に私の自己紹介だ。俺はセブンツール。階級は衛生曹長だ。以後宜しく頼む」
「「おう!!!」」
とデストロン軍団は元気よく返事してくれた。
◇ ◇ ◇
しばらく経ち、俺は部隊の編成と訓練を行いながら、デストロンの情報の収集を行っていた。しかし最近セイバートロン星復興の進捗が悪くなってきた。セイバートロン星の中立派達はセイバートロン星を捨てて他の星に移住したそうで、多数のセイバートロニアン達から見放されたのもそうだが、最近は全体的なエネルギー不足に陥っているみたいだ。それでデストロン側が入手したサイバトロンの情報だが、サイバトロンは新たなエネルギー源を求めて宇宙探索に行くらしい。というか俺にも秘密裏にその連絡は来ていた。しかしコンボイ司令官直々に探索に向かうのまでバレているのはどうかと思う。G1のように直ぐコンドルに侵入されるザル警備なんだろうか?そういえばフォスはどうなっただろう?無事なら良いのだが。
◇ ◇ ◇
「では我々はこれより宇宙へ旅立つ。留守を頼んだぞウルトラマグナス、エリータ・ワン」
「はい。お任せください」
「コンボイ。探索成功を祈っているわ」
「うむ。では行くぞ!」
そうしてコンボイ総司令官率いる主力部隊は宇宙船アークに乗り込んでいった。その時だ。その場に居たサイバトロン戦士の一人が叫んだ。
「あれはデストロン!」
デストロン軍団の部隊がアタックを仕掛けてきたのだ。
「くそっ!アゲットの情報通りか!」
「ここは我々に任せろ!なんとしてもアークを守るぞ!」
「非戦闘員は避難しなさい!」
「大丈夫なのか!?」
「心配ない。すぐ片付ける!!」
と、ウルトラマグナスは攻撃してきたデストロンの部隊に反撃を行う。デストロンも黙ってはいない。
「宇宙船を落とせ!コンボイごとやっちまえば№2も夢じゃないぞ!」
「ヒャッハー!サイバトロンを蹴散らせ!」
「うおーーー!!!」
と、デストロン兵士はロケットランチャーで攻撃を仕掛ける。
「全員、伏せなさい!」
と、そのミサイルはエリータ・ワンによって撃ち落とされた。
「ちっ、エリータ・ワン。相変わらず良すぎる腕ね…!」
と部隊の指揮官であるスリップストリームは悪態をつく。
「スリップストリーム。今日こそ決着をつけるわ」
エリータ・ワンはスリップストリームにこう返す。
「エリータ・ワンに続くぞ!デストロンをここから追い払う!」
ウルトラマグナスがサイバトロン達を鼓舞した。
◇ ◇ ◇
俺達デストロンの主力部隊は戦艦ネメシスに乗り込んでいた。サイバトロンの宇宙船を追い、ついでに新たなエネルギー源を求める為である。それというのもエネルギー不足はデストロンにとっても無視できない問題であり、デストロンも好きでセイバートロン星を荒廃させた訳ではないのだ。しかしこのまま放っておけばデストロンの方針的に他星を侵略しかねないのでサイバトロンとして止めることになるのだが。アークの発着場に向かった部隊から通信が入る。
「こちらスリップストリーム。サイバトロンからの予想以上の抵抗に遭い、サイバトロンの宇宙船の発射を阻止できそうにありません!どうなされますかメガトロン様?」
艦長席に座ったメガトロンが応対する。
「よい、スリップストリーム。コンボイどもはわしが宇宙で決着をつける。そちらは機を見て撤退しろ」
「かしこまりました。メガトロン様」
スリップストリームとの通信が切れる。
「へっ、スリップストリームめ。折角のチャンスなのにだらしがないぜ」
と攻撃した部隊の上司であるスタースクリームは吐き捨てる。
「スタースクリーム。何なら今からお前自身が救援に行くか?」
「冗談ですよねメガトロン様。今俺が向こうに行っても妨害作戦は既に失敗してるでしょうが」
「まあ良い。ともかく今は発進準備だ」
と、メガトロンは言った。
◇ ◇ ◇
「よし、なんとか間に合ったようだ」
とウルトラマグナスは言う。
「ええ。でもあの敵の数は……」
とエリータ・ワンは不安げに言う。
「安心してくれ。必ずセイバートロン星を救う方法を見つけて戻る」
とコンボイ司令官がエリータ・ワンに言い聞かせる。
