麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

59 / 65
 気づけば5月に入ってしまい、まともに投稿できず、すみませんでした。

 また番外編とか出すかもしれませんが、なるべく本編の方進める予定です。


五十五話 新たな動き

 戦場と化したIS委員会から離れた、ある国の宇宙開発基地にて。

 

「エレン様、ISが数機。こちらに向かってきています」

 

「分かりました。敵は私が引き付けますので、あなた達は作業を続けなさい」

 

 緑色の長い髪を揺らし、いつの間にか会場から抜け出していた実行部隊の副官であるエレンは部下達に指示をし、一人基地の外に出て、エレンは撃墜された戦闘機やISの残骸を避け歩く。

 

 この基地は、宇宙に行くシャトルの開発や人工衛星の操作などが行われ、各国からの技術や資金提供もあり必然的に防衛にはISが使われていた。見張りの兵ですら、軍の最新装備が与えられるほど強固な守りがされていたが、たった一機のISがそれらを壊滅させてしまった。

 

「…アレックス、もう少しよ。もう少しで、この世界を…」

 

 エレンは首にかけているペンダントを掴み、目を閉じる。

脳裏に映るのは、蒼い空を駆けて町を爆撃する戦闘機。そして、悲鳴を上げ逃げる人々に向け銃口を向ける兵隊達。

 

 国の裕福層の者が自分達の事しか考えず、国民の貧困化が深刻となり、いつしか裕福層の者達を倒し自分達の平和を作ろうと国民が武器を取り紛争が起きた。国のあちこちで銃声や爆発が絶えることなく、まだ幼かった自分と弟のアレックスは瓦礫の山に身を隠し、何日も、何日も震えていた。

 

 両親は既に死に、姉弟は時には盗みや、爆破に巻き込まれた死体をあさり、生き抜くために互いに支えて生きていた。いつか自分達も平和に生きることができ、飢える事なく、学校に行って勉強もあたり前にできる、そんな世界が来ると信じていた。

 

 そして、ある日紛争が終結した。最悪の結果として。

 

 国の上層部は、自分達に歯向かう国民を一掃するため、友好国に軍隊の要請をした。

「凶悪なテロ組織撲滅」の名目の元、裏取引で要請を受けた友好国の軍隊による総攻撃で、町も人も消え去った。

 

 エレンとアレックスがいた瓦礫の山も、消え去りエレンが気づいた時にはアレックだったものがあり、幼いエレンはまるで獣のような叫びを涙と共に出した。

 

「来たか…」

 

 エレンが目を開け、自分に向かってくるリヴァイブ達を見てつぶやき

 

「行くわよ、アレックス。私達で、この世界を変えましょう!!」

 

 握っていたペンダントが輝き、蒼く翼をつけたISが出現した。数分後、基地の異変に気付き応援に来たリヴァイブの消息が消えた。そして制圧された基地内部で事態が動くーー

 

 

 

「はぁ!!」

 

 千冬が刀を一閃し、敵兵の武器を破壊する。背後ではマドカも慣れた手つきで兵士を黙らせていた。

 

「これで、だいぶ片付いたよな…」

 

 膝をついている一夏がつぶやき、三人は今、会場の議事堂にいて、あたりには革命軍兵士達が倒れているが全員生きていた。

 

「ちっ、勝手に動くな」

 

 マドカが一夏を睨み舌打ちをし、折れたナイフをその場に捨て、近くに落ちている兵士達の装備を取る。大勢の強化された兵士達との闘いで一夏達は武器弾薬はもちろん、体力もだいぶ消耗していた。

 

 特に一夏は、秋人に刺された傷から血が流れ座りこみ、千冬とマドカも汗をかき息が荒い。

 

 敵は一体どのくらい残っているのか? 鈴達は無事なのか? 時間が過ぎていくごとに不安が高まり、一夏は立ち上がろうとするがマドカに止められる。

 

 そして、千冬はもう敵がいないのを確認し刀を持ったまま、一人かすかに動いている兵士に見下ろす。

 

「お前たちの目的はなんだ? 派手に占拠して、それで終わりなわけがないだろう」

 

「ふぅ、う…お」

 

 千冬の声を聞き、若い革命軍兵士は焦点の合わない目を千冬に向け、口からよだれと泡を吐きながら口を開く。

 

