八坂「遠路遥々、よう来てくださいました。オーガ殿。」
勇次郎「女狐が何の用だ?」
八坂「回りくどいやり方は好きではありません。なので率直に言います。私達妖怪と友好条約を結んでいただきたい。」
勇次郎「ほう?一勢力がたった1人の人間とか?」
八坂「ご冗談を。あなたはたった1人の人間とは、お世辞にも呼べませぬ。あなた1人でこの世の全ての勢力の力を持っておられるでしょう?」
勇次郎「…俺への利益はなんだ?」
八坂「友好条約とは申し上げましたが、実質単なる主従関係。例え、我々妖怪が滅亡の危機であろうとオーガ殿のプライベートを優先しましょう。そして、我々妖怪を下僕の様に好き勝手出来る。これ程の好条件は無いと思えますが?」
勇次郎「なら、俺より強い奴を探せ。それなら考えてやる。」
八坂「それは…」
勇次郎「出来なければこの話はなしだ。」
勇次郎はそのまま立ち上がり部屋を出ていく。その瞬間、八坂は1つため息を付く。あれ程の化け物が実際に存在した事実に落胆を見せる。
八坂「しかし、良い男子…。如何なる雌をも落とす力を持っているとは…」
女とは強さに魅入る。それが異形の者であれば尚のこと。しかし、何故か今日は側近が居なかった事に疑問を覚えた。何時いかなる時でも側にいると聞いていたが今回は違った。
八坂「それにしても、オーフィスよりも強い存在…。そんなもの、この世界に存在するのか…。いや、異世界等というものがあろうとも、無限を超える者などいるのか疑問か。」
八坂は煙管を咥え、1つ煙を吐く。煙は全て不可能と言うかの如く、風に運ばれ見えなくなる。
上役「セラフォルー!魔王を辞めるとはどういう事だ!?」
セラフォルー「あら、そのままの意味ですわ。もう、私に出来ること等ありませんもの。」
上役「後釜はどうするつもりだ!?まさか、見つけず辞めるつもりではあるまいな!?」
セラフォルー「もちろん、決めておりますわ。レーティングゲーム2位の実力を持つ『ロイガン・ベルフェゴール』ならしっかりと務められます。私よりも確実に。」
上役「し、しかし…!」
セラフォルー「あら?今まで散々文句を言ってきたのにこういう時だけは駄々を捏ねるのですね。」
上役「貴様!!シトリーがどうなってもいいのか!?」
セラフォルー「私は先週限りで、シトリー家より絶縁を言い渡された身ですわ。そうなれば、何も言えないでしょう?」
上役「セラフォルー…!!」
セラフォルー「それでは、おじ様方。今までお世話になりました。」
セラフォルーは1つ頭を下げて執務室を出ていく。扉の前にはサーゼクスが1人立っていた。
サーゼクス「セラフォルー…」
セラフォルー「ごめんね、サーゼクスちゃん。もう、私は好きに生きるって決めたの。」
サーゼクス「まさか、絶縁までしているとはね…。君の覚悟は本気というわけだ。」
セラフォルー「もちろんよ。それじゃあ、サーゼクスちゃん。またね。」
セラフォルーは荷物を纏めて、冥界の首都『ルシファード』を後にする。目指すはオーガの元。彼女もまた、鬼神に魅入られた1人だった。