待て、ジレン。孫悟空に会ったことあるってマジか。   作:白狐

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トッポさん、登場。

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アウトだ、ジレン。

 

 

(・・・・・ドラゴンボールかああああああああ!)

 

フォルノはべしょりと机に顔を伏せて考え込んでいた。

 

(いや、まじで今更すぎないか?)

 

ジレンの話を聞く上では、どうやら孫悟空たちがいるのは違う宇宙であるらしい。

そうして、話を聞く上では孫悟飯やビルス様が登場している時点でおそらく原作自体はとっくに終っていると考えて支障は無いだろう。

まあ、宇宙が違う時点で何をどうすれば良いのかわからない。

が、そんなことなどどうでもよくて、フォルノにとって気にすべきことはたった一つだけ。

 

(ジレンいいなあああああああ!孫悟空と会ってんだよ!?ベジータにも!)

「私もピッコロさんに会いたかった・・・・」

 

別段フォルノはそこまで熱心なドラゴンボールの読み手ではなかった。それはもちろん、大人になれば遠のいてしまった。

けれど、ドラゴンボールなのだ。

いくら、大人になってある程度漫画だとかから離れてしまった部分があっても、ドラゴンボールが嫌いな人間なんてそうそういないだろう?

孫悟空、カカロットとも言える彼に、ベジータ。そうして、孫悟飯にトランクス、孫悟天、ブルマにチチ。ピッコロはもちろん、デンデに亀仙人。

幼い頃に憧れたヒーローだ。

そう、自分がドラゴンボールの世界に生まれていると知ったフォルノの本音はたった一つだけだ。

 

悟空に、ベジータに、彼らに自分だって会いたかった!!

 

それに尽きるのだ。

 

(おまけに、危険な原作部分は終った後で、平和な時間でしょ?私も、カメハメ波とかギャリック砲だとか見たかった!悟空にカメハメ波教えてもらいたかった!!)

「・・・フォルノ。」

 

低いその声にフォルノが頭を上げて、机の向かい側に座った筋骨隆々のそれを見た。

 

「なにさー。」

 

黒い瞳にフォルノはじとりとした目を向けた。目の前の幼なじみはじいとフォルノを見るがそんなことには興味は無い。

フォルノとしては目の前の幼なじみが妬ましくて仕方が無い。

何と言っても悟空と会話をして、あまつさえ戦っているのだ。もちろん、フォルノとしては戦うのはごめんではあるが。

そうは言っても自分に黙って悟空に会っていたなんて羨ましすぎるじゃないか。

二人がいるのはフォルノの住居兼仕事場兼、宇宙船だ。定住地を持たない彼女は父から譲り受けたそこに住んでいる。

ジレンとフォルノはその居住部分の今にある机に向かい合わせで座っていた。

同居の件に関してはフォルノとしてはジレンの好きなようにさせることにした。別段、受け入れる理由もないが、断る理由もない。元より、ジレンの願いならばできるだけ聞いてやりたいと思っているフォルノだ。

何よりも、修行だとか、任務だとかで家を持たないジレンがどこかしら居場所を持とうとしていることにも喜んだ。

修行のためにほとんど野外生活のようなものをおくっている幼なじみの現状を知っているフォルノとしては喜ばしかった。

ようやくお前も文化的な生活を、と思いつつジレンのために個室を用意する程度にはその存在を受け入れていた。

ジレンの引っ越しというと驚くほどに素早く進んだ。元々、ジレンは必要最低限の私物を置くための倉庫を借りている程度で、それを移すだけで事足りてしまったせいだ。

ミニマリストもびっくりな私物の数だ。

そんなこんなで始まった同居であるが、別段ジレンも毎日宇宙船にいるわけではない。彼も彼で任務だとか、修行に明け暮れているわけで、適当に過ごしている。

宇宙船に帰りたくなった折にはフォルノに連絡し、迎えに来てもらい、そうして数日過ごしてまたどこかに行くという生活になっていた。

フォルノにとって迎えに行く云々は一瞬の間で別段不満はない。プライドトルーパーズに関しては彼女もその任務に一枚噛んでいる部分があるためついでだと気にしていない。

二人の生活は、一応特別不満もなく回っていた。

 

「お前、どこで孫悟空のことを知ったんだ?」

 

