ミイラ取りがミイラになると思ったらミイラがミイラ取りになった話 作:yrtohoyr
いよいよ桜が咲き始める季節になってきました。
花粉症もまだまだ続いてますし、いよいよこれからは嫌な季節がやってきますね。
はい、そうです夏です。
また夏になればぼやき始めるので悪しからず...
それでは本編をお楽しみください。
ユリーの実家の朝は早い。
時間は魔界時間の朝4時半。
一番早くにヒカルが目を覚ますと、寝巻きのまま数分間軽いストレッチを始める。
ストレッチが終わる頃になると弟子たちが目を覚ます。
ラマン「はよざいやーっす...フワァァァ...」
ボキボキボキッ!!
ラマンは勢いよく背骨を鳴らすと、そのまま倒立し、プッシュアップを始める。
ナディア「おはようございます、師匠。」
ナディアは普通に作業着に着替えを始める。
ヒカル「おはよう二人とも。さて、ワシは今日ちょいと急な仕事が入ったから、これとこれはお前さんたちに任せる。手を抜くんじゃぁないぞ?」
ナディア「承知しました。」
ラマン「了解っす!!フンフンフンフン」
10分ほど経つと、3人は工房へと向かう。
工房に明かりが点ると、ほぼ同時に世界が目を覚まし始める。
魔界に太陽はないが、朝になれば外は明るくなるのだ。
ナディア「ふぅ...ファイアネスト!!」
ィィィンボボゥボゥ!!
赤い魔方陣が工房の大窯の内部に浮かび上がると、勢いよく燃え始める。
ヒカル「うむ、上出来。さて...」
スラッ...
ヒカルはマコトから預かった刀を鞘から引き抜くと、刃の状態を確認し始める。
ラマン「刀っすか?カッコいいっすねぇ」
ヒカル「ああ、こいつは今泊まっているマコトくんの刀だ。刃こぼれはあまりないが、それでも結構刃が減ってきている。それに血飛沫も取りきれていない部分があるな。少し錆びかかっておる。」
ナディア「でも、手入れ自体はキチンとされている感じですね。」
ヒカル「ああ。もし手入れを怠っていればもっと酷い状態となっていたことであろう。それにこの感じは...ユリーのやつ、最近この刀に属性付与をやりおったな。」
ラマン「そこまで分かるんすか!?」
ナディア「流石師匠...」
ヒカル「まあ、とりあえずメンテナンスは今日明日中には仕上げておかないといけんからな。ほれ、シャッター開けて仕事はじめるぞ!」
一方その頃、男部屋でマコトが目を覚ました。
時間は朝5時手前。
ほぼ夜明けと同時である。
マコトは起き上がると、周りをキョロキョロ見渡す。
マコト「...そうか、ユリーの家か。」
そしてマコトは布団から体を出すと、ライアーを起こさないようそっと布団をたたみ、普段着に着替えてからそっと外に出る。
外に出ると工房のシャッターは開いており、中でヒカル達がせっせと働いていた。
マコト「おはようございます、早いですね」
ヒカル「おぉ、マコトくんおはよう。そりゃあ、工房への依頼はエンドレスだからなぁ、早く開けて遅くに閉めんと終わらんのです。って、ほらお前たちも挨拶せんか!!」
ラマン「あ、おはようございますっす!」
ナディア「マコトさん、おはようございます!」
マコト「おはよう...あれ、二人ともヤポナーシャ語話せるんですね。」
ヒカル「あたぼうよ、でなきゃヤポナーシャからの依頼が受けられんだろう?この工房を継ぐならまず言葉からってことで叩き込んださ。」
マコト「流石ですね...ところで刀の方なのですが、実は昨日魔物との戦いで」
ヒカル「属性付与の件であろう。分かっておる、一旦その当たりもリフレッシュさせてやらんと刀が持たんからな。」
マコト「ありがとうございます、ではよろしくお願いします。」
マコトは一旦工房から離れ部屋に戻ると、荷物から木刀を取り出しまた外に出てくる。
マコト「ヒカルさん、お庭の方で素振りさせてもらっても...」
ヒカル「ああ、構わんよ。あ、鉢だけ気を付けておくれ。ソフィアが今大事に育てている植物があってな。」
マコト「分かりました、ありがとうございます。」
こうしてマコトは工房の入り口からすぐ見える庭で素振りを始めた。
その素振りは、まるで素振りとは思えぬ重みがあり、しかし動きは一振一振は軽やか。
一切のブレがなく、そして全く隙がない。
ラマン「...師匠、マコトさんって何者なんすか?」
ヒカル「ああ、マコトくんは今はヤポナーシャの魔物討伐隊のトップを走る英雄的な存在だ。ここまで長期で休みを取れるのは正直珍しい。」
ナディア「すごぉ...」
数分後、今度はソフィアが庭のほうに顔を見せる。
ソフィア「あら、マコトくんこんなところに~、おはよ~」
マコト「あ、おはようございますソフィアさん」
ソフィア「これから朝ご飯作るところなんだけれど、マコトくんって何か食べれないものとかあったかしら?」
マコト「いえ、アレルギーとか苦手なものは特には。」
ソフィア「分かったわ、じゃあ今日は卵焼きに焼き鮭と沢庵、あとはお味噌汁にするわね。あなたもいいかしら?」
ヒカル「ああ、構わんよ。」
ソフィア「ふふ、それじゃ素振り頑張ってね、マコトくん。あ、鉢だけ気を付けてね~」
こうしてさらに1時間半ほど経過した魔界時間午前6時半。
男部屋でライアーが、女部屋でマリーがほぼ同時に目を覚ます。
ライアー「...あれ?マコトさんどこ行ったんだろ」
ライアーはすっと起き上がると手早く布団をたたみ、着替えを済ませると外へと出る。
マリー「うーん...ここは?」
マリーはまだ寝ぼけ眼である。
マコトのようにあたりを見回すと、すぐにユリーの実家に来ていたことを思い出す。
そして布団を畳むと、朝のスキンケアを始めた。
ライアーが一度外へ出ると、目の前の庭でマコトが素振りをしている姿が目に入る。
ライアー「相変わらずすごいなぁ...」
マコト「997...998...999...1000!」
ピタッ...
