ミイラ取りがミイラになると思ったらミイラがミイラ取りになった話   作:yrtohoyr

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どうも皆さんこんにちは、作者です。
さて、いよいよ2月も終わりです。
もうね、2月を過ぎると私の心は鬱になるんですよ。
なぜかって?
暑い時期になるからです。
何度も書くようですが、寒い時期は厚着すればしのげますが、暑い時期は裸になっても暑いのです。
私は冬が大好き。冬しか勝たん!!
それでは本編をお楽しみください。


第三十五話 ミイラは恩人の過去を知る

~ユリーとアレックスの過去~

アレックスは薄暗い部屋の中、手足を拘束され、口はテープのようなもので塞がれていた。

 

アレックス「...(栄養失調状態がここまで続くとは思わなかった...これは命に関わるぞ)」

ここは半グレのアジト。

スラム街に聳え立つ3階建ての石造りで、中は薄暗く、濃い瘴気が漂う場所であった。

アレックスはこのアジトの一室に3日間飲まず食わずの状態で閉じ込められており、まさに命の危機に瀕していた。

 

半グレA「へっ、もう声も出ないほどに衰弱したか。大財閥の子供だからてっきり何かサバイバル術でも習っているかと思えば、何だ体たらくのお坊ちゃまじゃねえか!へへへっ!」

 

半グレB「ま、もし死んでも俺達は関係ないからな。金を払おうとしない親を恨むんだぞ。」

 

カルマース「お前ら、新情報だ。財閥の人間がこちらに向かっているらしい。」

 

半グレA「へへっ、喧嘩ですかい親分!」

 

半グレB「親分、こいつはどうします?」

 

カルマース「どうせ財閥の成金集団と喧嘩になるんだ。殺っといてもイイぜ。」

 

半グレA「へへっ、了解。アレックスとか言ったか?坊主、良かったな。もう苦しまなくても良くなりそうだぜ!へへへっ!」

 

アレックス「...(どうしてだ...どうして僕は...)」

アレックスの瞳から一筋の涙が流れる。

 

半グレA「お?見ろよ!!こいつ泣いてやがるぜ!!」

 

半グレB「殺されるとなったら泣き脅しかよ、笑わせるな」

 

半グレC「なあ、いっそ殺すならこいつを盾にして喧嘩してみねえか?」

 

半グレA「おお、それ良いな!じゃあこいつをそこにある盾に縛り付けておけ。」

 

半グレC「おうよ」

 

アレックス「っ...」

若干キツめに盾に縛り付けられ、痛みで顔を歪める。

ドガァァァン!!

ワーワーギャーギャー

その時、アジトのどこかで爆発が起こり、周りが騒然とし始める。

 

半グレD「親分大変です!!財閥のやつが来ました!!」

 

カルマース「来たか。人数は?」

 

半グレD「それが...ひ、一人です!!」

 

カルマース「は、え?ひ、一人!?え、じゃあ何あの爆発」

 

半グレD「わかりませんが、その爆発で下っ端の4人が戦闘不能です!!」

 

カルマース「まあ良い。応戦準備だ!お前ら行くぞ!!」

 

半グレ達「おおっ!」

 

~アジト一階~

ユリー「オメーらよく聞け!!アレックスを返してもらう!!」

 

半グレE「生意気な小僧めぇ!!」

半グレ達数人は鉄パイプを握りしめ、一斉にユリーに襲いかかる。

 

ユリー「グラビネスト!」

グゥゥゥゥン...

