評価ありがとうございます!
《主人公視点》
やあ、さらりと登場「
現在、商店街?のような場所を歩いています。
服屋を探しているのですが、オラリオには色々な種族がいるので、あっても専門店ばっかりなんですよ。
多腕族はまったくと言ってもいいほど種族として知られていないので、オーダーメイドでないとダメなのに全然見つかりません。
現在は日本でいうところの10時くらいなので、1時くらいまでには見つけたいところ....お!オーダーメイドって看板に書いてある店を見つけました!
.....みつけたんですが妙に人が多い気がします。何ここ、人気店なん?
でも客にしては騒々しいです。
何を騒いでるんだ?
「うお!ロキ・ファミリアのとこの『ケンキ』だ!」
──『ケンキ』?.....『剣鬼』だと.....⁉︎
この世界にも『剣鬼』がいるのか⁉︎もしかして「
申し訳ないが人を掻き分けて進ませて貰う。
「彼方等、すまないが通して貰おう。」
一刻も早くその正体を確かめなければならない。
さあどんな外見d.....⁉︎
穢れを知らない長い金色の髪と瞳に、モデルのような完璧な体型。何よりその雰囲気。強者の気配はあるものの、狩りの前の鷹のようになりを潜めている。
『女剣士』という概念をまるで擬人化させたかのような完璧さだ。
そしてこの
──あの『剣聖』と同じ気配だ、と。
服の事とかやることは山のようにあったが、そんなのはもうどうでもいい。
────ああ。
──────────────────────────
《三人称視点》
その瞬間、アイズは後ろに尋常ではない闘気を感じた。
「──そこな金色の少女よ。『剣鬼』とお見受けする。」
アイズだけでなく一緒にいたティオナとティオネも同時に振り返る。
するとそこにいたのは、
3人の身長など優に越えるローブを着込んだ大男だった。
「.....そうだけど、なに?」
アイズは警戒しつつ、その男に臆する事なく問いかける。
すると男は、予想もしていなかった答えを返す。
「故あって、彼方と闘いたい。決闘を申し込む。」
3人は揃ってぽかんと口を開けて呆ける。
アイズとて、街中で勝負となるのは初めてではない。稀にアイズの実力が本物かどうか、確かめようとする輩が出てくるからだ。だが、大体は卑怯な手や奇襲を仕掛けてくる。そういった相手は基本的に実力が備わっていないことが多いので、返り討ちにしてガネーシャ・ファミリアの団員に連行されるのが常だ。
だが、目の前の男は正々堂々と決闘を申し込んできた。
「ちょっとアンタいきなり何言ってんの⁉︎」
ティオネが声を張り上げて質問する。せっかくの友人との休日を訳の分からない相手に邪魔されたのだから当たり前と言えよう。
だがアイズは....
「....いいよ。」
「ちょ、アイズ⁉︎何言ってるの⁉︎」
了と言うアイズにティオナが声をかける。話の流れについて行けていない。というか普通はついて行けない。
アイズは展開が違うとはいえ、前述の通り、こう言った事態には慣れていた。
だが、
「でも、先にそのローブをとって。」
正体を見せるように言った。アイズは先日の
「見ても騒がないと誓ってくれるか?」
クルガンはクルガンで自分の容姿により攻撃されることを恐れていた。見る人から見ればモンスターと見間違えてしまうほどにクルガンの外見は厳つい。それを自覚していたからこその言動だ。
「うん。」
1人は闘気に満ち、もう1人は警戒しているもののふわふわとした雰囲気を纏っている。テンションの差が凄い。
「ならばとろう。」
そして大男はローブをとった。
すると現れたのは、赤い瞳に青い肌と厳つい顔を持つ男だった。だが気にする部分はそこではない。アイズや周囲の『剣姫』をひと目見ようと集まった人々が注視したのは、多すぎるその腕だった。合計8本の腕を持つその大男は、アイズを見下ろすように、しかし決して見下すことはなく闘志に満ちた眼でアイズのことを見据えていた。周囲にいた低レベルの冒険者はその闘気にあてられ、「ヒッ!」と情けない声を上げてしまう者までいた。
