麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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十八話 再会

 学園の機密区域で千冬との戦いが終わり、一夏が弾を担ぎ通路を進む。

 

「なぁ、一夏...聞かないのか?」

 

「ん、何がだ?」

 

「俺が、なにをしていたのか、さ」

 

「別にいいよ、俺だってお前に話さないといけない事があるからな」

 

 弾が口を閉じ、顔を伏せる。一夏は特に追求せず弾を見ずに話しを続けた。

 

「お前が何も考えないで馬鹿な事するわけない。何か理由があってやったのはわかるさ」

 

「一夏、俺は...」

 

 自分を責めない親友の言葉を聞き、弾は思い思いに口を開きーーこれまでの事を話し始めた。

 

 一夏がいなくなり、学校の人間は特に何も思っていなかった事。ISが目立ち、差別社会のせいで一部の人間が理不尽に苦しんでいる姿を見て心が痛み、ある事件が起こった事。

 

「学校の裕福層の奴らが、俺や周りの男をまるでおもちゃみたいに扱い始めたんだ…それに耐え切れずに、何人かが自殺したんだ...」

 

しかも、自殺した生徒の遺書には裕福層達の名前が書かれており、証拠も一緒にあったのだが、隠滅されたのだ。しかも、学校側もグルになって。

 

「正直俺も、何度も死にたいって思ったんだよ。こんな世界で、自由に生きられないんならって、そしたら出会ったんだ…あの人に」

 

 それは自殺した同級生の葬式の日の事。死んだ子共の名前を泣き叫ぶ母親の声で心が痛くなり葬式場から離れ、弾が一人になった時。

そこで一人の男と出会ったのが始まりだった。彼に声をかけられた弾はてっきり親族の人間だと思い、自殺した同級生のことを話し、涙を流しこう告げた。

 

「俺は、こんな...こんな世界に生まれて...嫌だ!!」

 

「そうか...」

 

 男は弾の話を聞き、弾の肩に優しく手を乗せると

 

「ならば共にくるか? ...この世界を変えるために私と…」

 

 手を差し伸べられ、弾は最初は戸惑ったが男の声にどこか安心さを感じ、涙を拭いて弾は男の手を取ったーー 

 

 

「それで、革命軍に...」

 

「そうさ、俺はとある実験で体を強化された…数少ない成功体としてな」

 

二人が話していると通路の先に一つの扉があり。扉を開けるとそこは劇に使われていた建物だった。

 

「そんじゃ、手助けしてくるから...後は大丈夫か?」

 

「あぁ、すまねぇ。一夏」

 

「お前に会えて良かったよ。じゃ、話は今度な?」

 

「ああ、俺は...待ってるからな?」

 

 弾を椅子に座らせ、二人は軽く言葉を交わし一夏はその場を去る。残った弾は安心した顔をして眠りにつくのだったーー

 

  

 

 一方、更衣室ではーー

 

「クソが!! なんで当たんねぇんだよ!!」

 

 秋人と謎のISとの戦闘が行われており、女性はひたすら銃器を乱射し回避する秋人を狙う。秋人には女性...オータムの動きが分かっていたのでダメージは一切ない。が、秋人の頭の中は冷静ではなかった。

 

 

(あいつが僕らを、兄さんを!!)

 

「あ~あ!! 面倒くせ!! てめえら兄弟はよ!! あんとき兄の方だけじゃなくて、お前もくたばってりゃ、こんな任務しなくていいのにな!! 」

 

「っ!? ふざけるな!!」

 

 オータムの挑発に秋人が乗ってしまう。ライフルの弾薬が切れたオータムを見てチャンスだと思い、秋人が近づきブレードを振り上げるが、突如蜘蛛の糸に拘束される。

 

「なに!?」

 

「ははは!! クソガキ!! やっとつかまえた!!」

 

どうにか拘束から逃れようと機体を動かすが、糸は強力で逃れられないでいた。そしてオータムが動かす機体「アラクネ」が近づき何かの機械を取り出した。

 

