麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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四十七話 サミット

 IS委員会本部。日本海に作られた人工島に設置され、各国のISの管理や配備などを決める権限を持つだけでなく世界の軍や政治も動かせるほどの大きな組織でもあった。

 

この組織に所属している者はほとんどが女性で、よくテレビや議会などで姿をみかけるが彼女達の中には自身の持つ絶対的権力を元に自身のことしか考えていない者も少なくなかった。

 

 そして、この日。委員会本部で行われるサミット(世界会議)が開始される。ある国の政治家達はサミットを女達の無駄話と愚痴をこぼし、ある国の人々はこれからの世界の行く末について話合い。そして、ある組織達はすでにサミットの議事上の様子を見て笑っていた。

 

「ですから!! 革命軍など野蛮な組織などISで十分なのよ!!」

「それに、軍はいまだにテロを鎮圧できてないじゃない!!」

「たく、軍なんて金の無駄なのに…」

 

 大きな議事上ではすでに、会議が開始され騒がしかった。議題の内容が革命軍について話始めると、ISだけでは対応できないと誰かの発言から、軍が役に立たない、ISが封じられるなどデマなど まるで子供の言い合いのような光景を見て、変装をしていたファントム・タスクの一人。スコールがあざ笑う。

 

「こんなもんがサミットかよ?」

 

 同じく、変装しているオータムがスコールに聞くが黙ってその場から立ち去り、オータムも後を追う。二人の胸にはサミットの関係者を現す認証カードがあり、周りからは誰も疑われていない。

 

「オータム、彼らが動いても私たちは待機よ」

「はぁ? 」

 

 納得していない様子のオータム。実は、内心スコールも革命軍にあまりいい印象をもっていない。最近の世界中で起きている紛争は革命軍が作りだした強化兵と対IS用兵器グングニールがあらゆる国や組織に流していたのが原因だった。ファントム・タスクも最初は利害の一致などから一応協力をしていたが、最近の革命軍の動きは異常だった。テロリストも犯罪組織も革命軍の行動で被害を受け仕返しした者もいるが、逆に壊滅され捕まえた人間は何かの実験に使われたと噂が広がり、いつしか得体のしれない組織として誰も彼らに逆らおうとしなくなった。

 

 「くそ!! あいつらなんなんだ? 私たちの獲物まで奪いやがって」

 「それはすまないと思っている」

 

 と、二人の背後から警備服を着た男。サングラスをかけた、革命軍の一人ブラッドが静かに姿を現し、二人が身構える。

 

 「よせ、今はまだ動く時ではない」

 「そうね、でもいきなり声をかけたのはそっちでしょ?」

 

 「すまない」と再度謝罪するブラッド。オータムが殺気を出して睨む中ブラッドはもうじき自分達が動くのと、グングニールを使用中はISが使えなくなるため早めに退避するように忠告し静かにその場から立ち去った。

 

「くそ!!」

 

 舌打ちをするオータムをよそにスコールは目を閉じた。グングニールが発動すれば自分達のISも使えなくなり脱出できなくなる。強化兵もいない自分達ではどうすることもできないと考えた時、ふとある事を思いだす。数か月前に、一夏に連れていかれたマドカのことを。マドカには反逆防止のナノマシンが投与されているのだが、いつの間にか反応がなくなぅていた。おそらく束が解除したのか、または殺されたと思いしばらく気にとめていなかった。

 

「どうすんだよ!? スコール!?」

「…もう少し、様子を見るわ」

 

 二人は人気のない場所に行き、その後彼女達の姿は誰にも目撃されず時間が過ぎていくーー

 

 

 

 「A地点異常なし、引き続き警戒にあたる」

 

 会場の周辺を監視する秋人。箒たちとはバラバラで行動することになり、今はどこかの軍に所属しているIS乗り達と行動をしている。彼女達は顔には出さないが、内心では秋人を観察したり、男がISなんて などの感情があり秋人はそれらを無視しながら辺りを見る。

 

 会議が始まり一時間以上が経つが大きなトラブルはない。あるとすれば大勢のテレビ局が押し掛けたり、反IS派のデモが会場から離れた港や世界のあちこちで行われているなどだ。 

会場にいるほとんどの人間は「敵なんてこない」と口にするが、すでに敵が会場にいることに誰も気づいていない。

 

 秋人は内心、もし敵を倒すことができなかったら一夏が と考え首を横に振った。誰もかしもが一夏のことを頼り、もはや自分を頼ろうとする人なんていない。それに、まだ安静にしている千冬のために自分がやらなければと気合を入れていると

 

「「緊急通信、IS部隊は所定の位置にただちに移動し状況を把握せよ!! 繰り返す!! ただちに…」」

 

 会場の周りにいた全てのISに緊急通信が流れ、それぞれの場所に急行する。

 

 そして、会場ではーー

 

「た、助けて…」

 

 議事上では悲鳴と苦痛の声が響き、多くの血が流れる地獄と化していた。先ほどまでISがあれば大丈夫と発言した者や、軍は役に立たないと発言した者達は額に一つの風穴が空き倒れている。

 

 「な、なんなの!! こ、こんなことをして、ただでは!!」

 

