《主人公脳内》
はい、くるっと登場、青肌の貴公子蛮族スタイル「僕」こと「クルガン」です。
いやー、早いもんで現在10歳!世界地図でも南の方に位置する多腕族の村《シヴァリシュ村》の戦士見習いです。
これまでのことをサラッと説明していくゾ!
まず、転生した場所についてですが、ここ『ヴァラキア帝国』じゃないです。
それどころか、『リゼロ世界』ですらないっぽいです。
理由としては、この世界では異形の生物を魔物ではなく、モンスターと呼ぶこと。
そして、オドやマナといった概念が無く、『ある事』をしなければ魔法を使う事ができないこと。
次に『魔女』という存在が無く、『魔女教』もまた存在しないこと。
最後の理由は『ある事』と関係している。
それは『神』と呼ばれる存在がいること。
なんでも、神の眷族にならなければ魔法は使えないそうだ。うん、正直ね、ホッとした。
理由としては、もし憑依転生だった場合、
まあ『剣鬼』と闘えないのはちょっと残念ですけどね?
おっと、話が逸れちゃいました。
それでこの世界の説明の続きですけどね?
成り立ちとしてはめちゃくちゃ要約すると、その昔、ここ下界に神々が娯楽を求めて遊びにきたそうな。
その後、「世界の中心」と呼ばれる「迷宮都市オラリオ」に住んで、馬鹿でかい塔を建てて眷族を作り人と共に過ごしているそうな。
以上がこの世界に来てから学んだことです。
そして5歳の頃、この世界での目標を立てました。
それは、「クルガン
自分で考えたはずなんですがなんというか.....ありきたりですよね。
それで目標を目指す中で1番の問題....それは技術。
いくらクルガンの身体を持っていようと、技術が無ければ宝の持ち腐れです。むしろ腕が8本ある分以前より操作しにくい。
なので、少し前から多腕族の戦士の中でも村長の護衛を任されている父親に闘い方を習っています。てか腕3本で護衛任されてる父親はマジに強いです。剣だけならユリウス、体術だけならガーフィールとタイマンはれるんじゃないかな?
そんな父親と今日はこれから対人戦の特訓です。
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《主人公視点》
「さあクルガン、今日は対人戦をするぞ!木刀を好きなだけ手に取れ!」
父は木刀を立てかけている壁に指をさしてそう言う。多腕族は腕の数に個人差がある。そのため、剣を何本持つかは人それぞれ違うのだ。
「うむ。では、
父は苦笑いしながらこちらを見ている。礼儀がなっていなかっただろうか?
「あ、ああ。なんだ...その.....。いつものことなんだが.....クルガン?お前は成長が早いとはいえまだ10歳なんだ。もう少し砕けた喋り方でもいいんだぞ....?」
そう。父はたまにこういったことを言ってくる。まあ分からんでもない。身長が170cmあるとはいえ、10歳の子供がこんな風に喋ってたらこんな反応にもなる。自分の子供なら尚のことだ。
「父よ。いつものことだがこれが此方である。どうしてもと言うのなら矯正するのもやぶさかではない。だが父は以前『強さとは形から入ることも大切だ』と言っていたはずだ。」
「形から入るというのにも限度があるわ!むしろ力入れすぎて形だけ極めてるだろう⁉︎」
すまん父よ。
「そんなことより父よ。訓練はせんのか?」
「ああ!すまんすまん!では、何処からでもかかって来い.....ッ!」
父の筋肉が強張っているのがぱっと見で分かる。ちなみに父は身長が195cmある。身長が高い者が多い多腕族の中では平均より少し高い程度だ。
「では......参る.....ッ!」
先ずは初手。普通の人間と同じところに生えた両腕に持つ木刀で袈裟斬りを父に放つ。
父はもちろん防いだ。しかも木刀一本でだ。腐ってもクルガンの身体だ。腕力は一般的な子供と比べることすら烏滸がましい。大人の熊ですらモロにくらえば失神するだろ。
続いてに背部と脇部に生えた4本の腕でラッシュをする。闘いを知らない者からは目で追うことすらできないであろう力の具現。
しかし父は.....