ユリーに襲いかかった者たちの周りに紫色の魔法陣が浮かび上がると、全員が床に叩きつけられたように沈んでいく。

グラビネスト、強力な重力を操る魔法です。

 

ユリー「ついでにスリープネスト!」

今度は黄色い魔法陣が浮かび上がると、ゆりー以外のその場に居た者たちは意識を失う。

スリープネスト、強力な睡眠を誘う魔法です。かけられた者はたとえ耳元で爆音を流されても起きることはないという。

 

ユリー「...上か。」

 

~アジト二階~

半グレF「クセモノだ!!ギャッ...」

シュ~

半グレFは頭にでっかいたんこぶが出来上がり、その場で意識を失う。

 

ユリー「秘技、眠り拳。」

 

半グレG「いやソレただのゲンコツじゃグエッ...」

シュ~

 

ユリー「眠り拳。っと...」

スパパパン

ユリーに矢が飛んでくるが、スッとかわす。

 

半グレD「おらお前らもっと撃て撃て!!」

半グレ達はユリーに向けてボウガンを放っていたのだ。

 

ユリー「甘いな。一斉射撃っていうのはこういう事を言うんだよ!!」

チャキッンバァァァァァッ!!

最早連射速度が速すぎて射撃音が繋がって聞こえるようなミニガンを、身につけていた肩掛けバッグから取り出すと、そのまま半グレたち向けて発射するユリー。

まさに純血より鬼の所業である。

 

半グレD「ヒエェェェェェッ!?!?」

バァァァァァッ...

数秒後、前段撃ち尽くしたようで弾丸の嵐は突如として止んだ。

 

半グレD「...お!?い、今のうちだ!!撃て撃t...グーグー...」

 

ユリー「スリープネスト。」

 

半グレC「動くな。」

その時、ユリーの背後に音もなく半グレCが近づき、首筋に刃渡りの短い片手ナイフを突きつける。

 

ユリー「...」

ユリーは両手を上げると同時に持っていたミニガンその場に落とした。

 

半グレC「いい子だ。」

ドガッ

その瞬間、半グレCは後ろからユリーを思いきり蹴り上げる。

 

ユリー「グッ...」

腰の辺りに強烈な痛みが走り、ユリーはその場に崩れ落ちてしまった。

 

半グレC「へっ、ガキが大人を舐めるなよ!!」

バキッ

半グレCは床に崩れ落ちたユリーの頬を思い切り殴りつける。

 

ユリー「カハッ」

ユリーは口から血が流れてしまった。

恐らく口の中を切ったのだろう。

殴られた箇所もまだ殴られたばかりだというのに既にコブのように膨れ上がっていた。

 

半グレC「おらおらぁ!!さっきの威勢はどこへ行ったんだよ!!」

ヒュッ

鋭い拳がユリーに襲いかかる。

グッ

その拳をユリーは左手手で受け止めた。

 

ユリー「へ、へへへっ...」

するとユリーは薄気味悪い笑顔を浮かべ笑い始める。

 

半グレC「な、何だ薄気味悪いな...グアッ!?」

バキメキョメキョバキン

ユリーが握る半グレの右手が、突如嫌な音立てながら、なってはいけないような形に変形し始める。

 

半グレC「ギィィィィッ!!!???...」

悲鳴を超えた苦痛の声があたり一面に響くと、半グレCはその場で意識を失う。

 

ユリー「あまり混血をなめるなよ。」

ユリーは床から起き上がると、そのままアジトの最上階へと向かう。

 

~アジト三階~

最上階では半グレA・Bが既に待ち構えていた。

 

半グレA「ようクソガキ、部下が随分お世話になったな。」

 

半グレB「上までよく悲鳴が響いてたぞ。ところで、あれを見てみろ。」

そう言うと半グレBは後ろに立っているカルマースを指差す。

その手には、アレックスを縛り付けた盾が握られていた。

 

ユリー「...悪趣味だな」

 

アレックス「,,,!!(き、君は同じクラスの...!?)」

 

半グレB「悪趣味?けっ、お前ら財閥のほうが随分悪趣味じゃねえか。弱いものいじめをして、そんなに楽しいか?自分の故郷を財閥の領地にされるのがどれだけ嫌なことか、お前らクソ共には分からんだろうなぁ、おぅ?」

 

