さて、夏が近づいてきた今日この頃ですが、とても暑いという訳でもなく
寒くなったり、また暑くなったり、雨が降ったり、雹が降ったりで異常気象って感じの
天気になりつつある感じですね...(苦笑)
そんなこんなありますが、頑張って続けていきます!!
それでは、東方追求録 第五話どうぞ~!!
~幼き王女との約束事~
そんな一言にその場の全員が言葉を失った。
驚きや驚愕などのどんな言葉で表せば良いのだろうか?
その場で一番早く落ち着きを取り戻した零の脳内で、原因推測と解決策の試案が思考される。
フランに対して、使った魔術に記憶抹消も髪を変色させる効果もない。
グレイプニルに能力を使った性で死ぬまで行かずに記憶を食われた?
記憶を食われて、それと同時に寿命や魔力、妖力なんかも食われたのか?
いや、俺はそこまでしろ。なんて命令していない。
それに緊急防衛機能が発動しようとしたら、俺が分からない訳がない。
仮に原因がグレイプニルだとしよう。
その場合の解決策は、グレイプニルの胃袋の中にある記憶や寿命を吐き出させれば良い。
だが、原因がそれ以外にあったら?もしも、『狂気』の仕業だとしたら...
どうする?罠かもしれないし、それ以外に目的があるのかもしれないし。
思考の沼に意識が引き込まれそうになり、不意に近づいてきた気配に気付く。
零:「ッ..,!!」真後ろにバックステップで飛び退る
フラン?:「わわわ!?急に動かないでよ!!びっくりしたじゃん!!」
零:「あ、ああ...それはごめん」
零:「ねえ、君は誰かな?」
フラン?:「君たちは私が誰か知らないの?」
レミリア:「何をふざけてるのよ?フラン」
レミリア:「悪い冗談は止めなさい」
フラン?:「え、えっと...」思案顔のフランの口から、恐る恐るその一言が言われる。
フラン?:「ごめんなさい...どちら様ですか?」予想通りであってほしくなかった。
レミリア:「...ッ!!」
咲夜:「あら、もう殺していいですね?」
背後からの殺気をヒシヒシと感じながら、弁明をしようとする。
零:「ちょっ、待っ...!!」
そこでレミリアの手の中に真っ赤な槍が握られる。
レミリア:「これはどういう事?私が納得を出来る様に説明しなさい!!」
レミリア:「出来ないのなら、ここで死になさい!!」
レミリアからの一言を聞くが早いか、こちらとの距離を詰めてくる。
零:「クッソ!!最悪のタイミングだ!」この状況で僕が取るべき行動は...
零:「悪いがこっちは逃げさせて貰う、よ!!」全速力でこの場から逃げる。
レミリア:「逃がすか!!」
レミリア:「スペルカード発動!!」
レミリア:『神槍「スピア・ザ・グングニル」』
後ろから迫る槍に追いつかれまいとスピードを上げようとしたその時、
咲夜:「貴方に逃げ道は無いわ」
そんな言葉と共に手足の自由が無くなる。捕まったのか?誰にって、あのメイドか...
こいつならまだどうにかなる。そう思い、逃げようと様子を伺っていたが、背後から飛んできていた槍が胸を貫通して、その先の壁に僕の体を縫い付けた。
零:「ゴフッ...ガハッ!!」
流石に胸を一突きされたのは致命的で、明らかに再生が間に合っていない。
レミリア:「心臓を吹き飛ばしても死なないのね」
レミリア:「まあ、死ぬまで殺すだけなのだけど」
これは本気だ。殺しに来てるのが、あの目と殺意でよく分かる。
零:「もしかしなくても、ヤバい?」
レミリア:「今頃、気付いたの?哀れね...そんな道化に引導を渡してくれる!!」
そう言って、此方に向けて新たに顕現させたグングニルを構える。
レミリア:「私の妹に手を出したこと」
レミリア:「後悔しながら死になさい!!」
そう言い放ったレミリアから無数の槍が飛来する。
そんな僕と槍とのあいだに誰かが割って入った。それは...
