ギャルのパンティおくれ!!   作:真田蟲

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週明けといいつつ、水曜日にまでなって申し訳ない。
普段は残業はあまりないのですが、ここ数日予想外に残業が発生しまして遅くなりました。




七話

某警察署、其処の一室ではちょっとしたパーティーのように盛り上がっていた。

 

「本当にどうやっているんだい?」

 

「それは企業秘密ですよ」

 

「次、次はあのパンツが飛び回るやつ見せてくれないか?」

 

「さすがに何の準備も無しにはできませんよ。

 あと、何度も言いますがパンツではなくパンティです」

 

子供のように目を輝かせる刑事さんは、その言葉に少し残念そうな様子を見せる。

まぁ、本当は可能なんだけどね。

あえてこの場では出来ないネタがある事を主張することでパンティイリュージョンが種も仕掛けもある手品であると印象付ける。

超の言っていた通り、現在俺は任意での事情聴取を受けていたのだが、何故か今は署内で即興のマジックショーを開催していた。

署内にいる警察官の殆どの人が集まっているため、会議室ほどのそれなりの広さを持った部屋ではあったがあきらかに人口密度が過多となり狭苦しく感じる。

この人たちは仕事とか無いのだろうか?……無いんだろうなぁ。

今日も日本は平和です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰に説明するというわけでもないのだが、いきなりな展開ではよく解らないだろう。

ちゃんと順番に話すから縫い目のしっかりとしたパンティのように安心して欲しい。

話は一昨日の月曜日、パンティYAMADAが閉店後に超鈴音が俺に意味深な言葉を残して去っていった後にまで遡る。

小ぶりながらも形の良い腰付きをした彼女の言葉を一晩ベッドの中で考えた俺は、誘いに乗ることにした。

やはり考えた通り、彼女が俺をわざわざ陥れようとしていると思えないのだ。

そもそもメリットもないはずだ。

中華料理の店をしているという事だし、俺の店と場所が近いといえど競争相手にはならない。

何より、俺のパンティを認めてくれているのだ。

そんな相手の話に耳を傾けられないとあっては俺はもはやこの地でパンティストを名乗ることができなくなってしまう。

 

次の日、俺はいつもより早めの店じまいをすると超飯子へと赴いた。

そこでは三人の女子中学生が大勢の客を相手に店を切り盛りしている光景があった。

昨晩俺と会話したあの超と、もう一人褐色の肌をした外国人の少女が広場の一角に設置されたテーブルの席へと人懐っこい笑みを浮かべて料理を運んでいる。

俺と同じく大学の工学科の先輩に作ってもらったのだろうか?

屋台と思われるそれはワンボックスの車を改造したような外見をしていた。

その屋台の厨房は外からも見えるようになっており、そこでは少しふっくらとしながらも幼さの抜けきらない少女がプロ顔負けの包丁捌きで食材を刻んでいた。

見たところ、女子中学生三人で店を切り盛りしているようだ。

客は誰もが笑顔で運ばれてきた料理に舌鼓を打っている。

成程、いい店だ。

それは客の顔を見れば一目瞭然だった。

ウェイトレスをする少女達の笑顔に、料理の味に、皆笑顔になっている。

 

「おや、山田さんもう来ていたネ? ちょっと待っていてくれないかナ?」

 

俺に気がついたらしい超がお盆片手に近づいてきた。

それを俺は手で制する。

 

「構わんよ、まだ残ってる客を優先してやってくれ」

 

「そうカ? ありがとう」

 

せっかく客が集まっているのだからそちらを優先すればいい。

今回彼女がどのような話を聞かせてくれるのか興味はつきないが、順番を疎かにしてはいけない。

客がそこにいる以上、店を開いている限りはその客を優先する。

それが商売というものだ。

料理とパンティという違いはあるものの、そこに違いはないはず。

俺も彼女も店を持ってまだ間もないのだから、殊更客は大事にしなければならない。

無駄にでかい世界樹という呼び名の樹にもたれ掛りながら、俺は彼女達のチャイナ服姿の腰つきを眺めていた。

 

 

 

結局、客が満足して全て帰ったのはそれから約一時間後のことだった。

店じまいを二人に任せてきたのか、中学校の制服に着替えた超が俺に寄ってきた。

 

「こちらから呼び出したのにこんなに待たせてすまないネ」

 

「そう何度も謝るなよ、お互い店を持つ同士だ。客を大事にしなければならないのはわかっている」

 

「そう言って貰えると助かるネ……時間も遅くなってきタし、ここじゃ話づらいカ……」

 

場所を移動しよう、と超は言った。

彼女の後ろを歩きながら、何度か道を曲がる。

この土地に来てからまだ入ったことがない路地裏へと入っていった。

おいおい、女子中学生がこんな人気のないところに来て大丈夫なのかよ。

と、軽く心配しながらしばらく歩いたところで超は立ち止まりぼそりと小さく呟いた。

 

「フム、撒けたようネ」

 

「……は?」

 

呟くと同時、彼女は傍の建物の外壁に指をなぞらせる。

するとどうだろう、継ぎ目の無いコンクリートの壁しかなかったそこに扉が現れた。

待て、今この娘は何をした?