「まずは、機体をぶんどってからお前を殺してやるからよ!! 楽しみにしてな!!」

 

取り出した機械を白式に取り付けようと近づくオータム。秋人は恐怖を感じ、声も上げる事もできずに震えていた。

   

 

「おいおい、誰を殺すだって?」

 

 

突然何者かの声がし、気づけばオータムが持っていた謎の機械が真っ二つになっていた。オータムがセンサーの反応に気づき振り向くが、突如機体が吹き飛ばされ、大きな音をたて壁に激突するアラクネ。そして、秋人の前にはーー

 

「に、兄さん...?」

 

 呆然とする秋人の前にいた一夏は、手にしている光剣で秋人を捕縛している糸を切って秋人を解放し、気まずそうに視線をそらす。

 

「大丈夫か?」

 

「ほ、本当に…本当に兄さんなんだね!!」

 

秋人が目に涙を浮かべ、今にも一夏に抱きつきそうになるが、壁に激突したアラクネが起き上がる。

 

「てめぇ!! 誰だ!? 私の邪魔をしやがって!!」

 

「お前のほうが邪魔だ」 

 

剃で接近した一夏は、アラクネを覇気を纏った拳で殴りつけ装甲を大きくへこませた。かなりの衝撃がオータムに襲いかかり一瞬気絶しかけて目が虚ろになる。

 

「ぐぅ!!」

 

「そうか、思いだした。こいつは、あん時の...」

 

一夏が呟く、数年前自分と秋人を殺そうとしていたISを操縦していたオータムを思い出し怒りが湧き出る。そして両手を黒く染めて覇気で剣も硬化させ、アラクネに襲いかかりアラクネの腕を切り落とした。

 

「お前にも味わわせてやるよ…死の恐怖をよ!!」 

 

怒りを露わにした一夏が覇気を纏った剣と拳でアラクネを破壊していく。装甲が切り裂かれ、複数あった足がもぎ取られ、蜘蛛を模した機体が破壊されて行く。そして、生身の人間にISが破壊されている現実に思考が追いつかず、彼女は壁を爆破し逃走し始めた。

 

「クソ!! 何なんだあいつは!? 」

 

ブースターを全開にして狭い通路を通って逃げるが、後ろから高速で一夏が追跡をする。機体のセンサーが一夏を捉え距離が縮まっていき、オータムはこれ以上近づかせないように、後ろにグレネードを放ち通路を爆破して、出口に辿りついて劇場の建物の外に出てきた。

 

「あら、いらっしゃい~~」

 

 のんきな声と共にアラクネに銃弾が襲いかかり、気づけばランスを構えた蒼いISが狙いをつけていた。

 

「あら? どうして、そこまでダメージを...?」

 

 楯無が半壊しているアラクネに疑問を抱いていると、センサーが新たな反応を示し、煙が上がっていた通路から誰かが飛び出す。

 

「畜生、爆破しやがって...」

 

「あれは!!」

 

 通路から出てきた一夏を見て楯無が驚いていると、そこにちょうど援軍に来た専用機持ちの五人が集結した。そして、鈴と箒は一夏を見て驚きの声を上げる。

 

 

「あ、アレは!! まさか!?」

 

「一夏!!!!」

 

「箒、鈴か? しまった、会うつもりはなかったのに...」

 

 一夏がこの状況からどう逃げるか考えていると、アラクネが再び動きだし機体の一部を切り離しオータムが離脱する。

 楯無が皆に避難を呼びかけた瞬間。アラクネから切り離された部品が爆発がする。そして、煙にまぎれ一夏は黒騎士を展開しその場を離脱した。

 

「あれは、黒騎士だと!? 」

 

「一夏、待ってよ!!」

 

 箒と鈴。さらにセシリア達も逃げる黒騎士を追いかけようとするが、突然楯無から止められる。

 