レミリア:「んな!?フラン!?」
そうなのだ、記憶を失ったフランが僕のまえに立ち往生をしている。
フラン:「止めて!!どうしてこんなことするの?」
レミリア:「そこをどきなさい!フラン!!」
フラン:「嫌!!」
槍がフランに刺さる。そう思われたその刹那、
フラン:「えっ?」そんな気の抜けた声がフランの口から出る。
零:「馬鹿なこと...するん、じゃないよ!」
フランの事を後ろに引っ張り、槍の軌道からフランを退かした零が血反吐を吐きながら怒鳴る。
フランに向かって飛来した槍が、零の体に無数の風穴を開けているのは、フランを庇った為だ。
普通の人間であれば致命傷ではあるが、それでも零は生きていた。
ただ、無傷ではなかった。体に開いた風穴は塞がることはなく、傷口から臓器であった
であろう物が零れ出した。それは、彼の傷の深さを物語っていた。
零:「クッソ!...傷が、塞がらない?何で...」
フラン:「ちょっと、大丈夫!?しっかりして!!」
零:「叫ばなくても聞こえてる...でも、このままだとヤバいかな」
フラン:「ど、どうしたら良いの!?私に出来る事ある?」
零:「そうだな...レミリアを、君のお姉さんを説得してくれたら助かるかもね」
フラン:「あの槍をお兄さんに投げた人?」
零:「人じゃなくて、吸血鬼だけどね?君もだけど」
フラン:「今、それ大事かな?」と冷たい眼差しで言われたので、首を縮める。
零:「てか、この槍に何か細工があると思うんだよね...」
そう言って、自分に刺さった槍の一つを引き抜く。元々の色が赤なのもあるが、
血液を浴びて更にその色を濃くした様に見える。
零:「この槍、魔力の塊か!!道理で回避したのに、こっちに向かって飛んで来たわけだ」
フラン:「関心してる場合じゃないでしょ!!」
零:「これは、魔力が流れ続けてる?本人が意図的に流してるって感じじゃないな」
零:「まさか...!?」魔力を伝って、能力を遠距離から干渉してるのか!!
つまり、レミリアにこの事を説明すれば助かる可能性はある。
そう思い名前を呼ぼうとした時だった。
零:「レミ、リ...ァ...」レミリアの名前を呼び終えるより早く、視界がぼやける。
通常、人間は循環血液量の三分の一を失う事で生命の危機になる。しかし、零は既に体内の血液の全体の三分の二を失っていた。頭を働かせる事や魔術を行使する事も困難な状態であった。にも関わらずに、魔術を行使したために遂に自身の魔力が枯渇してしまった。それにより、零の体は急激にその力を失いつつあった。
フラン:「ちょっと!?しっかりして!!」
フラン:「ねえ!私の事、助けるだけ助けて死んじゃ嫌だよ!!」
そう叫ぶフランの目から涙が零れる。それはすぐに止めどなく溢れ出し始める。
フラン:「私、まだお礼も言ってないのに...」
フラン:「行かないでよ...『また、私の事を置いていくの?』」
霊夢:「フラン!!零!!無事?」
紫:「零!!しっかりして、目を覚まして!!」
霊夢と紫が、泣きじゃくるフランのもとに集まる。
レミリア:「彼が死ぬ運命はもう決まったわ」
咲夜:「あれだけの再生能力と魔術を行使し続ければ、当り前ですね」
それに続いて、レミリアと咲夜も来る。二人の発言にフランと霊夢が睨みつける。
霊夢:「あんた達、やってくれたわね!!」
フラン:「許さない...絶対に!!」
紫:「止めなさい!!」
二人を止めたのは、零を抱き抱えた紫だった。
そんな紫の言葉に反論しそうになった霊夢は気付く。紫の握り拳から血が垂れている事に...
パチュリー:「あら、そいつ殺すのレミィ?」
レミリア:「何?パチェもこいつらみたいに殺すなって、言うの?」
パチュリー:「いいえ。そいつを殺すのには賛成だけど」
パチュリー:「今、そいつを殺したら「フランの記憶」は戻らないかもしないわよ?」
レミリア:「...」
パチュリー:「フランを戻してからでもそいつを殺すのは間に合うと思うのだけど」
レミリア:「...分かったわ」
パチュリー:「だ、そうよ」
どうにか、状況は良い方向に向いているかに見えたが...
