解説の宮永さん   作:融合好き

25 / 27
何とか仕上げられました。明日からは忙しくなるのでまた更新が遅れるかもしれません。


何かどことなく安堵するこの日

 

 

 

国広 配牌

{五12378⑧北北東東西南}

 

 

やっぱりこんなものだよなぁ、と。自身の配牌を見てつくづく思う。

 

つい十数分前までこの卓で行われていた、この世の地獄を凝縮したような先鋒戦。あの照さんが散々『強い』と評するだけあって、自分の中に少しだけ残されていた甘い考えや常識なんかが完膚なきまでに粉砕された宮永咲さんとの死闘。

 

17万と12万。試合の結果だけを見れば惨敗なのだが、あの戦いを見てそう表現できる人間は素人以外の何者でもないだろう。最早トブことが当然と言っていいのあの状況、生き残っただけ奇跡なのに挙句プラスで折り返すなど人間技じゃない。勿論、そんな環境を生み出した張本人である妹さんこそが何よりも恐ろしいのは間違いないのだが。

 

 

国広 6巡目 手牌

{12378北北北東東東西南}

ツモ

{西}

 

 

(聴牌。これも相当早いはずなんだけど……)

 

河が2段目に行かないうちに聴牌。中々見られないだろうかなりの上振れなのに、直前の対局があまりに酷すぎてこの幸運も霞んでしまう。しかし、まさにその対局の影響で速度ばかり追及したせいか迷彩も何もない素直な染め手となってしまったため、まず直撃は取れないと見た方がいいだろう。

 

(………)

 

染め手は鳴きを絡めても成立する分比較的作りやすくその割に高打点で、何より見栄えが良いので初心者から上級者まで好まれている。

 

反面、染め手はその性質上捨て牌に特徴が出やすく狙いや待ちが読まれ易い。具体的にどの待ちなのかはまだしも、萬子索子筒子のいずれかで染めていることくらいは初心者でも簡単に推察できるだろう。

 

「ノーテン」

「ノーテンじゃ」

「聴牌」

「ノーテンです」

 

(……ま、こうなるよね)

 

故に、染め手の待ちはこのような事態が頻発する。特に今回のような早い巡目での聴牌の場合、立直をせずともボクがツモ切りを繰り返したり索子が捨て牌に交ざって来ると尚更警戒されて和了れなくなる。

 

東一局から流局での親流れ。なんとも締まらない結果による始まりだが、逆に安心する。少なくとも、先鋒戦の時のような出鱈目な存在がこの場にいないことが分かったのだから。

 

(よりにもよって一番上手い人が清澄だけど……この分なら、まあ何とかなりそうかな)

 

良くも悪くも堅実な打ち手しかこの卓にはいない。強いて言えば清澄の次鋒の人がおそらく透華とも真っ向から打ち合える熟練者だが、だからこそここで無茶をしてリスクを取る選択はしないだろう。

 

主にチームメイトのせいで搦手ばかり鍛えられているボクだが、それでも真っ向勝負では中々のものと自負している。具体的には、照さん曰く『全国上位クラス』である透華に10回に一度は勝てる程度……だろうか。尤も、透華は割と本番に弱いタイプなので実際にやってみるとどうなのかは分からないが、最低限この卓でカモられないだけの実力はあるはずだ。

 

「ツモです。1300・2600。ありがとうございました」

「ありがとうございました」

「お疲れさん」

「……ありがとうございました」

 

結局、山もなくオチもなく。何一つとして予想から外れる事態もないままに次鋒戦は終了を迎える。最初の想定通り、地力が高い清澄の人がやや稼いであとはほぼ現状維持。理想とも言っていい試合結果なのに、どこか物足りなく感じてしまっている辺り、ボクもつくづく非常識に慣れてしまったんだなぁと、なんとも微妙な気持ちになるのだった。

 

 

 

次鋒戦終了

 

風越    65200

鶴賀    37400

龍門渕  107900

清澄   189500

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

『清澄高校中堅に登録されている片岡さんですが、ある意味では咲以上に厄介な存在であると言えるでしょう』

 

いつもの調子で照さんが告げたその言葉は、事実上の敗北宣言と言っても過言ではないだろう。

 

