麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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十話 見聞の力

「只今、束さん~~」

 

「あ、お帰り!! いっくん!!」

 

 ラボに入った一夏を出迎える束。一夏は収集したブラックホールのデータを渡し、早速解析に取り掛かる。

 

「そういえば、束さん」

 

「ん? どうしたの?」

 

「あの穴なんですけど、なんで黒騎士の強化に必要なんですか?」

 

「そういえば、言ってなかったね~~ いっくん。黒騎士でブラックホールを吸収したら光が出たでしょ? 」

 

「粒子? 騎士が吸収した?」

 

「そうそう。あれね人間に当たると、その浴びた人間の潜在能力を何故か引き出す事ができるみたいなの。不思議だよね? そんでもって、黒騎士のISコアにはその粒子の塊が使ってあるんだよ」

 

「なっ? 何のために、そんな?」

 

 一夏がまさかの答えに戸惑っていると、束は笑顔でーー

 

「あのブラックホールを制御する為だよ...黒騎士をより強くするためにも、ね?」

 

 かくして、まだ浅いISの歴史で、最も強く、そして最凶のISが誕生しようとしていた・・・

 

ーーーーーーーーーーー  

 

「秋人...」

 

「大丈夫だから...シャル」

 

 頭を抱える秋人を心配そうに見つめるシャルル...だが、今の彼には本来男性にはない胸に膨らみがあった。

 

 ほんの二日前程、偶然同室にあるシャワー室に入っていたシャルを見て、彼いや彼女の正体をしる事となる。

 

 企業の社長の愛人の子。

 父より秋人のデータを盗むために男装したこと。

 

 それらをシャルが話し、その顔を絶望に染まっていた。そして、この学園から立ち去ろうと口にしたとき。

 

 「それで、いいのかよ!?」

 

 秋人が怒り、シャルに自分の事、そして兄の事・・・一夏の事を語る。

 

 誘拐され、身代わりになって行方が分から無い一夏。そして、一夏が最後に秋人に伝えたあの言葉。

 

 「生きて自分の存在を証明する」

 

 それを聞き、シャルがここにいていいのか? と聞き

 

「もちろんだ!!」

 

 秋人は力強く受け入れ、シャルは彼の胸に飛び込む一晩中泣きじゃくったのだったーー

 

 

 

 そして、現在。

 

 タッグマッチの対戦当日になり、一回戦の相手。箒とラウラのペアに当たる。

 

 開始まであと数分の所で、突然秋人がフラつきベンチに座り、今に至るのだった。

 

「大丈夫。行こうか?」

 

 少しフラつきながら秋人は立ち上がり、通路を進む。その後ろ姿を見てシャルは何も言えず後を追うしかなかった。

 

 

 

 

「ふん、逃げ出すかとおもえば。わざわざ負けにきたのか?」

 

 ISを装着したラウラが鼻で秋人を笑い、となりいる箒が睨むが気にもしていない。開始まで後、数十秒になるも、秋人の目はどこか遠くを見ていた。

 

 (なんだろ...頭にへんな声が...)

 

 頭の中でざわつくはっきりとしない声がさっきから止まらない。どんなに耳を塞いでも意味はなく。集中できない中

 

 

 ビッーーーー!!

 

 ついに試合開始の合図が鳴り始める。

 

 

「まずは貴様からだ!!」

 

 一番目に動いたラウラの機体から複数のワイヤーが発射され、一歩出遅れたシャルが銃を装備し秋人を援護しようするが、箒がブレードで切りかかりシールドで防ぐ。

 

「くっ!!」

 

 完全に出遅れた秋人は剣を出そうとするが、先にワイヤーにより機体を拘束され動けなくなる。どうにか逃げ出そうとするも、衝撃が襲いかかる。

 

「このまま無様に敗北するがいい!!」

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

 レールカノンを打ち込み、ワイヤーで身動きがとれず的になっていた秋人に全部命中し壁に吹き飛び激突した。

 