紫:「零!!ねえ?目を開けて!!」そんな紫の悲鳴にも聞こえる呼びかけに思わず零の方を見ると、
先程まで苦しそうな顔をしていた零の顔に生気が無くなっている。
レミリア:「えっ、死んだの?」
霊夢:「そんな訳ないわよ。だって、死ぬわけないわよ」
霊夢:「ねえ...そうでしょ?零」
霊夢:「だから、お願い返事して!零ー---!!!!!!」
そんな霊夢の叫びをため息と共に聞き流す者が一人。
パチュリー:「無駄な事をしてないで、早く手を貸して頂戴?」
フラン:「無駄な事って...何よ!!」
パチュリー:「そいつはまだ生きてるわよ」
一同:『え...』
パチュリー:「そうでしょ?何時までそうやっているつもり?」
??:「はあ...面倒ですね、余計な事をしないでほしい」
そう言った声の主の姿は何処にも見えない。ただ、何処からか声がするのみだ。
霊夢:「誰?あんたは...」
??:「答える気はない」
??:「全く、面倒な事をしてくれたな。吸血鬼」
レミリア:「知ったこっちゃないわね!」
??:「ふん!まあ良い、さっさとそいつを生き返らしてくれ」
紫:「なんで貴方がそんなことをするの?」
??:「おまえが知る必要は無い...それともここで死ぬか?妖怪の賢者」
紫:「それは遠慮しておくは...」
??:「賢明な判断だ」
??:「これを渡しておこう。来い!!『エリクサー』」
そう言うと不思議な色の液体が入った瓶が霊夢の手元に出現する。
パチュリー:「あら、錬金術の万能薬がそんなに簡単に出てくるなんて驚きだわ」
??:「ぬかせ...貴様も持っているだろう?」
パチュリー:「あら、それはどうかしら?女性の持ち物を探るのは良くないわよ?」
??:「ふん!戯言を」
??:「それでは失礼する...次に会う時は『目覚め』の時だ」
霊夢:「え?」
フラン:「目覚めって何の事?」
??:「今回は貴様か...精々抗う事だな、出なければ死ぬぞ」
レミリア:「どうゆう事!?」
??:「言葉の通りだ...それではご機嫌よう、諸君」
それっきり、声は聞こえなくなった。残ったのは万能薬と謎だけだった。
パチュリー:「まあ、でもこれで零を復活出来る訳だし良い結果じゃない」
霊夢:「そ、そうなのかしら?てか、これってどう使うの?」
パチュリー:「飲ませれば良いだけだけど、残念ながら自力では飲めないだろうから」
パチュリー:「霊夢、貴方は零の事が好きなの?」
霊夢:「は!?え///...だったら、何よ!」羞恥心を感じたが、状況が状況な為にすぐに答える。
パチュリー:「そう、なら好都合だわ」そう言ったパチュリーの意図が掴めずにいる一同が
頭に疑問符を浮かべていると...
パチュリー:「霊夢、貴方が口移しで零に飲ませるのよ」
霊夢:「は、はああああああああー-----!?!?!?!?!?」
レミリア:「く、口移し...」
咲夜:「確かにそれなら霊夢が適任ですね」
霊夢:「無理!私、口移しどころかキスした事すらないのに......あ、」
レミリア:「へぇ~良いこと聞いたわ~」
紫:「この際、貴方が出来ないなら私がするわ!!」
紫:「この子には死なれる訳には行かないの...」
レミリア:「あら珍しい!どうゆう風の吹きまわしかしら?」
紫:「いいでしょう?そんなこと...」
紫:「霊夢、出来るの?」
霊夢:「......」
霊夢:「やるわよ!やれば良いんでしょう!!」そう言って、横たわる零を抱き起して
霊夢:「どこまでも迷惑かけてくれるわよ、あんたは...」
霊夢:「今だって、私に迷惑かけて心配かけて本当に最低!!」
霊夢:「でも、私はあんたに居てほしいの。生きていて欲しいのよ!」
霊夢:「私の唇は高いわよ?」
霊夢:「あんたにはこれから一生を掛けて返して貰うから。だから...」
エリクサーを口に含み、零の中へと流し込んでいく。
霊夢:「帰ってきて、零!!」
零にエリクサーを飲まし始めてから五分程が経過し、半分程が無くなった。
しかし、零は一向に目を覚まさない。頭の中を『手遅れ』という文字がグルグルと駆け巡る。
周りの皆も固唾を飲んで見守っている。
霊夢:「これでラスト...」遂にエリクサーが無くなろうとしていた。
僅かな希望に賭けて零に飲まし始める。無限にも感じる時間が過ぎて...
