「ザルド」
アルフィアはザルドに布で巻かれた大きな何かを手渡す
「ああ」
それを受け取りそのまま自分の部屋へと去っていく
「」
──床に転がる
「さて」
要件を済ませた
「起きろベル」
「は、はい!」
身体に染み込んだ
「今日の特訓を始めるぞ」
「」
白目を剥くベルをよそに首根っこを掴み外に向かう
「アルフィア」
そんな彼らを
「その前にやるべきことがあるだろう?」
「ん? ああ……」
いつの間にかテーブルに並ぶ料理と椅子に座るザルドとアルテミス
「さ、冷めないうちに食べよう、お義母さん」
救いの手に涙を浮かべベルは義母を引っ張る
「仕方ない……昼食が終わったら改めて特訓だ」
「うう……はい」
この後の惨劇を覚悟しつつも、皆で手を合わせ
「「「「いただきます」」」」
「んっおじさん、これおいしい!」
「そうか」
「ベル、これもおいしいぞほら」
あーんとフォークを差し出すアルテミス
「うぇ!?」
「ほらほら遠慮するな」
あわあわするベルの口にフォークを突っ込むアルテミス
「!? あ、おいしい」
突っ込まれた料理を味わうと口に広がる旨味に驚きつつ満面の笑顔を浮かべるベル
「……」
そんなベルの笑みを見てほほを緩めるザルド
「……」
──そして不機嫌そうなアルフィア
「ひっ」
「お、お義母さん、これおいしいよ」
あ、あーんとベルもアルフィアに誤魔化すようにフォークを差し出す
「む……」
ベルの苦し紛れの行動に眉を寄せつつも「あむ」っと食べる
「ふむ、悪くない」
「ほっ」っと一息つくと改めて手を動かす。
「さて、ベル今日の訓練は潜む私を見つけ出し弓で射抜いて見せろ」
アルフィアは食事が終わると唐突にベルへ今日の課題を言い渡す
「はい!」
「よし、それでは始めるぞ」
そういったが最後音もなくその場から姿を消すアルフィア
「っ!」
反射的に外へ向かいアルフィアの気配を探すため、眼を閉じ息を整え周囲に意識を向ける
かすかに感じ取れた気配をたどり、移動を開始するベル
(気配は何とかたどれる、でも
意識を研ぎ澄ましつつアルテミスから教わっている狩猟の極意を思い出す
(一つ目、音をなるべく消す。心臓の音すら邪魔だ)
アルフィアの気配をたどり町中を疾駆しつつ己の体のコントロールを行う
そうしてある場所でアルフィアが留まっていることに気づく
そこは地上においてもダンジョンとも呼ばれる「ダイダロス通り」
アルフィアが選んだ場所はその中でも人がいない静かな場所を選んでいた
(二つ目、対象と状況をよく観察し、射かける位置を見定めること)
自分の居場所を悟らせないように廃墟の中に入り、そしてさらにその隣の廃墟へ音もなく移動していく
そんな作業を幾度か繰り返しアルフィアの位置から程よく離れており自分の弓の射程の範囲ギリギリの場所に位置取りを行う
外を確認できるように慎重にナイフで穴を作りアルフィアの位置を再確認する
ベルは流れるように弓を構え矢をつがえると
(三つ目一撃で決めること)
迷いなくアルフィアの体の中心に狙いを定め引き絞った矢を放つ
ベルの放った矢は風を切り裂き狙い通りアルフィアの鳩尾へ吸い込まれていき
「──ふむ、及第点だ」
言葉とともにアルフィアは矢を手刀にて叩き落す
「ふぅ……ありがとうございました」
ベルは緊張を解くとすぐにアルフィアのもとに駆け寄り
「お義母さん! ほんとに当たってないよね? 大丈夫だよね?」
と
「ばかめ、お前ごときの一撃が当たるわけなかろう」
「そうだとしても、やっぱり怖いのは怖いよ」
幾度の訓練の末、何とか心の中で割り切り訓練中は我慢して押し殺していても、大事な家族を万が一にも傷つけてしまったらという恐怖はいつでもベルの胸を苛むことであった
「ふん……」
その
「さて、この後の予定は?」
「この後はヴェルフとダンジョンに行く予定だよ」
目線を上にさまよわせ、今日の予定を振り返る
「そうか、ではまた後でな」
「うん、また後で」
頷きその場で二人は別れる
「……」
ベルの背を見送り、アルフィアは空を見上げる
「また後でか……」
自嘲気味に笑う
──これから起こる災厄の足音に気づきながらも彼女は
短いですがここまで
弓の技術は適当ですツッコミは受け付けてません
言わずもがな次回から大災厄編に入る予定です
その場のノリで書き進めているので書き溜めはないので
気長にお待ちいただければ