入学式の翌日
今日から授業が始まるようだが正確には上級生の授業を見学するというものらしい。らしい、というのも昨日生徒会のメンバーから聞かされたことである。
そういえば、生徒会に入ったことで一つ特権ができたのである。それは、学内におけるCADの携帯許可である。
一般生徒は校内ではCADの携帯は出来ず、預けないといけないが生徒会役員にはそれが免除されるのである。ついでに言うと風紀委員もだが。
それはともかく、昨日付けで生徒会役員になった俺はCADを預ける必要が無いのでその旨を伝えてそのまま校内に入る。
向かった先は生徒会室である。どうやら、ちょっとした荷物ぐらいなら置いていいとのことなので、自前のパソコンやちょっとしたデバイスなんかを置いておく。流石に盗まれたりはしないと思うが・・・大丈夫だよな?
荷物を置いて教室に向かう頃にはそれなりに登校してくる生徒も増えてきていて校内もそれなりに人がいた。
「あれ?そんな時間かかったけ?」
まあ、いいや。教室に向かうとしよう。ちなみにクラスはA組である。
教室に向かうと何人かはすでに教室内におり、お互い友人なんだろうか?それぞれ仲良く話している。いきなり話しかけるのもあれかなと思い(ヘタレただけ)備え付けのパソコンで履修登録を進めていく。
履修登録といっても1年のうちは選択科目は少なく、どの道に進んでも必要になることが授業として登録されており、特別に科目を選択しないといけないということもない。そのためかそれほど時間がかからず履修登録は済んでしまう。
となると、することが無い。特にすることもないので、ぼーっとしていると横の席の人から話しかけられる。
「ひさしぶり。蓮夜」
「んあ?あ、雫か。え~っと、久しぶりだな元気だったか?」
誰かから話しかけられるとは思ってもいなかったので少々返事が雑になったような気もするが・・・まあ、いいだろう。
「なんで、ここにいる?」
「雫?なにかおかしいの?」
「四十七家は近畿に本家が合る家。だから第1高校ではなく第2高校のほうが近いはず」
「ああ、そのことか。別に深い理由はないよ。一人暮らしがしたいあから第1高校にしたんだけどね。ま、そしたら使用人が付いてきたから一人暮らしにはならなかったけどね」
「一人暮らしと言えば、ほのかも一人暮らし」
ほのかって誰だ?目の前の女子か?
「えっと、私光井ほのかって言います」
どうやらそうらしい。ってか、それ以外はないか。
「ああ、俺は四十七蓮夜。四十七って書いて『しとしち』って読む。一応は百家ってことになってる。こちらこそよろしく」
「ところで、二人はお知り合いなんですか?」
「ああ、家のつながりでな。お互いパーティーに呼んだり呼ばれたり。みたいな関係」
「でも四十七さんは近畿に家があるなら、そんなに頻繁には会えないのでは?」
「意外とそうでもない」
「まあ、家同士のつながりは重要だからな。特に、雫の家の場合は」
「確か四十七家は十師族や師補十八家ともつながりがあったはず。わたしの家よりももっとつながりを大事にしてる」
確かにうちはほかの
「ま、どっちもどっちってやつだなこれは」
「そ、そういう意味じゃないお思いますけど・・・」
「なんとなくは伝わってるからオッケー」
そんな話をしていると司波さんこと怒らせるとマヒャデドスを撃ってくる深雪さんだぁ。・・・おっと、急にこっち向いた。ヤベ。
しかし、あれだけほかの人から声をかけられても丁寧に返しているのはすごいよなあ。ぶっちゃけ、俺なら途中からめんどくさくなって適当に返すだろうに。
そのとき偶々光井さんの顔を見たのだが、深雪さんに見惚れているようである。たしかに深雪さんは見目麗しいのだが、それは女性相手にも効くのだろうか?それとも・・・まあ、別に気にしなくてもいいか
しばらくすると、教師と思われる人が入ってくる。
「俺が、A組を担当する百舌谷だ」
その後も少し喋っていたが、彼はまあ、なんと言うか仕事人って感じだな。うん。よく言えば実直、真面目。悪く言えば無愛想。ま、こうしてこの場にいるってことは優秀な魔法師なのだろう。
見学が始まる。