瓶は、空になった。
ピクリとも動かない零を見て、涙が流れ出す。堪えていた嗚咽が零れ出す。
霊夢:「そんな...なんでよ、零...」現実が受け入れられずにいる霊夢。
零の手を握って、気付く。その手の「冷たさ」に...
霊夢:「嫌、嫌だよ...零!起きてよ!目を覚ましてよ!!」
レミリア:「死体の傷を塞いだだけになったわね...」
パチュリー:「そうね、レミィ...これで良かったの?」
レミリア:「何よ、幻想郷から追い出されても何とかなるわ『彼の事よ』よ...は?」
レミリア:「どうしてあいつが死んで私が傷ついたり、落ち込んだり、泣いたりするのよ」
パチュリー:「貴方、彼と本当は会った事があるんでしょう?」
レミリア:「そんなこと...ないわよ」
だが、レミリアの目には「後悔」や「悲観」などの様々な感情が写る。
そんな時だった。零の体から人の者とは思えない鳴き声の様な、叫び声の様なものが聞こえてくる。それはまるで、龍の咆哮のようだった。
パチュリー:「体の中に魔物でも飼ってるのかしら?ねえ、レミィ?」
レミリア:「赫脈龍鱗...!!何で!? あんたがそれを!!」
レミリア:「あいつ以外に使える訳ないのに...」
レミリア:「あいつは死んだって、お母様が言ってたのに...」
独り言を呟き続けるレミリア。その言葉は要領を得ないものばかりだった。
そこでハッとした顔になり、パチュリーに向かって
レミリア:「パチェ!零に火か日の魔法を打って!!」
パチュリー:「は?正気かしら...レミィ?」
レミリア:「私は真面目だし正気よ!!もし本当にあいつなら、それが正解!!」
パチュリー:「それが、正解?どういう事なの...」
レミリア:「なんでも良いから早く!!」
パチュリー:「はぁ...どうなっても知らないわよ?」
パチュリー:「スペルカード発動!!」
パチュリー:『火符「アグニシャイン」』
そう言って、零に次々と火球が降り注ぐ。零の近くに居た霊夢とフランは咲夜が助け出していた。
霊夢:「レミリア!!何をしているの!?」
レミリア:「黙ってみてなさい...霊夢、フラン」
レミリア:「ちっ!今のじゃあ火力不足かしら?パチェ!もっと!!」
パチュリー:「むきゅ~!魔女使いが荒い!!」
パチュリー:「スペルカード発動!!」
パチュリー:『火符「アグニシャイン上級」』
先程の弾幕と似ているが、量や質、範囲等の全てに置いてこちらの方が上だった。
それらが更に零に降り注ぐ。轟音と土煙で、最早、何が起きているのかどうかなど確認の仕様が無かった。
レミリア:「クソッ!!これでもまだ足りないなんて!?最悪だわ!!」
レミリア:「パチェ!!もっと!合わせて!!」
レミリア&パチュリー:『スペルカード発動!!!!』
レミリア:『神槍「スピア・ザ・グングニル」』
パチュリー:『日符「ロイヤルフレア」』
太陽と神槍。普通の人間なら跡形も無く、消滅する程の威力を秘めた一撃が零に直撃する。
全員が心配しながら零の方を見る中、レミリアの顔に笑顔が浮かぶ。
レミリア:「やっぱり、生きてたんだ!」
レミリア:「約束、守ってくれてたんじゃない...」
そんなレミリアの独り言に呼応するかの様に零の体から熱波が噴き出す。
レミリア:「パチェ!結界張るから手伝って!!」
パチュリー:「私がやるから良いわ、レミィ!」
?????:「我の呼びかけに応じたのは、貴様か?」
突然の呼びかけに辺りを見回すと、空中にある「眼」が目に留まった。
その目の近くには口や鼻、顎などがあり、よく見たら鱗もあった。そこで気付いた。
半透明ではあったが、目の前に紅魔館のホール程もありそうな龍の頭があることに。
それは、紅魔館のホールを顔だけで使い切りそうな辺り、本来の大きさは相当であろう龍だった。
