ある朝目覚めた時に戦う相手を決められていた件 作:クォーターシェル
俺が地球に少しばかりいた間、月でも動きはあった。月面で機能停止していたデストロンは大体呼び戻すことができた(運悪く永眠した者もいたが)。だが、未だにメガトロン達は見つかっていない。月に居なかったと言うことはやはり地球のどこかにいるのか…?これで普通に死んでいたら話が終わっちまうだろうし、あの人に限ってそんな事はないと思うが……。
後から聞いた話だが俺達がデストロンを捜索している一方で、地球ではサイバトロン達が墜落したアークを基地にしてはぐれた仲間の捜索を行っていた。主要メンバーは奇跡的にリペア装置で回復しなんと地球人とコンタクトを取った者もいるらしい。だが、俺達が地球に来た時には既に彼等の姿はなかった。恐らくサイバトロン達は地球で秘密裏にエネルギー源の確保を行っているのだろう。そんな時だ。俺はオルトモードの状態である市街地で情報収集を行っていた。
裏路地で俺がロボットモードになるとと突然後ろから肩を叩かれた。振り返ってみるとそこには見覚えのある顔があった。
「久しぶりだね。アゲット」
と声を掛けてきたのはラチェットだった。
「ラチェット。生きていたか」
と俺が言うと、
「君こそ。しかし驚いたよ。まさかこの星で君に会えるなんて。ファルマもいたら喜ぶよ」
と嬉しそうな表情を浮かべていた。
「そうだな。それにしてもお前等、よくセイバートロニアンだってバレないな」
と俺は感心した。
「そりゃ、こっちも色々と苦労はしているが、それでもなんとかやっていけてるさ」
とラチェットは言う。
「そうか」
と俺は返事をした。
「ところで君はこれからどこに行こうとしているんだ?」
と尋ねられたので
「ちょっと散歩してくる」
と答えた。すると
「一人で行くのか?」
と言われてしまった。
「あぁ」
と俺は答えた。
「じゃあお供するよ」
とラチェットは言う。俺は
「忘れるなよ。俺は今デストロンであんたはサイバトロンなんだ。一緒に居られるとスパイとしてまずい」
と言った。
「それは分かってるが、君はどうせ一人だから問題ないだろう」
と。確かにその通りである。
「分かった。好きにしろ」
と俺は言い、二人で歩くことにした。
歩きながら俺はラチェットに尋ねた。
「ところで、今のセイバートロン星の状況は知っているか?」
「いやまだスペースブリッジが完全に直っていないし通信の調子も悪いから分からない。そちらも似たようなものか?」
「ああ。まだセイバートロン星との連絡が取れない」
と言うと
「なるほど。それならお互い情報交換をしようじゃないか」
と言われた。俺は了承した。
俺が得た情報を彼に話すと、彼は
「なるほど」
と呟く。
「なるほど。つまり今のところは目立った動きは見られないわけか」
「そういうことになるかな」
「じゃあこっちの情報を話すよ」
とラチェットは自分達の出来事を語った。それによるとアークは地球のある山に墜落し、現在は地球でのサイバトロン基地に改造されているらしい。つまりネメシスと同じことになっていた。しかしコンボイ司令官をはじめとする何割かの仲間と連絡が取れず、現在捜索中だそうだ。コンボイ司令官は最後にアークにてメガトロンと対決している所をバンブルたちに目撃されているが、やはり行方不明なのだそうだ。ふむ。両軍のトップが行方不明か……
「とりあえず、今は待機しておこう。何かあればこちらからも連絡を入れることにしておくよ」
とラチェットが言うので
「分かった。その時は頼むぜ先生」
と返した。
「任せておきなさい」
とラチェットは言った。そろそろ俺が月面基地に連絡しないと怪しまれる時間なのでラチェットとは別れた。
俺は月面に帰還して、すぐにオルトモードになって基地へと向かった。
「セブンツール!メガトロンの情報はどうだ?まあ、俺は既に死んでいると思ってるがな」
とスタースクリームが言ってきた。俺は
「こっちは手掛かりなしですよ」
と返した。その後、俺達は地球での捜索結果を話し合った。地球での活動組は主にエネルギー・資源採取(強奪ともいう)班とメガトロンを含む行方不明のデストロン捜索班に分かれていた。俺達の方は地球で特に目ぼしい成果はなかった。一方採取班は地球でサイバトロンと遭遇し交戦したという情報を持って来た。とうとうサイバトロンが健在なのがバレたらしい。会議室がざわつく。
「サイバトロンめ生きていたのか」
「相手は何人くらいだ?」
「遭遇したのは多くて4、5人くらいだがどうやらもっと多く生き残っているらしいな」
「人数は分かるか?」
「いやそこまでは分からん」
「そうか……」
「ちっ、まさかこの星に来てまでサイバトロンの連中に煩わされるとはな」
そして会話を聞いていたスタースクリームが
