ミイラ取りがミイラになると思ったらミイラがミイラ取りになった話 作:yrtohoyr
いよいよ夏本番間近ですね。
憂鬱です。
ここ数年は異常気象で6月どころか5月に30度を超えるなんて日もあります。
5月に冷房を使ったのは今年が初めてです。
節電や地球温暖化防止のために冷房を我慢してる人は熱中症で倒れないようにお気をつけて。
それでは本編をお楽しみください。
逮捕作戦から数日後のことである。
朝の開店準備をしながらゴゴは新聞を読んでいた。
ゴゴ「"先日逮捕の盗賊団指示役に終身刑"だってさ。」
ユリー「当たり前だ、奴の暴動に困っているやつらを山ほど見てきた俺から言わせてみれば、終身刑でも甘いがな。」
マリー「指示役以外も長い刑期設定になりましたね。」
新聞を見ながらつぶやく。
ゴゴ「そうだねぇ...って、そこまでの言葉覚えたの!?前より発音がきれいになったとは思ったけどまさかここまで飲み込みが早いとは思わなかったよ...」
マリー「言葉を覚えるということは文化を知るという事です、文化を知ることは大事ですから。これでも大分苦労した方ですよ?」
大分大人な発言である。
ゴゴ「おぉ~」
ライアー「じゃあマリーさんにもそろそろ店番を覚えていただこうかな。」
ゴゴ「ライアーさん、流石にそれはまだ早いんじゃ...」
マリー「ぜ、是非お願いシマス!!」
ゴゴ「大丈夫かな...」
そうしてマリーの店番修業が始まった。
まずは接客から。
ライアー「お客さんが来たら笑顔で、またお客さんの不快にならない程度の声量で「いらっしゃいませ!」、こんな感じで対応します。はい、では早速やってみましょう」
マリー「い、いらっしゃいマセ!」
その笑顔は恐らく初見なら一発で一目ぼれしてしまうような、そんな笑顔で、更に心地よい声と若干初々しい発音がよりマリーのかわいらしさを際立たせた。
ライアー「ま、眩しい笑顔っ!更に天使の咆哮のような甘い声...これからお願いしますね」
ゴゴ「うん、これは私も負けを自覚したよ...」
この時点でライアー銃砲店の看板娘はゴゴからマリーになってしまったのだった。
ライアー「じゃあユリー、商品とかについては説明宜しくね。僕はもうちょっと開店準備するから。」
ユリー「オッケーだ。じゃあ商品の扱い方について教えていく。まずこの店は大前提、武器屋だ。中には触るだけでも危険なものもある。」
マリー「危険なもの...」
ユリー「例えばこれ、小動物捕獲用トラップだ。」
そういって取り出したものを見るとツナ缶のような大きさの缶の中に大量の触手のようなものがうごめいていた。
マリー「ひっ!?」
ユリー「大丈夫、刺激しなければな。ただしこいつの中にうっかり手を突っ込んじまうと...」
そう言うとユリーは自分の左腕を触手の蠢く缶の中に勢いよく入れる。
その瞬間、中の触手が一斉にユリーの腕をしっかり掴む。
その力は外から見ても非常に強力だ。
ユリー「こうなる。こいつは特に危なくて、獲物に力強く絡んでくると同時に麻痺毒を注入する。その証拠に俺は今左腕が動かせない。こうなったらこの捕獲機から腕を離しても半日は左腕が使い物にならなくなる。」
そう言いながら左腕を捕獲機から離していく。
缶の底を5回指で弾くと徐々に触手が缶の中へ戻っていく。
離された後の左腕は皮膚が赤くかぶれたようになっており少し痛々しい。
マリー「ケアネスト!」
マリーが回復魔法をユリーにかける。
しかし腫れが引くのみで肝心の麻痺は全く回復していない。
ユリー「相変わらず魔法の威力がすごいな...最下位の回復魔法をここまで強力に打ち出せるとは、流石女王様だぜ。」
マリー「ありがとうございます!」
ユリー「だがこいつは毒が中心だ。回復魔法は傷を回復できても毒の治療はできない。そういう時は大人しく回復を待つか、毒消しの魔法"アンポイゾネス"を覚えるんだ。」
マリー「は、はい!」
ユリー「あとは薬品に関してだがこれだけは俺を呼んでくれ。俺がいないときは薬品を売っちゃいけない国の決まりでな。まあ店にいないことなんかほぼ無いが...」
マリー「薬品はユリーさんがいないとダメッと...」
メモ帳に書きこんでいく。