フラン:「お、大きい...龍だよね?」
?????:「如何にも、我は赫龍!ヤンジェイン島の最高峰の山『陽神山』の主なり!!」
パチュリー:「赫龍!?まさか、実物を見る事が出来るなんて...『星龍』の一角」
赫龍:「よく学んでいるな、魔法使い...称賛に値する」
パチュリー:「お褒めの言葉、感謝します」
赫龍:「うむ。では、我もそろそろ契約を実行せんとな...」
そう言うと零の方を向く赫龍。その口から詠唱が紡がれる。
赫龍:「我が名は赫龍!かの盟約に従い、罰を実行する」
赫龍:「罪人の罰は、壊れる事を許されぬ天命を全うする事!!」
赫龍:「今一度、舞い戻れ!!」
赫龍:「リザレクション!!」
赫龍の一声に呼応するように、辺りの魔力や霊力、妖力などの力が零へと集まっていく。
そして、零の方から寝息が聞こえてくる。
赫龍:「よし、戻ってきたようだな...」
レミリア:「零は、彼はまだ囚われているの?」
赫龍:「今の私たちではどうすることも出来ないんだ。すまない...!」
レミリア:「そう...」
赫龍:「君は、私を覚えているかな?」
レミリア:「いいえ、と言いたいところだけど...」
レミリア:「知っているわ。お母様の使い魔だったんでしょう?」
赫龍:「そうだ。貴殿は母君と同じ力がある。我を仕えさせる事も出来るぞ?」
レミリア:「いいわ、少なくとも貴方は今、零の中に居るのでしょう?」
赫龍:「ふふふ...よく見ているな」
赫龍:「また、別の機会にするとしよう...」
そう言い残して、零の中に引っ込んでいった。
零:「んっ...んあ?ここは...」
霊夢:「零ー--!!」
零:「わわわ!?どうしたの霊夢!?皆見てるよ?」
霊夢:「本当に、本当に死んじゃったと思ったでしょ!!」
霊夢の目から涙が流れ出した。そのまま零を睨む霊夢にたじろぎながら紫の方をに助けを求めるが、笑顔の紫の顔を見て冷や汗を掻きながら助けが来ない事に気付く。四面楚歌だ~(;´∀`)などと頭の中で考えていると...
予想外の人物から助け船が出された。それは無言で此方を向くレミリアだった。
レミリア:「唯一、無言を貫いてる理由が分かるかしら?」
零:「え、えっと...分からないです」
レミリア:「私の事を覚えてるかしら?」
零:「え、覚えてるよ?朧気だけど...」
レミリア:「なら、いつの私に会ったの?」
零:「パーティの時と妹のフランちゃんがお腹にいた頃の二回だよ」
レミリア:「...ッ!!!!」そう零が答えた時だった。
パチン!!という音と共に零の左頬にレミリアの平手打ちが飛んだ。
その場の全員が凍り付く中、逸早く立ち直った霊夢がレミリアに詰め寄る。
霊夢:「ちょっと!レミリア!!あんた、零は生き返ったばかりなのよ!?」
レミリアに掴み掛らんという勢いの霊夢。それを...
零:「霊夢!!良いの、理由は思い出したから...」
零:「ごめんね、レミリア。約束守れてなかった...」
零:「だから、これも甘んじて受けるよ」
零の言葉を聞いたレミリアの眼から涙が流れる。
レミリア:「なんで、何も言ってくれなかったの?」
レミリア:「どうして、貴方が死んだ事になってるの?」
レミリア:「そして、今まで何処で何をしてたの?」
零:「あはは...質問攻めだね~」
零:「えっと、最初の質問に対する答えは...『言ったよ』かな?」
レミリア:「いつ?」
零:「最後に会った時に言った事、覚えてる?」
レミリア:「自分のやるべき事をやってから行くってやつ?」
零:「そう、それだよ」
零:「二つ目の質問は...『半分正解で半分不正解』かな?」
レミリア:「は?噛むわよ、零」少しばかりズレた脅しに苦笑しながら...
