ユクモ村ハンター ジル・ローレンツの場合   作:繊細なゆりの花

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第4章  ハンターという仕事

 天暦102年 王都から西へ4里地点の砂原東部

「サラ、何読んでいるんだ?ずいぶん古い本だな」

 

『「世界の始まり」よ』

 

『ああ、その本か。俺もばあ様から毎日、夜寝る前に読み聞かされたっけ。「今の生活が出来るのはご先祖様のおかげよ」ってな。耳にタコが出来たわ!!』

 

「スチュアートが本だなんて、なんか変ね」

 

「お前、俺の事どう思っているんだよ」

 

「どうって… …下品で馬鹿でど変態」

 

「じゃれるな2人とも。任務中だぞ」

 

「任務ったって、こんな広い砂漠、何か来たらすぐわかるって。カーライルは真面目すぎるんだよ。石頭」

 

 最後の余計な一言でカーライルはピキッたが、我慢した。

しかしスチュアートはそんなカーライルを気にせず無謀にも言葉を繋げた。

 

「あー毎度の事ながらこのピーカンのくそ暑い砂漠を横断しなきゃならないなんてな。俺商人の家に生まれなくて良かったよ」

 

「だまれ、スチュアート。暑いのが分かっているなら少しはその口を閉じてろ。砂原護衛の任務は初めてでは無いだろ。毎回同じ台詞吐きやがって」

 

「そうよ。スチュアート。カーライルの言うとおり毎回それ言われると気が滅入るわ。オアシスまでもう少しだから辛抱してね」

 

「勘弁してくれよ。かーちゃん見たいなこと言わないでくれ」

 

 このラドナ砂原は西部と東部でかなり地形が異なっている。

西部は乾燥した荒野、東部は熱砂漠になっている。

彼らは王都ガリムのハンターギルド(同業者組合)から依頼された商隊護衛の任についていた。

 〔「憤怒を狩る者達」Anger hunter〕の異名を持つ彼らの名は伊達ではなく、パーティーでイビルジョー50体討伐の記録は、この国内で未だ破られてはいない。

 その実力が分かっているから、商人達もこの無駄口の応酬を注意できないでいる。

 

「そういえばサラ、お前んとこの娘さんはいくつになったっけ?しばらく会っていないけど」

 

「あとちょっとで5歳よ。だから… …」

 

「そうか、生誕祭か。めでたいな」

 

「そうなの。だからこの本を贈りたいなあって」

 

「ちょっとまて。サラに娘がいるなんて聞いてないぞ?」

 

「スチュアートに言ってないもん。狙いそうだし。でも2人とも生誕祭は是非来てね。カーライルが顔見せてくれたら娘も喜ぶわ。スチュアートは… …やっぱり来ないでね」

 

「何で俺そんなに嫌われているわけ?」

 

「さっきも言ったじゃん。下品だから。下ネタ言うし。来ないでねって言うのは冗談だけど本当に変な事しないでよ?」

 

「5歳のガキに何するってんだよ。わーったよ。名前はなんてーんだ?」

 

「ジル。ジル・ローレンツ。この子が大きくなる頃にはこんな危険は少なくなってもっと生活が楽しくなる世界が来て欲しいの。」

 

補足 移動手段はガーグァ。耐熱効果が高い溶岩獣の上鱗をふんだんに使用したフードを被せており、それらは、砂の色に塗装してある。擬態&反射用の砂漠専用(白色だと反射しすぎて敵に狙われやすくなるため)

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