ギンッ!!
千冬の持つ刀と光剣。そして、ブラッドの持つ鉄棒がぶつかり金属音が響く。
「はぁ!!」
「なめるな!!」
二人は叫び、互いの獲物で攻撃しながら人間離れをした動きで部屋の中を動く。千冬の剣が壁や床に大きな切り傷を作り、ブラッドの武装色をまとった鉄棒が壁や床に大きなクレーターを作る。
そんな二人の戦いを見て、オータムとスコールの二人は化け物とつぶやき。床に伏している弾は、自分がさっきまで戦っていたブラッドは本気ではなかった事を知り唇を噛みしめた。
(俺は、俺は...何もできないのかよ...いや、まだだ...)
少しだけ体力が回復した弾は、床をはいずりながら爆弾を仕掛けたグングニールに近づく。この部屋にあるグングニールは会場にある全てのグングニールの中枢となっており、これを破壊すれば全てグングニールが機能停止になりISが使えるようになる。
(ただで死んでたまるか...せめて、一夏のために...)
ゆっくり、ゆっくりと這いつくばり前進し、数珠のように繋がれた爆弾を一つ手に取る。起爆スイッチは破壊されたが衝撃を与えれば連鎖で爆発が起きる。
「一夏...鈴すまねぇ」
弾は友人たちの名前をつげ、心の中で一人の女性。虚の事を思いながら目を閉じ、爆弾を握りつぶそうとしたーー
「何しんだよ、クソガキ」
右手に痛みが走り、気づくとオータムが弾の手を踏みつけていた。さらに、スコールが弾から爆弾を取り上げてしまう。
「な、返せ!!」
「馬鹿かテメェ。あたしらも巻き添えにする気か」
オータムは弾を睨む。さらに、スコールが弾に肩を貸しオータムも手伝い三人は部屋の出入り口に向け進む。
「な、なんで俺を...くっ」
「さぁ、気まぐれだと思ってくれていいわ」
そんな事を言うスコールやオータム自身も、弾を助ける理由が言葉にできなかった。弾が部屋を爆発させブラッドを巻き込めばそれで良かったはずなのだが、今はそんな気分ではなかった。
原因は一体何だろうか?
何度も一夏に挑み敗北したからか?
弟達を誘拐し、恨みがあるはずの千冬が自分達を助けてくれたからか?
このもやもやした気持ちの答えは見つからないまま、二人の戦いを背にし三人は進む。
「...流石だな、世界最強の女と言われる事はある」
「ふん、そんなくだらない事を言う余裕があるのか?」
一旦、距離を取り二人が口を開く。お互いに息は上がっておらず、戦いはまだ続く様子だった。
「このくだらない、茶番をしてさぞかし満足だろうな。そんなにISが憎いか?
隊長?」
「...貴様」
束のくれた情報の中にはブラッドの事もあり、既に彼の過去を知っていた。
某国の兵士であり、英雄であった事も。ISの登場により国から不要とされ切り捨てられた事から、社会や世界に対しての復讐者になり今に至る。
ブラッドが額に青筋を浮かべ、大きな音を立て壁に穴を開ける。
「ふん、ISが憎いくせにISを盗んでは使っての連中の思想など、所詮ガキの考えだろう? 不当に扱われただけで泣き叫ぶガキだよ、お前らは」
「黙れ!!」
千冬の挑発であり本音にの言葉に、ブラッドはポケットから怪しい色をしたアンプルを取り出し、自らの首に刺す。
「貴様だけは...」
ブラッドの筋肉がさらに膨れ上がり、武装色の漆黒の色がさらに増す。
「貴様だけは、俺の手で!!」
「ぐっ!!」
ブラッドが叫び、次の瞬間。千冬が吹きとばされたーー