「はいドーン!! リーチ一発ツモドラ3、18000!!」

 

中堅戦東一局は、そんなあからさまに調子に乗ったそんな発言から始まった。

 

(マジかよ……)

 

圧倒的トップが起家から親っ跳で連荘。状況的に勢いづくのは当然だし、それをマナー以外の理由で咎めるつもりもない。もっと言うなら、この展開は予想していた展開の一つではある。しかしながら、実際にこうして対面してみると理不尽としか言いようがない。

 

(『東場に強くなる』──だったか。シンプルにうざってぇ……)

 

なるほどこれは厄介だ。何せただのツモのみがリーチ一発ドラ3なんて雑な上乗せで6000オール。衣のような陰湿さは皆無で、照さんのような鋭さもない。ただひたすらに上から殴り付けるだけの派手さ・力強さは、どこか透華や例の妹さんに通ずるものを感じる。

 

新道寺のようなややこしい条件は不要で、単純明快故に穴らしい穴も無く、弱点が明確だからこそ舞台上では無敵。流石に現時点だと“実力不足”というもっと根本的なところに横穴が空いていてそれが隙となるらしいのだが、それもコイツが今後成長していけば分からない。牌譜を見るだけでも目立つ南場のミスをほんの少し減らすだけで、彼女は全国でも上位に君臨するような雀士となり得るだろう。

 

加えて、現状が非常にまずい。この試合、ここまで圧倒的な点差がついている状況だと、ちょっとやそっとでは清澄が優位という“流れ”は変えられない。例の妹さんや衣、照さんとまでは行かずとも、透華レベルの実力があればそれも強引に引き戻せたりもするのだろうが、あいにくと俺にはそこまでの力はない。

 

「ま、だが……おっと」

「?」

 

ついつい口に出してしまって慌てて手元を抑える。当然だが、発言一つでも控えるに越したことはない。こと麻雀となると照さんが基本ポーカーフェイスを崩さないように、顔や態度は思っている以上に相手に伝わりやすい。言葉なんてもっと露骨に判断材料へと繋がる。これは極端な例だがたとえば対戦相手が『へっへ、こりゃツイてるぜ』などと言いながら萬子や索子ばかりを捨てていれば、その人物の手牌さえ透けて見えることだろう。

 

尤も、そういった発言や態度をブラフに使う行儀の悪い雀士もいるにはいるのだが、幸いと言っていいのかこの大会では舞台が舞台故にそういう雀士にはまだ遭遇したことがない。まあ、その手の雀士は打ち筋が捻くれている場合が多く、俺や照さんなんかはむしろその方がやりやすくはあるのだが。

 

一番困るのは、今まさに暴れている片岡のように、素直に地力で圧をかけられること。そうなるとこちら側が差を埋めるために無理をする必要があり、その隙を狙われたりなんかすると目も当てられない。特に照さんが相手だと地力も負けてる上洞察力が高過ぎてビックリするくらい勝てないのが現状なわけだが、それに比べるとこの程度は児戯のようなもの。厳しいのは確かだが、一度の親番を乗り越えれば後は自ずと機会が訪れる分、そのチャンスさえ与えられない衣よりかはだいぶマシだ。

 

(まあ、照さんに言わせれば、衣も分かり難いだけでちゃんと穴はあるらしいけどな。その辺りも含めて、本当にあの人が味方で助かったぜ)

 

衣の力は分かりやすく強大だ。照さんが居なければ、彼女こそが無敵の存在だと錯覚しておかしくないほどに。

 

彼女の力を当てにして、トントン拍子で勝ち抜いて。それで思った以上に魔境だった全国で俺やハジメくん辺りが飛ばされて敗北する。そうなると衣を先鋒に回す必要が出てきて、対オカルト以外では成績が振わない別の高校へ行った照さんとぶつかって惨敗。そんな十分にあり得た未来を辿った場合に、俺は衣に掛けるべき言葉が何一つとして思い浮かばない。

 

話がそれてしまったが、要するに今はまだ苦境でも何でもないということ。如何に東場のコイツが強くても、真に無敵の存在などあり得ない。それは照さんがこれまでに散々証明して見せている。ならば俺は彼女の後輩として、その可能性をただ信じて突き進むだけだ。

