格上殺しの召喚士「おい、デュエルしろよ」 作:ぺんぺん
「デュエルッ!」
【Duel field Activating】
眩い光が視界一面に広がると俺の体はピカリン発光。体を何かが包むのを感じた途端、視界が晴れて俺は――――何処かに立って居た。
「え、なにコレ」
【Set language settings to Japanese――――これよりデュエルを開始します】
一面広がるはさっきと同じ空間、けれど色は違い紫などではなくて青色。そして何故か目の前にいる巨大ネズミは動きを停止しており、うっすらと俺の目には遊戯王の盤面がチラつき目の前の怪物がモンスターカードに該当する生き物だと瞬時に分かってしまった。
何て言うか自分の知らない知識を無理矢理インストールされた感覚……って言うのかな? 異物が俺の中で浸透し、身に覚えの無い知識が増えていく感覚は正直気持ち悪い。ってか、感覚的にこの俺の身に着けたこのデュエルディスクから流れ込んでるやがるぜ。
【デバイサーは手札を五枚準備し、対戦に備えてください】
「……デバイザーはその五枚と初手で引ける一枚足した計6枚でバトルフェイズに備えろ、と」
【Yes】
ってかこの流れ込んでくる知識を鑑みるに俺はかなりやべぇ、闇のデュエル並みの出来事に巻き込まれたみたいだ。
簡単に今から行うデュエルを説明するとこう。
持ち時間は全部で400秒。毎ターン100秒持ち時間とは別に配布されOCG版の如く流れはドローフェイズで始まりメインフェイズに移るとこまでは俺の知っている遊戯王と同じだ。だけどもこの間は何故かプレイヤーである俺以外の時間は止まっている。そしてその次であるバトルフェイズ。此処からは全くゲームの流れが違う。
バトルフェイズからは一定時間止まった時が動き始め、敵の攻撃を避けたりとまるでアクションデュエルかの如く動き回らなければならい。そしてその状態でもしモンスターがいたのならば俺へと直撃するすべての攻撃をその召喚したモンスターが肩代わりしてくれるが、召喚してなければ自身の保有する全8000ポイントのライフで攻撃を受け続けなきゃなんねぇって言うクソ仕様。んでこのライフポイントってのが自身の纏っているバリアジャケットなる防具の耐久度と連動してるからもし、ライフが0になった後に攻撃を受けたりしたら……即BAD END直行って訳だ。んー、クソ仕様過ぎて涙も出ねぇぜ。これらなまだコンマイ語の翻訳に頭を捻らせた方がマシだ。
「まぁつまり何が良いたいかと言うとこれから俺が引くデステニードロー、文字通り運命を決めるドローって訳だ……俺ってば誰に話してんだろ」
そんなことを考えるも俺は山札入れにセットされた山札に指を置く。これから俺の使うデッキはどんなデッキか、さっぱりわかんねぇ。もしかしたら屑カードと呼ばれるカード達で構成された紙束デッキかもしれないし、俺の前世の世界で猛威を振るっていた環境デッキかもしれない。……そしてあの白紙カードとモノクロカードが入り混じった謎デッキかもしれない。
「だけど、どんなデッキであろうカード信じていれば絶対に答えてくれる」
【デバイサーは手札を引いてください】
そうアニメでは、歴代主人公たる遊の付くデュエリスト達は言っていた。だから俺は、このカード達を信じる。俺の信じた、遊戯王カード達を信じる! そしてこんな場合、うってつけのセリフは、アレだ!
「かっとビングだぜっオレッ!」
カードを掴む。このドローは今まで引いて来たどんなドローよりも重い。命の賭けの、ドローだ!
「ドロォーーーッ!!!」
まず最初に引くは手札の5枚ッ!
……
……あのデッキでこのカード達かぁ。
ま、まだだ! まだ希望を捨てる訳にはいかない、俺にはまだドローフェイズが残っている!
【手札の存在を確認しました。ドローフェイズに移ってください。】
「コレが、俺のデステニードローだぁぁぁぁぁッ!!!」
ん~、俺死んだ。
「って、諦められっかぁ!!!」
【メインフェイズⅠ】
まだだ、まだあのルール的にモンスターを召喚さえしたらチャンスはある!
「俺はエルフの剣士を攻撃表示で召喚!」
パシっとデュエルディスクのモンスターゾーンにカードを設置する。するとモノクロだったカードは色付き、魔法陣が地面に現れる。神々しく、綺麗な魔法陣は幾何学模様を何十にも展開、やがては魔法陣の中心からその人物は現れる。
風になびくは緑色のマント。緑色の鎧兜を身に着けるその姿は歴戦の戦士、つまりはエルフの剣士その者であった。
俺はその姿を見てまるでソリットビジョンのようだと感動した。だけど、命の危機を思い出して出るはずの涙は引っ込む事に……かなちい。
【マスター、指示を】
「うぉ、喋った!?」
いや、待て。そういえばこのカードは全て神様直送の不思議カード。だったらカードに精霊が宿ってても不思議じゃねぇしそして何より俺がアニメで知ってる機械的な立体映像であるソリットビジョンとは違いあの幾何学模様を考えるに多分魔法か何かで実体化させてるんだ、喋りもするか。
「と、とりま今の目的はただ一つ、目の前の巨大ネズミをぶっ倒すぞ」
【御意!】
時が止まった状態でエルフの剣士は自身の剣を構える。その目は鋭く、過去に見た同士であるなのはの兄さんが剣を持った時の如く殺気のようなモノがこもっていた。
「メインフェイズⅠ終了、バトルフェイズへ」
【バトルフェイズに移行するまであと5秒――――】
罠や魔法を伏せようにもそんなカード一つも無いし、あっても多分白紙カードのどれかだろうから効果も分からず使う訳にも行かない。
【――4――3】
カウントが近づき、空気が張り詰められ重くなる。
【―――2】
何も握っていない手は汗ばみ、世界大会で経験した並みの緊張感が俺を支配していた。
【―――1】
けど、こんな感覚も。
「悪くない」
【――――0、バトルフェイズッ!】
『GAAAAAAAA!!!』
時は動き出し巨大ネズミが俺達へ襲い掛かる。だが、先ほどと違い俺には心強い仲間いる!
