リキッド・オセロット 彼の地にて、斯く戦えり ーGUNS OF THE FREEDOMー   作:COTOKITI JP

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オセロットの現在の装備品
・タンフォリオ・ラプター
・短剣
・樽


Lost Sun

路地裏に誰もいなかったと二人の隊員は別の場所へと去っていく。

それから暫くして周りの安全を確認するとオセロットは被っていた樽を外し、場所を移す。

 

盗賊の襲撃によって住人のいなくなった家を拝借し暫くそこで隠れる事にした。

現状自衛隊と接触するのは避けた方がいい。

裏の世界ではリキッドの名とこの顔は知れ渡り過ぎている。

 

捕まって、存在が知られたりでもしたらロクな結末が待っていないだろう。

 

「まだ、情報が少なすぎる…」

 

そう呟いた時窓からけたたましいローターの回転音が聞こえた。

窓から顔を覗かせると自衛隊のヘリ部隊が既に撤収を始めていた。

 

地上部隊の方はまだ残るようだがそれも今日までには戻りそうな雰囲気だ。

情報を得ようにもそれすら出来なさそうだったのでオセロットはベッドに身を預け暫しの休息を取る事にした。

 

 

 

 

何時間か寝た後、目を覚ますと何やら外が騒がしい事に気付いた。

外に出て様子を窺ってみるとそこには煌びやかな装飾で身を飾った美女揃いの騎兵隊とそれに引き摺られるズタボロのボロ雑巾のような有様の男がいた。

 

騎兵隊は男を引き摺りながらどこかへ行ってしまった。

あの様子だとどこかで捕らえた捕虜といった所だろうか。

 

そしてその男には見覚えがあった。

あの戦いの時に盗賊相手に奮戦していた自衛隊員の一人だ。

何があったのかは分からないが恐らくこの後もロクな扱いは受けなさそうだ。

 

中世の世界ならば尚更だ。

下手をすれば殺されるかもしれない。

 

オセロットは彼を気の毒だと思いつつも同時にこれはチャンスだと考えた。

 

――あの男からなら得られる情報もそれなりにある筈だ。

 

ここで彼を救出すればこの世界に関することやその他の情報も手に入る。

その可能性に賭けた彼は早速行動を開始した。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

あの戦いでの騒ぎも落ち着き、町の住人の殆どが寝静まった真夜中。

捕まった男を追跡した末に辿り着いたのは町の中でも一際大きな館だった。

 

男はここに収容されてから出てくる様子は無い。

拷問でも受けているのか或いは別の場所へ移すまでの間拘留されているのか。

 

――あの館で何が行われてるかは分からんが救出するなら急いだほうが良さそうだ。

 

そこからのオセロットの行動は早かった。

慣れた手付きで樽を被り館まで接近し…

 

「ん…?何だ!?樽が足生やして歩いてやが――がッ!?」

 

懐から二人の門番の元に樽を被ったまま静かに近付き声を上げられる前に樽を脱いでからの連続CQCで昏倒させ見事館の内部に潜入する事に成功した。

 

館の中に入ったオセロットはタンフォリオ・ラプターと門番から奪い取ったローマ帝国軍のプギオに似た短剣を構えながら足音を極限まで殺し内部を探索する。

 

中は見た目から想像が付いていたがやはり広くそれでいて派手に飾り付けられており貴族の住居に相応しい様相をしていた。

 

そのまま館の奥深くへと入り込んでいくと、唐突に自分以外の何者かの気配を感じ取った。

だがその気配は人の物とは思えずどちらかと言えばまるで()に睨まれているような感覚。

 

自分を取り巻く空気が一気に変わった事を悟ったオセロットは背後から襲い来る()()に向けて振り向いた。

 

反射的に首に突き付けられようとしていたナイフを左手で掴み、右手で襟を掴んで投げ飛ばした。

 

と、思ったがその襲撃者は人間とは思えぬ軽い身のこなしで再び地に足を付け立ち上がった。

短剣を構えラプターの銃口を向けるオセロットに対して襲撃者は臆する事も無く不敵に笑う。

 

「何者だ」

 

「おや、御客人は()()()()いましたか」

 

窓から差し込む月明かりに照らされ襲撃者の姿が顕になる。

黒髪のメイド服。

まあまだこれは許容範囲内だ。

 

「この()()()()()()()()の戦士である私の奇襲を躱す所か逆に投げ飛ばすなんて……」

 

しかしどう見ても人間の頭に猫耳が生えているのはおかしいだろう。

 

互いに武器を構えたまま相対する二人。

猫耳女は警戒の眼差しを。

オセロットは警戒に混じって困惑も混じっていた。

 

因みにここでは双方の言語は通じていない。

 

「どうやら貴方は()()()ではないようですし、ここで死んでもらいますニャ」

 

不敵な笑みから即座に臨戦態勢に入った猫耳女は正に猫の如き素早さでオセロットに斬り掛かる。

 

 

 

 

 

 

普通ならここで激しい格闘戦が行われるのだろうがオセロットが()()()()()()()時点で、既に猫耳女に勝ち目は無かった。

 

「ッ!?」

 

館の廊下に響き渡る一発の銃声。

柄より先が無くなったナイフがゴトリと音を立てて床に落ちる。

猫耳女は困惑した表情を浮かべた後それが苦悶へと変わりその場に跪く。

 

「リボルバー・オセロットの名を名乗り直すには、まだ感覚が取り戻しきれていないな……」

 