ユリー「...」

 

半グレA「へへっ、図星過ぎて何も言い返せないってわけか。」

 

カルマース「そうだ、今から取引をしてみないか?こいつの命の取引だ、君が俺達の仲間になるということなら、アレックスを解放するし、今回のことは見逃してやろうと思う。正直君の戦闘力は秀でているものがある。」

 

半グレB「親分...まあ取引ということなら、あのお坊ちゃまの命だけは確実に保証してやる。お前が仲間になるのならな。」

 

半グレA「ヒヒッ、面白くなってきましたなぁ...!!」

 

カルマース「なあ、どうであろうか?」

そう言うカルマースから、何か音波のようなものが放出される。

ユリーに向けられて放たれるその音波のようなものは何やら怪しげなもので、でもなにか優しくて、温かいものであった。

 

ユリー「...」

 

カルマース「そうだなぁ、お近づきの印にまずは名前を教えてもらおう。私はラ・フォルテ・カルマース。この集団の親分をやらせてもらっている。君は?」

 

ユリー「...アレックスを返せ。」

 

カルマース「おやおや、名前ですよ?な・ま・え。もう一度教えてください?」

 

半グレA「名前だぞ~」

 

半グレB「名前ですよ」

カルマースから放たれる音波のようなものがさらに強力になる。

 

ユリー「...もう一度言う、アレックスを返せ。さもなくば貴様らを塵にしてしまうぞ。」

 

カルマース「なっ!?ど、どうして催眠波が効かないのだ!!貴様、魔族ではないのか!?」

 

ユリー「俺は吸血鬼だ。人間とハーフのな!!スリープネスト!!」

ユリーが唱えると、半グレA、Bの足元に黄色の魔法陣が浮かび上がり、二人ともその場に倒れるように眠りに落ちる。

 

カルマース「...対話の意志はないようだな。であればこのお坊ちゃまはここまでの命だ。あばよ。」

そう言うとカルマースは右腰に装備していた短刀を抜き、アレックスの胸部に目掛けてその刃を突き立てるべく振りかぶる。

 

アレックス「!!!!(ユリーっ!!助けてっ!!)」

ドゴォン...カラカラン...

 

カルマース「!?」

轟音が鳴り響いた直後、カルマースの短刀が床に落ちる。

カルマースは一体何が起きたのか理解出来ていない。

そしてユリーの右手にはいつの間にか先端から細い煙が立ち上る45口径6インチリボルバーが握られていた。

 

アレックス「...(あれは確か人間界の武器。でもどうして彼がそんなものを...しかも攻撃までの速度が異様に速い。一体どんな鍛錬を積んでいるんだ彼は...)」

 

ユリー「次は貴様の脳天だ。」

そう言うとユリーはカルマースの額に照準を合わせる。

 

カルマース「く、くそっ...覚えてろ!!煙玉!!」

ボフンモワモワモワ...

辺り一面に煙が立ち込め、ユリーは視界が奪われる。

およそ1分後、徐々に煙が引いてくると、カルマースのいた場所には盾に縛り付けられたアレックスだけが残されていた。

周りの半グレもどうやらカルマースト共に姿を消したようだ。

ユリーは急いでアレックスのもとに行くと、その拘束を解いた。

 

ユリー「おい、大丈夫か?」

 

アレックス「き、君は...どうして僕のことを助けに?」

 

ユリー「そんなことはまた後だ。それより見た所相当衰弱しているようじゃないか。とりあえず飲めそうならこれを飲め。」

そう言うとユリーは吸血鬼用血液パックを渡す。

 

アレックス「あ、ありがとう...」

数分後、血液パックを飲み干したアレックスは徐々に回復の兆候が見られた。

 

アレックス「ふぅ...ユリーくん、本当にありがとう。でもこんな危険なところに一人で、怖くなかったの?」

 

