サイラオーグ「ふん!」
冥界での真夜中。サイラオーグは1人でトレーニングをしていた。闘技大会の際に受けたオーガからの掌底。威力は五体に刻まれ恐怖を覚えた。自身がどれだけ弱いかを思い知らされる一撃。こんなものでは自身の眷属も民も冥界も守る事は出来ない。もっと。更なる強さを手に入れなければいけない。そう思わせるには劇薬な程の一撃。
クイーシャ「サイラオーグ様…。それ以上は…」
サイラオーグ「クイーシャ…。分かっている。これ以上のオーバーワークは自身を滅ぼすと。しかし、それでも俺は…」
クイーシャ「サイラオーグ様…。いえ、サイラオーグ。私はあなたの友として。眷属として言わせてもらうわ。今のあなたでは範馬勇次郎氏からも罵倒されるだけよ。」
サイラオーグ「なんだと…?」
クイーシャ「オーガが1度あなたを認めた時には愛があった。けれど、今はどう?目的は変わっていないとしてもそこに愛情は無いわ。今のあなたはバアル家の他の者達と同じよ。」
サイラオーグ「…」
クイーシャ「私は昔のあなただったからこそ眷属となった。昔のあなたなら心から信じられた。それなのに今のあなたはどう?ただ、オーガに褒められようと力を付けているだけ。私は今のあなたが大嫌いよ。」
サイラオーグ「俺が…オーガに褒められたいだけ…?」
サイラオーグの胸にクイーシャの言葉が響く。今まで馬鹿にされ続けた悪魔生。そんな時、初めて。それも、地上最強の生物と呼ばれる範馬勇次郎に認められた。彼は無意識のまま、また褒められたいと思っていた。そして、クイーシャに言われるまで絶対に気づく事は無かった心。そんな自分をサイラオーグは恥じた。
サイラオーグ「すまない、クイーシャ…。俺は言われるまで気付かなかっただろうな…」
クイーシャ「元に戻ったようですね。サイラオーグ様、私達はあなた様を誇っています。あなた様の眷属で良かったと思っています。ですから、お願いです。私達を失望させないで下さい。」
サイラオーグ「そうか…。約束しよう。俺はお前たちの期待に応える!これからも俺に着いてきてくれるか?」
クイーシャ「当然です。この身、この魂を私達はあなた様に捧げます。ですから、その愛を二度とお忘れなきようお願いします。」
サイラオーグ「ああ。だが、未熟な俺だ。もしかしたらまた失ってしまうかもしれん。その時は…」
クイーシャ「その時はあなたを殴ってでも思い出させますのでご安心を。」
サイラオーグ「ふっ…。俺の眷属は頼もしい。頼むぞ、クイーシャ。」
クイーシャ「ええ。もちろんです。なんせ、私はあなたの女王なのですから。」