「皆待って!! こっちに未確認のISが接近しているわ。何人かは学園の護衛に向かって!! 残りは私と一緒に来て。打ち合わせどうりに黒騎士を特設会場に誘導するわよ!!」

 

 楯無からの指示を受け、シャルとセシリアが未確認のISの迎撃に行き、残る箒 鈴 ラウラが一夏を追う。

 

 

「たく、革命軍だけじゃなく亡霊(ファントム・タスク)までいたのかよ」

 

 IS学園の上空を移動しそのまま逃げる一夏。だが、三体のISが周りこんで囲まれてしまい黒・紅・桃のISが武器を展開し、一夏を睨む。

 

「黒騎士!! 」

 

 この中で唯一、一夏と面識のないラウラが射撃をし後から箒が接近戦に持ち込む。

 

「一夏!! どういう事だ!! 何故、その機体にお前が乗っているんだ!? 」

 

「答えるつもりは、ねぇよ!!」

 

「ふざけないでよ!!」

 

 鈴が叫び、衝撃砲を向け鈴の目には涙が流れていた。

 

「私がどれだけ心配したか...生きてたんならそう言ってよ!! 馬鹿!!」

 

「鈴...ごめん!!」

 

 一言謝り、一夏は箒を押しのけ逃げる。三体は後を追いかけつつ、一夏を特設会場と呼ばれる海の上に浮かぶリングのような人工島に誘導すると

 

「ふふふ、いらっしゃい!!」

 

 突然。楯無の声が聞こえ機体の背後から爆発が起こり一夏が会場の上に落下するとリングのあちこちから噴水が流れ一夏は上空にいる自分を見下ろす人物を見てその名を呟く。

 

「あんたは...更識、楯無...」

 

「あら、私の事知ってたの? 嬉しいわ♪」

 

 パンフレットに名前が書かれていたのを思い出した一夏。そして蒼いISミステリアス・レイディを纏う楯無が怪しく微笑む。

 

「さてと、貴方には一杯聞きたい事があるけど、まずは投降してくれないかしら?」

 

「残念だけど、俺は捕まる訳には行かないんで」

 

 黒刀を取り出し刃を楯無に向ける。が、楯無は余裕の笑を見せる彼女に違和感があった。そしてーー

 

「そっか~~ところで...なんだか熱くないかしら?」

 

「っ!? 」

 

 清き情熱(クリア・パション)

 

 指が鳴らされた瞬間。衝撃と熱が一夏に襲いかかる。爆発のダメージを受け、急いで上空に避難しようとするが、一夏を逃がさないように、今度は目の前で爆発が起こり、リングに再び落下した。

 

 「ほら、逃がさないわよ?」

 

 立ちあがる一夏に、今度は蒼流施(そうりゅうせん)から放たれるガトリングが襲いかかり黒騎士のエネルギーが消費していく。一方的な攻撃に反撃しようとし黒刀を振り上げるが、再び爆発が起こり黒刃が手から離れてしまった。

 

「やばっ!!」

 

 急いで剣を取ろうとし動くが、今度は機体が突如動かなくなる。気づけば一夏の周りだけ空間が沈んでおりこれが原因だった。

 

「いかがかしら? 私のISの力...水は?」

 

 水を纏い一夏の上を飛ぶ楯無。既に強力な結果に封じられた黒騎士を見て傍に待機していた箒達もこれで戦いは終わりだと確信していたがーー 

 

「...確かにな、あんたのISは強いが...」

 

 一夏はこの状況を打開すべく黒騎士に備わった力を解放する。

 

「俺も、負けてらんねえな...」

 

 突如、黒騎士からドス黒い霧が生まれリングに広がって行く。異質な霧に箒達も、そして楯無も身構えた。

 

「更識。お前のISの力が水なら...俺のISの力は闇だ」

 

 異質な闇が海の上で生まれる中。ここに史上最強で最悪のISがその力を見せつけるのであったーー   

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