さあ、始まりました。魔の新入部員勧誘週間が始まりました。なぜ「魔」なのかというとこの時期は一般生徒にも校内でのCADの携帯許可が出るからだそうな。なので魔法による事故、事件が一年の中で一番起きやすい時期だそうで。うん。まあなるようになるさ。(トオイメ)
というか、なんで入試成績が出回ってるんですかねえ。本来、主席以外は分からないようになってるはずなのに・・・情報保全ェ。学校側が意図的に広めていると言われても不思議じゃない。なぜここまで言うのかって?
それはな・・・さっきから見回りをしてたら「あれが、総合二位」だとか「入試二位の彼は欲しいわね」とか聞こえてくるんだよ。今のところ生徒会の腕章によって被害は免れていはいるが。まあ、かくいう俺も入学前に入試成績を入手しているから人のことは言えないか・・・
初日は何も起きなかった。いや、生徒会の腕章が無ければなにか起きていてもおかしくなかっただろう。今のところ一番仕事をしたのは生徒会の腕章なので今日のMVPはこの腕章である。もっと言うとどうやら達也が大捕り物をしていたようだがかなり離れた場所にいたため参加していない。後から聞いたらそれはそれは大立ち回りだったようだ。やはり、人は見かけにはよらない。まあ、達也は学生というより何かのボディーガードっぽいから、ある意味見かけ通りとも言えるか・・・?
「それにしても、件の剣術部は一科生を特権階級か何かと勘違いしているのだろうか」
それにしても、朝に渡された情報だと、剣道部がエガリテに汚染されているらしい。剣道部の他にいるのか・・・いないのか・・・そのあたりは調査を続けなければならない。もし、誰がブランシュやエガリテに出入りしているのかを把握せずに襲撃をし、一高生ごと殺してしまえば隠し通すのは難しくなる。
仮に我々が殺ったとバレなくても、ブランシュが反魔法師運動の中で非合法な手段をとっていると、世に知らしめることが目的である以上、公開しないという手はない。では何故そこに魔法科高校の生徒が加わっているのかという疑問が付きまとうことになる。一科生か二科生かは外部の人間には関係ない。外部の人間には一高生としか映らないのだ。
そうなれば、一高生がテロ行為に加担していたとなると反魔法師運動はさらに加速するだろう。それだけは避けなければならない。せめて、襲撃時に一高生がいたとして殺さずに確保できるよう、顔は割り出しておかないといけない。確保できればやりようはいくらでもある。
「明日からは、達也が一科生に襲撃されたりしないだろうか・・・アンティナイトも用意しておいたほうがいいかもしれないか・・・」
アンティナイトとは簡単に言えばサイオンを注ぐことで魔法を無効化する物質である。ただ、副次的に魔法師そのものにも影響を及ぼし体調を悪くすることもある。現在、最強の対魔法師効果を持つため軍事物資に指定されており、普通の人であれば所有することは難しい。・・・というか産出する地域がかなり限定的であり、そもそもの絶対量が少ないため輪をかけて高価である。
「拘束系の術式も入れておいたほうがいいかも知らんな。作業してこよう」
家の使用人に一言かけておきしばらく調整室に籠もることにする。
帰宅してから暫く調整室に籠もっていると時間を忘れる。なんか、好きなことをしてると時間ってすぐすぎるよね。まあ、そんなことはどうでも良いんだけとね。
翌日
結論から言えば達也を狙うやつは増えたっぽい。と、言うか意図的に騒ぎを起こして達也が駆けつけた時に魔法の暴発に見せかけてあえて達也を狙う始末。ほんとに一科生ってさっさとドロップアウトした方が世の中のためになるんじゃないかと思うぐらいにはルールを守る気がない。魔法というのは弾が込められた銃と同じ事である事を忘れているのだろうか。
しかし、誤算だったのは騒ぎを起こそうとしていたのは一科生だけではなかったということだ。たまたま、達也がいたところの近くにいたため一緒に現場に向かったのだが、その際に
赤と青のラインで縁取られた白いリストバンド。顔は見えなかったが、おそらくは二科生だろう。なぜ、そう思うかって?赤と青で縁取られたリストバンドの表す意味。それは、ブランシュの下部組織エガリテのマークであるから。一科生が反魔法師組織に所属するとは思えないし、そもそもどんな手を使えば勧誘できるだろうか?洗脳をすれば可能性はあるだろうがそこまでのリスクを冒す必要はない。洗脳は犯罪だが、ただの勧誘なら合法である。表向き彼らは犯罪組織ではないため無理をするリスクが大きすぎる。
「・・・エガリテ。情報通りか」
これで、一高生がエガリテに参加していることは確実となった。後は対策を考えなくてはならない。会長と、風紀委員長、部活連会頭には話しておかなくてはならない。
「で、報告に来たということか」
「はい。とはいえ、既にご存じだと思いまして、ある程度は省略していますが」
「ちょっと待って、私は知らなかったんだけど」
「私も初耳だな」
「では、もう少し詳しくお話しします。家で掴んだ情報によると、現段階でエガリテとしての活動にとどまっているとのことですが既に、ブランシュ日本支部のリーダーである、司一が既に一高生の参加者とあっているとのことで、いずれはブランシュでの活動に出る恐れはあります」
「一つ、疑問は彼らは反魔法師主義であってそれは仮に二科生が相手であっても同じのはずだ。なぜ、一高生が参加できる?」
「そこは私にもわかりません。大方、都合のいいことを言っているのか、弱みを握られているのか、それとも洗脳されているのか」
「洗脳!?」
「可能性が無いとは言えませんよ。魔法的なものならともかく、一科生でも薬物を使った洗脳なら対抗できない可能性もありますから。二科生ならなおさらです」
「ともかく、どのような対策をとるかだ。四十七ならどうする」
「今は、様子を見るべきかと」
「ほう」
「彼らがまだ何かしたわけではないので、こちらからできることも少ないかと。ブランシュやエガリテは報道規制が敷かれていることもあって、一般生徒はまず知らない。と、なるとブランシュやエガリテの危険性を説いても理解しないでしょうね」
「報道規制があだになるなんて」
「少なくとも、マスコミはどちらかというと反魔法師的ですから、仮に報道規制が敷かれていなくても報道しないということも十分あり得ますけどね」
「それは、ともかく受け身な対応になるわけか」
「当面は、そうなるでしょうね。これも新歓が終わればいったん落ち着くでしょうしそれまでは警戒しておくしかないでしょう」
エガリテの存在が分かれば、あとは特定作業である。映像を撮ったり、ブランシュにいる内通者や潜入させている諜報員を通じて情報の精度をあげていくだけである。
魔の新入部員勧誘週間が終われば、さすがに校内は鎮静化した。流石にね。
「さすが。これだけの情報を集められるとはね」
「ありがとうございます。彼らもお役に立てて喜んでいるでしょう」
「それはいいが、今後はどうすべきだと思う?」
「今後でしょうか・・・やはり襲撃を」
「言うと思った。ブランシュも表向きは合法な組織だ。奴らが犯罪組織であることを一般に知らしめるためには理由が必要だ。一番いいのは襲撃されて自衛のために戦った。というのが一番都合がいいのだが」
「そうだ、ネズミにどこかを襲撃させるように提案させてみたらどうだろうか?間違いなく一高だろうけど。対象は」
意外と、よさげな感じだろうか。流石に死人が出る事は無いだろう。
「よし、これでいこう。ネズミにはそう伝えておいてくれ」
「かしこまりました」