「一夏...」
病室のベランダで風に当たりながら一夏の名を呟く箒。気分を変えようとしてここから見える夜の街の景色を見つめるが、ある事が脳裏に浮かびため息をつく。
(一夏...おまえは、秋人のことも...私や千冬さんの事など気にもしないと言うのか?)
自分の手を見つめ、臨海学校で剣を交えた事を思い出す。一夏は箒に対し黒刀ではなく、ナイフだけで紅椿を相手し、格の違いを見せつけられた。さらに文化際では、見たことのない異形な力を出していた。
「あの人なら...」
箒は携帯を出しある番号にかけるが、繋がらない。二、三度同じ番号にかけるが電話の相手は出ない。
(くっ!!...一体、何がどうなっているのだ!?)
携帯を強く握りしめたまま、箒が顔を上げた時。街の上空で爆発が起こるーー
「きゃあぁぁぁ!!」
一機のリヴァイブが撃墜され地上に落下し、IS部隊が装備を手に警戒を強めていると、どこからか改造されたリヴァイブが複数接近してくる。
「くっ!! 」
クラリッサが操縦するシュヴァルツェア・ツヴァイクと他の黒兎部隊のIS。ナターシャとイーリスの機体が敵機体と交戦し、残った機体はヘリの護衛につきその場から急いで離れる。
「こんな所で!! ...?」
戦闘中に突然ナターシャが、離脱して行くヘリを見て顔をしかめる。
何故、今目の前にいる敵はヘリを追って行かないのか? そもそも、被害の出やすいこのルートを何故自分達が行く必要があったのだろうか?
「きゃぁぁ!!」
突然、後ろからイーリスの声が聞こえナターシャが振り向くとある機体がおり
「そんな!!」
そこにいたのは、とある組織に奪われた機体「銀の福音」だった。そして福音は砲口をナターシャ達に向けて放ち、町の上空にいくつもの爆発が起こったーー
IS部隊と離れたコンテナを積んだヘリが本来のルートから離れ山の中に作られた着陸地に降り、森に隠れていた者達が姿を現す。
「例の物は手に入れたのか?」
「あぁ、問題ない。邪魔な護衛は引きつけている所だから大丈夫だ」
ヘリの操縦者や作業員達が森に隠れていた者達と話し、素早い動きでヘリにつないであるコンテナを開いているとさっきまで戦闘をしていた福音が着陸する。
「これが、黒刀ですか」
福音の操縦者である革命軍の兵士。エレンがコンテナに入っている黒刀「夜」を見つめた。
彼女達の作戦の目的は黒騎士のデータ及び、機体の残骸や装備の回収が目的だった。
コアは既に一夏の手で抜き取られ、残っていたのは機体の残骸と黒刀だけだがこれだけでも、黒騎士を狙う者達からすれば十分価値のあるものだ。
そして、エレンが黒刀をコンテナから出そうとした時ーー
「はぁぁぁぁ!!!!」
ナターシャが半壊した機体で、ライフルを構え突入する。が、福音からの射撃が直撃し、小さな爆発を起こし墜落した。
「くぁ!! ぁ、あぁ...」
「まさか、ここまで追いかけてくるとは...」
エレンがナターシャに砲口を向けながら近づき、ナターシャは殺気を込め、睨みながら吠える。
「貴方なんかに...その子を、汚させるわけには!!」
「汚す? それは貴方達の事では? 私達はこの汚れた世界を修正しようとしているだけよ。」
砲口を向け、確実に仕留めるため至近距離で撃とうとするエレン。ナターシャは目を固く閉じ、福音からエネルギー弾が放たれようとした時...斬撃が飛び砲口が爆発した。
「がぁ!!」
福音を操るエレンが突然の衝撃に息を吐き出し倒れる。辺りにいた同士達が騒然としていると…一つの影が一機のISに近づき、月の光に照らされた剣で兵士の武器やリヴァイブの腕を切り落とす。
「きゃあぁぁ!!」
仲間の悲鳴を聞き、エレンは敵の攻撃だと気づいた時。
「俺の剣、返してもらうぜ」
そんな声が聞こえ、いつの間にかコンテナの傍には黒騎士に似たISが黒刀をつかみ刃をエレン達に向けて立っていた。
「敵だ!! 撃て!!」
エレンが謎のISを撃つように指示し、まだ無事な兵とリヴァイブ達が銃口を向けようとするが、
「な!!」
「か、体が!!」
「う、動かない!?」
突然、金縛りにあったかのように兵やISが動かなくなり誰も引き金が引けない。
地面に倒れて血を流しているナターシャが突然現れた黒いISを改めて見ると、その黒のISは怪しげに指を動かし、一瞬だが指先から何かが見えたが、それよりも驚いたのは
「まさか...その機体は!?」
「ば、馬鹿な!! 黒騎士だと!!」
新たな黒騎士を見てエレンが急いで福音の砲口を向けに放ち、接近してくるエネルギー弾を、一夏は黒刀を軽く振り斬撃で切り落とす。
「さぁて、行こうか...」
一夏が黒刀を握りしめてつぶやく。コアは変わらないが束によって新たに作られた黒騎士が空に飛んでいく福音を追いかけ空に飛ぶのであったーー