第8話
九校戦。それは魔法で戦う運動会みたいなもの・・・。こんな説明で間違ってないよな?
例年、国防軍の富士演習場で開催される。で、もちろん移動が必要で、しかも原則団体で移動することが必須である。となると、バスで移動するのだが・・・
バスで移動することになると乗る人が一人でも遅れると出発できないわけで・・・
「本人は先に行ってていいって言ってんだから、さっさと行きゃあいいのに」
と、愚痴の一つぐらいは漏れてしまうわけである。
事の発端は真由美が家の用事で遅れることになったことである。本人は先に行ってて良いと言ったのだが、一部のメンバーが待つことを主張。結果、待つことに。で、何が起きているかと言うと・・・
深雪さんが、大層ご立腹なわけである。正直、聞いているとこっちにまで被害が及びそうなので内容までは聞いていないがそれなりにやばい感じなのは周りの空気からも分かる。
「あ、来たか」
どうやら件の真由美さんが来たようである。
・・・なんでこっちくるの?
「なんでしょう会長?なにか御用でしょうか?」
「いえ、そこの席が空いているから座らせてもらおうかと思いまして」
俺の隣は空席である。
「別にここでなくてもいいのでは?」
「まあ気分よ、気分」
どうやら、真由美はお疲れのようである。どうも、疲れている時は人をいじる傾向にあるので多分間違っていないだろう・・・
周りからの視線が気になるが・・・拒否できるだけの理由が無かったのであきらめることにする
「・・・どうぞご自由に・・・」
または諦めたというかもしれない。完全にロックオンされている。こういう時によくいじられるのは、はんぞー副会長か達也である。達也はうまいこと逃げたが、はんぞー副会長と俺とでは俺に照準が向いたらしい。
バスが動き始める。
正直、バスの旅と言うのは人生で初めてである。いままでは、何か移動がある時も家から送迎が出ていた。中学はそういう学校で、お金持ちや、政治家の子供が通うような学校だったので独自に行動することが認められていた。多分なんかあったときに学校が責任を取りたくないからだろうが。
なので、少し楽しんでいたのだがお隣さんは許してくれない。
「ねえねえ。今日の私はどう?」
「いいんじゃないですか」
「女の子がこうやって聞くときはもっと褒めないと」
「分かっててやってるので大丈夫ですよ」
「最近、おねーさんの扱いが雑なんじゃないかしら」
今日は輪をかけてひどい・・・
「なんか、もうそんな感じでいっかな?って思うようになって」
これは割とマジである。
「そんな・・・おねーさんのことを雑に扱って・・・あの頃はあんなにも優しかったのに」ヨヨヨ
「いったい、いつの話ですかそれ?」
「そうねぇ。初めて会ったときかしら?」
「それ、俺が8歳の時では?」
なんて、話しているとはんぞー副会長が自らいじられにやってきた。好きなのは分かるがタイミングぐらいは考えたほうがいいのではないかと思う。流石にタイミングが悪すぎるぞ。
ほーら案の定いじられてやんの。やっぱこの人バカなんかなぁ。もしかしたら好きな人にならイジられてもイイ人なのかもしれない。
まあ、バスの中では寝るのがツウと聞いたので寝ることにする。
あ、寝てたらなんか起きてたらしい。え?自爆特攻???マジで??
