式根島で白兜の捕獲作戦を行うらしい。
ユーフェミアと会いたい気持ちはないでもないが、まあそれは後回し。
今は、ちょっとやることがあるのだった。
「というわけで、やってきました超高級料理店」
「わ、わあー☆ ろくろたち浮いてませんか?」
「? こういうのは自然体でいた方がいいぞ」
「そういえばツッキーは割と平気でしたね!」
そうらしい。
何故かは知らないが。
とはいえ今日は来賓側。
いい感じで待っていればいいのだ。
「ご主人様はどこに貴族服なんて隠しておいたんですか☆」
「皇族のたしなみだ」
「へー☆」
ちなみに私は貴族が着るような服で、ろくろには私の妹たちが着ていたおさがりをプレゼントした。
男物はなかったのだ、許せ……。
ナキはワフクという奴を着ている。
中々良い感じだ。
「というよりもです!」
「何だ?」
ろくろがむすーっとした顔で言う。
「ろくろの捜索網にもかからない相手って誰なんですか?」
「ナイトオブファイブ」
「わー☆」
ろくろの顔に冷や汗が大量に。
おかしい。
普通に皇族の前に出た時にはこんな表情をしなかったはず。
「それだけヤバい相手ってことですっ☆」
「そうだったのか。メル友なんだが」
「ご主人様が知ってる情報をろくろが知らないなんて!?」
変な対抗意識を燃やしているろくろに対して、ナキは冷静そうだった。
いや嘘ついた。
すっごい殺意に塗れていた。
「護衛がいるから殺せないぞ」
「むぅ」
即座に鎮める。
こいつは犬か。
犬だな。
「まあ私も直接会うのは暫く振りだが、まあ悪い奴ではないよ」
暫く待って。
「お久し振りですわぁー!」
「久しぶり」
「ま、待って……!」
凄い勢いで走ってくるナイトオブファイブ。
キャサリンお姉さんである。
ここがレストランだと忘れているな???
「うわー☆」
「濃い……」
私並に大きい身長。
陶磁器のように白い肌にルビーのような赤い瞳。
アメジストのように輝く髪の毛をゆるふわロングに。
その後ろからもう1人。
茶色い髪に赤い瞳。
ロングストレート。
平たい、平たい、巨尻のロリ。
いや、ロリか……?
ショタかもしれない。
「オーナー! わたくしに一番豪華な食事を!」
「へい! もやしです!」
「!?」
ドンと出されるもやし。
なるほど、新鮮のようだ。
豪華な食事かはともかく。
ふふふ、こういうときはこうやって注文するんだ。
見ていろ。
「オーナー。この店で一番のお勧めを」
「へい! もやしです!」
「!?」
天丼だと……!?
いや出されたのはもやしだが。
「へい! いくら軍艦!」
「へい! マグロ!」
「へい! うに軍艦!」
「……ええと☆」
そして何故かろくろとナキ、そして向こうの従者に出される食事は高級寿司。
解せぬ。
と思ったらオーナーの顔に見覚えが。
なるほど。
ブリタニア人お断りの店を出したと評判のイタマエさんの店だったか。
度胸あるな。
「おのれ! わたくしにこんなものを寄越すだなんて! おかわりですわ!」
「実際結構美味しくて困る。おかわり!」
まあ出された以上食べないわけにはいかないのだが。
「さて本題ですわ」
「そうだな」
食事を楽しみつつ、漸く本題へと向かう。
……ところで本題とはなんだったか。
ろくろを見ても美味しそうに寿司を食べていて聞いていない。
ナキと向こうの従者も同じく。
「ブリタニアの鬼神たるあなたがどうしてこのような場所に?」
「ナイトオブファイブがどうしてこんなところに?」
「知らない!」
「分からないですわ!」
本題、終了……!
さて、イタマエから普通の料理を出してもらう呪文を唱える作業に入らなくては。
「オーナー! 私に軍艦を!」
「へい! 軍艦のプラモです!」
「オーナー! わたくしに玉子をくださいな!」
「へい! 生卵です!」
中々強情だな……!
「ご主人様……こちらのお皿、あげましょうか?」
「いや、こういうのはちゃんと出してもらわないと駄目なんだ。負けた気がする」
「またお越しください!」
「もやし連打しておいてその台詞……!?」
したたかである。
最終的にはしらす軍艦はもらえたので良しとしよう。
「というわけで紹介しよう。私の配下だ」
「あら可愛らしいこと」
ろくろとナキを紹介しておく。
勿論私の騎士としての紹介だ。
だって他になってくれそうな人いないし。
一応皇族だしね、私も。
「わたくしの騎士はこの子、リーファですわ! ご挨拶を!」
「……よろしく」
ぺこりと頭を下げるリーファちゃん。
一応女の子らしい。
なんか違和感があるが、まあ関係ないだろう。
「拾った子ですが、中々役に立ちますのよ! 今日もわたくしが下着を忘れていたことに気付いてくれましたの!」
「ちょっと黙ってくださいケイト」
なるほど、仲がいいんだな。
ちなみにケイトというのはキャサリンの愛称の1つであることは皆さんも知っての通りである。
ははーん、こっちも自慢をした方がいいな???
「ろくろも凄いぞ。私が探していた下着や靴下やシャツを即座に持ってきてくれるんだ!」
「やめてください☆」
「ナキも中々だぞ! 私が渡した人形を未だに持ってくれているんだ! 忠義者だろう?」
「やめてくれ」
何故か二人にわちゃわちゃにされる。
キャサリンの方を見ると何か喋ろうとしているのをリーファが口を押えて止めているようだ。
ははは、仲がいいんだな。
「そういえばわたくし新しい機体を作ったんですのよ」
「そうか。私も新しい機体を作ってもらったよ」
お腹がいっぱいになったので近くの公園で飲み物を頼んだ私達。
従者たちが持ってくるのを待っている間に軽く話をしていた。
「ランスロットという機体があるのですが、それの開発者からデータをちょっと借りて作りましたの」
「こっちは全部任せきりだったなぁ」
「そして試運転に使ったら変なKMFと出会いましたわ!」
「偶然だな、私もだよ」
「そもそもKMFなのかも怪しい、規格が全て違っている機体でしたわ! 作ったメカニックは頭がおかしいですわ!」
「こっちは巨大な盾で殴りかかる変な操縦していたな。絶対使い方が違うと思ったよ」
「「……ん?」」
なにか噛みあっているようで噛み合っていない会話。
まあいいか。
どうせ私には関係のない話だろう。
「思い出しましたわ!」
「何を?」
「わたくし、ゼロを名乗る犯罪者をボロクソにして差し上げるために来たのでしたわ!」
「そうだったのか」
そういえばそんな話だった気がする。
そして私はどうしてこの場にいるのかも話す予定だった気もしないでもない。
しかし、思い出せないのだ。
何か凄いことがあった気がするのだが。
なんというか、その辺の記憶だけが抜け落ちているというか。
「私はどうしてここにいるんだろうな……」
「あら、その年齢で自分探しの旅ですか?」
「男はみんな自分を探しているよ」
多分な。
という感じの話をして、少し飲み物を飲んだ私達は解散した。
なんてこともない、ただの知り合いの会話だった。
「……ご主人様が戦った相手はあの人でしたね☆」
「ああ……そして恐らくはあの従者……」
何か背後で喋っていたが、まあ多分関係ないな!