 

「おっと、それだ。ロン、1000点」

「じぇ……!?」

 

一局の様子見を経て、鳴きまくり晒しまくりの見苦しい手牌で、どうにかこうにか一度の和了りをもぎ取ることに成功する。幸いにも片岡は大多数の雀士同様に『鳴かれると調子を乱す』タイプだったらしく、和了自体はそこまでの難易度ではなかったが、だが困ったことに、彼女は調子が乱れても勢いが止まった感じはしない。そこは流石にあの妹さんのチームメイトなだけあるだろう。

 

(……ここは静観だな。無理をすれば勝てなくはないだろうが──この点数、それ以上に事故が怖い)

 

怯えていると嗤ってくれてもいい。今でも鮮明に思い出せる去年の大会の記憶は、深い後悔とともに身に刻まれている。

 

清澄の大将がどんな人間なのかは知らない。しかし、少なくとも目の前のコイツであれば、衣を相手に一撃加えるくらいの隠し球があっておかしくない強さを秘めている。そんな打ち手を差し置いて大将に座る人物。用心に用心を重ねて損はないだろう。

 

衣は強い。如何なる強敵が現れようとその認識が揺らぐことはない。だが同時に、そんな衣さえ何かしらの形で出し抜かれる可能性は必ずある。それこそが去年の大会の結果なのだから。

 

それが照さんや妹さんのような形なら認めよう。だが去年のような形での敗北は我慢ならない。真っ当にやればまず間違いなく勝てた試合。それが俺らのせいで実力が誤認されるなんてあってはならないのだ。

 

(十全に暴れられる状況なら、衣は絶対に負けねぇ)

 

理屈的にも、心情的にも。それこそが最善と信じて俺は半荘二回をじっくり使って点数状況を整えていく。勝てる状況を万全に、そうでないなら突破口を開く。それが、このチームにおいて俺がするべきことだと確信して。

 

 

 

 

中堅戦終了

 

風越    70100

鶴賀    69100

龍門渕   74800

清澄   186000

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ツモ、2000・4000」

 

堂々たる和了り。動作に連動して舞う長い金髪と、一際目を惹く容姿や漂う気品が重なり、さながら舞台上で踊っているかのように見える。

 

龍門渕透華。龍門渕高校麻雀部副将にして副部長。かの名門校、龍門渕高校における理事長の孫であり、全国模試ではその恵まれた環境に見合った優秀な成績を収めている。入学時から変わらず首席を維持し続ける明晰さは麻雀でも存分に発揮され、全国という舞台においても安定した打ちっぷりを披露した。

 

(……強い、ですね)

 

そんな彼女に私は、点数以上に、打ち筋や技術面の方に目が行く。派手な見た目に反するような堅実にして確かな経験を感じさせる打ち回し。デジタルをベースにした言ってしまえば地味な戦い方は崩す隙も余地もなく、私にとってはこの上なく厄介だ。

 

無論、宮永さんレベルにまで振り切っているとそれはそれで問題があるのだが、普段は主に東場で暴れるゆーきの甘い打ち方を咎めるようなテンションで打つことが多いので、全員が全員堅実にして打つ卓、というのは実はリアルではあまり経験がなかったりする。

 

(でも……)

 

しかし、現実では馴染みはなくても。画面の中の話なら別だ。暇さえあれば没頭していたネット麻雀。そこは誰でも気安く入り浸れ、垣根が無いからこそ初心者から猛者まで日々日々入り乱れる。南場の優希よりもミスが目立つ子や、第一打を役満直撃して即終了なんてある意味であの宮永さんすら凌駕するような豪運の持ち主さえあの電子の海の中には存在する。

 

そしてネットには垣根こそ存在しないものの、篩のようなものはある。初心者は初心者同士、熟練者は熟練者同士と同じレベルの参加者で揃えることで、より切迫した試合を楽しめるシステム。積み重ねた戦績が、そのまま自身の評価に繋がる無情な格付けは、けれど私にとってはそれなりに心地良いものだった。

 

『…………………………………』

 

否、それなりにどころではなく、時に寝食を疎かにするほど没頭した。有り体に言うと、私はネットの海という名の沼に、ずっぷりと全身を浸かってしまったのだ。

 

