あと主人公は馬鹿です。
「ああ……ナナリー……」
「ねぇ……ルルは大丈夫なの?」
「ふふ☆ 恋する乙女としては心配ですか☆」
「もうっ! そんなんじゃないからっ!」
ナナリー家出作戦の協力者、シャーリーがぼやく。
いやまあ、仕方がない。
これほどルルーシュが動揺するとは思わなかったのだろう。
ちなみに介護戦力はろくろだ。
やたらと器用だなこいつ。
とはいえこれも作戦の内。
ルルーシュが起こそうとしていることを突き崩すのだ。
というわけで。
「黙々と作業しているであろうルルーシュの部屋にドーン!」
「やめろぉ!」
ドアを蹴破って入ると、顔面に何やら黒い物体が。
それを顔面レシーブすると、地面に落ちる前に猫の頭にすぽっとハマる。
そして、そのまま駆けていく猫。
「あああああああ!?」
「なんだ、面白そうな悲鳴を上げて」
逃げていく猫を追いかけるルルーシュ。
そしてその後ろで寝っ転がりながらピザを食べていたであろうC.C.さん。
そしておまけのろくろちゃん。
「なんか仮面が飛び出していきましたね☆」
「なんだそれは。面白そうじゃないか」
「ですよねー☆」
どたばたパーティの開始であった。
走る猫!
駆ける学生たち!
そして響くナナリーの可愛い猫の鳴き真似。
ルルーシュが崩れ落ちる。
という感じで見事猫を回収したスザク君がナナリーのキッスを受けとって終了。
ナナリー命のルルーシュが鬼の形相を浮かべているがスルー。
ふいっとルルーシュから顔を背けるナナリーちゃん可愛いわね。
「ナナリー成分が不足している……!」
「何だその成分は……ピザ、食べるか?」
「食べない!」
「そういえばご主人様☆ いつまでこんな茶番を続けるんです☆」
「ん?」
お茶会の後の話。
ろくろが不意にこう尋ねてきた。
茶番とかなんとか。
いやまあ、私も色々と考えているわけですよ。
それがろくろにもわからない高等な理由があってのことである。
「ふふ☆ だって今からでも殺しに行こうと思ってるじゃないですか☆ 皇帝を☆」
「―――――」
「顔に出てますよ☆」
そんなことがあるだろうか。
適当に顔を触ってみると、更にろくろは笑い出した。
「嘘です☆」
私は騙されたようだ。
悔しいところであるが。
まあ許す。
別に生死がかかっているわけでもなし。
「……姉が言っていた」
「……」
「世界はもっと優しくあるべきだと」
「そうですか☆」
そう、その思想に感銘を受けた。
ならば、その思想を実現しよう。
この私が、全てを持って。
「―――――私が天に立つ」
「そ、そうですか☆」
「む」
「C.C.ちゃんどうしました☆」
「ああいや。ルルーシュが危ない目に遭ってるらしくてな」
超能力だろうか。
何故か遠くにいるはずのルルーシュの様子が分かるらしい。
「ふっ……任せろ」
ならば私の出番だろう。
何故なら私は兄だから。
ついでに恩を売るチャンスだ。
「ろくろ! ヘリの準備だ!」
「きゃー☆ 時代遅れも甚だしい兵器で戦場に赴く無謀さ☆ ろくろ幻滅です☆」
しかし準備は完了しているろくろ。
既に庭先にはヘリが置いてある。
グレートだ。
「さあ、いざ行かん!」
「行ってらっしゃいませー☆」
「ナキにも連絡を入れておいたから現地合流なー!」
「ご主人様はきっと修学旅行とかと勘違いしてますね☆」
「ふはははは!」
白い仮面を被り遥か上空から飛び降りる。
着地は問題ない。
反重力発生装置だ。
サザーランドが動揺している。
それはそうだろう。
単身で所属不明の人物が遥か上空から落下してくればそうなる。
「ははは! ファイヤー!!!」
というわけで焼く。
よくわからない機械における限界許容量を突破しているらしい度数の火炎をばら撒き、コックピットを焼く。
「うわああああ!?」
「熱! 熱い!?」
阿鼻叫喚。
その隙にサザーランドの足の間をすり抜け、走り出す。
火炎放射は切ってある。
あまり連射はできないのであった。
「よいしょ!」
くいっと回転しながらコックピットから逃げ出そうとしている男を引っ張り出し、座る。
奪取成功である。
そのまま銃弾をばら撒いたところで離脱。
即座に何体かのサザーランドが寄ってくる。
しかし遅い。
私はもうサザーランドを降りている。
自動操縦で動くだけのただの棺桶を追いかけるのご苦労様である。
直後に背後で爆発。
そう、あのサザーランドには超威力の爆弾が仕込んであったのだ。
戦場は混乱の渦だろう。
さて。
逃げ出そう。
高所に陣取った私はそのまま落下。
地下の通路へと転進したのだった。
「無事だったかルルーシュ!」
「ああ。貴様に綺麗に焼かれたがな!!」
「あるぇー?」