「とりあえず、そろそろナキがこちらに来るはずなんだが」
「……何者なんです?」
地下通路を進む私達。
なんてことはない話をしながらも、ナキがいるであろうポイントに辿り着く。
「ああ、私の仲間だ。モヒカン同盟のな」
「モヒ……え?」
言葉を失うルルーシュ。
そうだろうそうだろう。
それだけモヒカン同盟は有名なのだ。
「あの命知らず集団、まだ生き残っていたのか」
「そんな扱いなのか」
「生身でサザーランドを撃破した集団はお前たちが初めてだよ!」
そんな馬鹿な。
コックピットを抑えれば一瞬で制圧できるではないか。
何故そうしない。
「できないからだ!」
「そうなのか」
「くそっ! 馬鹿が頭の組織は手足まで馬鹿なのか!?」
失礼な話である。
暫くして。
目前に灰色の機体が見えてきた。
巨大な銃。
巨大な剣。
巨大な両腕。
それらがそれぞれ二対ずつ。
「これが我らの主戦力のナイトメアフレーム、北斗だ」
「北斗……」
「ちなみに製作費は私のポケットマネーから捻出した」
大半が消し飛んだらしい。
とはいえ、これは私たちの最高傑作である。
その辺の人間には使わせられないものだ。
「ナキ、挨拶を」
呼びかけると、即座にコックピットから飛び降りるナキ。
綺麗な着地である。
私とは大違いだ。
「ゼロ、でしたか。私達の主をお守りいただき、感謝しています」
「………………………………………………ああ」
「かなり長い葛藤があったな」
まあ流そう。
とにかく、今は逃げるのが先決だ。
「私が先導します」
「頼むぞ」
「……いい加減、本名くらい教えていただきたいものですが」
まあそれはおいおいね。
「モヒカン同盟……構成員は何人になるんだ?」
ルルーシュが聞く。
それはそうだ。
気になるだろう。
これだけのナイトメアフレームを持っているのだ。
巨大な勢力かもしれないと思えるだろう。
「10人だ」
「……は?」
「その内戦闘員は3人」
私と、ナキと、もう1人だけだ。
実のところ、ろくろは構成員ではないのであった。
『あ、ご主人様以外とは口とか利きたくないんでNGです☆』
とのこと。
残りは研究員とか雑務な立場である。
戦闘は専門外。
私が直々にスカウトした怪しい連中だ。
「……」
何やらルルーシュが睨んでいるような気がする。
仮面だから分からないが。
というのもあれである。
本来は実家の力を借りたいのだが。
メイド長に怒られたので、お小遣いがカットされているのであった。
『何故手加減をしているのです? 敵勢力は徹底的に排除しなさい』
とのこと。
苛烈すぎやしませんかね?
「だから手加減無しで倒すためにお小遣いが欲しいんですがね!」
「お、お小遣い制だったのか……」
「へっ、同情はいらねぇぜ……」
「呆れているんだ!」
殴られた。
帰宅。
直接ルルーシュの住む場所に送り届けるのは目立つということで、私の家へ向かうことにしたのだった。
「ピザ、注文しても良いか?」
「はーい☆ ろくろちゃんはなんとピザも作れちゃうのです☆」
「ほう?」
必殺レインボーローリングを繰り出しつつピザを作るろくろを見ながら、こちらでは会議をする。
そう、題して―――――
「ナナリーがどうやったら帰ってくるか教えてくださりやがれ会議!」
「私が言うのもなんだが、お前も大概だな?」
ナキは既に寮へと帰っている様子。
ルルーシュもこれ以上誰かに正体を知られたくはないらしい。
というかナナリーに口止めしてなかったけど大丈夫だろうか?
いや、きっとルルーシュがやっているだろう。
多分。
めいびー。
「やあ! B兄さん!」
昨日、ルルーシュの家にナナリーが戻ったらしい。
すこぶる機嫌がいい。
まるで爽やかな好青年だ。
「気軽にブッパッコーでいいんだぞ!」
「何をどうしたらそんな偽名を思いつくんだっ!」
「え?」
なんでだったか。
思い出せないので大したことではないのだろう。
多分。
ところでB兄さんとは。
最近私のことをBさんと呼ぶ人が増えたのはそれのせいか。
「……ん?」
今日は、河口湖のコンベンションセンターホテルへと遊びに来たのだが。
何故か周囲が暗い。
トイレに立っている間に何が起こったのだろうか。
「わー☆ 相変わらずご主人様って空気読みませんね☆」
「よせやい照れる」
ふと気付けば、背後にはろくろ。
なにやら緊急事態らしい。
何となく焦っているのが分かる。
「……そういうのに疎いのが、ご主人様の美点だと思います☆」
「ろくろのことだからな」
「―――――っ」
なんだか背後でぽかぽかやってるろくろ。
痛くはないのだが、何をやっているのだろうか。
「はぁ……とりあえず、今ろくろの友達がピンチなのでお助けください☆」
「分かった。何をする?」
「軽く兵士を倒してください。仮面はここにありますので」
「助かる」
いつもの仮面をカポリと嵌める。
そして装備を整えていく。
両手には手甲とトンファーらしき何か。
火炎放射器は持ち込めなかったらしい。
まあ十分だろう。
「見張りは何人だ?」
「4人ですね☆」
「2人ずつ潰せばいいか」
「はい☆」
というわけで、進軍である。
「っ何やt!?」
遅い。
銃口を向けるだけ向けて撃ち込みもしない。
加速して相手の足を踏みぬく。
バキリと大きな音がして、足の骨が折れたことが分かった。
右腕で顎を突き上げる。
そのまま後方へ倒れていこうとする男を、頭を掴んで盾にする。
そしてもう1人の男へと叩きつけた。
「ぐえっ!?」
殺しはしない。
だってトラウマになっちゃうからね。
あちら側も片付いたようなので、ちゃっちゃとロープで縛りあげる。
あ、武器は回収させてもらうね。
貴重な収入源だ。
「こちらは片付きました」
「オッケー」
いつもと違う、男らしい声を発するろくろ。
顔も隠しているということは、それだけバレたくないのだろう。
いい友達を持ったということだろうか。
「……」
しかし。
何だろう。
睨まれてない、私?
辺りを見渡すと、何故か長髪の少女がこっちを見ている。
綺麗な髪をしている。
そう、まるでユーフェミア……。
……あれ、本物では???
「リヴァーサお兄様……?」
バレた。
しかもユーフェミアに。
というかなんでこんなところにいるのだろうか。
仕方ない。
ここはろくろに任せて離脱しよう。
部屋から脱兎する私だが、直後に背後に気配がする。
というかろくろだった。
あー何となくわかった。
あっちもバレたんだ、友達に。
だから逃げ出したと。
入口は1つだからね、仕方ないね。
……しかし、これからどうするか。
ここを放っておくわけにもいかない。
かといって何か行動を起こすのはまずいだろう。
「あ、誰か来ますね☆」
調子が戻ったのか、ろくろがこちらに声をかけてきた。
確かに足音が聞こえる。
上を指さし、跳躍して天井に張り付く。
ろくろができるのだ、私にも余裕だ。
そうしてやってきたのは、黒い服を着込んだ集団だ。
周囲を警戒しながら倉庫へと入っていく。
軍ではないが、統率はとられている。
誰の指示で動いているのか。
……まあいい。
あの様子だと人質になっている人間に危害を及ぼす可能性はなさそうだ。
あとはここから逃げ出すだけだ。
「かもおおおおん! ナキぃいいいいいいい!!」
<通信機で怒鳴るのはやめろ!>