ユリー「魔導書は基本売買自由な代物だ。危ない物もそんなにないから俺がいなくても売って良い。覚えるのも商品に傷がつかない限りは自由だ。最後に武器と防具。まず防具は客が自由に持てる物は会計に通してOK、持ち逃げしようとした奴にはこの特性カラーボールを投げつけること。体に付くと死ぬまで追跡可能な成分が皮膚浸透していく優れものだ。自分には当てるなよ?」
マリー「はい...」
ユリー「そして武器。ロッドや木刀あたりは土産で買っていくやつも多い。特に学生だな。そいつらには思い出を作ってやること。明らかに見た目がやばいやつには売り渋ること。銃も一緒だ。危ないやつには売らないことでうちの信頼が維持される。信頼は積み重なるものじゃない、減っていくだけのものだという事を肝に銘じておくように。」
マリー「分かりました」
メモメモ
ユリー「そうしたら後は銃に関しての扱いだな。」
ゴゴ「え!?そこまでやるんですか!?」
ユリー「当たり前だ。武器を売るには武器のことを知らなければ意味がない。なに、すべての銃の扱い方を覚えろってことじゃない。あくまでも人気売れ筋のやつ数丁の扱いだけでいいさ。基本それだけ覚えればあとの銃も使える。飲み込みの速いマリーなら覚えられるはずだ。」
マリー「が、頑張って覚えます!」
ユリー「よし、その意気だ。じゃあ早速だがちょっと裏まで来てくれ。そこに射撃場がある。ゴゴ、このリストに載ってるのを持ってきてくれ。」
そう言うとゴゴに紙切れを一枚渡す。
そこには銃と弾薬がリストアップされている。
ゴゴ「はいはい、じゃあすぐ持っていくから。マリー、頑張ってね」
マリー「ええ、銃というのがどんなものかはよく分かっていませんが...頑張ります」
そうしてユリーとマリーは店の裏にある屋内射撃場に入っていく。
射撃場は全体が分厚いコンクリートに囲まれた防音・耐衝撃性を持つ頑丈な建物だ。
そしてユリーが説明を始めていく。
ユリー「ここが射撃場だ。ここに来る奴は大概調整するために来る奴ばかりだが、中には趣味で銃をぶっぱなしに来る奴もいる。銃は人の命を簡単に奪ってしまう代物だ。そこら辺で空き缶めがけて撃った銃弾が跳ね返って人を殺めてしまった事故もある。そういう悲しい事故が起きないように銃の試し撃ちはここで行うのが原則だ。」
マリー「魔法も一緒ですわね...私の生まれた時代は練習場と言って攻撃魔法を試し打ちできる施設がいくつもありました。私の住んでいた城にもです。城の周辺はまだよいのですが、地方に行くと奴隷を的にしていた施設もありました...」
少し遠い目をしながら過去を話すマリー。
やはり彼女の生きた時代というのは相当残酷な時代だったのであろうとユリーも少し表情が暗くなる。
ユリー「...嫌な思い出があるなら、射撃はいったん保留にするか?」
流石のユリーもこれには同情してしまう。
マリー「いえ、今は時代も違います。射撃、でしたっけ?ぜひ教えてください。」
ユリー「オッケーだ。」
その時、射撃場にゴゴが入ってくる。
先ほどのリストに上がっていた銃を運んできたようだ。
ゴゴ「はい、これで全部です。それにしてもラインナップがちょっと特殊じゃないですかね...オートマチックだけじゃなくてなぜにパーカッションロックまで」
ユリー「それは俺の趣味だ、気にするな。」
ゴゴ「趣味って...まあいいですけど。それにしてもユリーさんも優しくなりましたね、ラインナップ的に反動は少ない物ばかり。私の時なんて最初から50口径撃たせたくせに...」
膨れツラでぷんすと文句を言い始める。
ユリー「あのなぁ、お前は元から筋力がある方だろう?だがマリーはどうだ、正直失礼なことを言うがお嬢様だ。この国のお貴族様と何ら変わりない。そんな奴が50口径なんて撃ってみろ、全治2週間の大けが待ったなしだぜ?」
ゴゴ「はいはい、筋肉馬鹿で悪かったですねーだ!!私なんてただの女っぽくないギルドの一般メンバーですよーだ!!ふんっ!!」
ユリー「何もそこまで言ってないだろ...」
マリー「まあまあお二人とも喧嘩されないで。とりあえずユリーさん、射撃訓練始めましょう?ゴゴもそんなに怒らないであげて。ユリーさんだって悪気があったわけじゃないわ。ちょっと紳士的な部分が欠如してはいますが...」
お嬢様の割に毒が強めである。
もう麻痺毒の触手の中に突っ込んでも毒の効果なんてないんじゃないか?