驚く俺をよそに何事もなかったかのように彼女は扉に手を触れた。

白魚のような指先が触れた場所が光り、どこからともなく機会音声が流れてくる。

 

『個人認証完了、オカエリナサイマセ』

 

自動ドアのように扉が開かれると、そこには地下へ続くと思われる階段があった。

 

「そんなに警戒することはないネ、別にとって喰ったりはしないヨ」

 

開いた口が塞がらないとはまさにこの事か。

自身の力はどちらかといえば魔法に近いものがある。

この世界も最近忘れがちではあったが元は漫画の世界である。

不思議なことがあってもおかしくはないが、どちらかといえば俺に訪れる不思議な事とは魔法っぽいものだとばかり思っていた。

そういえばおぼろげだがロボットの娘とかも出てきていたような気もするし、SFちっくな要素もあるにはあるのか。

そんな俺の様子に苦笑しつつ、彼女はついてこいとばかりに階段を降りていく。

数秒そのまま立ち尽くしていたが、俺は彼女の後に続いた。

まるで俺が入るのを待っていたかのように、階段へと足を踏み入れると背後の扉は閉ざされ、元の何も無いコンクリートの壁になっていた。

明らかに現代の科学力を超えている。

少しはやまったか、と頬に冷や汗が流れた。

 

階段を降りた先は空洞になっていて、地面には水が流れている。

どうやら下水道のようだが、あまり不衛生なイメージはなかった。

傍に流れる水は多少濁っていてお世辞にも綺麗とはいえなかったが、臭いはほとんど感じない。

周囲の外壁も特に汚れている印象はないし、暗くじめじめしていたりもしない。

一定感覚で配置された照明が、明るく照らし出している。

鼠どころか黒い虫さえ見当たらない。

随分と思っていた下水道とイメージが違うな。

下水道横の通路をしばらく歩くと目の前を歩く超が立ち止まった。

 

「さて、ここが私の秘密ラボ……秘密基地とでも言ったほうがそそられるかナ?」

 

振り向いた彼女は悪戯の成功したような顔で不適に笑みを浮かべていた。

そこにあった扉を開けると、30畳程の広い空間に様々な計器類が所狭しと並べられていた。

壁には大小様々なモニターが設置され、この都市の色々な場所を映し出している。

映されている場所が常に移動していることから固定された監視カメラの映像ではないようだ。

むしろそこに映っていたのはこの学園の教師と思われる人物達。

彼らをトレースしてカメラも移動しているらしい。

その1つでは、うちの中学の体育教師が俺の担任の胸を影からガン見している映像もあった。

あぁ、これは確かに外で今行動している教師達の映像だ。

 

「私の秘密基地へとようこそ。歓迎するよ山田太郎サン」

 

「お前……本当に何者だ?」

 

「ふふ、そうネ……未来の火星人とでも言っておこうカ?」

 

「未来人だと?」

 

いぶかしむ俺ににやりと笑みを浮かべる超。

近くにあった椅子に座ると足を組み、膝の上に両手を重ねた。

 

「そう、貴方のパンティが地球を救った未来からやってきた……その更に先。

 救われることのなかった火星生まれの人間ネ」

 

俺のパンティが地球を救う?……どういうことだ。

しかも彼女はその未来の地球ではなく火星人だと言う。

 

「信じられないという顔だネ? まぁ無理もないヨ」

 

ならば証拠を御見せしよう、と彼女が口にした途端。

目の前で彼女の姿が一瞬で消えた。

 

「なっ!?」

 