零:「ふざけてないって...確かに僕は死んだよ」
レミリア:「じゃあ、私の前に居る貴方は...誰?」
零:「それは勿論、僕だよ。と言いたいところだけど、そうも言えないんだよね~」
零:「死んでからの記憶が無いって、言ったら信じる?」
咲夜:「そんな話を信用できると思っているの?」
レミリア:「信じるわ...あんたが誰かは今の質問で分かったわ」
零:「え?何でそんなことが分かるの?」
レミリア:「あんたの癖よ。その別の事、考えてる時の顔...分かるわよ」
零:「あはは...レミリアには何でもお見通しってわけか...」
レミリア:「知ってる事しか知らないわ...」
そんなレミリアの言葉のおかげで、どうにか一刻の猶予が出来た。
零:「ごめん...レミリア」
零:「フランの事、やっぱり僕の性、だよね...」
レミリア:「あんたはやったの?」
零:「やってない、と言えたら良かったんだけど...」自信のない故の答え。しかし、それは
レミリア:「違う、そうゆう事じゃない」
レミリア:「あんたはやったと思ってるの?」レミリアが聞きたい答えでは無かった。
零:「...違う...」その質問にしっかりと答える。
零:「こんな事しようとなんてしてない!」
レミリア:「なら、はっきりと『やってない!!』と言いなさい」
零:「うん。ありがと、レミィ」
パチュリー:「話は終わった?」
レミリア:「ええ、状況は分かったわ」
レミリア:「咲夜、美鈴を呼んで来てくれる?」
咲夜:「美鈴なら、客室で休んでいます」
レミリア:「霊夢に吹っ飛ばされたの?」
咲夜:「零さんに、です」
レミリア:「咲夜、貴方は彼を信用できないって顔してるわよ」
咲夜:「まだ、私は信用できません」
レミリア:「そう。まあ、すぐに信じろとは言わないわよ」
レミリア:「少しずつ慣れていけば良いわ...」
そう言って咲夜と共に美鈴のもとへと向かったレミリアだったのでした。
~紅魔館~ 大図書館
パチュリー:「はあ~私の図書館が...」
レミリア:「皆、揃ったわね?」
零:「うん」
霊夢:「ええ」
フラン:「はーい」
咲夜:「ええ、お嬢様」
美鈴:「います~」
パチュリー:「はあ~」
紫:「何を話そうって言うの?」
レミリア:「そうね、状況の確認をしたいから呼んだというのが正しいわね」
零:「えっと、美鈴さん。さっきはすいません!」
美鈴:「良いですよ...こうして無事なんですから~」
零:「後、パチェも覚えてる?」
パチュリー:「気安く呼ばないでって言ったのだけど?」
パチュリー:「後、貴方とは初対面よ」
零:「またまた~嘘ついちゃって~」
パチュリー:「あら?また死にたいの?」
零:「怖~~~い!!」
パチュリー:「この!魔術師が!!」
???:「あれ~?懐かしい魔力だと思ったら、零さんじゃないですか~」
???:「お久しぶりです~」
零:「あ!!ヤッホー!こあ姉~」
「こあ」と呼ばれた司書姿の悪魔の女性。こあこと小悪魔はパチュリーの使い魔だ。
零と抱き合う姿に霊夢の顔が引き攣るが、何とか堪えて零に聞く。
霊夢:「零?小悪魔やパチュリーと『どういう関係』?」
笑顔で聞く霊夢だが、目が笑っていない事に気付いて冷や汗を流す他一同。
修羅場。そんな言葉が全員の頭の中にあった事だろう...