【させるかッ!】
そのかぎ爪を振り下ろす巨大ネズミだが、俺との間に割り込んだエルフの剣士がその自慢のロングソードで受け止める。
【やぁぁぁ!!!】
そして巨大ネズミを弾き飛ばすとそのまま目にも止まらぬ戦いへ発展、土煙や火花を時より散らせながら傍から見る限り互角の勝負を続けていた。
や、やべぇ。リアルデュエルってこんな感じなのかよ、テンション上がるなぁ~
【敵性存在の分析完了、反映します】
「え、そんな事できんの?」
流し込まれた知識に相手のステータスを遊戯王のルールに当て填めて表示できるってあったけどそんなにすんなり出来るもんなんだな。デュエルデスクのボタンをピピピっと記憶にある通りに操作すると宝石部分にステータスが表示される。
「あ、やっぱりコイツって分類的に巨大ネズミなのね」
デザイン的にはだろうなぁーって感じで考えたけどマジでそのまんまの名前だったとは思わなかったぜ。
「……ってか、このままじゃ勝負つかなくね?」
この特殊デュエルの戦闘においてカードに設定されている数値は単なる目安だ。確かに数値の優っている方が勝つ事に変わりないが同数値による戦いにおいては話が違う、その場合、戦闘するカード同士が保有する技量の差で勝負は決まるのだ。そして今回においてその同数値同士の戦いではあるんが……
「どう見ても技量も互角ですね、ありがとうございます」
【たぁぁああ!!!】
『GAAAAAAA!!!』
目が慣れて来たから分かった事だがあの戦いは接戦だ。持ち前の剣術で斬りかかるエルフの剣士に対し野生の勘であろうか、明らかにその動きを先読みして攻撃を叩き込む巨大ネズミ。
「アレ、ってかネズミの欄に折りたたまれてる項目ない?」
何となく、興味本位でポチーっと押してみるとどうやらタッチパネルも搭載されてたみたいで隠されている項目が展開された。
「ありゃ、何だこの装備カード」
何となく気になった俺は興味本位でポチっとその項目を押す。するとあの巨大ネズミに装備されたカードの詳細が出て来た。そして俺はそこに書かれている内容に目を疑った。
名前:ジュエルシード №
種類:魔法カード
分類:通常魔法
【効果】
装備されたモンスターの願いを叶える。
人生のコイントスに成功した場合正常に叶えられるが失敗した場合暴走する。
願いが強ければ強いほど装備されたモンスターは強力になる。
「な、何じゃこの無茶苦茶なテキストは!?」
このカード、ジュエルシードとか言う魔法カードみたいだけど変なカード過ぎんだろ。具体的な効果は一切書かれてないし、人生のコイントスってなんだよ! 普通にコイントスで良いじゃねぇか、バカにしてんのかぁ! 前世で見たオリカを含めてもここまで酷いモノは見たことがねぇ。
「お、落ち着け俺ぇ。今思い出したがこのデュエルは普通じゃねぇんだ、って事は普通じゃないカードが出来ても何処もおかしく無い……のか?」
チートカードチートカードと昔から言われてるアニオリのカードの中で酷い効果のモノでももっと具体的な効果を有してたぞ。
「ってか、そう考えると不味くね?」
普通じゃないカードが適応されるバトルならこのテキストも適応されるだろうし……
【くぅ!!!】
突然目の前に吹っ飛ん来てその場で膝を付くエルフの剣士。その様子は見るからに全身傷だらけでボロボロ、罅も入っている剣を杖替わりに何とか戦意を保っている状態だとリアルバトルに詳しくない俺でも一目でわかった。
『GAAAAAAA!!!』
そしてエルフの剣士が睨み付ける先にはあの巨大ネズミが咆哮を上げ、まるで自身の勝利を確信したかのよう頬の片隅を上げている。そしてその体の大きさは先ほど見た時より明らかに一回り大きくなっていた。
……攻防共に1300アップってマジ?
モンスターはボロボロ、罠も魔法も無い状態で俺はこれからどうなるのか分からない。白紙のカード三枚にシーホース、そしてなのはの大好きなモリンフェンのカード。この五枚のカードが俺に勝利の未来を見せてくれるかは空に見えたピンク色の一筋の光が物語っているようだった……って、なんだあのメガ粒子砲ッ!?