馬鹿ですが。
「ここは兄弟だから減刑してくれるか?」
「駄目だ」
「駄目かー」
どうやら普通に軍法会議にかけられるらしい。
悲しい話だが、これが現実って奴か。
とりあえず暇だ。
軍法会議にかけられる前に護送されるのだが、それまで拘置所に放置されている。
何もできないから本当に暇。
「……おい」
「お、詰め将棋でもやる?」
急に看守が近づいてきた。
名誉ブリタニア人だったはずだから日本の将棋も知っているだろう。
私、あれ好きなんだよね。
チェスと違って相手の駒を再利用できるのが。
まあチェスはあんまりやったことないんだけど。
「馬鹿が。俺だよ」
「ん……? あ、ルル……っと」
と思ったら、看守の恰好をしたルルーシュだった。
どうやってここまで来たのか、とか、どうしてとか考えたけど多分分からないことだから思考から外す。
今は歓迎しよう。
「ようこそ。何もない所だけど座ってくれ」
「こいつ……」
何だか呆れられた気がする。
まあいいや。
とりあえず鍵を開けて対面する。
「おま、鍵を開けられたのか!?」
「指先ひとつでダウンさ」
「何がだ!?」
小声で怒鳴るルルーシュ。
適当にやったら開く鍵の方が悪い。
私もできるとは思っていなかった。
「まあいい。とにかく脱出するぞ」
「お、助けに来てくれたのか」
「今更か!?」
よく考えてみれば当然か。
ここまで来たということはそう言うことなんだろう。
というか、よくここまで来ることができたなルルーシュ。
「気にするな。今は逃げるぞ」
「はーい」
「ご主人様、御無事ですか☆」
「ああ。また会えて嬉しいよろくろ」
「まだ頭がおかしいままですね☆」
失礼な。
元々こんな感じだ。
とりあえず、近場のバーで待ち合わせた私達であるが、どうやらろくろやナキが私を迎えに来たようだ。
黒の騎士団は動かせないってことか。
それもそうか。
「お前たちは姿を隠せ。流石にアッシュフォード学園でも隠し切れないだろう」
「そうですねぇ。ろくろたちはまあ問題ないですね☆」
「……元々、学校に行きたいと言ったつもりもない」
そうだったのかナキ。
私は悲しいぞ。
きっときゃっきゃうふふができるのが嬉しいと思い込んでいたよ。
「馬鹿は放っておいて。とりあえずどこに隠れるんだ?」
「……それが問題だ。黒の騎士団にブリタニア人のお前を匿うのは些か都合が悪い」
「それはそう」
当然と言えば当然。
だからまあ、私の伝手を使うしかないのだろう。
仕方ない。
本当の隠れ家に向かおう。
「よし、到着だ」
「……なんだここは?」
ルルーシュが頭を抱えている。
私も良く分からないが、京都の人達から譲ってもらった場所だ。
かなり広い。
そして施設も充実している。
「久しぶりですねボス。今日はお小遣いもらっていないのかな?」
「ないな」
「ぺっ」
沢渡敏郎が声をかけてきたが、即座に冷たくされた。
お金がないからか。
世知辛い。
「ああボス、お久し振りです! お小遣いは?」
「ない」
「ぺっ」
今度は二階堂さつきである。
凄いな、さっきと同じくらい冷たい反応だ。
どれだけお金が欲しいんだ。
「おはようございますボス。それでお小遣いは?」
「残念!」
「ぺっ」
白鳥谷スバルもこれだ。
凄いなみんな。
ここまでくると面白いぞ。
「今日は珍しいですねボス。お小遣いは?」
「さっきから言ってるがない」
「ぺっ」
シャドーレイク=ニシキノ……お前もか。
ここまで一緒だと感心してしまう。
「ハーイボス! 今日はお小遣い貰えますカー?」
「悪いな」
「ぺっ」
日村パイソンまでこんな風に……。
いつもならお小遣いをもらって上機嫌に開発に向かうというのに……。
お小遣いがないからか。
「……残りは?」
「徹夜してたんで寝てますよ」
さー作るぞーとか言っていなくなるみんな。
遊んでくれなくて寂しい。
しかしそうか。
足立美紀も千宮司同眼も有栖川山輝夫も寝ているのか。
起こしたらキレそうだし、眠らせておこう。
「……」
「……」
「そういえば、お前たちはこいつらと直接会ったことはなかったな」
「キャラが濃い……!」
ルルーシュがツッコみ、他の2人は唖然としている。
それはそう。
だってその辺に北斗の腕が量産されて積み上げられているし、謎のKMFも鎮座しているからだ。
なんだあれ。
「え、ボスの機体ですけど」
「マジか」
「余ったパーツで作りました」
「マジか」
凄いな、私の扱いがよくわかる。
というかこれ、本当にKMFか……?