こあ:「零君はパチュリー様の精霊術の師匠だったんです」
パチュリー:「ちょっと!?こあ!余計な事を言って...」
零:「そうだよ~!パチェに精霊術師としての技術を教えたのは僕だよ~」
パチュリー:「あんたも出任せを言うんじゃないわよ!!」
そんなまさかの関係の三人は再開を喜ぶ二人と喜んでいない一人という構図になった。
零:「酷いな~あんなに一緒に魔法以外にも色々教えたのに~」
霊夢:「色々...」最早、放心状態の様な霊夢。
レミリア:「え!?あの年中引き籠ってるパチェが?!零とそ、そういう関係...」
パチュリー:「色々って、錬金術や精霊術、召喚術や呪術でしょ!?」
パチュリー:「誤解を生むような事、言うんじゃないわよ!!」
零:「何を誤解をさせるようなことを言ったかな~?」
零:「具体的に言ってくれな~い?」
パチュリー:「むきゅー!!本当に嫌な奴!!」
と、パチュリーを煽る零。それに対して、顔を真っ赤にして怒るパチュリー。
そんな空間に突如として、誰かの一声が響く。
紫:「零!いい加減にしなさい!!」
零:「は、はい...」と一気に大人しくなる零。それにじりじりと寄っていく紫。
紫:「そんな子供っぽい事してないで、フランドールの記憶を復元する方法を考えなさい!!」
零:「それさー、紫さんの能力でどうにかならない?」
紫:「無理ね...記憶が存在していたところがすっぽり抜けてた」
そこで零は真剣な顔になり、全員に告げる。
零:「やっぱり、人為的に今回の狂気は引き起こされたと思う」
レミリア:「そう思った根拠は?」
零:「今回の心象投影の『狂気の波動』は、通常の心象投影と違うから」
通常は無差別に種族を問わずに暴徒化させることが出来る魔法だ。だからこそのメリットもあればデメリットもある。不特定多数に魔法を掛け続ける為に、術式の最適化を行わないと使う事は出来ても数秒や長くて数十秒になる。しかし、最適化する事でその使用時間は、数十倍にも数百倍にも時には数千倍にも増える。ただ、それを考慮しても今回の心象投影は長すぎる。例え、術師が無限の魔力を持っていても、魔法を使えばその一部でも流れ出る。だから、術師の居場所を特定出来ると思ったのに一切の反応が無かった。それほどの遠距離からの発動+高い隠蔽魔法の維持など面倒過ぎるのだ。効率的ではない。上記の理由から...
零:「今回の心象投影の犯人は生物ではない、と言える」
零:「言い方を変えれば、思考能力を持たない無機物に近い何か。ってところかな?」
レミリア:「うん?それじゃあ...」
レミリア:「フランの記憶を奪ったのは『何らかのモノ』って事になるわよ?」
零:「今回の心象投影の原因とフランの記憶を奪った犯人は別にいる」
零:「心象投影が起きたから、フランの記憶を奪った。ってのが正しいと思う」
パチュリー:「そういうって事は、根拠があるのよね?」
零:「もちろんだよ」
そう言い、答えようとして思い出した問題を思い出す。それに展開された赤い霧。
「紅霧」と呼ばれるものは、レミリアが幻想郷に来た時に起こした紅霧異変の時に出したものらしい。
霊夢に伝えられただけの為、実際に見るのは初めてなのだが......
零:「レミリア、外の紅霧を消してくれない?」
レミリア:「え?外に紅霧なんて出してないけど...」
レミリア:「それに外は嫌なくらいの快晴よ?」
零:「え?」そういうレミリアの言葉で外が晴れていることに気付く。
無くなったのか?と思いながらも誰が出したかも分からないのはどうなのだろうかと思いながら、
納得することにした。今は、それよりも...