それに対してフォルノはそっと目をそらした。

ジレンは別段キツい物言いはしないが、そうはいってもフォルノが孫悟空を知っていた理由というものを非常に聞きたがった。

それはまあ、理由もわかる。

なぜ、知り得ないはずの他宇宙の人間について詳しく知っていたのか。ジレンでなくとも気にはなるだろう。だが、フォルノとしてもどう説明して良いのかわからない。

実は自分には前世の記憶があり、そこで知ったんだ。などと話した日にはどうなってしまうのか、ということだ。

だからこそ、フォルノはときおり挟まるその話に、適当に誤魔化している。

 

「うーん、悪いことはしてないけどさあ。でも、まあ、説明がしにくくて。」

 

それに対してジレンはじっとりとした視線を向けてくる。それにフォルノは逃れるように視線をそらした。

そうして、ふうとため息をついた。

 

「・・・・わかった。」

 

ジレンはそう言って呆れたようにため息をつく。それに対してフォルノは一抹の申し訳なさを感じつつ、入れていたお茶をすすった。

 

 

 

「ジレン、すまないな。」

 

トッポはジレンにそう話しかけた。それにジレンは、軽くであるがああと返事をした。

悪党に占拠された町の解放に赴いていた。

事件を聞いたトッポたち、プライドトルーパーズも急行していた。が、彼らの宇宙船が着く前にすでにやってきていたジレンが事態の収束を図っていた。

 

「早かったんだな。」

「フォルノに送ってもらったんだ。」

 

簡潔なそれにトッポはなるほどと納得した。

フォルノという女性についてはトッポもよくよく知っている。彼女は長年、プライドトルーパーズに協力してくれている存在だ。

テレー人。

その名前は知っている人間からすれば有名な種族だった。転移の能力を持つ彼らを多くの存在が求めていた。

それは、例えば辺境の人間が貿易などの物資を求めてのことであったり、ビジネスの相手として。そうして、悪事への加担者として。

彼らの力があれば、スパイに奇襲、多くの物事を起こせたからだ。

けれど、彼らはそれに応じなかった。星全体で農業や、格安で配送業を行う程度の温和な人々であったと聞いている。

が、そんな平和は忌々しいことにいくつもの悪によって壊されてしまった。

どれだけ金を積もうが、望むものを用意すると言っても首を縦に振らなかった彼らを拉致するということでかたをつけようとしたのだ。

けれど、テレー人はそれに応じず、最後まで抵抗し、そうして滅びてしまった。

生き残りは宇宙に散り、トッポが知る限り生き残りはフォルノぐらいのはずだ。

トッポとしてもフォルノのことを好ましく思っている。

彼女は善良だ。戦うということは出来ずとも、彼女は誰かのことを慮ることが出来る人だった。

悪を亡ぼすことは出来ずとも、弱い誰かに手を差し出す彼女は少なくとも善であるからだ。

そんな彼女はジレンの師匠の繋がりでプライドトルーパーズに物資の補給のほか、戦士たちの移動も担っている。

宇宙船での移動には限界があり、応援が必要な場合、彼女の能力はひどく重宝していた。

戦うことは出来ないが、それでも戦場のまっただ中に向かう彼女の姿勢はトッポにとっては素晴らしいと思える存在だ。

 

(・・・少しだけ、空気が柔らかくなったな。)

 

トッポは目の前のジレンを見た。

フォルノとジレンの関係は知っている。プライドトルーパーズでは有名な話だ。誰のことも寄せ付けない彼であるが、唯一、彼女とだけは言葉少なに雑談を交わすのだからそれも当然だろう。

研修生たちからは、色々と噂が出ているが、トッポはそれらがどれも当てはまっていないことぐらいは理解している。

ただ、ジレンがいるからこそプライドトルーパーズは、フォルノから多くの特権を赦されているのは事実だ。

元々、彼女の父はどこかしらの勢力に肩入れをすることを嫌っていた。戦闘、というものが起こる場合、彼は何があっても関わることを拒否していた。

が、フォルノはそんなことはない。

プライドトルーパーズの移動に、物資の補給。商人としてシビアな面があるが、料金は一応請求しても格安だ。

それはジレンがいるためだ。ジレンの手助けをできるだけする、そのために彼女はプライドトルーパーズに関わっている。

 