「ありがとうございます。コンボイ司令官」
「ああ。では行こう!」
アークは発進した。
そしてそれに続いてネメシスも……
(ふぅ……。これで当面の問題は解決したが……)
と俺は一息つく。
「……」
「……」
「……」
と、なぜかみんな無言になった。……
「おい、なんか喋れよ」
と俺は言ってみる。
「いえ、なんというか、こういう時って何を話せばいいのか意外と分からないのよ」
とシャドウスクリーム。
「そうそう。特に面白い話題もないからさぁ」
とバリケード。
「そんなもんかなぁ? じゃあさ、質問してもいい?例えばヒールウィップとかってどうしてデストロンに入ったの? デストロンに入る前はどんな感じだったの?」
と俺が聞くと、ヒールウィップは
「アタイがデストロンに入った理由は単純だえ。強くなるためだえ」
と言う。
「なるほど。強くなりたいねぇ」
「そう。強くなっていつかはデストロン四天王とかそういうのになるんだえ!」
「ほう。それはすごい。頑張ってくれ」
と俺が応援すると、
「任せるだえ!」
と彼女は嬉しそうな顔を見せる。絆を深めることが出来たし他のデストロンの部下の話を聞くことにする。まずは副隊長のシャドウスクリームからだ
「私?私の場合は元々航空隊のエリートだったところをメガトロン様に引き抜かれまして…今の地位にいるわ」
バリケードは
「警官だったけど上司がウザイから今の仕事にした」
デモリッシャーは
「陸軍であぶれた所をメガトロン様に拾っていだだきました」
ワイプは
「カワイ子ちゃんを催眠術で誘拐しようとしたところを逮捕されてデストロンが刑務所を襲った際に加入しました」
BBとスカイストーカーは無口なので聞けなかった。とにかく皆色々な事情でデストロンに居るんだなと思った。
◇ ◇ ◇
それからしばらく経ち、セイバートロン星の上空に出た頃だ。
「ん、あれはなんだ?」
と誰かが叫ぶ。見れば戦艦らしきものが浮いていた。
「あれは戦艦ネメシスです」
とプロールが答える。
「戦艦だと!?」
と驚くブロードキャスト。
「ええ。奴らはこの星のエネルギーを吸い上げているのです。そしてそのエネルギーで外宇宙へ進出するつもりでしょう」
「そうか、ならばネメシスを破壊すればいいのだな?」
とコンボイ司令官。
「はい。しかしネメシスはかなり頑丈かつ強力な防御装置を備えています。それに敵も強力で数も多い。恐らく戦いは熾烈を極めるものとなるはずです」
「それでもやるしかないだろう」
「もちろん。私達にはそのための力がある」
とコンボイとラチェット。
「よし!では行くぞ!!」
とコンボイ司令官は号令をかける。…… アークはネメシスに向けて飛び立つ。戦艦ネメシスは接近する宇宙船に気づき、迎撃態勢を取った。
「来やがれ!返り討ちにしてくれる!」
「待て!ここは俺が食い止める。お前達は先に行け!!」
とアイアンハイドが名乗り出た。
「大丈夫なのかアイアンハイド!いくら君でも相手は多いぞ!」
「心配するな俺はそう簡単にやられはしない」
「分かった。だが無理はするな」
とコンボイ司令官。
「了解した。では行ってこい!」
「頼んだぞ!アイアンハイド!」
とコンボイ司令官。
「うむ!任せろ!コンボイ司令!」
とアイアンハイドは返す。
「気をつけてくださいね」
「ああ、分かってる」
とクリフとバンブル。
「アイアンハイドさん、どうかご無事で」
「おうよ」
とアイアンハイド。
「じゃあ、行きましょうかね」
とクロスヘアーズ。
「ああ」
とハウンド。
「早く行きましょう」
とドリフト。
「ああ」
とホットロディマス。
他にも大勢のサイバトロン戦士が臨戦態勢になるのだった。
駄文閲覧ありがとうございました。感想等もですが活動報告欄もよろしくお願いします!
名称の補足
ゼータ=ゼータプライム
シャドウスクリーム=ビーストウォーズⅡスタースクリーム
デモリッシャー=マイクロン伝説アイハンハイド
コンドル=レーザービーク
クリフ=クリフジャンパー
バンブル=バンブルビー
ホットロディマス=ホットロッド