「ただいまー」
「おかえりなさいませ、ご主人様☆ ってきゃー血が!?」
「お、珍しいなそんな風になるなんて」
「なりますよ!?」
まあ別に刺されただけなんだが。
あたふたするろくろを見ているのも何だか楽しい。
「普通にざっくり刺されてるじゃないですか! 一体誰にやられたんですか!?」
「気になるか?」
「気になりますっ!」
それもそうか。
とはいえ教えるのは駄目だろう。
何故ならその相手は、ナキなのだから。
あの会話の後、ざくりと刺された。
いや本当に不意打ちだった。
ナキ本人も困惑している様子だった気もするが、気のせいだろうか。
「……って、この傷跡……ツッキーのナイフじゃないですかっ」
「わかるのか」
「護身用にあげたナイフですよ!」
プレゼント交換をしていたらしい。
案外抜け目ないのだな、ろくろは。
「首刎ねて野ざらしにしますよ☆」
「こわいこわい」
いつもの顔なのに威圧感が段違いだ。
これがろくろの本気の怒り……!
いや本当に怖いわ。
しかし。
何故ナキは私の名前を聞いてこのようなことをしたのだろうか。
何か悪いことでもしたのか、私?
「あーんー……もしかしてご主人様、名前バラしました?」
「ああ」
嘘を言っても仕方がない。
そろそろ本名を教えても平気かなと思って教えたと伝える。
「……………………………………はぁ」
そして、その台詞に巨大なため息をつくろくろ。
なんだその反応は。
まさか、今ので原因が分かったのか。
「分かりますよ。だってツッキー、ブリタニア皇族に一族皆殺しにされましたからね」
「……重過ぎる!」
そんな重い話、ギャグSSにあってはならない。
粛清しないと。
いや誰をだ。
思考が変な方向に向かっている間に、ろくろが神妙な面持ちをしていた。
そういう顔をしているとイケメンなんだよな、ろくろは。
普段は女の子にしか見えないのに。
「ブリタニア人ならまあ、許せたんでしょう。同志として。だけど、皇族は無理だったってことでしょうね」
「そうか……」
「その辺分かってて偽名使ってると思ってたんですけどね!」
「分かってなかった!」
「これだからご主人様は!」
笑顔で殴られた。
しかも傷口を。
これは痛い。
「……はぁ」
「なんだろくろ。ため息は幸せが逃げるぞ」
「逃がしてる本人がそれ言いますか☆」
「やめろトンカチは流石にやばい」
これは困った。
私にはどうすることもできないのではないだろうか。
しかし。
ナキは私たちモヒカン同盟の貴重な戦力であり、それに私の貴重な戦友だ。
失いたくない。
「……それだけですか?」
「ん? それだけだ」
「別に問題ありませんけど☆」
何故か機嫌が戻ったろくろ。
首を傾げつつ、私はナキと仲直りをする方法を模索するのだった。
「やはりブリタニアをぶっ壊すしかないのでは?」
「ご主人様、思考かっ飛ばすのやめません?」
「というわけでコーちゃん、おひさ」
「ぶふー!?」
「ご主人様本当に頭カッとんでますねー!?」
私、コーネリアに謁見す!
「は……? え……?」
ぼたぼたと紅茶を垂らしながらこちらを見るコーちゃんことコーネリア。
はしたないぞ。
一体誰がこんな風になるまで放っておいたんだ。
「馬鹿な……お前はエリア11での戦闘で死んだはず……!?」
「え?」
「え?」
「え?」
初耳なんですけど。
ろくろに聞いても首を横に振る。
「そうだ、ちょっと待て。色々と待て」
「そうか、待とう」
頭を抱えているコーちゃんのことを待ってあげる私は偉いのでは?
ろくろは未だに首を横に振っている。
「まず、貴様はあのば……リヴァーサで、間違いないのだな?」
「ねえ、馬鹿って言おうとしたでしょ。ねえ」
「そして、どうやってここまで来た」
「スルーですかそうですか」
目が虚ろになっているコーちゃん。
仕方ない、こちらも切り札を使わざるを得ない。
「はい、ユーフェミアちゃんが案内してくれましたー」
「ユフィいいいいいいいい!?」
「えっ駄目でしたか?」
「駄目でしたね☆」