といっても、ほんとに見学だけで特に何かをするとかもない。なので、どこに行くか、どれを見学するか、誰と行くかも自由である。と、なれば基本的に俺はボッチである。・・・別に友達がいないわけではない。俺が一人で行動しているだけである。別に友達がいないわk(以下略
―人それをボッチという―
まあ、俺の身の上話はともかく向かう先は工房である。実を言うと魔工師のライセンスを取るつもりでいるので、少々工房には用があるのである。
「お~流石は天下の魔法科高校。おいてある備品は一流だねぇ」
工房に置くものをそろえるなら、入試の時の実技試験で使ったCADがノイズだらけだったことにも気を付けてほしいところだが・・・
工房の見学内容は、CADのソフトの制作方法についてである。つまり、ほぼみんなモニターとにらめっこしているので、絵面が地味である。
まあ、実技科目以外は一科生でもモニターとにらめっこするのが2090年代では一般的であり、それは魔法科高校でなくとも同様である。つまりは、どう転んでも絵面は地味になるのが当たり前である。
工房はこれ以上いても代り映えしないので他の場所に移動することにした。
しかし、特に興味を惹かれるものが無かったためそのまま教室に戻ろうかと思ったが教室に戻っても特にすることが無いうえに、正直なところ大阪から出てきたばかりであまり東京のことについて詳しくないこともあってか教室にいたいとは思えなかった。
となると、向かう先は一つしか残らなかった。生徒会室である。見学期間中はどこにいてもいいため生徒会室にいても問題ないのである。
というわけで、生徒会室に向かう。当然ながら生徒会メンバーは彼以外2年生以上であるためそこに彼以外の姿があることはない。一人だけの落ち着いた空間でスクリーン型端末で本を読むことにした。
彼はパーティーなどによく呼ばれたりするために、明るくふるまうことがあるが元はゆっくりと自分の時間を過ごすのが好きなタイプでもある。
しばらくは、ゆっくりと本を読んでいたのだが気が付いた時にはかなり時間がたっていた。それに気づいたのは生徒会室に入って来る人が来たからである。
「あれ?四十七くんでしたっけ?早いですね。会長に呼ばれたのですか?」
入ってきたのは小動物感のある2年のあーちゃん先輩こと中条先輩である。
「呼ばれてきたとは?あと、工房に見学に行ったきりでそれ以外に興味のあるものが無かったのでなんとなくでここでゆっくりしてたんですよ」
「生徒会室をゆっくり休むために使う人は初めて見ましたよ」
「まあ、今日明日は俺しかいないですからね」
「・・・確かにそうですが。それより、今日からCADは携帯しているのですね。見せてもらってもいいですか?」
「ああ、それでしたらどうぞ」
「ああ、いいなあ。アルテミスにアンドロメダ。人気かつ高級モデルゆえになかなか手に入りにくい代物を使えるなんて」
「その件でしたら、アルテミスが家にあるのでよかったらお渡しできますよ」
「いいんですかっ!!」
「ええ、別に使っていない余りものですし。使ってもらったほうがCADとしてもいいでしょうしね」
「本当にいいんですか!?」
「ええ。明日にでも持ってきますね」
「ところで、中条先輩はどうして生徒会室に?」
「生徒会メンバーは生徒会室で食事をとることが多いんです。ああ、でも服部君は別ですね」
「へえ~。でも、俺は弁当の類は持ってきてませんよ?」
「問題ないですよ。ダイニングサーバーがありますから」
「へえ~。あれ?なんでそんなものが?」
「生徒会の仕事で遅くなることがありますから」
「へえ~」
さっきから、へえ~へえ~言い過ぎてトリビアでも聞いていたかのようである。
少し話し込んでいると続々と生徒会メンバーと風紀委員長が入って来る。そして、同じ質問をされてそれに回答するというところまで同じである。
結局はそのまま生徒会室で食事をとることになってしまったのであった。(逃げ損ねたともいう)
「え~では、会長と四十七君はお知り合いだったのですか?」
「あ~家の関係かな?でも3回ぐらいしかあってないような気もするけど?」