ユリー「はぁ、そうだな。とりあえず始めるか。今ゴゴにもってきてもらったのはうちの売れ筋5丁と俺の趣味で好きに集めてるやつ3丁だ。」
マリー「ギルドではあまり見ませんね...」
射撃場の銃を置くスペースには合計8丁の様々な種類の銃が置かれ、それをまじまじと見つめるマリー。
ユリー「まあそうだな。これはあんまり魔物には効かないからギルドのやつらもあまり使ってるやつは見ない。どちらかと言えば人間やそれに近しい種族の制圧によく使われる。だから軍や警察なんかが標準装備としているんだ。」
マリー「なるほど。ところでユリーさんはなぜ腰とくるぶし、あとは胸にもかしら?隠し持っているの?」
ユリーの隠し武器までをも見破るマリー。さすがのユリーも驚きを隠せないでいた。
ユリー「驚いた、まさかそこまで見破られていたとは...だがこれは分からなかっただろ?」
そう言うと右足の靴のかかと部分をコンコンとノックする。
するとかかと部分が外れ、中から一発込めの小型の銃が出てきた。
マリー「...そこまでの武装の意味は?」
ユリー「しいて言えば自衛だ。この国はいくら平和とはいえ一般人に武器の販売が許可されている。警察ももちろん治安維持要因としては強いが、自衛も認められている。まあ、もっとも物理的自衛をしているのは俺たち位なものだ。ほとんどは魔法で何とかなってしまう。」
マリー「魔法...一歩間違えればそれは人の命を簡単に奪ってしまうものです。」
ユリー「こいつも一緒だ。引き金を引く重みは、引いている本人の命に対する価値に比例する。命を大切だと思っているやつにとって一発の引き金は重いものだ。逆に命を粗末に扱うやつにとって一発は軽いものとなる。」
そう言いながら愛用のリボルバーを引き抜き、的に照準を合わせる。
マリー「あなたはどうなの?」
ユリー「...どうだろうな。」
ドゴォォン...
とてつもない発砲音が射撃場の中に響く。
ユリーの放った弾丸は一寸のブレなく的の中心を的確に打ち抜いていた。
ユリー「だが確実に言えるのは、俺をそこらの犯罪者どもと一緒にしないでほしいという事だ。」
マリー「ふふ、あなたを犯罪者と言う人は居ないわ。その瞳の奥にある隠れた優しさ、私には分かります。」
マリーはユリーに向かい優しく微笑む。
ユリー「そうか...」
ドゴォォン
ユリーの放った弾丸は的を大きく反れ、コンクリートの壁に打ち付けらる。
ユリー「あっ」
マリー「照れ隠しは...少し苦手なようね」ウフフ
ユリー「うるせぇ...///」
こうしてマリーの射撃訓練が始まったのであった。
続く...
いかがでしたでしょうか。
皆さんはサバゲーに参加されたことはあるでしょうか。
私は4月に一回行きました。
まあ理想と現実は全然違いまして、当たらない・すぐ疲れる・すぐヒット取られるの三拍子そろいました。
ユリーのようにはいかないものですね。
それではまた次回をお楽しみに。