なんか装甲が薄くてやばそうなんだが。
「ええ、お察しの通り紙ですよ」
「沢渡。解説してくれるのか」
「じゃんけんに負けたので」
罰ゲームかい。
まあいいや。
漸く私のKMFが貰えるのだ。
嬉しいに決まっている。
決まっているのだが……嫌な予感しかない。
「装甲は紙、豆腐、もはや湯葉」
「あのこれ欠陥品じゃないですか☆」
ろくろの言う通りだ。
しかしまあ、待とう。
まだ全部聞いていない。
「操作性はうんこで、パイプオルガンを操作するように動かします。鍵盤とスイッチの数が尋常じゃないので覚えてください。あと音が響きます」
「最後の機能はいらないだろ」
ナキの言う通りだった。
いやまあ、まだ待とう。
最後まで聞いてからツッコミを入れよう。
「整備性はゴミ。武器はクロ―アームと内蔵マシンガン、サクラダイトを燃料にした火炎放射と特殊なAIを導入しています」
「いいじゃん」
「え、何言ってるんですかゴミとか言われてますよ!?」
しまった、麻痺していた。
ろくろさんきゅー。
正気に戻ったわ。
「機体そのものがサクラダイトのタンクなので、被弾したら爆発します、華々しく散ってください」
「なあ馬鹿。これ作らせた奴も馬鹿だし作った奴も馬鹿だろ」
「そんなに褒めないでいただきたい」
褒めてないと思うが。
いやまあ。
褒める要素がない。
だが。
「こういうのを待ってた」
「ええ……」
「ご主人様、趣味悪っ……☆」
酷い言われようである。
だがまあ、言いたいこともわかる。
そして沢渡の次のセリフを待つ。
まだ何かあるだろうと確信しているからだ。
「ちなみに使いこなすと超パワーと超加速、超高速駆動に長時間運営が可能ですよ」
「流石私が見込んだ研究者だ」
「褒めても組み立ての時に余った部品しか出ませんよ」
「駄目だろそれ!?」
ナキが我慢できなくなったのかツッコミを入れた。
そうだね、面白いね。
じゃなかった。
とにかく、これが私の機体らしい。
まあ、いいんじゃない?
私好きだよ、こういうの。
「そういえば名前は決めてないので、適当につけてください」
「いいのか?」
「ええ。私達は作って満足しました」
流石私が見込んだ研究者。
研究にしか興味がない。
しかしそうだな。
どんな名前にするか……。
「……ナナツボシ」
ふと浮かんだ名前だ。
そう言えば、北斗七星だしろくろの機体も確か星の名前だったはずだ。
そう考えると、中々良い感じなのではないだろうか。
「思ったよりセンスがいいな。ブッパッコーとか名乗ってたくせに」
ルルーシュが私の偽名に文句をつけるので腹パンしておいた。
他の奴らも何か言いたげだったが、その一撃で黙るのだった。
「そして、ここに案内した理由のひとつは簡単だ」
「何だ?」
ふふふ、これを披露するためだけに溜めに溜めていたのだ。
「聞いて驚け! なんと、ここには超豪華な居住スペースが!」
「解体しました」
「え?」
「研究の邪魔だったので、解体しました」
……。
ちらりと後ろで見ていたみんなを見る。
みんな、顔を逸らしている。
「……ろくろは黒の騎士団に匿ってもらいますね☆」
「私もそうする」
「では頑張るんだな。俺はここでお別れだ」
「薄情者ー!!!」
後日、そこには寝袋に入って床で寝ている私の姿が!