零:「フランの狂気は...『もう一人のフラン』が原因なんだよ」
レミリア:「もう一人のフラン?え?な、何それ...」
フラン:「私がもう一人いるって事?」
零:「まあ、そんなところだよ。そこまで単純じゃないけど、ね?」
そう言う零の言葉に疑問符を浮かべるフランに苦笑する。
レミリア:「それじゃあ、フランには自分の部屋に戻ってもらうわね?」
パチュリー:「そうね。それが良いと思うわ...」
零:「何で?フランを目の届く場所に置いておくべきだよ」
フラン:「ねえ、レミリアさん」
レミリア:「...何かしら?フラン」
フラン:「それは誰の為?私の為?それとも...」
レミリア:「貴方の為よ...」
フラン:「そっか。分かった...」
レミリア:「咲夜、案内してあげて...」
咲夜:「かしこまりました、お嬢様」
咲夜:「フラン様。こちらになります」
フラン:「は、はい...」そう言って、フランと咲夜がフランの部屋に歩いていく。
パチュリー:「で、フランの記憶を奪ったのは誰?」
零:「覚えてたんだ。分からんけど...」
パチュリー:「は?貴方、生かされた理由を覚えてるかしら?」
零:「知らないな?俺は可能性の話をしているんだけど?」
霊夢:「あんたら、仲悪いわね...」
紫:「元カノの前に今の彼女を連れて来るんだから、修羅場でしょ」
パチュリー:「そんな訳ないでしょ!?」
そろそろパチュリーの我慢も限界だろうから、本題に入る。
零:「吸血鬼や血魔が最も恐れるものを知っているか?魔法使い」
パチュリー:「それがフランの狂気とどんな関係が?」
レミリア:「私たちは、『銀』や『日光』、種族によるけど『流水』かしら?」
パチュリー:「血魔は、その『血魔自身の血』と『日光』が該当しそうね...」
零:「ブー!!不★正★解!!」そう言うとパチュリーとレミリアは首を捻る。
零:「それは弱点なだけでしょ?それに魔法や魔術でどうにかなるでしょ」
レミリア:「確かに...パチェのお陰だけど」
零:「そういう事だよ。本当に恐れられているのは...」
零:「種族の『血の覚醒』が起きる事なんだよ」
レミリア:「血の、覚醒...」
パチュリー:「そんなもの、聞いたことが無いわけでも無いわね...」
零:「だろうね。レミリアにも心当たりがあるでしょ?」
レミリア:「私は、ちょっと分からないわ...」
零:「まあ、500歳くらいじゃ仕方ないか...」
レミリア:「500歳くらいって...年齢感覚バグってるわよ?」
零:「年齢をバラされた事には、ノーリアクションなんだ」
レミリア:「いや、知っているでしょ?皆...」
零:「あ、そうなの?」そう言って霊夢たちの方を見ると頷く面々。
レミリア:「まあ、『レディ』に対しての発言としては間違いね?」
零:「ハハハ...それは失礼しました。お嬢様?」
レミリア:「フフフ♪許しましょう」などとレミリアとふざけていると...
突如としてレミリアがこんな事を言ってきた。
レミリア:「あ!そうだわ、零~!!貴方の能力って、何なの?」
その質問に、零と零の事情を知る霊夢と紫が顔を見合わせる。
零:「えっと、分からないんだ~記憶からすっぽ抜けちゃって...」
レミリア:「えっ?そこに能力鑑定機...ゲフンゲフン!鑑定が得意な奴がいるじゃない?」
紫:「おい?こら、吸血鬼????喧嘩なら買うぞ?」
レミリア:「貴方が勝つ運命は存在しないわよ?」
紫:「言ってくれるわね?後で吠え面をかいても知らないわよ!!」
二人が喧嘩を始めそうな勢いの中で一人はその喧嘩を止めるべく、気を伺っていた。
二人が一歩、踏み込んだ瞬間に間に割って入る零。二人が手に握った傘と槍を右手と左足で止める。
零:「何やってるの、二人とも?」
零:「遊びたいなら遊んであげるよ?」
そう笑顔で二人を宥める零に二人は武器を収める。
零:「もう~こんな事でけんかしてどうするの!」
紫&レミリア:『ご、ごめんなさい...』
零:「よろしい♪」そう言って、上機嫌に戻る零。
それを見ていた咲夜から零に声が掛かる。
咲夜:「零さん、私と『弾幕ごっこ』で勝負してください」
零:「え?」
第五話いかがでしたでしょうか?
グダグダと書いてしまったのがよく分かる文ですね~(白目)
さてはて、狂気から解放されたフラン。しかし、今度は記憶を失ってしまいました。
そして、零を助けた謎の人物と零の中から出てきた赫龍。二人は一体、何者なのか!
更に、咲夜から弾幕ごっこを挑まれる零の運命やいかに!?
次回“東方追求録”第六話「閉ざされた扉と白紙の運命」お楽しみに!!