SCP財団の報告書的な物を書いてたら英霊になったんだが???   作:我等の優雅なりし様を見るや?

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『朝起きたら日刊ランキング入っててビビりました。失踪しない様に頑張ります……』
           ─05-T(このTはThank youの意)


邪教汚染竜百年戦争オルレアン
No.5 閲覧要求セキュリティクリアランス・4


燃え盛る、都市を見た。

 

 

巨大な、凡そ自然界のルールに則って居るとは思えない爬虫類が逃げ惑う人々を喰らい尽くすのを見た。

 

 

本来愛玩されるべきテディベアを、まるで悪趣味な芸術家が台無しにする為に生み出したかの様な数多の人間の耳で構成されたテディベアが無人の都市を我が物顔で歩き回るのを見た。

 

 

死神に呪われた哀れな老人を、三つの矢印を二重の円で囲んだシンボルを付けたヘリが人口密集地へと移送するのを見た。

 

 

何故だ。何故こんな事が起きている。彼等は───財団は、何故人類を見捨てたのだ。

分からない、分からない、分からない……

 

 

嗚呼、『どうして?(Why?)──────』

 

 

 

 

「───んぱい!」

 

誰かの、声が聞こえる……もうちょっと……寝かせて欲しいの……に……

 

 

「先輩!起きてください!もうすぐブリーフィングですよ!」

「ふぇ⁈」

 

 

愛すべき後輩の手が自らを揺り動かし、眠りから完全に覚醒するのを感じる。

寝ぼけた眼で周囲を見渡すと、壁に掛けられたデジタル時計は予定された時刻の5分前を指し示していた。

急いで上体を起こし、自分の体温で温められた毛布を跳ね除けるが、肌へと押し寄せる仄かな冷気に身を竦ませる。

 

 

「えっと……マシュ、おはよう!」

「おはようございます!早く着替えてください、先輩。ドクターやダ・ヴィンチちゃん。それとルーラーさんを待たせてしまいますよ。」

 

 

私は藤丸立香。

この前まで普通の女の子で───今は、人類最後のマスターだ。

つい先日、このカルデアの地下にずっと住んでいたルーラーさんに協力してもらう事になった。

ルーラーさんは、中学生の頃に歴史で習った『財団』の創始者の人らしい。

流石は英霊召喚……初っ端から超凄い昔の人と出会ってしまった。『財団』の事は歴史に余り詳しく無い私でも知っている。

 

遥か昔、人類が誕生する前に存在していた超古代高文明。そして、今も世界中に散見される『異常』からこの世界を守る為に崩壊したと考えられている組織だ。

こんなネームバリューの凄い人が私達を助けてくれるなんて!

ルーラーさんとマスター契約を結んだ私でもルーラーさんのステータスの全てを見る事は出来ないけど、

きっと物凄く強いんだと思う。

私も、それに頼りきらない様に頑張らなくちゃ!

 

 

気合を入れる為に、むん!と自分の頬を軽く叩く。

そんな自分の横顔をブリーフィングルームへと行く為に、廊下を共に歩いていたマシュが不思議そうに眺めていたので、少し恥ずかしくなって頬を赤らめる。

すると、マシュが思い出したかの様に話しかけてきた。

 

 

「そうだ、先輩。先程、少し魘されていた様ですが……」

「うーん……何だかすごく嫌ーな夢を見てた様な気がするんだけどなぁ……

もう忘れちゃった。ま、悪い夢なんて内容はとっとと忘れちゃうに限るよ!」

 

 

そうこうしている内にブリーフィングルームへと到着する。

ドアが横へとスライドして開き、ブリーフィングルームの中にいた3人が此方へと視線を向けた。

 

 

「おはよう!立香ちゃん!よく眠れたかな?それじゃあ、早速ブリーフィングを開始しようか。」

 

 

 

 

 

「───以上が、君達が特異点でしなければならない事だ。」

「特異点の修復と、聖杯の回収……」

 

酷く、自分の発している言葉に現実味が感じられない。

ついこの前まで、普通の女の子だった自分にこんな事が出来るのだろうか。

前回の特異点、冬木でも自分は一杯一杯だった。本当に私が世界なんて……

 

 

『そう気負う事はない、マスター。』

 

静寂を保ち壁にもたれ掛かっていたルーラーが、相変わらずその声質を捉えさせない声で私へと突然告げた。

 

