外に出てみたはいいもののどこに行けばいいのかがわからないので、このあたりを散策することに尽きる。
ということでバックを肩にかけて出発する。スマートフォンを持っても僕は妙な個人の主張が強いので無意識に「周りのようになりたくない」と思い、歩きスマホは避けるようにしている。中学生くさいと思ってしまうものの、それは自分の性格なので受け止めるしかないとも思う。
川沿いを歩いているとウマ娘らしき少女らが皆同じジャージを着て走っている。生で初めて見たが、さほど驚かなかった。だが、興味は駆り立てられる。それは小学生がスーパーマーケットでなんでも手に取ってしまうような探究心、海賊が宝の地図を持って旅に出る居ても立っても居られない気持ち。久しぶりに大きなワクワクが自身を支配する。
これはチャンスだ。そう思い、彼女らの後を追う。彼女らが何処にいるのかが分かれば今日は十分だ。ウマ娘をスケッチするのは次のレースまで我慢することにした。
時々地図を見ながら尾行をしていると大きな建物に着いた。校門らしき塀には「日本トレーニングセンター学園」という札が付けられている。ここがウマ娘をレースに出すために鍛えている場所らしい。建物からは女性の声が多数聞こえる。流石はウマ娘養成所だ。スマートフォンによるとここは”中央”らしい。中央があるということは地方もあるのだろうか。
などと考えていると日本トレーニングセンター学園の校門近くに立っている全身緑のファッションをしている女性がこちらに向かってくる。
「トレセン学園に何か御用でしょうか?」
しまった、少し眺めてようとしたが不審だったか。どうにか誤魔化せないか…。
「い、いやぁ、ただ近くを通ったのでね。トレセン学園、知ってるのですが、実物を眺めていたら圧倒されてしまいましてね。」
実は何も知らない何て言えるわけがない、と冷や汗をかきながら思わず目を逸らしてしまう。
「目、逸らしましたね。もしかして何か隠し事でのあるんですか?」
う、勘が鋭い。不審がられる前に退避しよう。レースの場所も見ておきたいし。
「そんな、隠し事なんてないですよ。ただの散歩ですので、失礼しました。」
早歩きでそそくさと退散しようとするが…彼女に襟を掴まれる。
「ちょっと待って下さいね。知ってると思うのですが、マスコミがよく訪問してくるんですよ。だから不審な者がいれば逃すなって言われてるんですよ。」
「つまるところ得体の知れない奴は拘束しておけってことですか?」
彼女はニコニコした笑顔のまま襟を引っ張る力を強める。グェ、という声が出てしまう。その声に反応するように緑の魔女はくすくすと上品に笑う。これは肯定ととるべきだろう。
「わかりました。抵抗しないから襟引っ張らないで、苦しいから。」
「分かればいいんですよ、でも逃げる可能性があるので両手、縛らせて下さいね。と、そのバッグも没収させて頂きますね。」
「はいはい、了解です。」と渋々スケッチ用のバッグを渡す。彼女が両手を縛ると強引に縄を引っ張る、この人案外力強いんだよな。しかし彼女のペースになってしまうのは何故だろうか、そう考えながら校舎らしき建物の中に入っていく自分たちの姿を想像すると現行犯と自分を捕まえた女性警察官にしか見えないのだった。
二話も見て頂きありがとうございます。コメディ路線で行きたいです。