ミイラ取りがミイラになると思ったらミイラがミイラ取りになった話 作:yrtohoyr
梅雨に入りましたね。
梅雨というのは皆さん嫌いな季節のイメージがありますが、私は梅雨という季節嫌いではありません。
確かにちょっとジメジメした季節ではありますが、夏と違って雨が降るので気温が意外と涼しいのです。
が、最近の日本は梅雨という季節がほぼ無いように思います。
本当に雨季と乾季のような分け方で寒季と暑季に分けてもよいほどに両極端な気温変化になっています。
悲しいですね。
と、雑記はこの辺りにしておいて本編をお楽しみください。
タイガ「ええ、勿論。私の名はタイガ、この森に生まれてもう何千年の時が経った老いぼれの木だ。このタイガという名は最初に出会った人間が付けてくれたものでな。もし宜しければ皆さんの名前もぜひ教えていただきたい。」
デニス「では私から。私はデニス・ターナーと申します。ギルド所属の戦士です。」
そう言うと深くお辞儀をする。その姿は紳士そのものだ。
ジャック「俺はジャックサレット、ギルドじゃ冒険家兼魔道士だぜ!」
バチンと拳と手のひらをぶつけ、まるで格闘家の風貌を見せる。
魔道士なのに。
ゴゴ「カトレゴ・ゴッドハートって言います、ギルド所属の冒険家と一応国内少数派のメカニック!この辺の名前じゃないからゴゴって呼んでください~」
軽いノリで自己紹介を済ませるが、このフレンドリーさから周りからの人気もまあまあ高い。多分。
マリー「マリー・ゴッドハートです、所属は魔道士となります。どうぞ、よろしくお願いします。」
ゴゴとは違いお辞儀までしっかりする、まさにお嬢様である。
タイガ「デニス、ジャック、カトレゴ、マリーですね、覚えておきます。」
マリー「そういえば一つよろしいかしら?」
タイガ「えぇ、私が分かる範囲でなら。」
マリー「貴方は長い間この森に住んでいらっしゃるのですよね?でしたら今この森で何が起きているのか、憶測でもよいですからなにか知っていること、分かっていることを教えていただきたいのです。」
タイガ「ふむ、ギルドのメンバーともあればやはり昨今の魔物の減少について原因を知りたいと、そういったところであろうか。」
この大木もおおよそのギルドメンバーの活動内容に気づいているようであった。
デニス「上位のモンスター、それもダークウルフが森の出口近くまで出てきておりました。」
タイガ「ふーむ...すまない、私では力になれそうにない。憶測と言ってもここは森の中でもダークウルフの住処からは離れていてな、そもそもダークウルフ自体このあたりではあまり見ないのだ。ただダークウルフともなると魔物の中でもそれなりに獰猛な種だ。縄張りを追い出されることはこの森ではほぼ無いだろう。」
デニス「となるとやはり何かが住処を横取りしたか、縄張りを荒らしたということになりますかね。」
タイガ「自分たちの住処を捨ててでも逃げてきたとなれば、下手をすればダークウルフより更に上位の存在が巣食うことになるだろうな。例えば...ケルベロスなどが当てはまろう。」
ケルベロス、地獄の番犬として名高いものであるが、この世界では3つの犬の首を持つ大型ウルフ種の奇形タイプを総称してそう呼ぶ。
デニス「となると非常にマズイですね...下手したら我々含めほとんどのギルドメンバーでは討伐困難な対象になりるでしょう。」
ゴゴ「そんなにやばいモンスターなんですか?」
デニス「ええ。私が聞いた話では、100年以上昔のギルドで一度だけ討伐対象になったことがあったそうです。その時の討伐は数百人体制で、数ヶ月の討伐計画を立て、開始から2ヶ月でようやく仕留めたと。」
ジャック「なんだそりゃ!?それじゃあ今回の増援でも厳しいんじゃないか!?」
デニス「まあまだケルベロスと決まったわけではありません。もしかしたら別の何かの可能性もありますからね。」
マリー「タイガさん、何か細かいことでも良いのです。魔力とか、なにか最近些細な変化はありませんでしたか?」
タイガ「うーむ...あぁ、そうそう、これを伝え忘れておった。ここから更に奥に進むと低山があるのは知っているかな?その方角から少し、ほんのちょっぴりだがここ最近、普段と違う魔力が流れ始めたのだ。」
デニス「低山...?ここは森だけではないのですか?」
タイガ「勿論。この森は低山から見下ろす形になっておる。まあ人間がそこに到達したというのは聞いたことがないから知らないのも無理はない。」
デニス「なんと...ちなみにここからどのくらい離れていますか?」
タイガ「さぁなぁ、ただ人間がほぼ足を踏み入れたことがないということだけ。それだけ道中は険しいということだろう。」
