麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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 久しぶりに更新しました。
 
 明日からゴールド上映ですが、私は仕事のためすぐに見に行けません...

 ちなみに、キノ×ISとか他の作品も更新中です!!


三十七話 銀騎士

 

「いっくんの考えた装備とかもつけてみたけど、すごいでしょう?」

 

「これが…私のIS…」

 

 研究所の一角にて、マドカと束が銀色に輝く一体のISの前に立っていた。

銀のISは姿形は一夏の二代目黒騎士に似ていたが、マドカは特に嫌そうな顔をせずまだ名も決まっていないその機体に搭乗した。

 

 マドカはシステムをチェックし、装備も使用可能状態であるのを確認し開いた天井から飛び島の周りを驚くべき速さで旋回した。

 

「「どう? なかなかすごいでしょ!!」」

 

「あぁ」

 

 興奮する束に対し、マドカは短く返事を返す。だが、内心では前の機体であるサイレント・ゼフィルスよりも性能が段違いであることに少しは驚きながらも彼女はそのまま機体の稼働テストを続けた。

 

 銃剣であるスターブレイカーⅡ(セカンド)の射撃で的を落とし、別の的を剣で切り切り裂く。

 

 さらに、前機よりも改良されたBT(ビット)兵器や、機体の指先から糸のような物を出し海上にあった的を確実に破壊して行く。

 

(…奴は、まだ戻っていない、か…)

 

 操縦しながらマドカは、まだここに戻らない人物の箏を思いため息をついた。先日、兄妹の杯を交わし、世界最強の女性の遺伝子から作られた自分を家族として受け入れた彼は世界中にある革命軍の基地を探していた。

 

 彼は何故かマドカは所属していたファントム・タスクよりも革命軍を探す箏に固執しているように見え、もし近いうちに戻ってきたら聞いてみようと思いながらエネルギーに余力があるのを確認しマドカは研究所に戻った。

 

 この時彼女は気づいていなかった。前の自分であったならばこの銀の機体を奪ってファントム・タスクに戻る選択をしていたかもしれないことに。そして、一夏たちと一緒にいる箏が心地よくなっていたことや彼女自身が変化したことにまだ気づいていなかった。

 

「お疲れ!! いや~~なかなかいい動きだったよ!! けど、残念だね、アレのテストもしたかったけど、さすがに使ったら研究所が壊れるかもしれないし」

 

 束の言葉を聞いて、さっきのテストで使わなかったとある装備を思いだす。その装備も一夏の考えをもとに作られたのだが、その威力は今まで見てきたどの兵器よりもとんでもない破壊力をしており、こんなところで使えば島が無事で済まないのもあたり前だ と思いながらマドカはISから降り、部屋を出るのであった。

 

 部屋を出て、マドカはシャワーを浴び何故か大量に置かれたコーラ瓶の一つを取り飲み始める。組織にいた時はこんな物を飲む箏はなかったが、この島に来て一夏に勧められてから彼女も毎日飲むようになっていた。

 

「あいつは、一体どこにいる…」

 

 イラつきが混じりながら、マドカが傍にある端末を使い一夏に連絡しようとした時だった。鍛えられた耳が遠くからの物音に気付き、マドカは顔を上げ慌てて部屋を出る。

 建物から出ると、黒い機体が島の浜辺に降り彼がこっちまで歩いて来ているのが見えた。

 

「…遅かったな…」

 

 視線をそらしながら、目の前まできた一夏に声をかける。だが、一夏の方はいつもとどこか様子が違っていた。体にはどこか負傷したところは見られないが、何故か心あらずといった感じで「あぁ」とだけ返事を返して建物の中に入っていく。マドカは、様子がおかしい彼の背を見ながらゆっくりと後を追うのだった。

 

「いっくーーん!! お帰り!!」

 

 普段より三倍以上テンションが高い束と、コーラ瓶を持ったクロエが出迎えるが。一夏は疲れた様子で部屋に戻っていく。

 

「いっくん…」

 

「一夏様…」

 

 閉ざされた部屋の扉を見て束が不安になり、クロエもいつもならすぐに飲み干してしまうコーラを手に取らない一夏に同じく不安になっていた。

 

 一方で、一夏は自室のベッドに横になり古い本を眺めページをめくる。

 

「…」

 

 織斑家の両親の部屋に隠してあった本を何度も読んだ後、本を傍に置いて目を閉じた。

 

(親父…お袋…これに書いてあるのは本当なのかよ…だったら、俺は、いや俺たちは…)

 

「何があった」

 

考え事に夢中になっていると、ノックもなしにマドカが部屋に入っていた。いつもなら見分色の覇気であたりの様子などすぐにわかるのだが、今の一夏は覇気に集中する余裕もなく、こうしてマドカの侵入を簡単に許してしまっていた。

