第二話
世宇子との決勝戦より1週間後、俺たち雷門イレブンは北海道の白恋中に来ていた。
だがメンバーは俺を含め5人、円堂、鬼道、風丸、染岡、そして俺炎竜のみ。
俺達はそれぞれのレベルアップのために必要な場所へと足を運んでいる。豪炎寺は沖縄に、1年の壁山たちは精神を鍛えるために漫遊寺中へ、一ノ瀬、土門はアメリカへマネージャーは雷門中にて情報収集を行っている。
白恋中にきたのは氷のストライカー吹雪兄弟に会うために来ている。
「初めまして俺達は雷門中サッカー部。今日は吹雪士郎って人に会いに来たんだけどいるかな?」
白恋中の生徒に聞くと吹雪は学校の裏でスノーボードをしているそうだ。ここは正史と変わらないんだな…。
生徒の言葉通りスノーボード場に向かっていると一人の人物がいた。そいつは俺達に向かってボールを蹴り上げてきた。
「ふっ!!」
すぐに気づいた円堂は両手でボールを止める。それを見ていたボールを蹴った人物は不敵に笑う。
「へー、さすが雷門中のキーパーだぜ。俺のシュートを止められるなんてな。」
オレンジの逆立った髪とマフラーをして仁王立ちしている彼はこちらに歩いてくる。
「お前は…吹雪アツヤだな?」
「俺のことを知ってるのか。有名になったもんだな。」
「まあな、氷のストライカー吹雪士郎の双子の弟、熊殺しのアツヤは有名な奴だ。フットボールフロンティアに出なかったのはなぜかは知らないけどな。」
「俺の知ったことじゃねーな。んで何しにここにきたんだ?」
「吹雪士郎の勧誘。」
そのまま伝えるとアツヤの顔が変わる。怒りにも似たその表情は俺たちに突き刺さる。
「またアニキかよ。どいつもこいつもアニキばっかりでうんざりするぜ!!」
「なんだ、兄の士郎と比べらることがそんなに悔しいのか?」
「なんだと!?」
「俺は嘘をつくのが嫌いだから言うが今回吹雪士郎を勧誘するといったことだが同等の選手も探している…吹雪アツヤ、お前のように一人の強い選手の裏でくすぶっているやつみたいにな。」
「俺が兄貴より弱いって言いてえのか?」
「少なくとも俺達よりもお前は弱い。だが吹雪士郎は俺達より強い。これが現実だ。」
「てめえ…!!」
ヅカヅカと歩いて拳を上げるアツヤだったが
「なにをしてるんだいアツヤ。」
ふと上から声が聞こえた。そこには銀の髪をなびかせた少年が立っていた。
「お前が…吹雪士郎か。」
アツヤと瓜二つなその少年が、ともに正史で世界を、完璧を目指した仲間がそこに立っていた。
「そうだよ、僕が吹雪士郎。FFを優勝した雷門がこんなところに何の用だい?」
「勧誘だよ!世界一の称号を手に入れるためにお前の力が必要なんだ!!」
円堂がその問に対して答えると士郎はにっこりと笑い
「お断りするよ」
と告げる。
「僕は白恋中を強くしたい。そのためには僕一人が君たちのところに行ったところで何も変わらない。特にアツヤのこともあるしね。」
「なるほどな、確かにその通りだ。けど俺達もそんなことで世界一の称号を手に入れられないことに納得できない。ならプレイヤーとしてお前に勝負を挑ませてもらう!!」
「いいよ。僕が勝ったらそのまま白恋中から出ていってもらう。もし僕が負けたら君たちのいうことを聞こう。」
場所は白恋中の校庭のフィールド。
「1点先取の試合でいいか?」
「もちろん」
炎竜と吹雪士郎の1対1の対決だ。
ホイッスルが鳴ると同時に士郎はドリブルで俺に向かってくる。
チャージを仕掛けてみると士郎はそのままジャンプし俺の上を超える。
「こんなものなのかい?」
集中力を乱すためか士郎は煽ってくる。しかし俺にはそんな心のこもってない言葉は何も入ってこなかった。
「まだまだ!」
何度かの掛け合いに士郎は巧みなボールキープでなかなかボールを奪うことができない。そこに畳みかけて士郎はシュート技で決めてきた。
『エターナルブリザード!』
吹雪士郎最強の必殺技、氷を纏った強力なシュートがゴールへと向かう。キーパーもいないゴールはそのまま突き刺さろうとしていた。
だが不敵に笑って見せると士郎も気づいたようで驚いていた。
『火竜の…翼撃‼』
炎を纏った翼でエターナルブリザードを溶かしていく。そのままシュートの威力は殺され炎竜の下でボールは収まった。
「じゃあ次はこっちの番だ」
ボールを高く蹴り上げ飛び上がる。そして炎を足に為オーバーヘッドでゴールへと蹴りだした。
『火竜の鉤爪!!』
そのまま士郎のガードを破りゴールに突き刺さりネットを貫いた。
「…俺の勝ちだな!」
ニッっと笑いサムズアップする。
「負けたよ…」
にっこりと笑う士郎はどこか寂しそうな顔をしていた。無理もない、士郎はそのまま自分が白恋中を去ることを示していると思っていたからである。
「じゃあ約束通り俺のいうことを聞いてもらうぞ。」
「負けちゃったからね、覚悟はできてるよ。」
「まずは士郎、俺たちは弱い。世界はこれ以上に強いんだ。それでも俺達よりも素早い動きのできる士郎に頼みたいことがある。それはそのスピードを鍛える練習を俺たちに教えてほしい。代わりに俺たちは白恋中に俺たちがやってきた練習を教える。」
説明をしたあとに士郎はポカンとした顔でこちらを見てくる。
「僕を連れていくんじゃなかったのかい?」
「それは士郎が心から俺達と一緒に戦いたいって思ってからだな。仲良くできないならチームはバラバラになる。今の白恋中みたいにな。」
アツヤを見ると士郎が負けたことが信じられないのか言葉が出ず口が開きっぱなしになっている。
「俺たちの目標は世界一を取ることだけどそれのほかに日本のサッカーを世界レベルに鍛えることも一つの目標だ。そのためには白恋中みたいにFFに出られないような学校もFFに出てこれるように指導、教育をしていく。諦めることを諦めろ!泥臭く戦え!自身に勝て!それが俺達雷門魂だ!」
そう、この雷門魂を全国に広める。俺達のキャプテン円堂が教えてくれたように。
「そうだろ?守」
「ああ!俺たちは諦めない!サッカーを信じる限り特訓を続けていれば誰にでも勝利の女神は微笑むんだ!!」
ニカッと笑い士郎達に伝えると士郎も笑って立ち上がる。
「わかった。僕ができることをみんなにも教えるよ。よろしくね、キャプテン、晴人!」
さあこれから忙しくなるぞ。