「そうか、フォルノ君には礼を言わねばな。」

「あいつなら俺を送ってすぐに仕事だと帰ったぞ。」

「そうか、まあ、会う機会はあるだろうからな。」

 

そうだな、とジレンは頷いた。

トッポはそれに少しだけ目元を緩めた。トッポはジレンがフォルノと交流していることを嬉しいと思う。

彼は力の大会の最後に、ジレンが言った言葉を思い出す。

 

(あんなにも、足掻いた、俺たちの期待に応えようとしたお前に。俺たちは何を言うと思っていたんだろうな。)

 

ないがしろにした、そうだ、確かにジレンは一人で戦っていたけれど。それでも、彼はいつだって、自分たちを嘲ることなど無かった。

着いてこい、それは確かに意思表示として冷たいかもしれないが、それは裏を返せば自分たちがジレンにその程度の実力があるのだと期待されていると言うことでもある。

 

いたわりでも、慰めでもなく、責められると感じられていた自分たちは彼から確かに信頼されていなかったのかもしれない。

だからこそ、フォルノの存在がありがたいと思う。

誰かを信じて欲しい、少なくとも、誰よりもジレンに信頼されているのは彼女なのだから。

そう思っていたトッポに、ジレンは無言でじっと視線を向ける。それにトッポはどうしたのかと不思議に思う。

普段、任務を終えればジレンはさっさとその場を去ってしまうのが普通だ。けれど、珍しく自分を見るジレンにトッポは声をかけた。

 

「どうした?」

「・・・・いや。」

 

ジレンは迷うような仕草をした後、またトッポを見た。トッポはそれにジレンが何かを話したがっているのだと察した。

 

「何か話があるのなら聞こう。助けになれるかはわからないが、ジレン、出来るだけのことをすると誓う。」

 

それにジレンはそうかと頷いて、口を開いた。

 

「フォルノのことなんだが。」

(フォルノ君?珍しいな。)

 

トッポはフォルノとジレンの間に他人に何かを話したくなるようなことが起こったことに驚きつつ耳を傾けた。

 

「実は、フォルノの奴が孫悟空について、以前から知っていたようだ。」

「孫悟空について?」

 

トッポは思わず声を上げた。その名前には嫌というほど覚えがある。力の大会で自分たちを負かした第7宇宙の人間。

いつか、ジレンと共に勝利を誓ったそれの存在にトッポは驚いた。

 

「彼女がか?」

 

ジレンはフォルノに力の大会等についての話をしたことを口にした。

トッポとしても、何故、フォルノが孫悟空についてを知っていたのか疑問に残る。

 

「・・・・確かに、おかしいな。」

「ああ、実はフォルノの宇宙船にこの頃住んでいるんだが。」

「そうか、すん、で?」

 

トッポはうんうんとジレンの言葉に頷いていたが、最後のところで固まった。

 

「同居をしているんだが、顔を合わせるたびに聞いている。だが、フォルノは誤魔化してまったく話にならない。いったいどこであの男のことを聞いたのかと思っていてな。」

 

トッポはジレンの言葉を聞きつつ、幾度も単語が頭を反芻している。

 

同居?一緒に住んでいる?

 

(待て、同居?なぜ、妙齢の男女が?いや、私もそこまで何かを言う気は無い。いい年をしているのだし。だが、何故、唐突に?いいのか、赦されるのか?ジレン、どうした、それは?)

 

頭の中でそんな思考をぐるぐるさせた。このままでは、話をまともに聞くことも出来ない。

トッポはそう思い立ち、ジレンにおそるおそる言った。

 

「・・・・ジレン、その、フォルノとは友人、でいいんだよな?」

「ああ、幼なじみだな。」

 

それは友人とカウントしていいのかわからないが、それは置いておくとしよう。ただ、トッポは口下手なりに必死に言葉を紡いだ。

 

「ジレン、それは、おそらくだが。」

 

いろいろダメだと思うぞ。いや、アウトだ、ジレン。

 

それに対してジレンはやはり不思議そうな顔でトッポを見ていた。

そんなジレンの顔を見つつ、トッポは一度道化師のような姿をした破壊神に話を持って行くことを決めた。

 

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