「もう、すぐ…おまえたち、はおわる。I、Sのない、世界は、もうすぐ…」

 

 兵士はそう言うと、息を引きとり異変が起きる。男の体が粒子化し消えていき、やがて千冬たちが倒した他の兵士達も同様に粒子化し、議事堂では粒子が漂っていた。

 

「これが、力の代償か」

 

 千冬がつぶやく。兵士達を強化していた、ブラックホールから出る粒子は、高エネルギーの塊で人を確かに強化していた。しかし、体に入れられる量を超えて注入すると、体が耐え切れず細胞が崩壊してしまう危険性もあった。

 

 一部適切な量で、時間をかけ莫大な費用を使い改良を重ねた上で強化された兵は、弾やブラッドなど実行部隊の幹部や、地下で遭遇し、人形と化したガスマスクの兵ぐらいで、それ以外は「使い捨て」として許容範囲を超える粒子を入れられていた。

 

 議事堂では、粒子がきれいに空を舞う。しかし、これが人の命を弄び、そして何も知らず戦わされた哀れな人形達の末路と知っていた三人は何も言わない。

 

 一夏は待機状態である黒騎士を出すと、粒子が集まり出し吸収していく。だが、グングニールがまだあるせいで、粒子を吸収しても黒騎士は展開はできない。

 

「はぁ、このままだとまずいよな…」

 

 やるせないため息をつき、一夏がぼやいた。

 

「あぁ。それに連中がこのまま黙っているわけがない」

 

「やはり、グングニールを破壊すべきか…」

 

 ISの展開を阻害するグングニールを破壊できれば、外からの応援部隊が来て状況を変えることができる。だが、会場の外にあるグングニールは強固な装甲で作られており、IS以外の兵器の攻撃では破壊できず。さらにダメージを負っている今の一夏では能力を使って全てを破壊するのは難しい。

 

 三人は、兵達の持っていた端末を操作し情報を整理して作戦を練る。優先すべきはグングニールの破壊と、鈴達の救出。さらに。先ほど尋問していた兵が言った言葉。

「おまえたちはおわる」の意味が、一体何なのか知る必要がある。

 

「鈴…」

 

 今にも駆けだしそうな一夏を見て、千冬がため息をつきながら奪った端末を操作しマップを出す。マドカも、別の兵から奪った端末で情報を集め、これからの動きを模索する。

 

人質がほとんど解放されたとは言え、未だISの使えない状況では外からの援護など当てにはならい。やはり、ここにいる3人でどうにかするしかない。

 

「マドカ」

 

 千冬はマドカを呼び、傍に寄る。一方で、突然呼ばれたマドカは体を固くし、千冬を見つめる。

 

「私の変わりに…一夏を頼むぞ」

 

 千冬の言葉に、一瞬呆然となるが、マドカは力強く頷いて返事をし部屋から出て行こうとする。

 

「千冬姉ぇ?」

 

「お前は、お前の戦いをしろ。後は私がやる」

 

 千冬は、自分がどう説得しても一夏が止まらないのは分かっていたし、鈴達を助けるまで無茶をするのは見えていた。なら、教師として。姉として少しでも助けになるように千冬は動く。

 

「ちょ、待って!! 千冬姉ぇ!! そっちだってもう無理してるだろ!? それに、武器だって...」

 

「おまえが言うな」

 

 マドカが一夏に言い、一夏はマドカと千冬の顔を見てから

 

「はぁ、分かった。けど…」

 

 一夏は、傍にかけてある鞘に納められた光剣を手に取ったーー

 

 

 

 グングニールの制御室で、血を吐き出し床に伏せる弾。目の前で、起爆装置がブラッドに破壊され、何とか立ち上がろうとするがダメージのせいで体に力が入らず、目の前がかすむ。

 

「ぐぅぅ…」

 

「裏切ったのは、あの男のせいか? 昔の知り合いにあって、気が変わったのなら残念だ。お前なら、この腐り切った世界を変えた後の世界で「英雄」になれたかもしれない。」

 

「っ、はぁ…はぁ…」

 

 弾は首を横に振り、息を荒くして

 

「ちがう…これは…俺の、決めたことだ!!」

 