数千年の時を生きている大木だからこその知見である。
ジャック「こりゃぁ、報告案件ですぜデニスさん」
デニス「えぇ、そうですね。可能性の範疇を出ないのであれば更なる増援を頼む他無いでしょう。」
タイガ「気を付けてください、もしケルベロスであれば人間なぞイチコロですぞ。」
ゴゴ「そういえば思ったんだけどさ、タイガさんはどうしてこんなに人間の味方をするの?」
ここまで有益な情報をタイガはこの一行に話しているのだ。
ゴゴがそう思うのも無理はない。
タイガ「...私に名前を付けた人間が居たと、先程話しましたね。その人間は自分の名前こそ名乗らなかったものの、私に人間達の考え方や知識、様々な物を教えてくれたのです。その恩返しも兼ねて会う人間には有益な情報を...」
ゴゴ「ダウト。タイガさん、嘘はつかないで。」
タイガの話を遮ったゴゴの掌にはトゥルーネスの魔法陣が浮かび上がっていた。
マリー「ゴゴ!?」
タイガ「...ふっ、全てお見通しということですか。わかりました、本当の事を言いましょう。私の名前はタイガ。数千年前、この森に足を踏み入れこの森を研究していた者だ。ある日の研究中にこの森の魔物に襲われ、気が付いたらこうなっていた。これで良いかね?」
デニス「ど、どういうことです?」
タイガ「今言った通り、襲われて絶命した後、気が付いたらこの木に自分の魂が宿ってしまったという事だ。カトレゴと言ったか、私が気付かないほどの微弱な魔力で魔法を使うとは相当な手練と見た。」
ゴゴ「ま、シュバートさんのお陰だね~」
タイガ「あぁ、そういえばあの男も相当な腕前だったな。あやつ、本当に人間か?」
ジャック「少なくとも常人では敵わない人ということだけ伝えておくぜ...」
タイガ「まあ、そうであろうな。さて、そろそろお主たちは先に進まなければいけないのではないか?こんな所で長話をしていれば帰りが遅くなる。」
それを聞いたデニスは懐から時計を取りだし、時間を確認する。
デニス「おっと、確かにその通りですね。そろそろ行きましょう。」
ゴゴ「よし、じゃあ先に進みますか!」
タイガ「皆お気をつけて、そしてまたいつか。」
ジャック「おう、またな!」
マリー「えぇ、ごきげんよう。」
こうして一行は喋る大木タイガと別れ、森の奥へと突き進んでいく。
~ユリーチーム~
ユリー「さて、そろそろ森の中腹あたりまで来たか?」
ライアー「うーんそうだね...うん、若干東寄りだけどほぼ真ん中かな。」
ライアーは近くにあった気に手を触れながら話す。
一応エルフであるため植物との対話は可能なのである。
ライアー「でもなんか、すごい訛ってるねこの辺りの子たち。」
ユリー「そりゃこの辺はフレデリークと隣国サーメルの国境付近なんだから仕方ないだろ」
ライアー「いや、そうじゃなくてさ、この世界の言葉じゃないみたい。そう、魔界の言葉に近いかな。ユリーの魔法で使ってるようなやつ」
ユリー「いや魔界の入り口はもっと世界の端くれだろ?ここじゃほぼど真ん中じゃないか」
マコト「...檜か」
ライアー「お、ご名答~」
マコトは木を見るなり一発で木の種類を言い当てた。
ユリー「そういえばこの辺りの木はそこらに生えてるのとはちょっと違うな。まるで...」
マコト「故郷の森にそっくりだ。松、檜、杉、白樺にブナまで。そして共通して言えることが一つある。」
ライアー「植林された、ってことかな。」
マコト「ああ、自然のように見えるが、生え方が自然のものとは違う。誰かがここにきて、木を植えている。ただここまで大きな木になるという事は数十年単位ではない、数百年、あるいは数千年単位だ。」
ユリー「こんな所に植林ねぇ...この黒い霧を浄化するにしてはちと足りないんじゃないか?」
ライアー「或いはその当時はここは黒の森ではなかったのかも。」
ライアーの一言で全員が黙り込んでしまう。
数秒の沈黙の末、ユリー達は
ユリー「後で報告しよう、今日は一旦戻るぞ。」
という事にしました。
続く...
いかがでしたでしょうか。
そういえば最近水泳の授業が学校から消えるというニュースを見ました。
最近は川や海で泳ぐという事はだいぶ少なくなりましたが、水泳の授業で習ったことはいざという時に意外と役立つものです。
恐らく今後は着衣泳を1,2回やって終わりになると予想します。
でも、暑がりな私にとって水泳の授業は涼むための授業だったのでちょっとかわいそうな気もします。
(でも最近の学校はエアコン完備なんて所が増えてるらしいですね、うらやましい限りです。)
ではまた次回をお楽しみに。