ミイラ取りがミイラになると思ったらミイラがミイラ取りになった話 作:yrtohoyr
さて、早いもので7月になってしまいました。
暑いですねぇ...
先月一旦はイランとアメリカが和解してホルムズ海峡が解放されたのでとりあえず石油関連の心配が少しずつ解消されてきたのかなと。
原油価格も落ち着いてきましたからね。
さて、そんな皆さんの不安を更に吹き飛ばすべく私もより一層、小説に力を入れていこうかなと思います。
それでは本編をお楽しみください。
~ノクターン王宮 訓練場にて~
ここはノクターン王宮内にある訓練場。
今日も時間のある兵士たちが剣術や魔法の稽古をしていた。
ルシアン「うむ、皆熱心に特訓をしておるな。」
訓練場を密かに見学しているこの男こそ、この国のすべての中心にして、国民すべてを統べるノクターンの王、ルシアン・ヴァレンティス・ノクターンである。
アレックス「ええ、これも王国のためでございます。さあ、商人が射撃場でお待ちです。急ぎましょう。」
こうしてルシアンとアレックスの二人は、訓練場に併設された射撃場へと足を運んだ。
射撃場へ到着し、中へ足を踏み入れた瞬間、その場にいた商人や兵士たちは一斉に膝をつき、深く頭を垂れる。
アレックスが軽く頷くと、それを合図に兵士たちは立ち上がった。
ルシアン「訓練を続けてくれたまえ。」
ルシアンの静かな一声が響く。
兵士's「はっ!」
兵士たちは一斉に応じると、それぞれ持ち場へ戻り、再び射撃訓練を開始した。
乾いた銃声が一定の間隔で響き渡り、射撃場には先ほどまでと変わらぬ活気が戻る。
その様子を確認したルシアンは、射撃場の一角で待機していた商人たちへ視線を向けた。
商人Aは深く一礼すると、傍らに置かれていた一本のライフルを丁寧に持ち上げる。
商人「陛下、本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます。」
商人Aはライフルを両手で捧げ持ちながら続けた。
商人「本日ご覧いただきますのは、かのヒカル工房より新たに開発されましたライフルでございます。従来モデルより精度が高く、また魔力属性の付与の効率も良くなっております。」
そう言うと商人Aは、ルシアンとアレックスの前にライフルを差し出す。
形状は現代のM4系というべきフォルムをしているが、所々に魔石を使うなどしてカスタムが施されていた。
ルシアン「ふむ、これは従来の弾丸・弾倉を使用できるので間違いないかな?」
商人「はい、従来のものを使用出来ます。」
ルシアン「では早速であるがアレックス、ちょっと試してみておくれ。」
アレックス「承知しました。ではまだ購入前ではありますが数発撃たせていただきます。」
商人「在庫はまだたくさんありますから、数発と言わず、心ゆくまでお試しください。」
アレックス「ではお言葉に甘えて。」
ガチャガチャチャキン
そう言うとアレックスは腰に吊り下げている弾薬袋から弾倉を取り出し、素早く装填すると的に照準を合わせる。
...ダァンダァンダァン!!カチャッズダダダダダダカチィン!!...