 

『いつだって世界を救ってきたのは、前進する意志が有る者達だ。

それは我々とて例外では無かった。そしてマスター。君は自分を過小評価している様だが、私は君が前回の特異点で成し遂げた事を知っている。

君は────前に進める人間だよ。』

 

 

今まで、何度も世界を救って来たであろう『財団』を背負っていた彼が投げかけてくれた言葉はとても照れ臭く、それでいて私に勇気を与えてくれた。

 

 

「ルーラーさんの言う通りです、先輩。

私は、先輩の前へと進もうとする意志に何度も助けられました。先輩なら、きっと成し遂げられるはずです!」

「マシュ……」

 

 

私の顔を笑顔で見つめるマシュに、自分の心が奮い立つのを感じる。

そうだ。私は逃げちゃいけない。退路を探しちゃいけない。私は、ただ。人類最後のマスターとして進み続けるだけだ。

それが……藤丸立香がしなくちゃならない事なんだ。

 

 

「それじゃあ立香ちゃん、マシュ。早速だが、レイシフトの準備をして構わないかい?」

 

私は静かに頷く。最早迷いなんて無い。私は、私にできる事をするまでだ。

 

 

コフィンと呼ばれる筒の中にその身を横たえ、隣のコフィンに寝ているマシュと笑顔で眴を交わす。

コフィンのガラス越しにルーラーさんが此方へと話しかけて来た。

 

 

『既に君と契約している私は、本来ならば君が召喚サークルを設置しなければ君とは行動できない。

だが、私のスキルによってその必要は無くなっている。精一杯サポートさせてもらうよ。』

 

 

彼が話し終えると同時に、部屋へと無機質な合成音声のアナウンスが響き渡る。

さぁ、行こう。世界を救う第一歩だ。

 

【アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します】

 

 

【レイシフト開始まで、3.2.1───】

 

 

【全行程、クリア。グランドオーダー 実証を開始します】

 

 

 

 

 

 

 

眩い閃光に包まれてからしばらく。草の香りとさわやかな風に頬を撫でられながら目を開ければ、そこは頭上の光が眩しい小高い丘だった。

同時に、後ろで二人分の足音が聞こえる。

 

「……ふう、無事に転移できましたね。先輩」

 

マシュが戦闘用のデミ・サーヴァントの服装へと移行し、此方へと話しかけてくる。

だが、それを遮る様にしてルーラーさんの声が私達へと呼びかけた。

 

 

『マシュ、マスター、アレを。』

 

 

彼が指差す先には、天空に浮かぶ巨大な光輪が浮かんでいた。

視界の届く限りの空を包み込み、その光は太陽に勝るとも劣らない。ロマニが通信で焦った様に言う。

 

 

『これは……少なくとも、1431年にそんなものがあった記録は無い。

此れは明らかに衛星軌道上に展開された何らかの魔術式だ。』

 

 

そんな声を聞きつつ、ふと再びルーラーさんの方をチラリと見やる。

彼は相変わらずの焦点が合わない顔をしていたが、その空を眺めている様はとても悔しげだった。

手は握り締められ、ずっとその光帯を眺めている。

それもそうだろう。彼が救ったはずの世界は再びこんな風に歪められ、貶められている。私はより一層、この任務へと掛ける思いが強まるのを感じた。

 

 

 

 

 

はぁぁぁ……

どうも、『管理者』こと私です。なんでそんなに落ち込んでるかって?そりゃもう、あの『光帯』ですよ。

もう、本当に悔しい。何が悔しいって、私は結局宇宙等に配置されるはずだったオブジェクト達を配置できていなかったのだ。

私が巨大な龍を喰らい尽くして手に入れたこの現実改変能力は、地球外では作用しにくい。

この力で思いっきり宇宙へとぶち上げても、衛星軌道上に着く前に力が減衰して落ちて来てしまうのだ。

全く、本当に腹立たしい。この事件の黒幕で有るゲーティアには後でノウハウを聞き出さねばなるまい。

 

 

