それから5年。勇次郎はひたすらにトレーニングに打ち込んだ。あらゆる技の会得、異種生物との闘争、知識の獲得。普通の子とは確実に違う事から、親からは捨てられはしたが彼にとっては有難かった。それからは更にトレーニングに励み僅か5歳で、素手のみでイノシシを倒し食べるような生活が続いていた。しかし、久しぶりに町に出てみると、どこか誘われるように路地裏へと進む。そして、勇次郎はいつの間にか樹木の生い茂る場所へと迷い込む。そう、その迷い込んだ場所こそ冥界であり、勇次郎の今いる場所は冥界の中でも特別危険な森である、『アラバキラルの森』である。その森には、様々な生物や高ランクのはぐれ悪魔が住み着くような森。しかし、勇次郎はただ進む。特に警戒心を抱くことも無く。もしかすれば、強い奴に会えるかもしれないという期待を持って。
少女「キャアアアア!!」
勇次郎「ん?今のは悲鳴か…?つまり、何かに襲われている…!!」
勇次郎は走った。新たな獲物の元へ。その姿はまるで、デパートで走り回る少年のようだった。悲鳴の元まで辿り着くと、黒髪の少女が襲われる寸前であった。その襲っている生物は、上半身は人間ながらも下半身バッタのような下半身を持ち、顔は2つある異形だった。異形の名前は、『コルローガ』。S級はぐれ悪魔であり、『騎士』の駒を使っていた。だが、そんな異形を見ても勇次郎は構わず全体重を乗せた飛び蹴りを食らわす。勇次郎の体重は現在32キロあり、他の5歳児とは違い戦闘で培った筋肉がほとんどだった。
コルローガ『グガァァァ!!ガキだと…?俺に攻撃するとはなぁ…。てめぇも食ってやるよ!!』
勇次郎「くっくっく…。喰うのは貴様じゃない。俺だ。」
そこからは一方的だった。コルローガは『騎士』の駒を最大限に発揮しているのにも関わらず、勇次郎は追い付き、殴り蹴り折り噛む。コルローガの肉体は転生前よりも硬く強くなっているはずなのに攻撃が当たらない。次第に恐怖が這いずり回るようになる。
コルローガ『な、なんだよ、このガキは…!!なんで当たらない!なんで避けきれない!なんでなんでなんで!!』
勇次郎「この程度か…。つまらん。失せろ。」
そして勇次郎はたった1発のパンチで終わらせた。本来の子供ならそうはいかないが、戦闘狂であり地上最強の生物となる者のパンチは簡単にはぐれ悪魔を消し去る。
ソーナ「あっ…あっ…あっ…!」
勇次郎「…」
セラフォルー「ソーナちゃん!!」
ソーナ「お、お姉たま!」
セラフォルー「もう!急に走り出したりして!ここは危ないって言ったでしょ!ここにははぐれ悪魔が…」
ソーナ「あ、あの子がはぐれ悪魔を倒したの!」
セラフォルー「え?」
その時、セラフォルーと勇次郎の目が合わさる。魔王と鬼の初めての邂逅であった。