アレックス「...」
ルシアン「どうじゃ?」
アレックス「...」
アレックスは沈黙したまま素早く弾倉を外し、弾丸が内部に残っていないか確認すると目の前の台にライフルをそっと置く。
兵士A「なんだ、不具合か?」
兵士B「そんなふうには見えなかったがな...」
兵士たちのヒソヒソ話が耳に入ったのか、商人の表情は徐々に暗くなっていく。
ルシアン「アレックス?」
アレックス「...うん、素晴らしいです。陛下、これは今すぐにでも配備すべきほどに性能が上がっております。」
商人「!!」
それを聞いた商人は一気に明るい表情になった。
ルシアン「そうか。では、まずは王宮直轄の詰所に配備されているライフルを、本銃へ順次更新する形で導入しよう。」
商人「ありがとうございます、陛下。早速、追加分の製造と納品の手配を進めさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。」
商人は深々と頭を下げた。
ルシアン「では、我々は一旦戻るとしようか。」
こうしてヒカル工房の開発したライフルは無事配備決定となったのであった。
~ノクターン王国 大通りにて~
一方そんなことは露知らず、ユリー達は観光を大いに楽しんでいた。
ユリー「よし、飯も食ったしどっか見に行きたい場所とかあるか?」
ライアー「じゃあ僕は昨日のマッサージ屋さんにでも」
ゴゴ「ラ イ ア ー さ ん ?」
ゴゴは凄まじい剣幕でライアーを睨む。
ライアー「じょ、冗談だよゴゴちゃん、僕は何度も来てるからゴゴちゃんの行きたい場所についてくよ」
マコト「私もノクターン王国の主要都市は総なめ観光しているから着いていくとしよう。」
ゴゴ「うーん、そう言われると悩みますねぇ...」
マリー「ねえゴゴ、ここに行ってみない?」
いつの間にやら手に入れていた王国観光マップを広げると、ある場所に指を指す。
そこに書かれていたのは「ゴーニャ山温泉郷」、そう温泉地である。
ユリー「ゴーニャ山か、こっからだと馬車で1時間ってとこだな。」
ラマン「あれ、ユリーさんもしかして転送所が新設されたことご存知じゃない感じっすか?実は2年くらい前に直行の転送所が出来てめっちゃ便利になったんっすよ!」
ユリー「マジか、こっちも大分進んできたな。近くだとどこにある?」
ラマン「国内各所の転送所から直行で行けたはずっす。近くの転送所だと...ここっすね」
ラマンが観光マップを指さす。そこは歩いて5分ほどの場所にあった。
ユリー「よし、じゃあ行ってみるか」
こうして一行はゴーニャ山温泉郷へと向かった。
~ノクターン王国領 ゴーニャ山温泉郷転送所~
...ィィィィィンシュパァァン!!
スタッフ「ゴーニャ山直行テレポーターをご利用頂きありがとうございます、ようこそゴーニャ山温泉郷へ!皆様ごゆるりとお楽しみください。」
ユリー「...意外と転送料金が高かったのだが」
ラマン「ま、まあ往復分ですし...申し訳ないっす」
転送料金は現在の日本円にして6人利用往復12000円。
ちなみにバスだと往復でも6人で3000円ほどである。
ゴゴ「おぉ、早速温泉の匂いがする~」
ユリー「あんま吸い込むなよ、成分は現世と変わらず硫化水素なんだから」
マコト「うむ、我々ヒトは硫化水素で簡単にコロリであるからな。」
マリー「メイク・オキシネス!」
メイク・オキシネス、これは現世の山岳地帯の部族が古くに開発した空気中の酸素を泡のように集め呼吸を助けるための魔法である。
マリーは魔法を発動させると手のひらに出来た酸素の泡を口元に持ってくる。
マリー「これで解決ですわ」
ライアー「マリーさん器用だねぇ、というかそんな魔法いつの間に覚えたの」
マリー「ライアーの集めている魔導書のある一冊に書いてありましたの、使います?」
ライアー「硫化水素効くのはこの中だと人間チームだけだから僕たちのことは気にしないで大丈夫だよ」
ユリー「とりあえず日帰りで入れる大浴場まで行くぞ」
一行は、この温泉郷でもひときわ大きな大浴場へと足を運んだ。
温泉郷の景観は現世のそれと大差なく、立派な旅館や宿泊施設が軒を連ね、多くの湯客で賑わう温泉街そのものだった。
一番広い通りをまっすぐ進んでいくと、その突き当たりに、この温泉郷で最大の入浴施設が姿を現す。堂々たる佇まいは、まるで温泉郷の象徴であるかのようだった。
ラマン「この温泉郷といえばやっぱこの大浴場っすよね」
ユリー「というより、自分はここ意外知らないんだ」
ラマン「まあ他の入浴施設はここまで大きなものじゃないっすからね、秘湯みたいな場所に行くには山を登らないと」
ユリー「ならなおのことだな。やはりここが一番楽だ。」
こうして一行はこの温泉郷一番の入浴施設「大湯」へと入っていく。
中に入るとそこは一見銭湯のような見た目であり、中央に番頭台があり、きちんと男女で入る場所が分かれていた。
マリー「何でしょう、ヤポナーシャの温泉施設に近しいものですわね。」
ユリー「ああ、そりゃここはヤポナーシャの人間が掘り当てたとされる場所だからな。まあ俺も詳しい話は知らないが...」
マコトの方を見るユリー。
マコト「あー...すまない、自分もよく知らないんだ。」
ユリー「とまあ歴史的にはいつのまにか出来たようなもんだ。」
番頭「ここは200年ほど前、現世ヤポナーシャより来られたある男が掘り当てた温泉ですじゃ。」
突然ユリーたちの立ち話を聞いていた番頭のお婆さん吸血鬼が語りかけてくる。
番頭「ま、この話はそこのパンフレットを見てもらえば良いがの。ほれ、お客さん6人で良いかい?料金はここに書いてある通りですじゃ」
そういうとお婆さんは価格表を指差す。
料金は比較的良心的な値段であった。
ユリー「はいよ」
チャリーン
番頭「はい丁度。女子はそっちの入り口、男子はこっち、タオルや石鹸は中で好きに使えるのがあるからそれを使ってくだされ。ではごゆっくり。」
こうして一行は魔界屈指の温泉を楽しむ。
~ゴーニャ山温泉郷 大湯(男湯)~
ユリーたち男子は脱衣場でさっさと服を脱ぐとすぐ浴場へと向かった。
ガラガラガラ...