どこに行った!? 周囲を見渡すも彼女の姿は見えない。

情熱のパンティで日々強化されていった俺の動体視力も持ってしても彼女の姿がぶれるところすら見えなかった。

穿いているパンティの色をトリコロールカラーの新人類のパンティへと変化させる。

しかし更に鋭敏になった俺の感覚でも彼女の存在を感じ取ることはできなかった。

視覚に集中する――何かが動いた時におこる空気の流動で発生する埃の乱れすら見当たらない。

聴覚に集中する――足音どころかスカートやパンティが擦れる音すらしない。

嗅覚に集中する――何の臭いも感じない。

触覚に集中する――見られている時に感じる独特の感触も感じない。

味覚に集中する――やはり何か変化は感じられない。

ならば五感を超えた第六感――直感を集中させる。

だが、やはりこの部屋の空間に俺以外の人間の存在を感じ取れない。

だというのに、そこにいないはずの彼女の声が俺に語りかけてきた。

 

「見えないか……否、私の存在を感じられないかナ?」

 

「っ!?」

 

「私は変わらずここにいたのだがネ」

 

そんな言葉と共に、先ほどと全く同じポーズで超が姿を現した。

椅子に座り足を組んで、膝の上に両掌を重ねている。

悪戯の成功した子供のようににやにやとした笑みも変わらない。

移動する時に生じる髪の毛の動きすら感知できない。

例え瞬間移動なりで急にその場に現れたとしても、そこには空気の流動が発生するはずだ。

しかしそれも感じ取ることはできない。

 

「何をした?」

 

「何を、と言われても姿を消したとしか言えないネ……貴方の作ったパンティでネ」

 

「……どういうことだ?」

 

確かに俺は特殊な能力を持ったパンティを作ることはできる。

しかし特殊なパンティは今まで雪菜ちゃんにしか渡したことは無いし彼女が知るはずもない。

超自身が言っていた個人的な情報網をもってして調べたとすれば、まぁ知っていることくらいは不思議ではないが。

だが、そもそもの話、俺は姿を消せるようなパンティを作った覚えはない。

それも新人類のパンティですら感じ取ることができないほどに完璧な存在の消し方ができるパンティなど。

 

「間違いなくこれは貴方の作ったパンティ……といっても、“未来の”と言葉がつくがネ」

 

そういって椅子から彼女は立ち上がると、少し恥ずかしそうにスカートの裾をつまんだ。

そしてゆっくりとそれを捲りあげる。

スカートの動きに合わせて視線を上に太股に沿うようにして動かせば、そこには肌色の空間があった。

何も身に着けてないのではない。

大事な所を最低限隠すために、絆創膏が張られている。

しかし前張りだけでパンティなど……いや、違う!

 

「これはまさか!?」

 

「気づいたかナ?」

 

少し恥ずかしいのだろう、頬を羞恥の色に染めながらも不適な笑みを崩さない彼女。

その彼女の腰の肌のラインをよくよく見れば、弱冠の肌への食い込みが見れた。

パンティを穿けば、柔肌にしっかりと固定するが故に形成される少しばかりの曲線の歪み。

新人類のパンティを穿いていなければ解らなかっただろう。

その食い込みは1ミクロンもあるかどうかといったひどく小さなものだった。

おそらくは他のパンティを穿いていれば、如何にパンティストを自称する俺でも気づくことはできなかったはず。

あれは絆創膏を張っているだけに見えて違う。

実際は極薄で透明な、存在すら感知することが難しい布地に大事な部分を隠すためにそこだけ肌と同化する色の絆創膏を模したクロッチが施されている。

なんというレベルでの完成度なんだ。

あの薄さ、透明度は今の俺では到底作り出すことのできない技術力、イメージの深さ。

 

「そう、これは透明なパンティなのだヨ」

 

穿くためには色々と処理が多くて大変だがネ、とおどけて見せる超。

俺は戦慄を覚えずにはいられなかった。

これほどのパンティを俺以外が作り出したということに。

いや、彼女の言葉を信じるのであれば未来の俺、ということになるのか?

自分の今のパンティストとしても実力の未熟さに愕然とする。

 

「これは今から数十年後、地球から争いを無くしたとされる山田太郎が作り出したパンティ」

 

超がスカートの裾から指を離すと、はらりと元に戻り彼女の股間は姿を隠した。

 

「自分がいなくなった後も平和を維持できるよう、時の世界統一政府に託された十二枚のパンティ」

 

彼女の言葉がまるで直接脳内に届くように俺に流れ込んでくる。

 

「特殊能力を有した完成系変異パンティ―――

 

 ――第七のパンティ、所有者の姿をあらゆるものから感知できなくさせる能力を持つ――

 

 ――透布・無在」

 

それは未来の俺が自分の死後、新たに世界の脅威が現れた時に対処できるように世界へと託した力のひとかけらであった。

 

 

 




次は超の狙いと、山田が警察をやりすごした経緯の話になる予定
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