すみませんでした。早速修正行いました。
新型ISを強奪され、さらに黒騎士を取り逃がしてしまい旅館に帰還した秋人達。教員達は誰も彼らを責めず、副担任である麻耶は心から秋人達に労いの言葉をかける。
千冬からは、今回の作戦の失敗については咎はない事と、旅館に待機するように伝えられ秋人は布団に横になり天井を見つめていた。
(兄さん...)
既に深夜になっているのだが、秋人は眠れずにいた。原因は頭の中で何度も蘇る黒騎士の操縦者の顔。間違いない死んだと思っていたはずの兄だった。
生きていてくれたのは嬉しい。けど、どうして、自分達の前に姿を出さず、しかも黒騎士なんて物を使っていたのか?
怒りや、悔しさが混じった感情が自分の中で大きくなり、今すぐにでも大声を上げたい程秋人は胸を苦しめていた。
「どうしてだよ、どうして、何も教えてくれないんだ?」
唇を噛み締め、目から一筋の雫が流れ布団を濡らした。その時
「秋人、起きてる?」
突然。ふすまが開けられ、そこにいたのは旅館の浴衣を着た鈴だった。彼女の顔も沈んでおり、恐らく秋人と同じ思いのようだった。
鈴は「海、見に行かない?」と秋人を誘い二人は旅館から出て行き、偶然近くを通っていたセシリア・シャル・ラウラは気づかれないように追跡を開始した。
もうすぐ夜明けが近い中。一般の生徒達は入眠しており、教職員達もそれぞれ作業が山積みで、海を眺めている二人に気づく余裕は無かった。
「ねぇ、やっぱりさ...あの黒騎士って...」
「うん、違いない。兄さんだったよ...」
二人の間に沈黙が数秒生まれ、何か話さないと と思い秋人が口を開いた時。先に鈴が話し始める。
「あのさ、この際言っておくけど...」
鈴は一度言葉を切ってから、秋人に真っ直ぐ顔を向ける。そして真剣な眼差しで伝える。
「私、あんた達兄弟、好きだったんだ...小学の時さ、周りに馬鹿にされてた時あんた達二人が良く助けてくれたじゃない。そこからなの...」
「鈴...?」
「私、中国に戻ってさ気づいたんだ。 一体自分は一夏と秋人。どっちが好きなんだろうって、ずっと悩んでたけどさーー」
鈴の声が小さくなって行き、秋人はただ真剣に鈴の声に耳を傾け、聞き漏らさないようにしていた。
「一夏が、死んだって聞いた時...私、死のうと思った、そんでさぁ、暫らく荒れた後、今度はあんたが学園に行くって聞いたから。もしかしたら、昔みたいに戻れるかなって、あんたと一緒なら、寂しくないかなって。馬鹿な、事考えてさーー」
「鈴、もう、いいから...」
「だけどさ!! 一夏が!! 一夏が生きてた事、知って!! 分かったんだ!!」
涙を拭き取り、呼吸を整える。鈴は覚悟を決めた眼で秋人を見つめそして、今自分が抱いている思いを口にした。
「私は、一夏が、一夏が大好きなのよ!!!!!!」
人気のない砂浜で声をあげる鈴。そして、その会話は後ろで聞き耳を立てていたラウラ達にも届いていた。
「鈴...」
「鈴さん...」
「鈴...」
シャル・セシリア・ラウラが涙を流す彼女をISを使い見つめる。今彼女達の心の中では、これで秋人を狙うライバルが消えた、などと邪な考えは一切なく。変わりに、鈴に対して敬意を感じていた。
同じ、片思いをする少女として。
「そうだったんだ...始めて知った...」
秋人は、鈴の思いに口出しする事なく受け入れる。どんな顔をすればいいのか分からず、秋人は苦笑いをし、鈴を見る。
「だったら、なおさら聞かないとね、兄さんにさ?」
「うん!! そうよ!! なんでこそこそしてんのか、ぶん殴ってでも聞き出してやるんだから!!」
既に泣き止み、笑顔になった鈴。拳を空に向けると太陽少し見えた。
「もう朝なんだ、ふぁ~~眠い。先に戻ってるね?」
あくびをし、目の涙を拭いて背を向け鈴は旅館に歩きだす。そして、秋人は登り行く太陽を見つめながら、涙を流した。
「たく、兄さんは、会ってちゃんと話さないと、ね...」
ここにいない人物に対し呟き、次第に涙が溢れていく。
一方で、歩き去った鈴も
「くっ...ご、ごめん秋人...」
涙を流しながら、秋人に謝る鈴。
そして、夜が明け二人の少年と少女は新たな道にそれぞれ進むのであったーー。
今回の話について
鈴は一夏が好きなのを秋人に伝え、甘えるのをやめるためにけじめをつけた話しでした。