「いいかお前ら。行方不明者の捜索に当たっていた連中は採取班にまわれ、サイバトロンに備えるんだ」
と言った。するとそれを聞いたゲルシャークが
「おいスタースクリーム!それだとメガトロン様達はどうなる!?まだ見つかっていないんだぞ!」
と反対した。
「俺も同感だ。メガトロン様やスカイクエイク達を見捨てることはできない」
とドレッドウイングも言った。スタースクリームは
「はっ、今デストロンで一番偉いのは俺だ。俺に逆らおうってのか?ゲルシャーク、ドレッドウイング?」
と返した。二人が黙り込む。するとそこでスチールジョーが
「おい、ちょっと待ってくれないか」
と言ってきた。
「なんだ?」
とスタースクリームは言う。
「捜索班に居たはずのサウンドウェーブの奴が何も言ってねえ。デストロン一の情報通の奴がだ」
と言った。皆の視線がサウンドウェーブに集まる。彼はどちらかいうと無口な方だが確かに一度も発言していないのはおかしい。サウンドウェーブは
「マダ確定シテイナイ情報ダカラ口ニシナイ」
と言った。
「どういう意味だ?」
と俺が尋ねると
「マズイ状況ニナッテイル可能性ガアル」
と返してきた。
「なんだ?流石に気になるぞ。他の捜索班は成果を出せていないんだ。頼むから教えて欲
しい」
と俺は言った。正直スパイの立場から彼に余り関わりたくないが、重要な情報を知れるかもしれないのだ。
「そうだぞサウンドウェーブ」
「もったいぶらずに言えよ」
と口々にデストロン達は言う。スタースクリームは
「仕方ねえ。サウンドウェーブの情報が気になる奴は?」
と嫌そうな顔をしながら言う。俺は迷わず手を上げた。サウンドウェーブは少しだけ俺の方を見た後、
「コレハお前達ガ言ウ『フリ』トイッタモノカ?」
と聞いてくる。俺は
「ああ」
と答えた。他のデストロン達も
「フリが何か知らねえけど気になるぜ」
「早く話してくれ」
と彼を急かす。
「ソレデハ話ソウ」
と彼は言う。
「コノ星の人間ドモノ中ニエイリアンヲ研究シテイルグループガイル。ソノ連中ノ秘密研究所ニ「エイリアン」ヲ複数捕エラレテイルト言ウ話ダ」
「それって俺達セイバートロニアンがか?」
と会議に混ざっていたサンダークラッカーが尋ねた。サウンドウェーブは
「ソコマデ分カッテイナイカラ話サナカッタ」
と返した。会議室がまたもざわつく。
「つまり、俺達がその人間どもの研究施設に乗り込んでエイリアンを回収すればいいってことだよな?」
とブリッツウイングが言った。
「そうと決まったら早いな。早速向かうぞ」
とアストロトレインが言ったその時だった。
「待ちな」
とスタースクリームが言った。
「何で止めるんだよ?スタースクリーム」
とスカイワープが聞く。
「その前に確認しとくことがある。お前らは本当に人間がエイリアンを捕えていると思っているのか?」
とスタースクリームが逆に質問した。
「そりゃあ勿論本当だろう」
「じゃあその証拠はどこにあるんだ?」
「証拠だって?そんなもんあるわけないだろ」
「ならどうする?仮に俺達の誰かが間違っていて、人間の言いなりになっているだけだった場合どうするつもりだ?俺はそんな不確定な情報を鵜呑みにはできないぜ」
「それは……しかし、もしメガトロン様が捕まっていたらどうするんだ?」
「そうだぞスタースクリーム!お前本当はメガトロン様に会うのが怖いんじゃないのか!?」
とスチールジョーとゲルシャークが反論する。
「お前らの気持ちは分かる。俺達のリーダーであるメガトロン様がいない今、俺達を指揮しているのは俺だからな。でも俺がリーダーになった以上、俺の方針に従ってもらう」
とスタースクリームは返す。その時俺は
「ちょっと待った。ならエネルギー採取のついでに誰かが確認してくるってのはどうです?」
と提案した。
「お前がか?」
とスタースクリームは俺を見る。
「はい、そうですよ。俺達はメガトロン様を探すために行動しているんでしょう。俺もメガトロン様の部下として、この星でのエネルギー採取も任されているんです。それに俺達はまだまだこの星のことを知らない。まずはこの星を見て回って、どんな資源があるのか、他に危険はあるか、敵は何をしているのか、そういうことを把握する必要があると思います」
と俺は言った。
「…………」
スタースクリームは黙っている。
「確かに、セブンツールの言う通りかもな」
「そうだぜ。その人間のグループも俺達の障害になるかもしれねえ」
「俺達もこいつらに付いて行って、情報を集めるべきだ」
「うむ、それがいい」
とデストロン達も賛成してくれた。スタースクリームは
「……じゃあ多数決で決めよう。セブンツールに賛成の者は」
と言った。ゲルシャークやドレッドウイングといった多数の者が手を挙げた。