その時ちょうど素振りが終わった。
マコト「ふう...うん?ライアー、おはよう」
ライアー「おはよう、相変わらずすごい肉体だね。」
マコト「日々鍛えているからな、ほれ」
そういうと鍛えたばかりの上腕二頭筋をライアーに見せつけた。
更に30分後の魔界時間午前7時、ソフィアが工房の方に顔を出し朝食ができた旨をヒカル達に伝えた。
ヒカル「さてと、じゃあ一旦朝食にしよう。ライアーくん、今日はヤポナーシャの朝食だぞ!」
ライアー「おぉ~楽しみです!」
マコト「そういえばユリーと、それからマリーさん達は起こしてきたほうが良いだろうか。」
ライアー「そうだね、一応皆で食べたいし起こしてこよっか。」
こうしてライアー達は女子の部屋へ。
コンコンコン
ライアー「ゴゴちゃん起きてる?」
マリー「「ゴゴはまだ寝ていますわ、どうかされましたの?」」
ライアー「あ、マリーさん起きてた。おはようございます、朝食の用意ができたらしいので良かったらどうでしょうか。」
ガチャッ
すると女子の部屋の扉が開き、きちんと着替えたマリーが出てくる。
マリー「おはようございます、そうね是非ご一緒させていただきますわ。ゴゴのことはすぐ起こします。」
そう言うと再度扉が閉まり、ゴゴを起こそうとするマリーの声が静かに聞こえてきた。
ライアー「じゃあユリー起こしてくるね」
ライアーは女子部屋を離れ、廊下の奥にあるユリーの部屋に行く。
コンコンコン
ライアー「ユリー、起きてる?そろそろご飯だって」
ユリー「「...ああ、すぐ行く」」
こうして30分もしない内に全員がリビングに集まる。
全員「「いただきま~す」」
ユリー「...」
ゴゴ「...」
ユリーとゴゴは寝ぼけ眼な様子でボーッとしている。
ヒカル「なんじゃユリー、覇気がないのぉ」
ユリー「いや俺、朝は低血圧だから...」
ソフィア「今日はラマンくんとなにか手合わせするんでしょ?そんなんじゃコテンパンにされちゃうわよ~」
ラマン「手加減した方がいいっすか?」
ナディア「ラマン!!」
ラマンは結構無意識に失礼なことを抜かすやつである。
ユリー「いや、タイマンのときは本気で来てくれよ。ズズズー」
味噌汁をすすりながら余裕の返答である。
ライアー「じゃあ僕たちは二人の雄姿を見ているよ。終わったら観光させてね」
ユリー「好きにしてくれモグモグモグ」
朝食を楽しみ30分。
一行は朝食を食べ終えると、各々はタイマン観戦の準備をし始める。
ライアー「それにしたって、なんでタイマンなんだろう?」
マコト「まあ、暴れたい年頃なのであろう。吸血鬼年齢で言えば彼らはまだ若い。我々も若い頃はやんちゃしていたであろう?」
ライアー「うーん...僕はあまりやんちゃしてた方じゃないからなんとも。でも、体を動かしたくなる時はよくあったね。」
マコト「ならそれと一緒だ。あとは自分の力を試したいというのもあるだろうな。彼は強さに対して自身を持っているように見えた。」
ライアー「でも、まだまだって感じだよね。マコトも気づいたでしょ?」
マコト「ああ、ラマンくんが瞬間的な殺気を放っていたことだろう。ユリーをちょっと煽った時に。」
ライアー「うん。多分ユリーも気付いていると思うよ。」
マコト「ま、結果がどうなるかはやってみてのおたのしみだ。戦いというのは予想外のことがよく起こる。」
ライアー「そうだね。」
続く
いかがでしたでしょうか。
いよいよ桜も咲き始めてきました。
まだまだとは言え、開花自体はここ数年単位でみるとちょっと早めな感じです。
嫌ですねぇ、開花が早いと夏も早く来ますから。
それでは次回をお楽しみに。