大型剣: 隷属の気散
私は所謂うすのろと呼ばれる部類の人間でした。動きも鈍ければ、頭の回転も人と比べれば劣ります。小さい頃の記憶と言えば、学校で隣になった彼は私が何か失態をする度に馬鹿にしながら頭を叩いてきたことです。
私はうすのろでしたから、それに抗う手段など持ち合わせてはおりません。ぽんっ、ぽん、と良い音を鳴り響かせる私の頭は、調子に乗った彼に卒業するまで何度も何度も叩かれました。最初はそんな私に憂慮を抱いていた父母も、これと言った長所もなかった私を次第に見放すようになっていきました。
そんな私は、まるで厄介払いをされるように兵隊となりました。うすのろな私はそこでも数多の人に叩かれ、叱られ、地に頭を擦りつけたことも少なくありません。しかし単調に物事をこなすだけならば出来ましたので、少なくとも食には困らない程度にはなりました。
そんな私は、久々に故郷に帰ってきています。相変わらず私はうすのろのままですが、単調に物事をこなすだけなら出来た私には、未だ頭にこびりついて離れない数字がありました。2999回。それは在学中に彼に頭を叩かれた回数です。記念すべき3000回は、彼の頭で響かせようと思います。
片手剣: 隷属の骨断
とん、とん、とん、とん。
今日は我が子の誕生日。
だから、好物のシチューを作るのです。
とん、とん、とん、とん。
母親は子供の為に、野菜をリズムよく刻みます。
今日も包丁は健気に働きます。
ざく、ざく、ざく、ざく。
今日はあの子が学校を卒業する日。
母親は何の長所も見い出せない子供に、いつしか愛情も注げなくなってしまいました。
ざく、ざく、ざく、ざく。
その手付きは数年前と比べるととても雑なものでした。
今日も包丁は健気に働きます。
とん。とん。……とん、とん。
子供を軍隊へと送った母親は、今日も台所に立ちます。あれから夫との関係も全く上手くいきません。
……とん、とん。
包丁を握る手がついに止まりました。
後ろから、愛情など微塵もない声が響いてきます。
今日も包丁は健気に働きます。
ごり、ぎゅり、ごりり、ごり。
母親はいつからか、どこから自らが間違ってしまったのか考えていました。
べぎっ、ばぎぎっ、ぼきっ、ざくっ。
きっとこの人と結婚してしまったのが間違いだったのでしょう。この人の血が悪かったのでしょう。
だんっ! だんっ!
今日も包丁は健気に働きます。
槍: 隷属の行軍
号令と共に塹壕から沢山の兵士が這い出しました。
銃剣を構えて走ります。大声で走ります。恐怖をかき消すように走ります。
ぱんっ、ぱんっ。
銃声が鳴り響き、隣の人が倒れても走ります。そして突き刺します。
ざくっ、ざく。
号令と共に瓦礫に隠れた兵士達が踊り出ます。
銃剣を構えて走ります。枯れた声で喉が裂けようとも叫びながら走ります。とにかく目の前を向いて走ります。
たぁんっ。
狙撃銃で隣の人が倒れても走ります。そして、突き刺します。
ざくっ、ざく。
号令と共に体が勝手に動きます。
銃剣を構えて走ります。もう何を言っているのか自分でも分かりませんが、走ります。動くもの目掛けて走ります。
いやぁぁぁ。
悲鳴が聞こえます。でも動くならそれは敵なのです。
ざくっ、ざくっ。
号令が聞こえましたが体は動きません。
銃剣を構えて自分に沢山の人が走ってきます。縛られた口から声を出そうとしますが、それは何にもなりません。縛られた全身はどこも動きません。
どすどすどすどす。
ぐるんと白目を剥きました。痛みの余りに涙が出ます。
どすどす、どすどすどすどすどすどす。
銃: 隷属の希望
奴隷をこき使う事で有名な領主がいました。その下で働く奴隷の一人は、ある日銃を拾いました。錆びついてもおらず、普通に使えそうな銃です。弾丸はありませんでしたが、いつかの為に隠し持っておく事にしました。
今年の冬はとても寒いものでした。毎年の過酷な労働を耐えてきた歴年の奴隷達もばたばたと倒れていき、しかしそんな中でも、領主は変わらない顔をして次々と新しい奴隷を注文していきます。
奴隷達の鬱憤は急速に溜まり、とうとう反逆を志すようになりました。
銃を拾った奴隷は、その銃を心の支えとしてどうにか生きていました。そして、領主を打ち倒そうと立ち上がるその日も、その銃を懐に隠していました。
私兵達の容赦ない銃撃にばたばたと奴隷達が倒れていく中、奴隷達はそれでも止まらずに少しずつ、少しずつ牙を領主へと近づけていきます。
長引く戦闘の中もその奴隷は生き延びていました。倒した私兵の銃は手に入れられませんでしたが、弾丸だけは持っていました。それを拾った銃に込めて一人、領主の前へと辿り着くと、躊躇なく引き金を引きます。
そして、暴発して指が弾け飛んだのを呆然としている間にその全身は穴だらけになりました。
杖: 隷属の弊履
奴隷を安く使い倒す事で有名な領主には、目に入れても痛くない程に可愛がっている一人娘がいました。
純真無垢に育てられたその娘は、奴隷を人として扱わない父親に心を痛めていました。
けれども、奴隷が倒れれば当然のように処分し、新しい奴隷を連れてくる父親には何の罪悪の表情も見えません。もし私が奴隷に優しくしたり、庇ったりしたら、そんな顔が私に向くかもしれない。そんな恐怖から、娘は結局祈る事しか出来ませんでした。
ある時、奴隷達は反旗を翻しました。娘は隠し部屋へと入れられ、私兵が奴隷との戦いに向かっていきます。そんな中、娘はひたすらに祈りました。どうか、どうか、傷つく者が一人でも少ないようにと。
日が暮れる頃に私兵達が再び入ってくると、娘はどうなったかを尋ねました。奴隷は皆死んだと私兵は答え、そして、死んだ奴隷達を燃やしている父親達の元へと連れて行きました。
娘は、自ら手を何も差し伸べずに祈るだけでは何も変えられないのだと悟ると、奴隷を燃やす炎へと飛び込みました。
格闘: 隷属の耄碌
XX年XX月05日
尋問開始3日目。
スパイである証拠を幾ら突きつけても白を切るばかりの相手に、より過激な尋問が許可される。
指の爪を全て剥がしたが、スパイは吐かなかった。
XX年XX月06日
尋問開始4日目。
電気による尋問をしている内に吐いたが、少し調べれば嘘だと分かる事ばかりだった。
それからXXXXをしてXXXXがXXXXになったが、吐かなかった。
XX年XX月07日。
尋問開始5日目。
XXXXをしてXXXXをXXXXしたが吐かなかった。心身共に相当弱っているはずだが。
最後にXXXXを用意。今まで、これで吐かなかった奴は居ない。
だが、これを目にした相手は恐怖の余り、気を失ってしまった。起こそうとしたが、そのまま目が覚める事はなかった。
XX年XX月10日。
スパイとして仕立て上げられた一般人を拷問して死なせたとして、濡れ衣を被せられた執行官が処刑された。
#ウェポンストーリー創作
でtwitterで書き散らしているのを全武器種揃えたら纏めて投稿していく予定。
リィンカネも含めて銃、杖も武器種に入ります。
出来れば1つずつ分けて投稿したかったんだけど、ハーメルンの1話の最低文字数が1000文字で、twitterで投稿してたら140 * 4でどう足掻いても無理だった。