銃口から硝煙を燻らすラプターを右手に持つオセロットを猫耳女はこれまで以上に睨み付ける。

だが動こうにも未だに血を流し続ける右足が言う事を聞かない。

 

この時、何が起こったのかを説明すると……

 

オセロットが猫耳女が走り出す直前に引き金を引き、ラプターから放たれた.308ウィンチェスター弾がまず彼女の構えていたナイフの刃に直撃。

 

そこから弾はナイフの刃をへし折って跳弾を起こし、奇跡としか思えないレベルの正確さで彼女の右足を貫いたのだ。

しかもただのライフル弾ならまだ貫通銃創で済んだだろうが彼がこの時装填していたのはホローポイント弾。

 

その為彼女の足の筋繊維や神経はホローポイント弾の着弾時の変形による衝撃でズタズタに引き裂かれ、激痛を伴いながら動かせずにいた。

 

彼は普段からこの弾を使っており、それはボディーアーマーなどを着た敵兵士相手に徹甲弾など無くとも生身の部分に当てればいい、という彼の自信の現れでもあった。

 

「貴様……!!」

 

「フン……カエル兵よりかはまだマシな動きだな」

 

事実、見事彼女の足を撃ち抜いたオセロットは逆に不敵な笑みを返しながら動けない彼女の横を通り過ぎて行く。

 

──まだいるな……今度は人間のようで安心だ。

 

オセロットが感じ慣れた人の気配に安堵すると廊下の曲がり角から武装した兵士が続々と出てくる。

どうやら銃声を聞き付けて来たようだ。

装備と武装からしてあの男を助けに来た自衛隊員である事は間違いない。

 

「武器を捨てろ!!」

 

此方に向けられる複数の銃口。

東欧で米軍部隊に包囲された時も似たような状況だったが違う所があるとすれば自分の周りには誰もいない事だ。

 

ヴァンプも、ナオミも、護衛のカエル兵達も。

自分の知る人物は誰一人としていない。

 

死んだと思えば訳も分からぬ土地に理由も知らされず飛ばされ、そして今ここにいる。

現在のオセロットは、正真正銘の孤独な戦士だった。

 

それに、ここにはもうSOPもその中枢である愛国者達も存在しない。

だから以前のように敵兵の銃のIDを乗っ取って使用不可にしたりナノマシン抑制を解除して精神攻撃をする事も出来ない。

 

銃口を向ける自衛隊員の中の先頭にいた女性隊員の方を見る。

栗色の短髪が特徴的な可愛げのある顔付きと小柄な体躯だったがその目は警戒心に満ち、兵士らしい鋭い眼光をはなっていた。

 

「銃を捨てろ!!最後の警告だ!!」

 

小柄な女性隊員が銃口を突き付けつつ再び警告する。

その引き金には既に指が掛けられていた。

 

相手が複数いる以上、流石のオセロットでもこのままでは勝てる状況ではなかった。

ここにいる全員を倒そうにも持っている銃は威力は高けれど単発式だ。

再装填している間に蜂の巣にされるのがオチだろう。

 

CQCを仕掛けようにも距離が離れ過ぎている為接近するのは危険過ぎる。

となればここは大人しく従った方がいいだろう。

警告に従い、オセロットは右手のラプターを放り投げた。

 

「これで……()は捨てたぞ」

 

「日本語……!?」

 

突然流暢な日本語で話し出したオセロットの様子に自衛隊員達は僅かに驚いた目で彼を見た。

そもそも服装の時点でどう見てもこの世界の住人には見えなかったが日本語を話した所で確信を得た彼らはオセロットを拘束しようとする。

 

「両手は頭の後ろに、その場で跪け!」

 

女性隊員が銃口を突き付けながら指示するが対するオセロットは手を上げたまま微動だにしない。

 

「日本語は分かるんでしょ、逆らったら撃つ」

 

そう言うと、漸く彼は動き出した。

後ろを向き両手を頭の後ろで組んだオセロットを拘束しようと女性隊員が近付く。

そして手を縛ろうと掴んだ時、彼は動き出した。

 

目にも留まらぬ速さで自分の腕を掴んだ時手を逆に掴み引き寄せて顔面に裏拳を喰らわせた。

他の隊員が小銃を構えるが彼女を盾にしていた為発砲する事は出来なかった。

 

しかし女性隊員の方が自ら反撃を始めた。

オセロットの手を振り払い左回し蹴りをお見舞いする。

凄まじい速度とパワーで繰り出されたその蹴りを人工筋肉の義手に付け替えられた右腕で受け止め、彼女が足を戻す前に急接近した。

 

再び彼女の右腕を掴んだオセロットは首も掴んで地面に叩き付けるように投げた。

投げられても直ぐにローリングで復帰した彼女は再び構える。

 

「格闘戦では俺の方が上だ」

 

「格闘徽章持ちに言うセリフ?」

 

二人は同時に駆け出し互いに体術を浴びせ合う。

何故か女性隊員の方は心無しか楽しそうにしていた。

 

「ど、どうするんですかこの状況?」

 

「アレじゃ近づく事すら出来んぞ……」

 

「栗林の奴絶対楽しんでるだろ……」

 

撃とうにも撃てない他の隊員は呆然とその姿を見ながら負傷した猫耳メイドの応急処置をするだけだった。

 




一般格闘徽章持ちVS伝説の傭兵の片腕(白目)

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