(それが巡り巡ってこの舞台、と……)

 

きっかけは何だっただろう。奈良にいた友達の影響か、あるいは単に力試しの延長線上か。少なくとも、余人ほど情熱を持っていたわけではない。けれど麻雀とは、情熱と実力が決して比例しないこともまた一つの事実。残酷な話ではあるが、勝負事とは得てしてこのようなものでもある。

 

「ツモです。1300オール」

 

しかし、だからと言って私が彼女を凌駕しているかと問われるとそうでもなく。先の持論に矛盾するようだが、実力が切迫している場合は当人の熱量によって勝敗の偏りが発生することもある。今回のケースはまさにそれで、ならばそのような場合、私はどうすればいいのだろうか。

 

負けたいとは思わない。やるからには何としてでも勝ちたい。モチベーションだってちゃんとある。けれど、それが龍門渕さんの熱量を超えてるかを問われると疑問が残る。

 

(私は、薄情な人間なのでしょうか……)

 

例の力の反動とやらで階段さえ登れなくなって、須賀くんに背負われて控室に戻ってきた宮永さんに、私は『何もそこまでして』という感想を抱いた。彼女はそれを必要な代償と説いた。しかし私が同等の力を持っていて、この一戦のためにあそこまで見苦しく、みっともなく足掻くことは出来ただろうか。

 

「……ツモ。1300・2600」

 

極論を言ってしまえば、こんな葛藤に意味などない。私が何を思っても配牌が良くはならず、逆に何を嘆いても和了ることは出来る。例外として、宮永さんのような人種は意思の力でそれを多少なりとも偏らせることが可能だそうだが、この場においては何の意味も成さない。ならばここで私が死力を尽くそうと、変えられるものはごく僅か。少なくとも、見合うだけのリターンを得られることはないだろう。

 

(………)

 

 

 

「ロンですわ、3900。これで終了ですわね。対戦ありがとうございました」

「ありがとうございました」

「ありがとうございます」

「……ありがとうございました」

 

試合が終わるその直前になり、今更のように思考が巡る。本当にこれで良かったのか。いや少なくとも悪い結果ではない。むしろ相当に奮闘した方だろう。でも──などと、既に何の意味も成さなくなった問いかけ。

 

後に宮永さんは、そう思える時点で十分に立派であると言う。実際、私にこれ以上のことが出来たかと聞かれるとそれは否だ。もっと言えば、全てを出し切らなかったのは私に限らないのかもしれない。けれどそれでも、まだ私に出来ることはなかったのかと、罪悪感のような感情がいつまでも残り続けるのだった。

 

 

 

副将戦終了

 

 

風越    53400

鶴賀    71500

龍門渕   84400

清澄   190700

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「……点数だけ見れば圧倒的やな」

 

それまで画面を無言で見つめていた園城寺先輩が、不意にそのようなことを呟く。素直に賞賛するでもなく、どこか含みのある言い方をしているのは、次の大将戦こそが本番であると彼女も理解しているからだろう。

 

「そうですね。そして、おそらくは先鋒を除く全ての卓において、打ち手同士にそこまでの力の差は無いのでしょう。勿論、多少なりとも確かな差は存在するはずですが、それも幸運一つでひっくり返るようなものでしかないはずです」

「せやろな。だからこそ、この結果は偶然や。十分な地力を持つ清澄が、実力通りの結果を運良く発揮できた。それだけのことでしかない。やけど──」

「そう、結果そのものは偶然。ですが、そうなるように導いたのは誰かの意図があってのこと。理由はおそらく……」

「ま、去年のがよっぽどトラウマになっとるんやろな。でなければそれこそ去年の決勝みたいな点差になってるハズや。あの人、見た目はオラついとるけど案外健気なヒトなんやね」

 

園城寺先輩は茶化して告げる。主語こそ無いが、誰のことを指しているのかはすぐに察せられた。ほぼ同等の実力者が並ぶ卓の中、唯一成績が戦績ほど振るわなかった人物。その選択の是非はさておいて、この大舞台でチームメイトに全てを託し場を整えるなどと、よほど深い信頼がないと不可能だ。

 