 一人、IS委員の女性が武装した一団に吠えるが短銃の弾丸を浴び大きな音を立てて倒れる。既に制圧された議事上の中心でブラッドはマイクを片手にまだ生きている者達に告げる。

 

「この会場は我々がすでに占拠した。貴様らには社会を歪めた罪を償うためその命を使わせてもらう」

 「ば、馬鹿を言うな!! IS部隊が来るぞ!!」

 「そうよ、私たちが償うことなんてない!!」

 

 反論する声に応えず、ブラッドは議場のモニターを部下達に操作させる。モニターには島とその周辺が映り、海から何かが出現した。

 

「グングニールを起動させろ」

 

 そう一言告げ、海から出てきた五つの卵の形をした機械が動きだした。島の異変に気付きどこからか来たISが突如動きを止め、そのまま海に落ちていく様子を見て会場にいる生き残り達や外にいるテレビ局や野次馬達が騒ぐ。

 

「これで分かっただろう、もうISなど必要はない…外との通信を開け」

 

 世界に向け回線を開き、ブラッドは会場を占拠したことや人質の存在を告げると、相手の声を無視して要求を述べる

 

「一つは、社会の歪みの根源であるISとIS委員会の即時解体。二つ目は 国民の血税を貪る「IS学園」の解体。そして、三つ目は…黒騎士と織斑一夏の身柄を要求する...これらの要求が応じられない場合、まだ生かしている委員達の死を世界中の者が目にすることになる。我々はテロリストではない。この世界を正す者だ」

 

 そこで、通信が切れ世界中が混乱と化した。革命軍がサミット会場を占拠したことはすでに世界に知れ渡り。報道機関は全て島に関する情報を発信し、ネットの世界でも事件についての書き込みがされていた。

 

「すげぇ!! IS委員会の本部を制圧だって!!」

「しかも、ISとIS学園の解体も要求って。無理だろこれ」

「まぁ、これでうるさいおばさんたちはいなくなるってことだな」

「でも、革命軍の言ってることは正しいよな。ISのせいで世界は歪んでしまったし」

 

 ほとんどが革命軍に対しての賞賛が多く、逆に革命軍に対して不信な発言をした者はすぐに叩かれる状態になり、事態はネットの世界だけでなく現実の世界にまで発展していく。

 

 とある国のIS広告の事務所では、ISは悪の象徴だと主張する団体から火を放たれ建物が焼き崩れ、ある学校ではIS関係者が家族にいることを自慢していた女生徒や教師たちが襲われるなど同様の事件が世界で起きていた。ISに関わった者、女が偉いなど歪んだ社会の思想を持つ者は排除せよと人々の意識が大きくうねりを上げ動いていた。

 

 ブラッドの要求からたった数時間しか経っていないが、世界は間違いなく狂気に侵されつつあり、どこかの宗教団体も「IS時代の終わりと新たな時代の始まり」と言い出し大規模な暴動も起き人から人へと狂気が止まらない。

 

 そして、革命軍の出した三つ目の要求にあった一夏の身柄要求を受け軍や諜報部員が動き、ネットでも発見したと書き込みもあったがすべてデマかウソだったが、世界中が一夏を血眼に探していた。

 一方でーー

 

「くっ!! 白式が動かない!!」

 

 会場の敷地内にいた秋人らのISが動かくなったことと、突然の革命軍の出現に戸惑っていると武装した強化兵たちが現れ銃を突きつける。

 

「織斑秋人がいるはずだ、出てこい」

 

 ブラッドの副官であるエレンが前に出る。隊員達が自分達をどうする気だと声をあげるが、いくつかの銃声と力なく倒れる隊員を見て残りの者は口を閉ざす。

 秋人は覚悟を決め、エレンの元に歩き。すぐさま強化兵たちに拘束され白式を取り上げられた。

 

「貴様が、あの男の弟…」

 

 エレンは秋人をにらむ。秋人はエレンに臆せず隊員達はどうする気だと聞くが

 

「奴らはこれからの正しい時代に必要ない。この穢れた地と共に礎にするだけだ」

 

 とだけ告げ、秋人は気絶させられた。他の場所でも、会場の敷地に集められたIS部隊の者達がつかまりどこかに連行されていたが、一部だけ抵抗があった。ISが使えなくても異能の能力を得た鈴たちが次々と強化兵たちを倒し隠れ家を探す。

 

「くっ!! 敵がこんなにいるなんて…」

 

 バリアを張り迫る弾丸の嵐を防ぐシャルがつぶやく。こんなにも多くの敵が会場にどうやって入ったのか疑問に思うが、今は戦いに集中し、手を銃に変えたラウラと背中合わせになる。

 

「まずは、ここを突破する!!」

「うん!! セシリアと鈴も行くよ!!」

 

 蒼炎をまとうセシリアと、大気を弾き敵を圧倒する鈴もうなずきその場から移動する。

 その光景を、どこかで監視カメラの映像を見ていたオータム達や近くにいるブラッドが見ていた。

 

「ほう、あれが報告にあった異能の力か…」

 

 ブラッドの傍にいたガスマスクをした兵たちは枷がついた鎖を持ち出し、鈴たちに襲いかかったーー

 

 

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