アイズは腕が大量に付いた上に青い肌の人間を見たことが無かったため、思わずこう聞いてしまった。
「貴方はモンスター?」
周囲の人間、友人ですら「マジかこいつ」と言わんばかりの目でアイズのことを見た。少女アイズは天然と言えば聞こえは良いものの、端的に言ってデリカシーが欠如していた。それ故の質問だった。
「此方はモンスターではない。此方は多腕族のクルガン。多腕族はあまり名の通った種族では無い上に特殊な肌を持ち、腕を多数持つ。それも此方ほど腕の多い多腕族も稀である為そう思うこともまた道理。」
クルガンは闘気を全身から放っている割にはそれなりに冷静に話した。そしてその説明を受けてアイズは謝罪をする。
「そうなんだ。モンスターと間違えてごめんなさい。」
「気にするな『剣鬼』よ。先も言った通り仕方の無きことだ。」
クルガンはアイズの謝罪を受ける。周囲はこの会話を先ほどとは違いよく分からない物を見る目で見ていた。友人2人も同じである。
「それで何処でするの?」
アイズは完全に決闘に乗り気だった。元々、闘う気は無く、ローブをとらせる口実のつもりだったが既にそのことは忘れていた。後で自身のファミリアの主神に『ママ』というあだ名を付けられているハイエルフの冒険者に怒られることなど微塵も頭に入っていなかった。
「此処で。」
それにクルガンも馬鹿正直に答える。
それに対してアイズも小さく頷きながら、
「分かった。」
と答える。2人の頭には此処がどこであるかなどもうどうでも良かった。
クルガンの闘気はアイズを戦闘状態へと移行させた。
周囲の人々は突然始まろうとする闘いを見ようとする者、
巻き込まれまいと逃げる者、
そして、どこから来たのか、大笑いしながら見守るガネーシャの三通りに別れ混沌を極めていた。
それを他所にアイズは剣を抜き、クルガンは拳を構える。
「改めて名乗ろう。此方の名はクルガン。今はまだ、ただのクルガンだ。」
「私はアイズ。『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタイン。」
何の奇跡か巻き込まれた服屋の名前は『ピックタット』
今ここに別世界での闘い《ピックタットの銀華乱舞》が始まろうとしていた──
──────────────────────────
《ロキ・ファミリアにて》
「ロキィ!」
「なんやなんや⁉︎ってティオナかいな。もう買いもんから帰ってきたんか。あれ?アイズたんとティオネは?一緒ちゃうんか?」
凄い勢いで帰ってきたティオナに驚いたロキは自室から飛び出し、2人足りない光景を訝しんだ。
「アイズが決闘してるの‼︎」
「.......ゑ?」
買い物に行ったはずの3人の内の1人が闘っていると聞いてロキの頭の中は?でいっぱいになった。
ちなみにティオネは「どうしてこうなった」と言わんばかりの顔で2人の
──────────────────────────
場所は戻り《ピックタット》の前にて
2人の戦士は互いにどう出るか伺いながら牽制し合っていた。
そして痺れを切らし先に動いたのは『剣姫』アイズだった。
「フッ!」
息を殺しながら正面に斬り込む。
それに対しクルガンは
「ぬんっ!」
上体を後ろに反らすことで回避する。そのままの流れで後ろ向きに体操でいうロンダートを行なって体勢を立て直す。
そしてすぐさま4本の剣を抜く。
現れたのは人間が両手で扱う大剣だった。それを片手で振り回す。
「クッ!『エアリアル』‼︎」
アイズは風の魔法を纏った剣を用いても反らすので精一杯だった。
「大剣を片手で振れるなんて...。」
アイズは愕然とする。大剣を使う者は見たことがあっても片手で振る者がいるなど想定外だった。
「大剣ではない。『鬼包丁』という。」
「そうなんだ....。」
会話しながらもアイズは手を止めることなく攻撃を続ける。
クルガンも鬼包丁だけでなく、間に拳を交えつつ攻撃する。
斬り合いも100合に達しようとする頃、突然クルガンが動きを止め、目を瞑る。
「.....?どうしたの?」
「感謝を。突然の申し出を受けてくれたこと。そして、この邂逅に感謝を。」