マコト「うむ、いつ見ても素晴らしき見晴らしだ。」
浴場に入るとそこは超大型の露天風呂。
そして外の景色はというとノクターン王都を一望できる場所に位置していた。
ユリー「とりあえず浸かろうぜ。」
そういうと入ってすぐのかけ湯場で体を洗い、足先からゆっくりと湯船に浸かる。
肩まで浸かったところでラマンは極楽の表情を浮かべる。
ラマン「あ~、タイマンの後のお風呂はやっぱ良いっすねぇ~」
ユリー「ああ、体に温泉成分が染み渡るぜ」
ライアー「二人とも今日はガチガチに魔力使ってたし、今日はよく眠れるんじゃない?」
ユリー「かもな~」
マコト「ところでマリーさん達にはなにも作法を教えていなかったが大丈夫であろうか。」
ライアー「うーん、大丈夫じゃない?ゴゴも居るし」
~ゴーニャ山温泉郷 大湯(女湯)~
ゴゴ「...なんだろう、何かすっごい視線を感じる」
マリー「?」
マリーは無防備にもそのたわわを大きく揺らしながらかけ湯で体を洗っていた。
それが揺れる度にゴニョゴニョと周りから声が聞こえてくる。
ゴゴ「...うん、多分マリーのせいだわ」
二人もかけ湯で体を洗うと早速湯に浸かる。
マリー「はぁ...なんだかタイマンは見ていて慣れませんでしたわ。」
ゴゴ「だねー、私もいくらギルドメンバーとはいえあそこまで血肉飛び散る戦いは未経験」
マリー「勿論これはこちらの文化ですから下手に否定は出来ません...」
ゴゴ「まあそれはそう...マリーは凄いね、偉い」
突然マリーを褒め始めるゴゴ。
マリー「いきなりどうしたの?」
ゴゴ「だってさ、2000年くらい何かの事情で石棺に封印されて、気付いたら自分の国がなくなってて。でも必死で今の世界に順応しようとして作法、ルール、言葉まできちんと覚えて。もし私がマリーと同じ境遇になったら多分1ヶ月もしないうちにこうよ」
そう言うと首を吊るジェスチャーをする。
マリー「そうね...でも、ここまで無事に来れたのは私だけの力じゃない、ゴゴ達の協力があってこそよ。だから、褒めるのなら私ではなくゴゴ、あなた自信が一番褒められるべきよ?だって、そもそ封印を解いてくれたのはあなたじゃない。」
ゴゴ「えーん、マリーの方が偉いに決まってんじゃんこんな立派になってぇ」
マリーの頭をまるで猫のように撫でるゴゴ。
マリー「もうゴゴったら、他の人が見てるじゃない」
その光景を周りの者たちが優しく見守っていた。
続く...
いかがでしたでしょうか。
そろそろ魔界編も区切りを付けたいところですね。
さて、また次の執筆まで少々お時間いただくかもしれません、ご了承ください。
それではまた次回もお楽しみに!