グレイフィア「離しなさい!!」
グレイフィアは抵抗の手を緩めることはしない。無駄だと分かっていてもそれしかする事が出来ないからだ。
アザゼル「心の底からのサディストめ…!!」
アーシア「ひ、酷い…!!」
勇次郎「全くもってはしゃいでいやがる…。この、褒められたがりが。」
この言葉にグレイフィアの心は揺さぶられる。違うと言うかのように蹴りを入れようとするもその瞬間に思いっきり投げられる。無事に着地し向き直った瞬間に腹部へ蹴りを入れられ血反吐を吐きながら吹っ飛び着地にも失敗する。心が折れそうになりながらも顔を上げると既に勇次郎がおり、顎への蹴りをくらい後ろへ倒れる。その瞬間にゲオルグの作った結界にヒビが入り、サーゼクスとクローディア、その他の上級悪魔が入ってくる。
サーゼクス「リアス、アザゼル!無事…」
クローディア「ぐ、グレイフィア…!!」
勇次郎「突いて終わるか、踏んで終わるか…。少なくとも予想以上に楽しめた。」
勇次郎が拳を握ると同時にサーゼクスも勇次郎へ滅びの魔力を放とうとする。魔力が発射される前に目覚めたグレイフィアはすぐさま立ち上がり、その魔力の持ち主の顔へとハイキックを行う。
サーゼクス「うぐぅ…!」
クローディア「サーゼクス!グレイフィア、あなた、何を…!?」
クローディアはグレイフィアの顔を見た瞬間に言葉を止める。その顔は激怒とは生易しいまでの表情だったからである。銀色の髪は逆立ちオーラも怒りで乱れる。
サーゼクス「わ、私は君を…!」
グレイフィア「ふざけた事を言わないで…。これは、私と彼との戦い…。あなた達は一切関係無いのだからすっこんでなさい!!」
護衛の上級悪魔達はどよめく。守ろうとした事で一喝される異常な光景。しかし、同時に理解する。次、邪魔をすれば確実に殺されると。
グレイフィア「…お見苦しい所を申し訳ありませんでした。」
勇次郎「構わん。再び始められる喜びここまでとは思ってもみなかったぞ。」
グレイフィア「(そう来ることは知っ…)」
クローディア「え?」
勇次郎が一歩踏み出そうとした瞬間にグレイフィアは0.5秒の隙を狙おうとするも勇次郎に先を越されて、先程とは逆にお辞儀をする様に倒れる。
勇次郎「そう来ることは知っていた。」
勇次郎はそのまま足刀を放つも躱され、蹴りを放つも躱される。グレイフィアはあらゆる箇所から血を流しながらもボロボロとなったメイド服のポケットに両手を入れている。
グレイフィア「よーいどんで勝てるなら、最初からそうしていたわよ。それが出来ないからこうするの。私は弱いわ…。だからこそ、探って探して誤魔化すしかないの…。それを許して。」
勇次郎「いいぜ。付き合ってやろう。」
グレイフィア「え?」
勇次郎はグレイフィアに近付きながら自身も両手をポケットに入れる。そして、グレイフィアの目の前に力強く立つ。
勇次郎「0.5秒、意識のトリガーの奪い合い。付き合ってやる。『決断発動』前の0.5秒前を掴みたいグレイフィア。掴ませまいとする俺。恋人として受けて立とう。察知して見せろ、全力の抜拳を。」
本人達以外には決して理解出来ないゲーム。それでも自身との格の違いを知っている他人。両者以外にも莫大なまでの緊張感が漂い始める。