突然の感謝にさすがのアイズも困惑した。周囲は尚更だ。だがそんなアイズの反応も次の瞬間には消え失せた。ティオネも思わず構えてしまった。
「これにて幕切れとする。」
先程までとは比べものにならないほどの闘気が溢れ出す。周囲で見ていた冒険者でない者に至っては気絶する者もいた。離れていてそれなのだ。目の前にいるアイズは、初めて階層主と闘ったときと同じくらいのプレッシャーを感じていた。
「貴方はモンスターじゃないけど、怪物だね...ッ!」
場合によっては侮辱しているようにも聴こえるこの言葉。しかし今この場のクルガンにとっては
「『剣鬼』から畏怖されるとは、光栄だ。しかし未だ未熟な此方の身ではこの身体を十全に扱うことができぬことが誠に不甲斐ない。許せ、黄金の剣士よ。──参る。」
4本の鬼包丁が先程よりも速く襲いかかる。それぞれが確実に命を刈り取る絶殺の技。
2人共既にこれが殺し合いで無いことなど忘れている。
故にアイズも本気で
「────ッ!」
もはやアイズの口から出るのは言葉ではなく、獣のような雄叫びだった。
剣を躱し、反らす。その末に、
「──爆ぜよ、『剣鬼』。」
締めと言わんばかりの最後の一振りが飛んでくる。
アイズはクルガンの身長に合わせる為に跳んでいた。そのため避けることはできない。
最も、例え地面に足がついていても、知覚した時には既に避けることのできない、そんな視覚外からの一撃だった。
だが斬り合い続けて感覚が研ぎ澄まされつつ、命の危機にも追い込まれているアイズは
「『テンペスト』ォォォォォ!!!!」
魔法の一撃を放つ。だがそれはクルガンに向けてでは無い。
むしろクルガンとは反対側へ。そうすることで、魔法を推進力とし、そのままの勢いでクルガンの首筋へ剣を突く。
「──見事。」
クルガンの首には剣が突き刺さっていた。発声器官たる喉には直接刺さることはなかったものの、それでも出血していた。常人ならのたうち回るが、クルガンはゆっくりと鞘に剣を納め、腕を組んで、自身に剣を刺したままのアイズを見据えていた。
「「「「「「「──────ォォォォォ‼︎」」」」」」」
周囲から歓声が上がる。そんな中、クルガンとアイズは静かに互いに見合っていた。
《ピックタットの銀華乱舞》の勝者は、『剣姫』となった。
──────────────────────────
《主人公脳内》
『剣鬼』強すぎ。
あ、どうも。
現在、ガネーシャ・ファミリアにて事情聴取を受けています。
まあ事情聴取と言ってもニッコニコしたガネーシャ様とお話しているだけです。
一応、闘った理由やオラリオに来た目的なんかを全部一通り話したら、注意した後笑って許してくれました。
しかも、ご飯もくれた上に服もオーダーメイドを頼んでくれるそうです。
この世界スーウェンおじいさんといい、ガネーシャ様といい聖人多すぎ。
今日は泊めてくれて明日には釈放らしい。
最高かよガネーシャ様。まあ他の団員見てたらヤバイ恰好してる人ばっかだから眷族にはならないけど。
てなわけでファミリア探しは明日からだ!
疲れたから寝ます!お休み!
──────────────────────────
おまけ
《ロキ・ファミリアにて》
「....アイズ、なぜ今正座させられいるか、分かるか?」
「.....決闘したからです。」
「そうだな。ではなぜそうなった。」
「.....挑まれて、強そうだったから断れなくて....。」
「お前はもうすぐレベルアップも近い。つまり、第1級冒険者になるということだ。それなりに責任も付いてくる。そのことを自覚しているのか?」
「....ごめんなさい。」
「謝れなんて言ってないぞ。自覚しているのかと聞いているんだ。大体お前は──────────」
結局最後までクルガンは『剣姫』と『剣鬼』を勘違いしたままでした。
この小説の内容を考えてる時に真っ先に浮かんだのがこの話でした。
ちなみにこの先の展開はうっすらとしか考えてません。ごめんね。
それに作者、今年から受験生なんです。なんで小説書いたんだと思ったそこの貴方。答えは現実逃避ですよ。
ではまた次回お会いしましょう。
ウマ娘さいこー!