ギャルのパンティおくれ!!   作:真田蟲

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どうも真田蟲と申します。
あらすじにある通り、元々は理想郷で連載していました。
しかし色々あって連載がエタってしまっていたので、こちらで連載して感覚を取り戻したいと思っています。


プロローグ

「汝の願い、一つだけ叶えてやろう」

 

そう、目の前の存在が口にする。

非現実的なその光景に、俺は完全に混乱していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【ギャルのパンティおくれ!!】

 

 

 

 

 

 

 

世の中、重度のオタクとまではいかなくても暇な時にアニメを見たりする人は結構な数いるのではないだろうか?

この場合、別にアニメの部分が漫画を読むに変わったり、PCでネット上にあふれる創作物などを楽しむ行為に変換してもいい。

俺もその手の人間の一人だった。

お気に入りの漫画が発売されれば購入して暇なときに読む。

話題のアニメがあればどんなものかと試しに視聴してみたりする。

最近の暇つぶしでは、既知の作品から派生した二次小説というものをネットで読んで楽しんでいた。

そこでよく目にするのが【転生物】というカテゴリーに属する創作物の数々だった。

既存の漫画やアニメの世界、または作者のオリジナルの世界に現代人が転生するという内容。

流行りの嗜好というだけでなく、これは自己の投影願望からくるものだろう。

ネット上には数えきれないほどの転生物の作品が溢れ返っていた。

そこではある法則がある。

稀に例外もあるが、ほとんどが主人公が神様に出会い、何か特殊な能力などを与えられてからの転生というもの。

これは能力であったり、武器であったり容姿であったり、とにかく特典としかいいようがないものを与えられるのだ。

何故そのような特典を神が主人公に付与するのか。

そこで語られるのが、神の不手際による謝礼といった形で付与されるものが多い。

神様がわざわざ人間一人を死なせたくらいでそこまで責任を感じるのか、という疑問は抱いてはいけない類のものなのだろう。

少なくとも、そこはテンプレートとして俺は読みながししていた。

だが、それでも一つふに落ちない点がある。

何故主人公たちは神という大きな存在を目の前にして、あそこまで冷静になれるのだろうか?

冷静、というのは何も神の過ちにたいして感じる感情についてのことではない。

そもそも怒ったり自分の境遇を受け入れたりと、それ自体が変であると言いたいのだ。

あまつさえ「転生に際し、願いをかなえよう」とか言われて自分の願望を正しく口にすることができているのだ。

これは明らかにおかしい。絶対にそんなことはできないはずだ。

俺は口を大にして断言できる。

何故なら、俺は実際に目の前の存在に威圧され、思ったことも口にできなかったからだ。

あまりのことにテンパッて、自身の願望とは全く関係のないことを口にしていしまったのだから。

 

 

 

 

 

気がついたら、知らない空間にいた。

地平線の先までどこまでも続く真白な世界。

白い空と白い大地しかない、無機質で生命の気配を一切感じさせないであろう世界。

そんな中に俺は一人で突っ立っていた……いや、一人じゃない。

この世界も、何もないわけじゃない。

俺の目の前の空に巨大な龍が漂っていた。

蛇のような長い緑色の胴体。

蛇にはない、短くも力強い四本の足。

頭部は蛇というよりも鰐に近く、強靭さを感じさせる顎。

首周りに毛が生えており、鼻の下からは二本の長い髭が生えていた。

それらは風もふいていない空中に、ゆらゆらと重力を感じさせない動きで浮いている。

眼光は鋭くこちらの内面までも見透かそうかというほどの光を宿している。

後頭部からは鹿の角……というよりも枝分かれした太い木の枝のような角が二本生えている。

ドラゴン○ールに出てくる神の龍が実在したらこんなのだろうな、という姿を体現した姿。

主にインドや中国にその姿を描いた絵が多く存在する。

典型的な巨大な東洋龍が俺を見下ろしていた。

 

訳がわからない。

その一言に尽きるといっていいだろう。

 

普通に眠ったと思ったら、いつのまにかこの状態なのだ。

どうしてこのような状態になっているのか……とか。

そもそもこれは夢で現実ではないのではないか……とか。

冷静な理性が少しでも残っていれば、俺は目の前の光景に疑いを覚えてそのような思考を巡らせていただろう。

しかし、目の前の圧倒的な存在感の龍が俺の思考から冷静さを、理性をことごとく奪い去っていく。

全身を金縛りにさせるかのような強烈なプレッシャー。

だというのに生命を感じさせないかのような、どこか遠い存在であるかのような感覚。

いや、後から考えればこの龍はそもそもの存在するステージが俺とは格段に違うのだろう。

人間のように生死といった概念に自身は縛られてなどいない、とでもいえばいいだろうか?

