「実はろくろは暗殺者だったんですよ」
「えっ」
「えっ」
衝撃の真実である。
まさか暗殺者だったなんて……!
「ご主人様は知っているはずなんですけどね……」
「忘れた!」
「それじゃあ仕方ないですね☆」
ならば問題なし。
というか色々考えてみても、こいつに人殺しができる気がしない。
多分していない。
「そしてご主人様のご察しの通り、ろくろは人を殺せませんでした」
「それは……」
「そう、ろくろはただの役立たずだったのです」
まあ何となく分かっていたというかなんというか。
所詮ろくろなのだ。
ぶっちゃけ私よりも弱い。
それが誰かを殺せるとは到底思えなかったのであった。
「……多分ご主人様の思考はズレてますね☆」
「そうだろうか」
「そうです☆」
まあどうでもいい思考ではあった。
とにかく、ろくろは色々なことを話した。
自分の生まれ、境遇、そしてメイド長に拾われたこと。
そこから私のことを隠れながら助けていたこと。
完全に知らなかったわ。
「……」
「……」
みな言葉もない。
仕方のないことだ。
それほど、ろくろの話は重かった。
正直ギャグSSあるまじき重さだったので割愛したくらいだ。
「あ、あはは☆ というわけでろくろはさよならしますね☆」
顔は笑っているが、かなり無理をしているだろう。
それくらい分かる。
いつの間にか、ここのメンバーと一緒にいることが普通になっていたのだろう。
「……待て」
「……?」
ろくろが去ろうとしたところで、ルルーシュが止めに入った。
「俺は別に去る必要はないと思う。聞く限り、彼女は誰も殺していない。犯罪者ではない」
「―――――」
「ならば、俺達から逃げる必要なんてないだろう?」
そういえば。
ルルーシュにはろくろの性別を教えていなかったな。
恰好も女子生徒の制服だし、気付くわけもないが。
「……もしかしたら、誰かを殺すためにいるかもしれないんですよ?」
「友達を信じられないなんて、おかしい話じゃないか」
今度はスザクだ。
なんということだろう。
何故か声をかけるメンバーが男だけだ。
いや他意はないんだが。
「そ、そうよ! だって悪いことしてないんでしょ!?」
「悪いことなら、ルルもちょっとしてるしね」
「何だと……?」
「ははは、違いない」
みなの顔に笑顔が出る。
それにつられて、ろくろも笑い出す。
いい笑顔だ。
無駄に可愛い。
「……みな、いい友達じゃないか。大切にしなさい」
「―――――っ!」
今度はそのまま泣き出してしまう。
あーあー可愛らしい顔が台無しだ。
さっとハンカチを差し出して、そのまま涙を拭ってやる。
「……そんな気障なこと、女の子にしたらいけませんよ☆」
「多分しないさ」
というわけで、みなと仲直りしたろくろは、この日からもっと笑顔を見せるようになったのだった。
「……」
と、ここで溶け込めていない奴がひとり。
月宮ナキである。
「どうしたナキ?」
「ん……いや、何でもない」
何でもないように見えないから声をかけたんだが。
まあいいか。
「名前……」
「む?」
「結局、名前は分からなかったな」
「そういえば……」
まあ、ろくろはろくろだ。
別に対応が変わったりはしない。
「そして、だ」
「ん?」
「お前の名前も、私は知らない」
ナキが怒っている様子だ。
いや、表情は変わらないのだが。
「知りたいのか」
「ああ」
「どうしてもか」
「どうしてもだ」
どうした、今日は頑なだな。
まあそんな日もあるだろう。
思春期だからな。
「……何故か苛立つんだが」
「私のせいだな」
殴られた。
それはともかく。
名前か……。
言ってしまうとこの偽名、脳内姉に言われてつけたものなのだ。
名前そのものは適当だが。
リヴァーサの名前だけは隠しておけという話だった。
しかしまあ、今は脳内姉もいないことだし、別にいいだろう。
「リヴァーサ」
「……?」
「リヴァーサ・アイベシ・ブリタニアだ」
「まさか……!?」
「そう、ブリタニア皇族だよ」
どや顔で言ってみる。
というかその顔はやめなさい。
顎が外れてるんじゃないかそれ。
「こんな馬鹿がブリタニア皇族!?」
「褒めるな照れる」
「褒めてない!」
ナイフざくー!!!