 弾は残った力で叫び、ブラッドを見つめる。これまで、革命軍の兵士の一人として、体を改造し、人の命を奪ってきた弾は、一夏と再会した。そして、心から許せる女性と出会い人としての「心」を取り戻すことができた。

 

 それが、今目の前にいる、無力だった自分を導いてくれた男を裏切り、人々から革命軍にいた悪人だと言われても、そして。この場で死んでも、友を助けようと行動した今の自分に誇りを持っていた。

 

「そうか、ならせめて私の手で終わらせてやろう」

 

 ブラッドは武装色の覇気をまとわせた鉄パイプを振り上げる。

 

 (すまねえ、一夏…鈴…虚さん…)

 

 弾が死を覚悟して目を閉じ、黒色の凶器が弾の頭に振り下ろされーー

 

 ドンッ

 

 銃声が鳴り、ブラッドが鉄パイプで弾丸を防ぎ銃口を向ける人影を睨んだ。

 

「…一体、何のマネだ?」

 

「とぼけんじゃねぇ!! 」

 

「私達に変な物を送ってよく言うわね」

 

 部屋の出入口に立っていたのは、地下空間で千冬と別れたオータムとスコールだった。

 

 倒れている弾は、一応二人の事は資料で知っていたが何故ここに? と疑問に思っていると、オータムが再度引き金を引き、ライフル弾が連射で発射されブラッドに向かう。

 

「そんな物で、私を倒せると思っているのか!!」

 

 ブラッドが吠え弾を鉄パイプではじく。さらに、超人並の足で走り、壁を蹴って回避する。

 

 「ちっ!! 化け物が!!」

 

 オータムが悪態をつくと持っていたライフルの弾が切れ、弾を補充する間、スコールが代わりに前に出て、サブマシンガンで牽制するがこれもかすりもしない。

 

 「くっ!!」

 

 手持ちの弾が無くなる中、ブラッドの動きが地下で戦ったガスマスク達以上だと分析し舌打ちした。ISが使えず、武器もろくにない。本来なら、千冬の忠告どうりに逃げるべきだったが、既に組織は革命軍に取り込まれてしまい戻る場所などない。それに、このまま尻尾を巻いて逃げる事は二人のプライドが許さなかった。

 

「愚行だな、どうやって生き延びたかは知らんが。何故逃げなかった?」

 

 高速で迫る弾丸を軽く体をひねってよけるブラッドが聞き、

 

「決まってんだろ!! てめぇをぶち殺すんだよ!!」

 

 と、オータムが叫び最後のマガジンを装着したライフルを構え、引き金を引いた。

 

「…まったく、ISと言うものはやはり、人を腐らせてしまうようだ」

 

 二人の射撃を受けながらブラッドは、つぶやき。それには怒りがこもっていた。

 

 カチン

 

「クソッ!!」

 

「弾が!!」

 

 最後の弾が切れ、ついに二人は攻撃手段を失ってしまった。

 

「遊びは、ここまでだ」

 

 ブラッドが上着を脱ぐと、体が漆黒に染まって筋肉が盛り上がっていた。手に持つ鉄棒を地面に何度も叩きつけ、穴が大きくなるごとに地響きが強くなる。

 

「そ、そんな…」

 

 オータムとスコールは後ずさり、弾は全身武装色に染まったブラッドを見て唇を噛みしめた。自分やオータム達が戦っていた時は本気でなかった事、そして。今の姿を目の当たりにし、もう誰もブラッドには勝てないと絶望した。

 

「まずは、お前からだ!!」

 

 ブラッドが弾に向け高速に移動し、弾はあきらめて目を閉じた。そして、黒色の凶器が弾を狙うが。

 

 キィィン

 

 鉄同士が激しくぶつかる音が響き、弾が目を開けると、刀と西洋の剣を持った女性が、ブラッドの一撃を防ぎ立っていた。

 

 「なっ!?」

 

 「織斑千冬!?」

 

 その場にいた者達が驚く中、ブラッドはその場から下がり

 

 「まさか、お前がここに来るとは思わなかったぞ。ブリュンヒルデ」

 

 「ずいぶんと弟と生徒達に厄介をしてくれたな...」

 

  千冬が構え、ブラッドが走り出したーー

 

 

 

 

 

 




 久しぶりの投稿で、表現がおかしくなってたらすみません。

 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。