病室のベットに横たわり、体に包帯を巻いた楯無がテレビのニュースを見てため息をつく。ニュースの内容はIS学園で起こった大爆発についてだった。
事件から数日経ったと言うのに、どのチャンネルも同じような内容を取り上げられていた。しかも偶然現場近くにいた報道機関のカメラが捉えた二体のISの戦いを何度も、何度も飽きるほどに放送していた。
巨大な雫を作り上げる青いISと漆黒の煙を出す黒のIS。
青いISの操縦者である楯無は、現在マスコミ等から身を隠すため実家の息がかかった病院で治療を受けており、彼女はテレビの電源を消し天井を見つめた。
「...はぁ」
深いため息をつく楯無。今彼女の頭の中は黒騎士である一夏の事で一杯だった。
IS委員会は謎のISとその操縦者を突き止めるため学園の辺り一帯を血眼に捜索していた。
もし生きていたとしても委員会が、いや世界中の人間が二人目の男のIS操縦者である一夏を放っておく訳はない。戦闘中の映像には、一夏の素顔ははっきりと写っており、世界中の人間が彼の顔をテレビで見ているはずだ。
楯無は、ふと戦闘中で起こったある事を思い出し、思考を切り替える。
「...アレはなんだったのかしら?」
楯無は力なく呟いて目を閉じ、一夏との戦いの事を思い出す。
「はぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
水と闇がぶつかり、凄まじい衝撃が生まれ、二人に襲いかかる。とてつもない攻撃のぶつかり合いに先に耐えられなくなったのはーー
「ちっ!! 機体がもたねぇ!!」
黒騎士からどんどん装甲が剥がれ落ち始め、そのせいでコントロールが不安定になり機体から出ていた黒い霧が消え水帝が一夏に向かって行く。
「!! 逃げて!!」
楯無が一夏に叫ぶが、機体がバラバラになり腕や足が取れてしまっていて今の黒騎士は飛ぶのがやっとの状態で回避は不可能だった。
急いで水帝をコントロールしようとするが、あまりにも膨大なナノマシンと水を使い過ぎてしまい、コントロールが複雑になってすぐに停止ができない。
「このままじゃ...っ!?」
水帝が一夏と重なって彼の姿が見えなくなった時異変が起こる。突如、鼓膜が破れるかと思う程の音が、まるで巨大な生き物の叫び声が鳴り響き、水帝が崩れ始める。
「え...?」
一体何が起こったのか? 一夏がどうなったか確認するため、楯無は彼の所に行こうとするが機体から警告音が鳴り始める。
ISのエネルギーが底を尽きかけており、急いで特設ステージの残骸に着地し楯無が空を見上げるとーー
巨大な翼を持った何かがはるか空に飛んで行く姿が目に映る。楯無はこれは夢かと何度も自分に問いただし呆然としていた。なぜならーー
「本当に、あんな生き物がいるなんて」
未だに信じられないと言う風に、何度も首を横に振り再び彼女は悩み続けるのだったーー
一方。とあるホテルにて
「クソが!!」
部屋を無茶苦茶に荒らす女性。亡国企業の一人であるオータムは一夏に与えられた屈辱にとてつもない怒りを感じていた。
「落ち着きなさい、オータム」
「スコール!! けど!!」
スコールと呼ばれた美女が荒れ狂うオータムをなだめ始め、時間をかけオータムの怒りが静まった所でスコールは話しかける。
「ところで、本当なの? あの織斑一夏が生きていた話」
「あぁ、間違いねぇ。あいつは確かに死んだはずなのに...」
と、二人の会話中にドア越しで二人の会話を立ち聞きする人物が存在していた。その人物は一夏と秋人の姉である千冬によく似た少女だった。
「織斑...一夏...」
一夏の名を口に少女ーー組織ではMと呼ばれた彼女は静かにその場から立ち去るのであった。
「あの、もう大丈夫ですって・・・」
「い、いえ!! 手伝わせてください!!」
楯無のいる病院の一階。松葉杖を使って歩く弾から荷物を取り上げ一緒に隣りを歩く虚。気のせいか彼女の顔は少し赤くなっていた。
「もう!! お兄たら、こんな怪我して」
「蘭...」
弾は顔を二人に顔を見せないようにし、早く歩き外に出る。心の中で二人に嘘をついている事に息苦しさを感じ、弾は大きく息を吐く。
「俺は、どうすればいいんだ...一夏?」
ここにはいない親友の名を言い、後ろから来る自分の身を案じてくれる二人の少女を見て、弾は作り笑顔を浮かべるのだったーー
そしてーー
ガツガツガツガツ
「よく食べるね・・・」
うさぎ耳の天災が目の前にある空になったいくつもの皿と、それらを平らげている人物を見て呆れる中、クロエがどこからか食事をどんどん部屋に入れていた。
「ん・・・ごくっ」
やがて数分かけて、部屋においてあった食事を全て食べ終えた男。一夏は満面の笑で
「うまかった~~~!!!!」
と叫び、横になって寝息を立てるのであった。
ちなみに束からは「早!!」と突っ込みを入れられた。彼女の手には鹿を模したぬいぐるみと、黒騎士のISコアが握られている。さらに、隣りの部屋では黒騎士に似た、新しい機体が組み立てられている途中だった。
久ぶりに執筆しましたので、誤字脱字が多いかもしれませんが
これからもよろしくお願いします。