格上殺しの召喚士「おい、デュエルしろよ」   作:ぺんぺん

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何時もの日常なのだ

「おはよぉ~」

 

「あらなのは、おはよう」

 

「おはようなのは」

 

 私、高町なのは。五人家族の末っ子で私立聖祥大付属小学校に通うごくごく普通の小学三年生。

 それで最初に答えてくれたのは桃子さん。大人気喫茶店翠屋のパティシエで綺麗で優しい私の大好きなお母さん。その次が私のお父さんで一家の大黒柱である士郎さん。さっき話した喫茶店翠屋の店長さんです。

 

「ふぁ~」

 

「大丈夫か? 眠そうだな」

 

「あらあら」

 

「大丈夫大丈夫、道場のお兄ちゃんとお姉ちゃん呼んでくるね」

 

 私は若干お寝坊さんな目を擦りながら降りて来た部屋から二人がお稽古している道場へ行こうとしたけど、その前に誰かが入って来た。

 

「その必要はないぞなのは」

 

「そーだよ!」

 

「お兄ちゃん! お姉ちゃん!」

 

 その人は私が呼びに行こうとしていた高町恭也さんと高町美由希さんだ。

 

「今回は美由希が頑張ってくれたお陰で何時も以上に早く終わらせる事が出来たからな」

 

 私のお兄ちゃんは大学一年生のお父さんと同じでイケメンさん。お父さん直伝小太刀二刀御神流の剣術家でお姉ちゃんのお師匠様。

 

「お姉ちゃん、なのはと一緒に朝ごはん食べたくって頑張ったんだぞぉー!」

 

「にゃひゃひゃひゃあたまがー」

 

 そして私の頭を撫でるお姉ちゃんは高校二年生。最近では告白の回数が増えるほどの美人さん。お兄ちゃんの話によると剣の腕も凄いらしい。

 

「にゃははは、お姉ちゃん」

 

「ほら美由希、なのはに構ってちゃせっかく母さんが作ってくれた朝食が冷めちゃうぞ」

 

「はーい」

 

「ハァ……本当に美由希はなのはが好きだよな」

 

「だってぇー」

 

「せっかく頑張ってスクランブルエッグ作ったのに……だってって言う子にはあげません!」

 

「あぁ! まってまって食べる! 食べるからお母さん待って!」

 

 家族皆仲良しさん。世間で言う不仲な家族関係とはかけ離れた家族なのです。

 

「ん~、かーさんが言うだけあってこのスクランブルエッグは最高だな!」

 

「でしょ。特にこのチーズとトマト、隠し味のバジルが良い具合なのよぉー」

 

 特にお父さんとお母さん。この二人はまるで新婚夫婦のようにベッタベタ。

 

「美由希、リボンが曲がってるぞ」

 

「お兄ちゃんこそネクタイが曲がってるよ」

 

「っげ、ホントだ……」

 

 お兄ちゃんとお姉ちゃんも。異性の兄弟は仲が悪くなるって言うけど、家は関係ないみたいで仲良しさんです。そんな家族に囲まれてて私はもちろん愛されている自覚はあります。けど────

 

「にゃははは……」

 

 ────この一家の中でなのはは少し浮いているのかもしれません……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクセルシンクロォォォォォォ!!!!」

 

 

 ……まぁあの子よりマシかもしれませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらなのは、もうお迎えが来たわよ」

 

「今日は何時もより早いな」

 

 ピーンポーンっとドアベルの音が鳴って私が出る暇も無く、ぴかーんっと目を光らせてお姉ちゃんが素早く対応。

 

「き、来たぁぁぁぁ!!!」

 

「ちょ、美由希ッ!」

 

「お姉ちゃんまた!?」

 

 っというより我先にと玄関へ向かうお姉ちゃんを止める事が出来ず疾走。お姉ちゃんは今、風になったのだ……

 

「っていっけなぁい!」

 

「追いかけるぞなのは!!」

 