「まあ、それでも家の距離を考えれば多いほうだとは思うわね」
「あれ?四十七の家は関東ではないのか?」
「本家は近畿、大阪にあるんですよ。なので、本来なら第二高校に行っているはずなんですけどねえ」
「ではなぜ?」
「特に理由はないんですけどね。強いて言うなら一人暮らしをしてみたかったから東京に来てみたって感じ?」
「いや、できないだろう」
「ご名答。残念ながらできませんでした」
「でしょうね」
わざわざ東京まで来てすることではないことに呆れている。しかし、いいじゃん別に。ほんとにやってみたかったんだから。自分でやろうとすると使用人が「それは私がやっておきますので」って言われるんだもん。
結局、この男女比率のおかしい生徒会室でしばらくいじられ続ける羽目になった。その後は生徒会室で読書。その時は何も思っていなかった。まさかあんな惨劇・・・寸劇が起きるとは・・・いや、あれは喜劇か?笑劇でも可。
放課後、生徒会メンバーが続々と来たところで俺は帰宅の準備をする。本来なら俺も生徒会メンバーであるので仕事をすべきなのだが、今日はいいと言われたので帰ることにした。何もせずあそこにいるのも、なんかあれかな?と思ったからである。
すると、校門で言い争っている声が聞こえる。ちょっとした言い争いだと思い「まあ、しばらくすればおさまるだろう」と思って待っていたのだがなかなかおさまらないのでさすがに止めに入ることにした。俺以外にも迷惑そうに見ている奴もいる。まがいなりにも生徒会役員である以上は止めに行かなくてはならない。・・・ついでにかっこつけて印象を良くしよう作戦開始ッ!
「・・・どれだけ優れているか?か。ならばこの俺が答えてやろう」
「誰だ!?」
「我が名は四十七蓮夜。生徒会役員にして百家四十七家の次期当主!!」
「「「・・・・・・」」」
すべったぁぁぁぁぁ。だめなのか!?2000年代初期に流行った『この〇ば』とかいう物語に出てくる魔法使いの挨拶を真似てみたのだが・・・ダメだったらしい。ダダすべりである。一触即発な雰囲気は一瞬にして凍り付くこととなった。
が、次の発言で凍り付いた雰囲気は融けるのである
「・・・こほん。最低限の礼節と常識すらわきまえてもいないおこちゃまちゃんは仮に優れた魔法師であったとしても使いもんにはならんのだよ。そう、まさに君たちのようにね」
「なっ・・・」
「ああ、君たち一科生が無能であると言っているわけではない。それは、多くの魔法師に対して失礼だからね。とはいえ人としての最低ラインさえ持っていなければ今後君たちは現場に立った時にそれを理解するだろう」
「とはいえ・・・」
「お前ッ!!言わせておけばッ!!」
そう言い放った彼の手にはCADが起動状態で握られていた。しかし、魔法が発動することはない。
圧縮したサイオン弾を魔法式に打ち込むことで魔法式が無効化される。
何度か繰り返した後、諦めたのかやめてしまった。しかし、後ろにいた女子生徒が魔法を発動しようとする。
しかし、それも発動することはなかった
「やめなさい!自衛目的以外の魔法の対人攻撃は校則違反である前に法律違反ですよ」
止めたのは生徒会長。
「あなたたちは1-Aと1-Eの生徒ね。ついてきなさい」
そう言うのは風紀委員長の渡辺摩利。
「すみません。ちょっとした行き違いだったんです」
どうしようか悩んでいたところに助け舟を出してくれたのは達也だった。
「行き違い?」
「ええ、森崎一門のクイックドロウはは有名ですから後学のためにと」
「では、四十七君が狙われていたのは?」
「ああ、それは俺が対抗魔法について聞かれたので・・・」(と、いうことにしといてください)
「では、もう一つ。その後に女子生徒が魔法を放とうとしていたのは?」
「ああ、あれはただの目くらまし程度の魔法で人に害が及ぶということもないでしょう」
「ほう・・・君は起動式を読み取ることができるようだな」
「実技は苦手ですが分析は得意です」
「・・・誤魔化すのも得意なようだ。まあいいそういうことならいいだろう」(こっちを見て貸し一つだからな。という目を見た)