「反対の者は」
スタースクリームを含めた一部の者が手を挙げた。こうして俺達は問題の研究所の調査のために地球へ再び行くことになった。
◇ ◇ ◇
問題の研究所に行く前にもちろんこの情報をサイバトロンに渡しておいた。その研究所にサイバトロンもいるかもしれないからだ。連絡によると俺達と同時期に研究所に踏み込むらしい。ちなみに研究所のグループは非合法な組織らしいので何かを盗られても泣き寝入りするだろう…多分。更に研究所に行くチームは別行動をしていたオンスロートたちコンバットロンも加わった。
「メガトロン様やブレストオフがいるかもしれないなら俺達も行くぜ」
とのことだ。そして俺達は研究所へ向かった。
「なっげえ道だな。こんな所まで来るなんてよ」
とブリッツウイングが愚痴る。確かに長い道だ。途中にはジャングルがあったり、大きな川もあった。だがその度に休憩を取ってなんとか辿り着いた。
「ここか……」
と俺は呟く。目の前には巨大な建物が見える。入り口らしきものは無い。
「どうやって入るんだ?これ」
と俺は言う。
「確か、入口は地下にあって、そこから階段で下に降りていくんだってさ」
とサンダークラッカーが言った。オンスロートは
「俺達のサイズじゃそのルートは無理だろう。デカい物を運び込む搬入口があるはずだ」
と言う。
「あそこじゃないか?」
とスカイワープが指差す先には確かにでかい穴が空いていた。
「あそこに入れば良いってことか?」
と俺は言う。
「ああ、そのようだ」
とオンスロートが言う。俺達は早速穴に入った。すると既に研究所の中はなにやら騒がしい。先にサイバトロンが侵入したのだろうか?他のデストロン兵士達もそのことに気づいたようでブロウルが
「なんか騒がしいな」
と言った。
「俺達の他にも誰か攻撃してるのか?」
とブリッツウイングが疑問を呈す。その時だ地下からトーチカの様なものがせり上がってきて俺達を銃撃してきた。
「あぶね!」
と俺は伏せて避ける。
「どうなってんだ!?」
と俺は叫ぶ。
「おそらく警備システムだろうな」
とオンスロートが言った。
「どうする?このまま進むか?」
とサンダークラッカーが尋ねる。
「いや、ここで少し様子を見た方が良いな」
とオンスロートが言ったその時だった。
「おい、あいつらもしかするとトランスフォーマーじゃないのか?」
と研究所の方からでてきた一人の兵士が言った。
「何だと?」
「まさか!?」
とその兵士の言葉に別の兵士も反応した。ヒールウィップが
「どうやら私達もこの星で有名になってきたようだえ」
と言った。まあ捜索班は兎も角採取班は派手に行動していたようだし、遅かれ早かれ俺達の存在は人間社会に浸透していただろう。
「よし、奴らを殺せ!!」
と二人の兵士はマシンガンを構える。そして俺達に弾丸を発射してくる。
「おっと、そうはさせないぜ!」
とブリッツウイングが前に出る。
「邪魔をする気か!撃てぇー」
と二人は引き金を引く。
「これでも喰らいな」
とブリッツウイングは掌から冷凍光線を放つ。冷凍光線は命中した兵士たちはたちまち凍ってしまった。
「やったぜ!ブリッツウイング」
とボルタ―が喜ぶ。
「へへっ、俺様にかかればこんなもんよ」
とブリッツウイングは得意気に笑った。
「油断するな!まだ敵がいるぞ」
とオンスロートが注意する。スウィンドルやスカイワープは
「まずはトーチカを潰そうぜ」
とトーチカをビームで破壊する。その時だ。
「ぐわぁ!!」「ぐはっ!!」
その声と共にトランスフォーマーたちが研究所の内部からこっちに吹っ飛んできた。あれは…デモリッシャーが叫ぶ
「サイバトロン!」
そう、サイバトロン戦士がこっちに来たのだ。いるのはアイアンハイドにランボル、サンストリーカー、リジェか。他にもメンバーがいるとしたら別行動してるのか…?サンストリーカーは
「くそっ!デストロン!?ただでさえ面倒な奴がいるのに!」
面倒な奴?
「くっ偽司令官の次はデストロンか!!」
とアイアンハイドは言う。偽司令官?すると研究所内部から重々しい音を立てながら何かが近づいてくる。
「な…なんだありゃあ!?」
サンダークラッカーが驚く。そこに現れたのは……肩にキャノン砲を取り付けたコンボイに似たロボットだった。コンボイに似ていると言っても二回りほどデカいが。流石の俺もこれには驚く
「なっなんだこいつは!?」
研究所の方から拡声器で声が聞こえてくる
「いけ、ギルトール!侵入してきたエイリアン共を殺せ!!」
トランスフォーマーの中でもレアキャラのギルトール登場(かなり設定異なってますが)
駄文閲覧ありがとうございました。感想、活動報告での投稿お待ちしています。
名称の補足
ランボル=サイドスワイプ