ユリー「怖いさ。見てみろ、今も足が震えてる。」

ユリーの膝はまるで生まれたての子鹿のように震えていた。

 

ユリー「でもな、学校では半分腫れ物のような扱いの俺にお前は分け隔てなく話しかけてくれたじゃないか。そんなやつ、今まで居なかったからそれを失うのはもっと怖かったんだ。」

 

アレックス「ユリーくん...!!本当にありがとう、この恩は一生をしても返せないかも知れないが、これからは君に是非協力しようと思う。」

 

ユリー「おいおい、ちょっと大げさすぎやしないか?」

 

アレックス「いやいや、ユリーくんが来てくれたときは神様か何かだと思ったよ。大げさなんかじゃない。」

アレックスは真剣な眼差しだ。

 

ユリー「...まあ、良いや。とりあえず帰るぞ。」

 

アレックス「うん!ところでここまでどうやって来たの?君の住む町からは結構離れてると思うんだけど...」

 

ユリー「...あ゛っ゛」

 

アレックス「?」

ユリーは急いで近くの窓から外を見下ろす。

そこには何やら薄汚い格好のホームレスたちが集まっていた。

 

ユリー「おめえらああああ!!!散れ散れええ!!!」

その声を聞いたホームレスたちはそそくさとその場を後にする。

そしてホームレスたちが集まっていたところには何やら金属の塊が産卵していた。

 

アレックス「あっ、あー...」

 

ユリー「俺の...俺のオートモービルがぁぁぁぁぁぁ...あれ高かったんだぞ...」

 

アレックス「あはは...じゃあ、僕が飛ぶから町まで一緒に戻ろう。」

アレックスは血液パックですっかり回復したようである。

やはり吸血鬼の回復能力は高い。

こうして二人は自分たちの住む街まで戻っていったのであった。

 

~そして現在~

アレックス「...ということがあってね、それからユリーは地元では混血の英雄扱い。純血のみんなからも腫れ物扱いされなくなったんだ。」

 

マリー「ユリー...素晴らしいワ!!」

 

ライアー「前々からなんであんな帰るだけで凄い扱いされるんだろうと思ってたらそういうことだったんだね。」

 

ゴゴ「ぜーんぜん話してくれないからみんな知らなかったんですよ!!」

 

マコト「うむ、まさに誇らしい男の中の男じゃないか、」

 

ユリー「ったく、これだから食事だけはしたくなかったんだよ...」

そう言いつつテーブルのデザートをモソモソと食べるユリー。

 

アレックス「まさにユリーは命の恩人。あの時逆に財閥の武闘派の鬼達が来なくてよかったと思ってるよ。多分ユリーじゃないとあの状況にはならなかったと思う。」

 

ライアー「そういえば話の途中でカルマースって出てきたけどもしかして数ヶ月前の...」

 

ユリー「ああ、そのカルマースだ。あの後もなんだかんだあってこちらにはいられなくなってな、人間界に出てきてもなお問題を起こしていたわけだ。」

 

ゴゴ「悪人の中の悪人じゃないですか!!」

 

アレックス「あのニュース、こっちにも流れてきてたよ。"吸血鬼階の異端児、人間界で終身刑"。勿論強力したギルド主要メンバーの中にユリーの名前もしっかり。」

 

ユリー「まじかー...でも母さんがこっちに来た時は何も言ってなかったぞ」

 

ライアー「多分、ユリーが帰って来やすいように敢えて言わなかったのかもね。」

 

アレックス「それはありますね。さて、ではお食事が終わりましたらこの後はまた馬車での移動になります。おタバコは乗車前にお願いしますね~」

こうしてユリー達の食事会は無事に終わったのであった。

続く...

 




いかがでしたでしょうか。
さて、部屋の気温が暖房をつけずに25度まで上がる日が記録されました。
え、2月だよね...?
3月とか4月じゃないよね...?
温暖化というのは恐ろしいものです...
それでは次回もお楽しみに。
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