 

「まぁ、いろいろとな」

「...それが、原因か?」

 

 マドカの言うそれとは、ベッドに置いてある本の箏だろう。マドカは一夏の断りもなく本のページをめくる、すぐに本を閉じ一夏を見る。

 

「なんなんだこれは?」

 

「親父達の部屋にあった。どうやら親父の日記らしいけどな」

 

「意味が分からんぞ、どうしてこんな物でお前がそこまでなる」

 

 本の内容はわかっていないが、マドカは自分より圧倒的に強いはずの一夏がこんな状態になった箏に怒りながら問い詰める。こんな古ぼけた本、いや日記がどうしてこの男をこんなに悩ませているのか。マドカは理由が聞きたくていつの間にか一夏の胸倉をつかんでいた。

 

「…前に話したような、俺が海賊だったの。そん時にな、金と権力に腐った連中がいてな、そいつら世界を作った家族とかなんやらでとにかく最悪の奴らだった」

 

「それと、今のお前とどう関係する?」

 

「もしかしたら、俺たちはーー」

 

 

 夕暮れの部屋の中、一夏がマドカに何かを告げた。

 

 マドカは、一夏の言葉を聞きいつの間にか胸倉をつかんでいた手を放しベッドに力なく横になっている一夏を見る。

 

「…それが、どうした…」

 

マドカが口を開く。

 

「そんな箏関係あるか…お前が海賊だろうが何だろうが、私よりも力があるだろうが」

 

「マドカ?」

 

「そんなお前が、そんな無様な姿を…私を馬鹿にしているのか!!」

 

 怒りとどうしようもない気持ちがこもった叫びを放ち、マドカは部屋を飛び出した。そして、一夏は見てしまった。マドカの目に涙が流れて、いたことに。

 

「…たく、女泣かせちまった…」

 

 一味の中で女性に紳士であり、足技の元となった人物に心の中で謝罪するが。頭の中で怒りを露わして炎上しているコックと何故か女子供に人一倍優しい航海士の怒りの顔が浮かんでいた。もし、今の状態を二人に見られていたら、きっと怒るよな と思いベッドから起き上がる。

 

 マドカが何故泣いていたのか、理由はわからないがこのまま放置していては杯を交わした意味がない。もう一夏とマドカは敵同士ではなく家族なのだから。

 

 一夏は、マドカの部屋の前に立ち。彼女が中にいる箏を気配で感じ扉をノックした。数秒返事がなく、一夏はため息をつきながら扉を開いた。

 

「…なんの用だ…」

 

 ベッドの上で目を赤くし、視線をそらすマドカ。一夏は、マドカの前に立ち頭を下げた。

 

「すまん」

 

マドカは頭を下げた一夏を無視したが、すぐに口を開く。

 

「やめろ…そんな見苦しいものは見たくはない」

 

「その、俺も悪かった…あちこち行っておまえとあんまり話す機会がなかったから…それに、お前の中にあるナノマシン。束さんに解除の方法を頼んでいる」

 

「何?」

 

「俺も、連中の基地回って情報は集めていたけど、もう少しで何とかなりそうだから…」.

 

  申し訳なさそうに話す一夏を見て、マドカは驚いていた。先ほどの一夏の部屋で話した箏でなぜ彼が革命軍を追っていたのか理由が分かったが、まさか自分の中に仕込まれていたナノマシンの制御方法まで調べていた箏を知りマドカは

 

「おまえは…馬鹿だな」

 

「は、何?」

 

 突然の罵声に一夏がマドカを見ると。マドカの顔は笑顔だった。ここに来て初めて見せるマドカの笑顔に一夏は驚くが、すぐに彼も笑顔になっていた。その後、二人はベッドに腰かけいろんな話をした。

 

一夏は、冒険で起こった箏だけでなくこの世界に戻りしてきた箏を

 

マドカは組織にいたときの話を

 

 二人の間には緊張した空気がなく、まるで長年連れ添った兄妹のように見えた。そんな二人を部屋の外にいた束とクロエは安心した様子で見守るのであった。

 

 

 翌日。一夏達はマドカのISのある部屋にいた。

 

「こいつが…マドカのIS…」

 

「そう、いっくんの黒騎士の妹分である機体だけど、まだ名前が決まってないんだよう。ねぇ、何かないかな?」

 

「俺が決めていいのか?」

 

 操縦者であるマドカは何も言わない。一夏は少し悩んだ後、

 

「銀騎士…ってのはどうだ?」

 

 新たなるISの名を告げ、マドカは軽くうなずく。

 

 こうして、秋人達が知らないまま。兄妹の絆は深まり、新たなるISの名が決まるのであったーー

 

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