そして、天江衣はまず間違いなく、その期待に応えるだけの成績を叩き出すだろう。故に、一度や二度の奇跡では誤魔化せない舞台作りは、見た目以上に龍門渕というチームの勝利へ貢献しているはずだ。

 

尤も、それはあの卓で、宮永姉妹に匹敵するような怪物が存在しないという前提があればこその選択ではあるが。

 

「……何かがあるとすれば、清澄の部長か」

 

園城寺先輩が呟く。本質的にはウチと同じ『持たざる者』であった彼女は、時折このように思考が共通することがある。特に不安や懸念といったマイナス感情においては一致率がかなり高く、だからこそ清水谷先輩に嫉妬されたり──まあ、それはさておき。

 

「彼女が天江衣に勝てるとは思いません。ですが、彼女には天江と同格だろう宮永咲を半年間有していたアドバンテージがある。点差も通常であれば半荘2回では覆せないほど圧倒的なもの。規格外の雀士に対する何らかの手段、いわゆる“逃げ切り方”のような何かが存在していてもまるで不思議ではない」

「無論、天江はそれを許さない。加えて保有する能力も妨害向き──逃がさない、和了らせないよう努めるはずや」

「半荘2回で親番は4回。連荘さえ発生しなければ残りの全てを和了られたとて可能性は十分にある。まあ、天江は同時に高火力の打ち手としても知られているので、そう上手くは行かないでしょうが……」

「でも、強そうなんよな、この人。何か妙な隠し球持ってそうやし、真っ向から戦えば、竜華ですら普通に危ういと思うわ」

「──……」

 

その爛々とした“眼”に射抜かれて、続ける言葉を見失う。本人曰く、未来を見据える超常の瞳。根拠など無くても、彼女の発言というだけで自ずと説得力が生まれる。

 

そして彼女の言う“竜華”とは、当然あの清水谷先輩なわけで。そんな清水谷先輩は他でもないあの天江衣に一杯食わせた人物なわけで。それを清澄の部長は上回っている可能性があって──

 

(……ダメや、分からん)

 

そもそも情報が出揃っていない段階で考察するなどナンセンスだ。最低限、清澄の部長がどのような打ち手であるのか知ってからでも遅くない。あれこれ考察するのはやはり楽しいが、偶には素直にその“隠し球”とやらを堪能して驚愕するのも一興だろう。

 

「……どうなるんやろか」

 

宮永妹の存在により、先が見えていたはずの勝負(うんめい)は、しっちゃかめっちゃかに掻き回された。今、モニターの先に映るのは、何が起きてもおかしくない舞台。それはまさしく、麻雀というゲームを象徴するものでもある。

 

だからこそ面白いと評する人もいる。ウチはどうだろうか。少なくとも、それを否定する気はない。ただ、この勝負の行く末が気になるのは間違いなく。いよいよ空も更けて来た無人の部室で、ウチらは齧り付くように画面に集中するのだった。








繋ぎの回。大将戦はあまり長くはならない予定です。具体的には次回かその次くらいには決着します。大将戦は良くも悪くも部長が衣の猛攻を凌げるのかという一点に収束するので。

他の面子については申し訳ありませんがざっくりカットしました。本作の清澄は部長と咲との関係に視点を当てているため、他の情報は単に話を膨らませる以上のことにはなりそうもなかったからですね。転校の話も蛇足になるのでカット。故に実は本作の原村さんはあんまりモチベが高くありません。彼女の葛藤が見たい方は原作を読んでください。まあ原作も既に転校云々は負けてもどうとでもなりそうな雰囲気ですが…。

え? ワハハさん? 文堂さん? ちゃんと活躍してましたよホラ稼いでますし(目逸らし) ステルスモモ? 彼女は描写そのものをしないことで究極のステルスを手にしたのです。嘘ですごめんなさい。実は副将戦で和だけが妙に浮いているのは彼女の活躍だったり……ちゃんと描写しろ? 返す言葉もございません。

前書きにも書きましたが、明日から個人的に忙しくなりそうなので気長にお待ち頂けると幸いです。感想もモチベに繋がるので宜しければ是非。それでは次回をお楽しみに。次回から決着までは部長視点になる予定です。ここからが本当の(部長にとっての)地獄だ…。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。