「よし、風向きは良好、行くぞ!」
季節は春。
なんか知らないけれど飛べそうな予感がしたので、ハングライダーを準備しました。
周囲には子供たち。
私の挑戦をはらはらしながら見ている様子。
「と、飛べるの?」
「わからん!」
やってみなくてはわからない。
私が地面を蹴り、加速した。
『駄目です』
しかし、悲しいかな飛行は止められた。
実の姉であった。
首に綺麗に腕がはまり込み、抜け出せない。
綺麗なチョークスリーパーホールドである。
「ぐえー」
『子供たちが真似したらどうするんです!』
多分しない。
分からないけど。
とりあえず呼吸が止まりそうなのでタップ。
すぐにほどいてくれて助かった。
「また誰かと喋ってる……」
「こわ……」
子供たちが震えている。
しかし、この姉は実在するのである。
私の脳内に。
実際、記憶に存在しないであろう言語で喋り、行動し、私のことを窘める存在が、想像の産物であるはずがない。
多分。
分からないけど。
「おやめください」
更にメイドにも叱られた。
仕方ない。
今日は勘弁してやろう。
「リヴァーサお兄様!」
「なんだいルルーシュ! お前も空を飛びたいのか!」
「嫌です」
釣れない奴である。
とはいえ何か聞きたいことがあるのだろう。
とりあえず聞いてあげることにした。
「……お兄様はどうして変なんですか?」
「ルルーシュ。ほぼ初対面の私にそのセリフは傷つく」
「事実じゃないですか」
悲しい現実であった。
しかし、思考までは読めないだろうルルーシュ。
その現実を否定するのは自由なのだ。
『いや意味ないでしょ』
脳内姉に否定される。
悲しいことだ。
「ところでどうしてそんなことを聞くんだ?」
「普通の教育を受けてその性格は最初から人格が歪んでいるとしか思えないからです」
「こいつ本当に子供か?」
辛辣なセリフだった。
脳内姉が頷いているように感じた。
「これはなルルーシュ、アニメという奴の影響だ」
「アニメ」
「面白いぞ」
「絶対見ません」
酷い話である。
しかしアニメは面白い。
ニホンジンもいい物を作る。
いつか語り合えたらいいなと思った。
分からないけど。
「とにかく、私はこれから戦場に行くらしい」
「戦場……」
「ああ。だから楽しいことは今の内にやっておきたいのだ」
よく分からないが、きっと酷いことになるんだろう。
だから色々やっておきたい。
子供たちにも色々教えてあげたい。
全部否定されたが。
脳内姉に。
「安心してほしい。私は死なない」
「殺しても死にそうにない」
「凄いこと言うな!」
『概ね同意』
酷いことを言う面々である。
しかし、戦場はどんな場所なんだろう。
7年くらいが経過した。
私も割と大人になり、自由な生活を謳歌していた。
「ヒャッハー! レジスタンスのお通りだぜぇ!」
レジスタンス、モヒカン同盟として!!!!!
『頭が痛い……』