「あれ?なんかあったの?」
「事故?みたいな感じね」
「ふーん」
「というかよく寝てたわね」
「思ってたよりも寝やすかった」
「あら、もしかしておねーさんの隣だからとか?」
「ないない」
思ってたよりもぐっすり寝てしまったがまあ景色らしい景色なんてあったもんじゃないし、事故の騒ぎでなんか浮ついてるし・・・うーん。もっかい寝るか
「てなわけで、グッナイ」
「え?もう一回寝るの?」
「スピ―」
「寝息で返事しない」
「いや、一回ぐらいはやっておかないといけないかなって?」
「やらなくてもいいです」
ま、ちゃんと寝るんだけどね。
で、結局最後までしっかり寝たけど、まあいいでしょう。どのみち起きてたってやることないんだから。
はんぞー副会長視点
「・・・まあ、あの事件のことはこれぐらいにしておくとして。何故、四十七のやつはあんなにも会長と仲良くできるんだ?」
「・・・いや、俺に聞かれても。ああ、なんかでも入学する前から知り合いだったみたいだしな。お互いの家に行ったりしてたみたいだぞ」
「やはり家柄か」
「家柄で言うならお前もいいほうだとは思うけどな」
「それでも百家の本流と支流とでは訳が違う。それに四十七家は百家の中でもずば抜けている。師補十八家に劣らないとも言われている」
「そんなにすごいのか?」
「ああ、資金力も魔法師のレベルも数も。なにより政府や軍部とも強いパイプがあると言われているからな。百家の中では一番かもしれない」
「お前がそこまで言うとはな」
「それに、俺は一度四十七が魔法を使うところを見たことがある。間違いなく俺よりも強い」
「・・・めずらしいな」
「なにがだ」
「お前がそこまで素直になるなんて。こりゃあ明日は槍でも降るかな」
「それぐらいはヤバいってことだ。試合を見れば分かるさ」
再び視点は蓮夜に
「ほぉ、立食パーティーか。うん、うまそうだ」
一緒にいる友達などいないのでボッチである。後ついでに言っておくと立食パーティなどではなく懇親会であって決して立食パーティーなどではない。一応バイキング形式ではあるがそちらは基本的にはメインではないのであるはずなのだが・・・
「うまぁ。いいねぇ。じゃあこっちは・・・うんおいしい」
一応、蓮夜もいいとこの出ではあるので基本的なマナーなどはしっかりと抑えてある。しかし、食べる量は一切抑えていないのが玉に瑕であるが。
ついでに言っておくと、この会場は軍の保有するホテルで行われており軍の高官だけでなく外国軍を招くことも考えられるため腕のいい料理人をそろえているので・・・
「ああ、試合前なのに食べ過ぎてしまう」
なんてことが起きる。なお蓮夜のアイス・ピラーズ・ブレイクは動いかないので問題なし。なので爆食いしている。
「あれ、レン君はそんなに食べて大丈夫?」
「大丈夫。試合は6日目からだし」
「いや、太ったりとか・・・」
「ああ、俺体質的に太りにくいから大丈夫」
「・・・今あなたは世の女性を敵に回したわよ。ついでに私もね」
「まあまあ、そんなこと言わずに。これ食べてみなって。おいしいから」
美味しいものをいっぱい食べて珍しくかなりニコニコしている蓮夜の勢いに負けたのか、そのまま諦めて
「しょうがないわね」アム
「どう?」
「あ、おいしい」
「でしょ」
はたから見ればやっていることはカップルそのものである
これを見たとある2年男子生徒は「やっぱ、あいつは油断ならん」と思ったとか思わなかったとか
「って、そうじゃなくて、レン君は一人だけどそれでいいの?」
「いっつもこんな感じですからね。なれますよ」
「クラスでも?」
「まあ、そっすね」
「もしかして、友達とかいない?」
「一応はいますよ。圧倒的に女子のほうが多いけど」」
「そうね。いつもの感じだとそんな感じだものね」
「ああ、ていうか生徒会長がこんなところで時間つぶしてて大丈夫なんですか?」
「ええ、ちょうどよく時間つぶしになるからね。あいさつ回りもやったし、あとは自由時間かな」
時間つぶしになってたのか
「そろそろ、来賓の挨拶でしたっけ?」
「九島老師ね。何のお話をするのかしら」
そうしているとステージ以外の照明が落とされ明らかに何かが始まるような雰囲気に包まれる。
来賓の挨拶を告げるアナウンスが入り、九島老師が登場するのを待つ。
・・・が、現れたのはドレスを着た女性であった。これには一同首をかしげるが、よく見てみると後ろに立っているではないか。
「精神干渉魔法か」
おそらくは一種のミスディレクションを利用した簡単な物だろう。人間は五感に大きく頼っている。この場では視覚である。一度、女性を先に登場させ、女性に注目を集めることで自らへの認識をずらし、あとは精神干渉魔法で認識されにくくすれば完成である。
なるほどこれが世界最巧か。
後は女性が横に良ければ、多くの者にはいきなり現れたように見えるだろう。90を超えているはずだが、今なおその魔法力は衰えていないらしい。
「魔法は使い方次第ね・・・一科生のやつらに聞かせてやりたいよ」
まさにその通りである。正直、満遍なく平均よりも、どれか一つでも100点のほうが使いやすかったりするのだ。
そして、相手の予想を超えること。これが何よりも重要なのかもしれない。まったく九校戦にはもってこいの話だ。
さて、お話も終わったので部屋に帰るとしますか・・・ん?え?ええええ???
「なんか呼ばれた」
「というか、現地に来たんですね」
「ええ。画面越しに見るよりも直接見たほうが楽しそうだからに決まってるじゃない」
「左様で」
「それよりも、分かってるわよね?」
「ええ、もちろんです」
「ならいいわ。これからが楽しみだわ」
こっちは全く楽しみじゃないけどね。事前に胃薬でも準備しておいたほうがいいかも
いや~いったい誰なんですかね。この新しい登場人物は。全く誰なんだろうな~
|д゚)チラッ