「ぬぅ.....ッ!(廻し受け.....⁉︎)」
父は4本の腕を全て廻し受けで捌く。この世界に空手の概念は無い。なのにも関わらずなぜ
父は意識してやったわけでは無く、長年の訓練の甲斐あって、身体が自然と動いたのだ。実際の生死を賭けた闘いの経験は無い父だが、それでも対人戦において右に出る者は居なかった。
「ハ、ハハ....。相変わらず凄い力だな....。だが......ッ!」
そう言うと父は、逆立ちのような体勢になり高速で回転しつつ蹴り込んでくる。
ブラジルにあるカポエィラという技術に似たこの技は、多腕族でも腕の少ない父の編み出した戦闘技法だ。基本的に腕を駆使して闘うことの多い多腕族からすれば足を使うこの技は想定外の事態だ。
クルガンは何度かこの技を受けているが、それでも未だに慣れることができなかった。
「お前の筋力はそこらの下手な戦士よりも上だ。だがそれに頼りすぎるのはお前の悪癖だ!そして!」
そう言いながら父は二足歩行の状態へと瞬時に戻り、四つん這いになり、威嚇する猫のような姿勢になる。
すると父の服が破け、背部から剣が現れる。父の多腕族としての3本目の腕は背部の肩甲骨と肩甲骨の間から生えている。そのため使い勝手は悪いが、常人にはできない視覚外からの奇襲を可能にしていた。
クルガンは思わないところから攻撃が来たため仰反った。
「想定外の事態に弱いのもまた悪癖だ。.....俺の勝ちだ。」
「.....参った。」
多腕族は手数が多いため、多腕族同士の場合、常人の何倍もの速度で戦況が動く。その為、早期決着となることが多かった。
「なぁクルガン?お前は10歳だとは思えない程に強い。正直、3本目の腕を使わされるとは思わなかったぞ。今でも十分戦士としてやっていける。このまま鍛錬を続ければ20歳になる頃には今の俺なんて敵わない程強くなるだろう...。だが試合中と敗北後のお前からは焦りが見えた。...お前、何を目指してるんだ?」
クルガンは思わず目を見開いた。はっきりとは分かっていない様子だが、それでも目標があることがバレているとは思わなかったのだ。
「....父は以前、この世界にはありとあらゆる神物が来ていると言ったな?」
「ああ。そうだな。あの話をした時からお前の様子は一変した。」
「ならば、この世界には戦を司る神が存在するのもまた道理だ。」
「.....そうだな。」
「...此方は、それを倒し、神の座を手に入れたいのだ。」
そう。この世界にはたくさんの神がいる。ならば戦の神。タケミカヅチなどのいわゆる軍神がいるのもまた事実なのだ。そうすることが『闘神』となる最短の道だとクルガンは思った。
「....うーん。『子供の言うことだ。』と思って笑いながらも応援してやるのが本来の親の役目なんだろうが.....。事が事だし、お前のことだ。それなりの覚悟と自信を持って言ってるんだろ?」
「....うむ。」
「....そうか。なら、クルガン。お前、訓練を続けて、限界が来たと感じたら、オr「....アナタ?何をしているの?」....ゑ?」
父の背後には、雷門の風神雷神もびっくりな顔をした、母・アイリスが立っていた。
「訓練する時、それも3本目の腕を使う時は服を脱ぐように言ってましたよね....?その服、誰が縫い直すと思ってるんです.....?」
「...後でお話しましょうね?」
有無を言わせぬ威圧感を持った微笑みが父を襲う。だが父も一家の大黒柱だ。そんな簡単に折れるタマではない。
「.....いや、そのだn「いいですね? 」.....ハイ。」
《悲報》一家の大黒柱、折れる。
「クルガン?訓練疲れたでしょう?ご飯作ってあるから食べなさい。」
先程とは違った優しい微笑だ。
「....うむ。」
1番強いのは母のようだ。
母は強し。