5人兄弟とセカイの関わり方 天才音楽家編 作:エビデンス海老天むす
今日は杏からお店を手伝うと連絡があったので一人で練習を終え、WEEKEND GAREGEに向かっていた。
その途中、たまたま謙さんとすれ違った。
仁剛「あれ?謙さん?お店はいいんですか?」
謙「おお、仁剛。今は仕入れに行こうとしてたんだ。お店は杏任せてある。バー営業まで戻らない予定だからな。忙しくなったら手伝ってやってくれないか?」
仁剛「わかりました。じゃあ、バー営業までお店でゆっくりしてますね。」
謙「ああ、カフェオレでも頼んでゆっくりしててくれ。あ、そうだ。お客さん、怖がらせるなよ。」
仁剛「怖がらせる、ってどうゆう事です…っていない……」
謙さん言葉が分からず聞き返そうとするとそこにはもう謙さんはいなかった。
俺はそのことを疑問に思いながらWEEKEND GAREGEについた。そうすると聞いたことのない歌声が聞こえ、不審に思いながら中に入っていった。
WEEKEND GAREGE
中に入るとウエイトレス姿の杏と宮女の制服を着た女の子がいた。誰だろうか。
仁剛「杏、入るぞ〜」
杏「あ!仁剛さん。私ね、ついに相棒を見つけたの!」
杏は俺と出会う前からずっと探していた。RAD WEEKENDを一緒に超えるために一緒に突き進んでくれる相棒を。
仁剛「おめでとう、杏。君が杏の相棒ちゃんかな?俺は九十九 仁剛。普段はいろんな楽器を使ってる。よろしくね。」
俺は杏の相棒ちゃんに向けて自己紹介をする。
女の子「わ、私、小豆沢 こはねって言います。よ、よろしくお願いします。九十九さん。」
仁剛「名前でいいよ。よろしくね、こはねちゃん。」
杏「こはねはね、すっごく歌が上手いんだよ。だから、私と一緒にRAD WEEKENDを、超えたいって思ったの!」
仁剛「良かったな、杏。いい相棒が見つかって。こはねちゃん、杏のことをよろしくね。」
こはね「は、はい。がんばります。」
すると俺の後ろのドアが開いた。
カラン♪コロン♪
杏「いらっしゃ……あ、彰人と冬弥か、」
後ろを振り向くとオレンジ色の髪で髪を崩し黒ジャケットの下にパーカーを着た少年、東雲 彰人と、髪の毛は紺と水色のツートンカラー白のTシャツに灰色の上着の少年、青柳 冬弥がいた。たしか二人で『BAD DOGS』と言うユニットを組んでいたはずだ。
彰人「こんにちは白石さん。今日もお邪魔するね。」
杏「いらっしゃい。いつも来てくれてありがとうね。」
彰人は俺をみるなり頭を下げて挨拶してきた。
彰人「仁剛さん。お久しぶりです。最近イベントであまり見てないので心配してました。」
仁剛「おう、二人とも。最近のイベントは出てないだけで大体見てるぞ。大学が忙しいから落ち着いたらまた参加する予定だ。」
冬弥「そうだったんですね。また、ご一緒できたら嬉しいです。」
仁剛「そうだな〜また近々イベントがあるから出てみようかな〜、こはねちゃんも出てみる?」
こはね「え?わ、私?私は…
彰人「君見ない顔だね。はじめまして、俺は東雲 彰人。こっちは相棒の青柳 冬弥、よろしくね。」
こはね「は、初めまして。小豆沢 こはねです。」
冬弥「敬語は使わなくていい。」
冬弥はそっけない態度を取る。こはねちゃんは少し怖がっていた。
杏「この二人は私と同じ神校の一年だよ。二人とも父さんのファンなんだ。BAD DOGSって名前で歌ってるから、近くのハコでやる前とか後とか、たまにうちに寄ってくるの。」
彰人「白石さんともこと店とも、中学からの付き合いだね。」
こはね「中学?てことは中学からのイベントに?すごい!」
彰人「あはは、出るだけならそんなにすごくないよ。誰でも出られるからね。」
彰人はフランクに話しかけながら話題を変えていく。
彰人「そういえば白石さん。いい加減仲間は見つかった?そろそろ誰かと組んだ方がいいんじゃない?」
彰人は声のトーンを下げ、続ける。ちょっと威圧しすぎじゃないか?
