タンニーン「な、なんだ!?その構えは!?」
勇次郎「俺による、俺だけの、俺のための構えだ。行くぞ!!!!タンニーンよ!!!!!」
勇次郎は魔力等は使えない。否、使えたところで決して使う事などありはしない。それは何故か…。不純物であるからだ。奥義、極意、秘伝、ウェート、スタミナ…。あらゆる創意工夫は全てが不純物。闘争と力みこそが最大の純粋物。男もまた、そう感じていた。あらゆる戦闘技術を持っていながらも、使う際は戯れの時のみ。そして、その考えこそが彼を地上最強の生物たらしめる要因となる。
勇次郎「ふんっ!!!!」
タンニーン「ぐぅっ!!!」
勇次郎が放ったのは誰でも放てるパンチ。女子供であろうと、弱者強者であろうと誰しもが使える技術等ほぼ皆無のパンチであるが、威力だけが違った。10tはあろうタンニーンの体を浮かせる程の強すぎるパンチ。この1発のパンチで、タンニーンの体は致命傷を受けたということになるが、それだけでは終わらない。着地したところに顔へハイキックを入れ、よろめいた所に首に捕まり投げつける。会場は打撃音のみが響き、観客も司会も審判も、過去の大戦を生き残った魔王でさえも言葉を失う光景。人間が…それも子供が魔王クラスの実力を持つタンニーンを追い詰める。こんな異常な光景があるはずがない。これは夢である。誰もがそう思いたかったが、打撃音はそれを決して許さなかった。
タンニーン「グゥゥ…」
勇次郎「まさか、もう終わりじゃねえだろうな?まだまだ始まったばっかりだぜ?これだと、前座にもなりやしねぇ…」
タンニーン「(こ、これが前座にもならないだと…!?これ程の闘いをしておきながら…!!!!)」
勇次郎「…が、楽しめたのは事実。これ以上求めたところで無駄だろうがな。」
勇次郎はタンニーンの顔へ全力のパンチを入れ、そこでタンニーンは意識を手放した。審判は腰を抜かし小便を漏らしている。もう、使い物にはなるまい。
勇次郎「勝負ありと言った所だろう!退場させてもらうぜ。」
勇次郎はタンニーンに背を向けてその場を後にする。そして、観客達はその背中を見て驚愕する。服を着ているにも関わらず、その背中には鬼神の顔がハッキリと映し出されていたのだから。
ヴェネラナ「…」
セラフォルー「…どうしでした?叔母様?」
ヴェネラナ「怪物なんて生易しいわね…。どうやったら、あんな生物が誕生するか知りたいくらいよ。」
セラフォルー「彼の家族構成を調べましたが、特に裏への関わりはありませんでした。まあ、彼は特別であり突然変異とも言えるでしょうね。」
ヴェネラナ「明日の冥界の朝刊はどうなるかしらね…。朝刊だけじゃないわ。この闘いは冥界全土に中継されているもの。彼は引っ張りだこね。」
セラフォルー「そんな事があったら、冥界は滅びてしまいます。やろうとした時点で止めますわ。」