SCP財団の報告書的な物を書いてたら英霊になったんだが???   作:我等の優雅なりし様を見るや?

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No.2 閲覧要求セキュリティクリアランス・3の続きからです



No.4 閲覧要求セキュリティクリアランス・3

膝をついたロマニは、率直に言って今の状況を恥じていた。

カルデアの地下へとその身を自ら幽閉し、新しい人類の歩みへと干渉しない事を表明した『管理者』に対し、

己は今人類の無力さを表明しようとしているのだ。

 

 

“貴方が自らの組織を崩壊させてまで、光の中へと送り出してくれた人類はやっぱり貴方無しでは何も出来ませんでした!”と言っている様なものである。

嗚呼、本当に不甲斐ない。だが、それでもやらねばならない。今やカルデアはあやふやな可能性の中を揺蕩う次元間の孤島だ。使用できるリソースが限られている中、魔術のまの字も知らなかった様な少女に全てを託し、7つの特異点を修復しなければ成らない。

そうだ。恥を何だと言うには、既にこの組織は恥を積み重ね過ぎている。

ならばそれが如何に恥ずべき事だったとしても、カルデアという組織の長としてロマニ・アーキマンは彼に助けを求めなければならないのだ。

 

 

「どうか、『管理者』よ……私が差し出せるものは何でも対価として差し上げます。どうか、このカルデアを───」

『ロマニ・アーキマン。何か勘違いをしている様だ』

 

 

ロマニの言葉を途中で遮っていたのは、古びたマホガニー製の椅子からピクリとも動かなかった『管理者』だった。

その声は低いバリトンの様な声でもあったが、少しでも意識をその声から逸らすとハスキーボイスの様にも聞こえる。老人の皺がれた声の様でもあり、子供の溌剌とした声の様でもあった。

だが、その異常としか言えない声は何処か自分達を優しく包み込む様な気配をも伴っていた。

 

 

その声を聞いたロマニは身を固くする。

その発言は彼にとっては死刑宣告にも等しいものだったからだ。だが、当然とも言えよう。彼は既に世界を幾度となく救ってきた組織の最高責任者だったのだ。

そして彼はその身と財団を引き換えに、世界を光の元へと送り静かに永遠の微睡にその身を委ねる筈だったのだ。

その相手に対し、今更何を対価にもう一度世界を救ってもらおうと言うのだ。厚顔無恥も甚だしい。

だが、次いで掛けられた言葉は彼の予想とは違うものだった。

 

 

『世界を救うのは元より財団の務めだ。

私の作った物は未だ此処にある。であるならば、私が居る地こそが財団だ。

下知を下すが良い、カルデアの長よ。それが私とマリスビリーの契約だ。』

 

 

ロマニの目から温かいものが零れ落ちる。

嗚呼、間違いない。彼が、彼こそが。間違い無く、かつて世界を救う為に存在していた財団の長なのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

【収容霊廟・サイト-0】

アフリカ大陸の中部に位置する、地下数百メートルに及ぶ超巨大迷宮。

過去に4回、此処の所有権を巡る聖堂教会と魔術協会の抗争が行われるも、第四次抗争にて表層区画がその余波で一部崩壊。

 

其処に収容されていた一部の【オブジェクト】が収容を突破し、双方に大規模な損壊を与えた。

後に聖堂教会からは【Abel】、魔術協会からは【怒れる被害者】と名付けられたその実体は、当時既に隠遁していた元魔導元帥『キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』によって一度は殺害されたものの、その後も同区画に収容されていた石櫃から復活し戦線を拡大。

 

 

神秘の秘匿の漏洩が時間の問題となりかけていたが、同事件発生の三時間後【収容霊廟・サイト-0】の未踏破区域から出現した数十体の人型実体によりオブジェクトは殺害、問題の石櫃も彼等の手により地下の未踏破区域へと再収容された。

彼等は自らを【機動部隊・アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")】と名乗っており、彼等が『管理者』の残した自律型魔術礼装なのかは議論が進行中である。

 

 

同事案を受け、聖堂教会及び魔術協会は同地を非武装地帯と設定。

年に数回、両組織の志願者による内部の探索が実施される事となった。

 

 

 

 

 

《ある日の主人公》

ふと気付いた事がある。

現在、危険なオブジェクト達を収容する巨大区画を地下に建設中なのだが、彼等が対外的要因で収容違反を発生させる事について何も考えていなかった。

うーん……全ての区画のドアや壁を【保全】で破壊不可能にする事は出来る。だが、それで良いのだろうか。

仮にそれをしてしまうと、この区画は完全にSCPオブジェクトの博物館と化してしまう。それでは面白くない。

もっとSCPとは恐ろしく、ピリピリしていなければ成らないのだ。

だが、だからと言って収容違反を成すがままにしてしまえばこの区画を作った意味がない……

 

 

と言うわけで、機動部隊を作る事にした。

意識は存在していないが、簡単な受け答えと自分の所属を名乗るくらいの機能は付けておく事にしよう。

任務は勿論、収容違反を発生させたオブジェクトを数時間くらいしたら再び収容する事。

これで財団が舐められることもないし、SCPオブジェクトの世界観も後世に伝える事ができる。

うーん、私は天才ではなかろうか。己の発想が自分で怖くなる今日この頃である────

 

 

 

 




・固有スキル開示
【未観測の救世主:A】
その偉業を見た者は居らず、ただその功績を安寧なる世界が伝えるのみ。
故に、彼より後に生まれた者は彼を深く認識する事ができない。それが例え千里を見通す者や、真実を暴く者だったとしても。
《効果》
経歴、及び身体的特徴の認識、思考の読み取りの阻害




SCP-076 http://scp-jp.wikidot.com/scp-076 執筆者:Kain Pathos Crow(原著), DrClef(改稿)
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