こんな事を考えていると、どうやら我等がマスターは現地住民──フランス兵とコンタクトを取ることに成功した様だ。

だが、結果は思わしく無い。狂乱した彼等はその手に持った槍の穂先を我々へと向けたのだ。

……おっと、マシュ嬢の凄まじい盾による峰打ちが炸裂した。あれはド突いているのと何が違うのだろう。

此方へと向かって来たフランス兵達は、丁寧に私が羽織っていたコートから伸びた触手で絞めておく。

これは私の作品の一つ、【袖の多いコート】。又の名をSCP-262。

私は私の作品の全てを呼び出せるわけでは無いが、『管理者』と関連付けられている物、或いは財団の根幹に深い関わりがあると見做されているものは

召喚できるのだ。

 

しかし……ん?おや、懐かしい物が見えるな。アレは確か───

 

 

 

「何だ……敵では、無いのか。」

 

 

錯乱して私達へと武器を向けたフランス兵の人達をなるべく穏当に沈め(マシュが峰打ちと言い張ったアレはどう見てもシールドバッシュと呼ばれる物だった)

話を聞くことに成功していた。

彼の話を聞くに、大幅に普通の歴史から乖離している。100年戦争は今や何処にも無く、シャルル7世はジャンヌダルクに焼き尽くされた。

そして、彼女とその付き人が召喚した物達が彼等を苦しめていると言う────

 

 

「くそッ!来やがったぞ!お前ら、松明と油持ってこい!槍やら剣は通用しねぇぞ!」

 

突然、砦の中に響く怒号。

近くにいた兵士達が手に手に火を持ち、正門へと駆け出していく。

 

 

「またかよ…!肉の野郎ども、最近襲撃の頻度が上がってやがる!」

 

 

彼等を追いかけ城壁の上から目にした物は、酷く醜悪な光景だった。

身体にまるで生きた生肉を貼り付け、高熱に浮かされた様な人々が此方へとゆっくりと歩みを進めている。

まるでゾンビ映画の一幕を切り取り、現実へと投影した様な光景に思わず吐き気が襲う。

フランス兵達が油を染み込ませた布を投げつけ、火矢を射掛けるも数が多すぎる。

ジリジリと其れらは此方へと近づき、硬く閉ざされた正門を引っ掻き始めた。

 

 

「マシュ!」

「はい、先輩!」

 

 

私が呼びかけると、マシュは軽々と城壁を飛び降りその盾による一撃を醜悪な肉の怪物達に叩き込む。

常人───否、例え魔術によって使役されていた者だったとしても、サーヴァントの一撃はかなり堪える筈だ。

だが、其れらは少しよろめきはする物の依然として健在だった。

 

 

「ダメだ!嬢ちゃん!そいつらは火を掛けねぇ限り死なねぇんだ!」

「そんな……!」

 

 

後退りするマシュ。既にフランス兵達は火矢を使い果たし、なす術がない。

絶望の暗い雰囲気が辺りを覆った瞬間、突然声が響いた。

 

 

『───【001提言】起動。ゲートガーディアン。

マシュ嬢、下がり給え!肉の教徒共とは山ほどやり合った!』

 

 

城壁から飛び降り、突然その身を燃え上がらせるルーラーさん。

だがそれは彼を焼き尽くす物では無く、四枚の羽根を形作り、手には巨大な燃え盛る炎の剣が握られていた。

 

 

「天使、さま?」

 

 

フランス兵の思わず漏れ出したといった様な声を、振われた豪炎の一太刀が遮った。




英霊としての主人公はSCP財団が使用した技術、或いは転用したSCPオブジェクト、管理者と縁のあるSCPオブジェクトを自らの力の一部として行使出来ます。
その例外が【001提言】であり、財団の創始及び根幹に関わる是等は『管理者』たる主人公が宝具の一部として使いこなす事ができます。


因みに、主人公は001提言のオブジェクトを全て完成させた訳ではないですが、しっかりと報告書だけは残していた為に後世の宗教観や文化に多大なる影響を与えています。



SCP-610 http://scp-jp.wikidot.com/scp-610 執筆者:NekoChris
SCP-682 http://scp-jp.wikidot.com/scp-682 執筆者:Dr Gears
SCP-1048 http://scp-jp.wikidot.com/scp-1048 執筆者:researcher-dios
SCP-1440 http://scp-jp.wikidot.com/scp-1440 執筆者:Photosynthetic
SCP-5000 http://scp-jp.wikidot.com/scp-5000 執筆者:Tanhony
SCP-262 http://scp-jp.wikidot.com/scp-262 執筆者:The Administrator
SCP-001 クレフ博士の提言 http://scp-jp.wikidot.com/dr-clef-s-proposal 執筆者:DrClef
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