 私とお兄ちゃんの頭に嫌な予感が過り、急いで追いかけようとするけど────

 

「きゃああ可愛いぃぃぃい!!」

「や、やめ、止めろぉぉぉ!!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁこの妖怪モリンフェンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 

 

 一歩、遅かったの。

 

「っく、教祖様……」

 

「きょ、きょうそ?」

 

 何故か悔しそうな顔を浮かべたお兄ちゃんは今度は見たくもない場面を見る人のように表情を変えた後、玄関へと続くドアをゆっくりと開けた。するとそこにはお姉ちゃんにがっちりと抱き着かれ、もがいてそこから抜け出そうと必死な男の子がいた。

 

「離れろぉぉぉお!!! このメガネ外した方が美人に見えるが、実際には眼鏡族には大好物な容姿をした残念美人がぁぁぁぁぁ!!!」

 

「私の事そんな風に見てたんだぁー うっれしぃー!」

 

「うぎゃぁぁぁぁ!!! 締め付けを強めるな! そんな行為、俺じゃなくてなのはに────」

 

 もがき苦しむあの子の顔が唐突に、ふっときょとんとした表情でその綺麗な金色の水色の瞳がこちらを向いた。

 

「な、なのは! 同士! 助けてくれぇぁぁ!!!」

 

 あの子の名前は百花 遊奇くん。ちょっと変わった趣味を持つ、私の友達です。

 

※※※

 

「いやぁー助かったよなのは、あのままだと俺は衰弱死してるところだったぜ」

 

「衰弱死? ってそんな大げさなぁ」

 

「いやいやいや。なのはにはそうかもしれないが俺にとってはそうなんだって」

 

 風を切りながら進む自転車。小学生ぐらいの男の子が女の子を乗せて走る姿は見る者によっては青春の一ページにも見えたかもしれない。けど……そんな感想、俺にとってクソだねクソ。

 どうも、自転車こいでASR(アクセルシンクロ)こと今世に転生した俺です。今世では名を百合 遊奇(かはく ゆうき)って名乗ってます。

 転生した俺は早い話で海鳴市に暮らすごく一般的な家庭に生まれ落ちた子供として暮らしています。まぁ、両親も今では飛行機事故とかで天国へ旅立って子供の一人暮らしって言う一般的とはお世辞にも言えない異常な状態ですけどねぇ! 

 オラぁ! 国の機関は一体全体どんな対応してんじゃゴラァ! 俺が前世持ちだったから特に問題は起こってないが、普通の子供って考えると異常だぞ異常異常! 偶に俺でも今の状況じゃ親の温もりとか欲しいぞコラァ! 

 

「んじゃ、自転車を駐輪場へ置きに行くから先にバスに合流して俺が来るまで待たせといてくれ」

 

「はーい」

 

 ハァ……ま、それも全て百合の絡みを見る為にと割り切っていれば問題無いけどな。ちょぉーっと学校関係で誤魔化すのが難しく、何かと不便だけど何とか普通に学校に通い、小学生をやれてまーす。

 

「O☆MA☆TA☆SE」

 

「んん、まだバスも来てないから大丈夫だよ」

 

 んでこの白色ツインテールな滅茶苦茶にフィジカルが強そうな幼女が今世での親友にして幼馴染の高町なのは。負けず嫌いで頑固者、でも人を思いやる心を持ったいい子だ。一つ惜しむ事があるとしたら百合百合している瞬間を何故か俺にだけは見せてくれないことぐらいかな。か、悔しい。

 

「……なら時間はたっぷり余ってるって事だよな」

 

「うん、そうだよ」

 

「なら、今からやるか」

 

 あ、そうそう。あと一つ、俺のとって百合の次に大事な事を忘れてた。

 

「ちゃんと予習復習はしてきたか?」

 

「もちろんだよユウキ君 今度こそは私負けないもん!」

 

「よろしい、ならば────」

 

 

 彼女はこの世界に存在する唯一、俺以外の────

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

 

────決闘者(デュエリスト)だ。

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