彰人「本気で『RAD WEEKEND』超えを目指すならさ。」
と、彰人はドヤ顔相棒マウント(仁剛命名)をした。いつもはここで杏がマウントを取られて終了だが今日の杏には切り返す手札がある。
杏「ふふ、いいタイミングで聞いてくれるじゃん。実は見つかったんだ!しかもついさっき!」
冬弥「さっき?」
彰人「それってもしかして」
杏「そう。こはねが私の相棒。今日一緒に歌ってみてわかったの!」
彰人「白石さんがそう言うってことはかなり歌えるのかな?小豆沢さん今までどこでやってたの?」
ここでこはねは無意識に爆弾を投下した。
こはね「えっ?い、いえ……まだイベントに出たこともなくって……音楽の授業でしか歌ったことが……」
ほとんど未経験で杏を一目惚れされるほどの歌声を持ってるってことか。それはすごいな。それにしても『音楽の授業』ってw音楽の授業を馬鹿にしているわけじゃないが音楽経験者しかいないこの空間でよく言えたな。人によってはキレても文句言えない。俺は面白いから笑いを必死に堪えてるんですけどね。
彰人「え?」
杏「え!イベントの経験ないんだ。それであんなに歌えるなんてすごいよこはね!」
彰人「へぇ……」
見るからに彰人が不機嫌になる。少しキレてるじゃん。
杏はそんなことお構いなしに続ける。
杏「人前だってきっとすぐなれるって。そしたら、彰人たちにだって絶対負けないよ。」
彰人がさらに不機嫌になっていく。
彰人「じゃあさ、ちょっと提案なんだけど、二人とも、イベントに出てみない?」
こはね「え?い、イベントに?」
こはねちゃんが驚く。当然だろう。今日急にチームを組んでそこからさらにイベントに誘われている。
彰人「うん。二人ともせっかく組んだわけだし同じ目標を持つ者同士いっしょにイベントに出ようよ。俺たちが来月に出るイベント、出演者が一組出られなくなって枠が空いてるんだ。場所はREDってライブハウスだ。どう?」
正直言って、出ない方がいいと思う。二人はまだ組んだばかりだしこはねちゃんは初心者。いくら1ヶ月あると言っても流石に無理がある。具体的に言うならもう二、三ヶ月置いてからの方がいいだろう。でも杏なら絶対に断らない。
杏「REDか、たしかにあそこなら小さめだし、初めて出るにはいいかもね、こはねせっかくだし出てみない?みんなに私たちの歌を聞いてもらいたいし。」
こはね「でも、来月なんてそんなに急に。大丈夫かな?れ
杏「大丈夫!来月だったら割と練習できるし、それに私もいっしょだしね。」
ノリノリな杏。だがこはねちゃんからしたら心配しかないだろう。ここは少し出しゃ張るか。
仁剛「俺は反対だ。組んで1ヶ月でイベントに出るなんて無謀だ。1ヶ月で完成できるほど音楽は簡単じゃない。二、三ヶ月後でもいいんじゃないか?」
だが、その言葉をひっくり返したのは意外にもこはねちゃんだった。
こはね「いえ、大丈夫です。私も挑戦してみたい。です」
おいおい、そんなこと言ったら俺が反対できないじゃん。まぁ、ここは流されておこう。
仁剛「当の本人がやるって言うなら止めないけど…」
彰人「じゃあ決まりですね。話は俺から通しておくよ。」
杏「オッケー。誘ってくれてありがとうね。彰人。」
彰人「どういたしまして。同じイベントに出るのは初めてだし、楽しみだな」
こうして、杏とこはねちゃんは無意識に二人からの挑戦状を受け取っていた。そのことを感じていた仁剛はとても不安だった。