とにかく、そういう俺たち人間が知覚できることができる領域などとうに超越している存在だった。

だというのに、視覚情報として俺の目の前に姿を現している。

視覚から入ってくる、目の前の龍の存在の情報量の大きさに脳がパンクしてしまっている。

例えるならばまさにそのような状態であった。

 

「汝の存在が、理の輪から外れた」

 

龍が厳かな声で何かを話しているのは解る。

その声に、俺の耳が体が脳が、魂がびりびりと震える。

決して五月蠅い音ではない。

だけど、それは人に正しく聞こえる音域を超えているのだろう。

 

「故にこの世界に汝を留めておくことは不可能だ」

 

俺に向かって龍が話しかけているという事実しか、俺には理解できなかった。

最早俺に、会話を正しく行うだけの情報処理能力は残されていなかった。

簡単に言って混乱していたのだ。

テンパッていた。

思考がフリーズしていたといってもいい。

この龍が語る内容が俺についてのことであると本能的に察している。

だからこそ、伝えられる内容を正しく聞いて理解しようと本能が求める。

だけどそれができない。

 

「よって、汝にはこの世界とは別の世界へと旅立ってもらうこととなる」

 

龍の口が動き、その動きからは想像もできない発音の言葉がこちらに向けられる。

それがなんとなく日本語であるとは察しているのだけれど肝心な内容が頭に入ってこない。

重要なことを聞き流しにしている状態に焦りが生まれる。

 

「旅路に際し、来世での希望を聞いてやる」

 

龍を象った神が、俺を見下ろしながら語り続ける。

その眼光はお世辞にも優しいというものではなく、ただこちらのありのままを見ようとする視線。

敵視するでもなく、慈愛がこもっているわけでもなく。

ただ俺という存在を見定めるかのような、奥まで見透かすような視線。

さっきから全身を流れる汗が気持ち悪い。

これならまだ、敵意の視線を向けられた方が幾分ましであったかのように思う。

根性なんてこれといって持ち合わせていない俺は、死ぬような思いをするかもしれない。

それを考えたら怖いが、ここまで超越した存在に敵意を向けられればその時点で意識を失っていると思うのだ。

下手に意識を保っている今のほうが、むしろ精神衛生上よろしくないと言えるだろう。

 

「汝の願い、一つだけ叶えてやろう」

 

そう言われた時、俺は相変わらずテンパッていたままだった。

ネット上の創作物によくあること。神は俺の願いを叶えてくれるという。

冷静な状態であったならば、龍に対して色々と質問していただろう。

その上で色々と考えたはずだ。

危ない世界に転生なら、身を守れるだけの強い力を。

運命の名を持つゲームの主人公の魔術だったり。

科学と魔術が交差する物語のキャラの能力だったり。

青いネコ型ロボットのポケットのような魔法を使えるようにしてもらったり。

はたまた単純に肉体や魔力なんかの素質を高めてもらったり。

なんてことのない、平和な世界であったらリア充生活のためになることを。

容姿を整えたり性別を確定させたり。

生まれの家を金持ちにしてもらったり、頭脳を天才的にしてもらったり。

正直、ネットにあふれる作品を読みながら、俺も自分で色々と考えたこともあった。

もし自分がこのような状態に陥ったら、こういう要求をしよう。

そういう風に考えて色々と思考を巡らせて楽しんだこともある。

実際、いくつか候補もあった。

だがそれは頭が正常に働いているときだからこそ考えられたのである。

この時の俺は、目の前の龍が何を言っているのか理解していなかった。

転生特典として願いをかなえてやる。

そういう内容であることがわからなかった。

だけど龍が俺に対し、なんらかの発言を待っていることだけはなんとなくわかった。

 

「…………」

 

先ほどの言葉から、龍は何事も発さず無言で空を漂っている。

相変わらずその視線は俺に向けられていた。

早く何か言わなければ!!

無言の重圧に、俺の中の焦りが急激に膨れ上がった。

だからとにかく俺は咄嗟に出てきた言葉を、力を振り絞って叫んだ。

なんでこのタイミングでその言葉が出てきたのか。

おそらくは龍の外見が、先ほど言ったようにドラゴ○ボールの神の龍に酷似していたからと推測はできる。

でもいくらなんでもそれはないだろう。

今でもこの時のことが悔やんでも悔やみきれない。

 

 

 

 

 

「ギャルのパンティおくれ!!」

 

 

 

 

 

極限の焦りからテンパッていた俺は、空を浮かぶ龍に向かってそう大声で叫んでいた。

 

「いいだろう。その願い叶えてやる」

 

視界が光に包まれ、意識が遠のいていく。

この時の俺は自分が何を言ってしまったのか理解していなかった。

ただ、この場から解放される。

愚かしくもそのことに喜びを感じているだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そして現在。

 

「……バブゥ」

 

俺の胸にあるのはとてつもない後悔の念。

本当に、どうして俺は混乱していたとはいえあのような要求をしてしまったのか。

まだ赤ん坊で視界がはっきりしない。

だが、自分の小さな手の中に白い布が握られているのがわかる。

そしてそれが、自分の能力で作り出した布であることも理解していた。

俺が神に与えてもらった力。

それは「自由自在にギャルのパンティを作り出す能力」というものだった。

 

 

 

 

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