「はははははっ!!! 所詮、雑魚はその程度だ!!」

 

 ラウラが高笑いし、これで秋人はリタイアだと思い込んで。そのままシャルの方に向かおうし背を向けた時ーー

 

 瓦礫の崩れる音がし、ラウラが振り向くと秋人が立っていた。

 

 「死にぞこないが!!」 と叫び今度こそ確実に仕留めるため、ワイヤーを飛ば逃げられないようにするが、秋人は少しだけ機体を動かしただけで、避ける。 

 

「何!?」

 

 攻撃がまさかの失敗に終わり、驚いたものの今度は確実に仕留めるためプラズマの手刀で攻撃するが

 

「...」

 

 秋人は体を横に動かし無言で避ける。

 

「くそ!! かわしてばかりで!!」

 

 手刀だけでなく、射撃武器やワイヤーを使い、時にはフェイント等をして攻撃するが、当たらない。それどころか、傷一つすらつけられない。

 

 秋人のまるで、先読みのような動きに観客席にいるセシリアと鈴も驚きが隠せない。

 

「な、なんなのよあいつ...」

 

「す、すごい...まるでラウラさんの攻撃がどこからか来るのが分かっているみたいに・・・」

 

 誰もが注目し、近くで既に箒に勝利したシャルはどう援護したらいいのか迷って近づくことができないでいた。

 

「くそ!! 何故だ!? 何故当たらない!?」

 

(なんでだ? どうして、ラウラのしようとする事が、わかるんだ?)

 

 さっき壁に激突した時、異変が始まっていた。

 

 頭の中にあるざわつきが、今度ははっきり聞こえ、それがなんなのか秋人は自分でも分からずにいた。

 

 だがその声は...今周りにいる人間、観客席にいる人間の声だった。

 

 そして、もちろんその中には目の前で攻撃してくるラウラも含んでいた。

 

「何故、何故、何故だ!!!!!!!!」

 

 今、ラウラから感じるのは 焦り 怒り などで、もはや平常心ではなく冷静な判断ができず横から接近してくるシャルに気づく事ができず銃撃を受ける。

 

「まさか、ボクを忘れてないよね?」

「き、貴様!!」

 

 ひるんだ隙に盾を構える。すると盾に備え付けられている杭の一擊をまともに受けてしまい。そこから大きなダメージを与える事ができた。そして、それはエネルギーだけでなく、ラウラの精神にも及ぶ。

 

(そんな!! 私は、こんな奴らに!!)

 

 負ければ、また弱者と呼ばれる。そうなれば、あの人に、教官に見放される

 

(そんなの嫌だ!! 私は、負けたくないんだ!!)

 

 彼女の黒い感情に答えるように、ISに異変が起こる。プラズマを起し、真っ黒な何かにつつまれ始めた。

 

 突然のことに、建物内部で避難警報が発動され生徒や観客達が避難していく。

 

 そして、黒い塊は徐々に形をつくり、一人のある女性の姿へ変貌する。

 

「姉さん!?」

 

 千冬の姿をした何かは、剣を取り出し秋人に襲いかかるが、さっきと同じようによける。

 

(なんで姉さんに? それにラウラは...苦しんでる?)

 

 黒い千冬の中から、声が。ラウラの苦しそうな声が聞こえた。

 

「たすけて」

 

 小さなそんな声を確かに聞き、秋人は剣を構え光輝く。白式に搭載された、このISだけの能力であり、今の状況を打開する力ーー

 

「零落百夜!!!!」

 

 すべてのエネルギーを使った一擊と、黒い千冬のもつ剣がぶつかりーー

 

 少女の黒い感情から生まれた異形は、崩れさる。

 

 そして、あとには目を閉じ、涙を落とすラウラが無事な姿で倒れているのだったーー

 

 

 

 

 

 

  

   

 

 

 

 

 

 

 

 




 
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